トリニティ総合学園庭園部へようこそ! 作:一生ホームアローンマン
「宣伝用のPVを作ろう!」
「どしたんすか急に?」
ピッと指を立ててミカ様が言う。
なんだPVって。バンドでも始めるのか?*1。
「イベント自体の宣伝はスイーツ部の子たちがSNSでやってくれてるし、企業さんもCM打ってくれることになったじゃない」
うん。謎の部活のくせに妙にフォロワーが多い放課後スイーツ部のアカウントがちょいちょい宣伝ツイート出してくれてて反響も結構あるようだ。参加するお店のレポ動画とかも上げてて中々本格的だったりする。
ちなみに実は存在している庭園部のアカウントでも宣伝はしている。
大体季節のお花や果物の写真上げたり温室の珍しい植物の紹介やったり、あとはお菓子作りパーティなんかの部内イベントの模様とか。色んな子が不定期に更新しているがわりと需要はあるようで結構フォローされている。
あとヒフミちゃんに口コミで宣伝してーって頼んだら数日後にはなぜか協賛企業にモモグループが追加されて会場にモモフレンズ着ぐるみが出張する所まで確定していた。……なんで???
お菓子作りバトルでペロロがピンキーパカさんに完全敗北したり、モモフレンズ一同がパイ投げバトルでぐちゃぐちゃになったりするクレイアニメとかやたらクオリティの高い謎CMが複数作られて既に放映されてたりする。どういうことなの……。
ちょいちょい謎のバイタリティと凄まじいパワーを発揮するんだよなヒフミちゃん。
本人は担当の方とちょっとお話したらものすごく乗り気になっちゃって、とか言って自分の力ではないことを強調していたが……。そろそろ自称普通の女子高生に無理が出てきたんじゃないかと思う。
「会場にもデジタルサイネージいくつか設置することになったし、ついでだから庭園部の宣伝もしようよ」
まあモモフレはともかく、新入部員獲得作戦ということか。言われてみれば悪くないかもしれない。労働の人手は多ければ多いほどいいのだ。
会場では店舗紹介とかの映像が流れる予定だからそれにうちの宣伝も混ぜればいいだけだし。流石に今の時期に新入部員は、それこそミカ様みたいな事情がなければ来ないだろうけど、来年度に向けてやる意味はある*2。
「いいっすね。どんなのにしましょうか。やっぱ収穫とかお菓子作りとか楽しいところを……」
「実はプロトタイプはできてるっていうか作ってもらっててね……じゃーん!」
そう言ってミカ様がスマホで再生した動画を見てみると……えぇ?
なんというか俺の戦闘シーン集? 若干引きつった顔でツルギパイセンと限界バトルしてるとことか、その辺の不良集団燃やしてるとことかパッパと切り替わっていく。
客観的に見れば大炎上(物理)しながら巨大回転ノコギリぶん回すやべーやつなのだが、妙に高い編集能力と良い感じのカメラアングルでカッコよくまとまっている。
最後にリンゴ太陽の庭園部ロゴで〆。なんだこれはめっちゃムズムズする……!
「いやつーかそれ以前に庭園部が誤解されてしまう! 正実と訓練するのも不良とバトルするのも業務じゃねーっすよ!」
「えぇー? ダメ? ワカナちゃんがカッコイイとこみんなに見せたいのに」
うちはもっと長閑で平和で牧歌的で、のんびりしてて救われてて……なんというかこういうのがメインじゃねーんだよ!
野盗軍団と終わりなき戦いを繰り広げるのはギリ業務内だが別にやりたくてやってるわけじゃないし!
「せっかくイチカちゃんが動画用意してくれたのにー……」
ぶーぶー言うミカ様だがそんなことを言われても。
つーかこれ作ったのイチカちゃんかよ。確かに正実は訓練とか実戦の録画してるからそっから抜粋したんだろうが動画編集まで上手なのかあの子*3。
「うちが丸ノコぶん回してバトルしまくる部活だと思われたら困りますんで……*4」
とにかく、この動画は認めん。庭園部のブランドに傷がつくからな……。
「もっと普通に平和でいい感じなやつ作りましょう」
「はーい……」
ということで新歓の部活紹介用に撮りためてた動画とか写真とか新規で撮った動画とかツギハギしてそれっぽいのをでっちあげていく。
部室の奥の部屋の業務用PC、やや型落ちで動画編集にはちょっとパワー不足だがどうにかこうにか。
普通にみんなが花壇や温室のお花の世話してるとこや、芸術センス爆発させて植木を面白く刈り込みしてるとこなんかを中心に……。
あとは新しく植えた果樹の苗木と背の順バトルして敗北してる俺の定点撮影とか重機運転してる陸上ちゃんとか、収穫した大量のリンゴをみんなで抱えてピース! とか。
それに学園祭前後のお菓子作り大会とその後のパーティだとか、澄み渡る青空の下変な歌歌いながら地雷敷設だとか。
なんか若干ノイズが入った気もするがとにかく青春っぽいシーンを並べてBGMもいい感じのやつにして、できるだけ部員みんな映るようにして。
……うんうん、悪くないな。可愛い女子高生集団が笑顔でなんかやってるってだけで100点満点まであるからな。
「あとは……ミカ様はどれ使います?」
入部して日が浅いとはいえ、既に写真も動画もいっぱいあるのだ。何やっても映える人なので撮影係やってる子がミカ様メインで撮りがち。
特に直近のやつは笑顔がめっちゃ眩しい*5のでこの辺から選ぶべきだろう。
「や、私はこういう目立つのはいいよー。ほら、あんまり評判良くないし、禊中みたいなのもあるし……」
ま、またかよ! まだかよ! めんどくさ!
苦笑いを浮かべ白い翼をしんなりさせているミカ様に思わず悪態をつきそうになる。
なんだかんだ明るく振る舞ってはいるが、本当に傷が深い。
前に渡したプレゼントは実際すごく喜んでくれて、そのまま拉致られてミカ様の部屋で一晩中手作りプラネタリウム眺める会やったりしたけど……そりゃあ焼けてしまった十何年分の思い出全部に代えられるようなもんじゃない。
でもさあ、もういいじゃんぼちぼち開き直ってもさあ。そもそも世の中の大半の人間はミカ様がなにやらかしたかも知らねえよ。うちの子たちも大体よくわかってない顔してたよ*6。
セイア様もちょくちょく……良いお茶菓子とか用意したときに限って、そろそろティータイムだと思ってねとかひょっこりフォックスするじゃん。
毎回いちゃついてんだか喧嘩してんだかわかんない感じになるけどさあ、被害者に気ぃ使われちゃってんじゃん!
いいだろ、もう! セイア様とかナギちゃん様には私もうすっかり元気ですけどーみたいな顔してんだからさあ! いい加減中身も元気になれ!
「せぇい!」
「わひゃ!? ひょ、ひょっとわかなひゃん!?」
立ち上がり、椅子に座ったミカ様の両頬を俺がよくやられるようにブニブニ、ブサイク顔だー! ……いや、何やられても可愛いな。ビビるくらいスベスベだし。おっと写真写真。
ミカ様の片頬をブニりながらスマホで自撮り。いい笑顔の俺と真っ赤な顔したレアミカ様だ。世が世なら不敬罪だが結構いい写真が取れた。
「選ばないならこれ使っちゃいますよ」
「ちょ、ちょっともぉー!」
わははわははと撮った写真を見せつけたら一瞬で魔法のようにスマホごとぶんどられた。
腕の長さが違うというのもあるが……やはりジュージュツかなにか?*7
「あのね、ワカナちゃん……私はさ、ダメなんだよ。取り返しがつかなくなる一歩手前まで自分で進んだんだ。だからそんな簡単に許されたり、優しくされたりする資格なんてさ……ないんだよ」
「ばーか! うるせー!! 知らねー!!! ばーか!!!!!」
「きゃん!?」
両肩掴んでヘッドバーット! ガツンと懐かしい衝撃が来る。
何回言ったら分かるんだ? 何回言われても分からないんだろうな。
開き直れと言われて簡単に開き直れるような人ならこんなにズルズル引きずってないし、性根や性格なんてものがそう簡単に変えられるはずもない。
分かるさ。
でもさ、あんたはもう笑えてるんだから。せっかく上がったもんいちいち無理やり自分で落とすことないだろ。
「わ、ワカナちゃんはさあ! 困ったらとりあえず暴力に走るのやめようよ! ちゃんとお口ついてるんだからさあ!」
なんだかんだお嬢様らしくバトルするときはまず舌戦から入るもんねミカ様。
でも俺は庶民らしく(?)とりあえず殴ってから聞かせる方式なんで。
「先生さんは、
「セイアちゃんが、先生やワカナちゃんたちが許してくれるのと、制度の上で許されるのと、色んな人に許されるのと、全部違うよ……」
コンと、今度はゆっくりデコとデコをぶつける。
結局そこが棘なのだろう。色んな人、知らない他人の群れ、世間なんて不定形のよくわからない何かに許される方法なんてないから。
時間が経って風化したとしても、本人の中ではずっとそのまま。
十字架を背負って生きるしかないのだろう。仕方ない。仕方ない? 俺は気に入らない。ムカつく。
「俺は、先生さんみたいに誰も彼もが許されて、救われるべきだなんて思いませんけど……好きな人にはそうあって欲しい。ミカ様が楽しくやってるのが気に食わねーみたいなやつは俺が全員ぶちのめします」
「無茶苦茶言ってるよ、ワカナちゃん」
俺は本気だぜ。
ミカ様をうちの子にしたときから、マジもマジだ。
「誰かが喜ぶ……誰かを楽しませる仕事をきっちりやってる。これ以上のことがありますか?」
はじめは成り行きで引っ張り込まれてなんとなく続けてただけだった。
今でも、楽しいとこより地味でしんどくてめんどくさいとこの方が多いかもしれない。
でも、綺麗なものを、美味しいものを、誰かが喜ぶものを作っている。
2年もやったのだ。そこにちょっとは誇りも感じてる。
うちの子たちはみんなそういう仕事を、誰かを喜ばせるために頑張れる子たちだ。
そして、ミカ様もそうだというのはもう分かっている。
俺はまあそういうのの上っ面をなぞるだけというか、俗物が! みたいな感じで純粋なアレじゃないんだけど……。
まあ傍から見ても真似事くらいはやれているみたいだし、そういう子たちが好きなのは間違いない。
だから、邪魔するやつらをこんがり肉にすることになんの躊躇いもない。
いやまあ軽い銃撃戦くらいはおやつ感覚だし、キヴォトス人は弱火でじっくりコトコト煮込んだスープみたいな事しない限りほぼノーダメ。ちょっと焦がしたくらいぶっちゃけ大したことじゃないんだけど、それはまあともかく。
「正しいことをしてます。善いことができてます。胸張っていましょう。ね?」
「……うん」
細く長く、震える息を吐いたミカ様に、ぐわっと抱きしめられる。
全く動けないが、苦しくはなかった*8。
「んじゃ、PVに使う写真はさっきのこれでいいっすかね」
「だ、ダメ! 先生も見るかもしれないんだから、使うにしてもバッチリお化粧キメたやつじゃないと……えっとえっと、明日どっかで撮り直そう!」
候補の写真や動画をあれこれチェックしてアレもダメこれもダメと悩んだ末にミカ様は叫ぶ。
「みんな普段通りで撮ってるんすから。それにミカ様いつでも可愛いんで大丈夫っすよ」
「そういう問題じゃないのー!」
すっぴんでも可愛いよとか女の子にはかなりNGワードらしいが、まあ実際可愛いんだからいいだろ上等だろ。
デリカシーとか俺に期待しないでくれ。
やや悪ノリ気味にPVには収穫作業後の俺と一緒に大量のリンゴを抱えてニッコニコミカ様とさっきのほっぺブニられ真っ赤ミカ様を採用。
俺的ベストセレクションだったのでついでに先生さんにもその画像を送りつけておく。
秒で返信が来て、サムズアップの絵文字とともにナイスショット! のお言葉をいただいた。
ヨシ!
「あー!!! もうバカバカバカ! 何やってんのさー!!!」
「わはは! わはははは! あ、痛い痛いガチで痛いやめて頭割れるバカになっちゃう!」
ポカポカというかボガボガやられて*9まあまあダメージを受けるが笑いは止まらない。
……まあ別に、これでいきなり吹っ切れるなんてことはないのだろう。
でも、いつまでも引きずるなら何度でも言おう。それだけのことだ。
誰かを楽しませる良い仕事。このイベントも成功させたとすればまさしくそうなるだろう。
最初はちょっとなーって感じだったけどさ、なんだかんだやる気がむんむん湧いてきたぜ。
そんなことを思った矢先に見たくもない顔を見てげんなりである。
例のチンピラスイーツ企業『Mensa Secunda』のロボ社員、太った黒スーツの男が庭園部の部室にやってきていた。
お爺ちゃんのお店『Flowing Honey』の方にもちょいちょいこいつらの手下っぽいチンピラロボ集団が嫌がらせに来ていたようだが、宇沢ちゃんは元より杏山ちゃんもなんかやたら強いらしく、そこそこの人数を軽くボコボコにしたと聞いている。
こっちにも来てたらしいけど、いつのまにかうちの子たちにサクッと処理されてたり忙し過ぎて無意識で適当に燃やしてたらしくあんまり記憶にない。
印象最悪なので問答無用で着火してお帰り願いたいのだが、ミカ様にステイステイされたので大人しく座っている。なんでもお話にきたんだからお話しないとダメ、暴力を振るうにも作法があるんだよ、とのこと。
いやまあ、俺だってそんなに好戦的なわけじゃない*10。そりゃあ話が通じる相手ならお話で済ませばいいと思うけど、でもどう考えてもそういう手合じゃないような……。
「今日我々がこんなところにわざわざ来た理由、もちろんお分かりですよね?」
いや全然。俺も後ろのミカ様も特に何も言わず先を促した。
チンピラみたいな雰囲気を醸し出すガードマンロボ十数名を従えたスーツロボ男は顔面のモニターに映る表情をピキピキさせながら続ける。
「あの店とは我々が先に話をつけていたんです。困るんですよねえ、後から横入りなどされては」
「特に契約とかしたわけでもないのにそんなこと言われてもねー」
子供のお使いじゃないんだから、とミカ様がせせら笑う。
実際問題言質すら取ってないようだし、嫌がらせでどうにか地上げみたいにするつもりだったんだろうけど全部失敗してるし。
そんで今度はこっちに来たというわけだろうけど……。
ロボ集団のピキピキした剣呑な空気が加速する。
しかしまあ脅しというのは相手より強いか、少なくとも痛手を与えられる戦力があって初めて成立するものである。
牽制の炎一発で全滅しそうなロボをいくら並べたところでねえ……。
こちらとしてはそんな呑気な感想しか出てこないのだが、ロボ男はさらに脅し文句を並べ、ミカ様がはいはいと受け流しつつ挑発を追加している。
いつもの明るさや優しさ、さっきみたいな弱さは一切見えない権力者の顔。
意外と公私をピシャっと分けられる人である。いや、公私混同することも多いけど、こういう時は実に頼りになる。
しかしまあなんというか、舐められてるというか侮られてるというか。どうなんだろうな。最近の俺はあんまり暴れてないっていうか、正実の訓練動画くらいしか俺の戦闘は表に出てない。
そんで訓練動画ではまあまあボコられてるから……あんま強くないと思われてるのかもしれない。
ミカ様も戦えばクソ強いことトリニティ生ですらあんまり知らないっぽいし。他所の人間ならなおさら……と思えばこの恫喝ごっこもわからなくもないが。
「まあ……よろしい。そちらが主催する製菓大会、トリニティスイーツグランプリについて。本日の主目的はそちらの確認です。我が社随一のパティシエが大会参加を希望しましてね。要項は満たしているはずですが」
埒が明かないと見たのかロボ男が話を変える。
書類選考時点でありえねー! と思って弾こうとしてたんだけど、お爺ちゃんが別にいいって言うから普通に参加者リストに連なっている。
「正当に、お菓子作りの腕前で納得させられるなら構わないよ。店主さんも、私達もね」
俺は構うんだけど、まあ分かりやすく白黒はっきりつけたほうが色々と都合がいいということなのだろうか。そういう機微みたいなのは正直さっぱりわからぬ……。
「結構。真っ当なやり方でも我々は当然成果をもぎ取ることでしょう。では大会当日にまたお会いするのを楽しみにしていますよ」
フフーンとドヤ顔で笑うと、ぞろぞろとロボ兵を引き連れてロボ男が去っていく。どうもそういう話になったらしい。でもなあ、どうなんだろうなあ。
いかにも自信ありげだったけど、お爺ちゃんに認められるような職人いるなら始めからそんな話こじれてないんじゃねえのっていうか……。
「うん、そうだね。ちょっと調べたらあの店にも賞とか色々取ってるパティシエさんがいるのは確かみたいだけど……方向性が違うっていうか。店主さんが認めるような人ではなさそうだから」
「ダメじゃないですか」
参加したらうちが勝っちゃいますけどいーすか(笑)みたいな顔してたけどさあ。
なんなんだ? 何を根拠にそんな自信満々なんだあのロボ男は?
「見たとこそもそもそういう性格っていうのもありそうだけど……バックが結構大きいとこでね。ほら、カイザーグループ*11。最近トリニティにもちょこちょこ進出してきてるんだけど、『Mensa Secunda』もその一環だったみたいで」
あそこ分かりにくくしてあるんだけどカイザー資本でね、とスマホでなんか色々有価証券なんたらとかを見せてくれる。
……なるほどかんぜんにりかいしたわ。
いやまあカイザーはやたらCM打ってるし金融や建設、軍需産業にPMCとかまでやってる大企業だというのはわかる。多分モモグループよりデカいんじゃないかな。
で、そこがあのロボ男のケツ持ちと。……だからなんだ?
「最終的には力技で解決できると思ってるんだよ。トリニティそのものを相手にするならともかく、小さなお店一つ、中小の部活一つなんとでもってね」
カイザーグループはそういう後ろ暗い噂も多いとミカ様は言う。
いやマジで暗黒メガコーポじゃん。やっぱさっき燃やしといたほうが良かったんじゃ……。
「それはそれで正解かもなんだけどね。今後のことを考えると、あっちがもうちょっと本腰入れたところを一気に叩いたほうがいいのかなって。ワカナちゃんやみんなにはちょっと手間掛けさせちゃうんだけど……」
「えーと、よくわかんねーっすけど、ミカ様がそう言うなら」
小競り合いの喧嘩程度で済ますと根が断てないみたいな話だろうか。ロボ男の大会参加を認めるのもそういうことか。
軽い脅しじゃダメ。正規の手段で目的が達成できそう。ならとりあえずはそれに注力するだろう。
「うん。折角のイベントに水を差されるのが一番嫌だしね。それにあっちも私達と仲良くしたいみたいだから、こっちが譲歩した分そういう流れになると思う」
「えぇ?」
仲良く……? あの態度でお友達になりに来たの? 嘘でしょ。
あ、殴り合って友情が芽生える的な……? やっぱ殴っといたほうが良かったのか???
「庭園部のリンゴ……普通のやつじゃなくて特別なやつね。アレって古くから付き合いがあるところにしか卸さないじゃない?」
「そうですね」
ブランドを維持するためなのか、あるいは何か宗教的なアレコレがあったのかもしれない。昔々の古い契約で決まってるのだ。
だから古樹林の特別な『トリニティのリンゴ』は誰にでも売れるものではなく、長いこと付き合いがあるところにしか基本的には出していない。
「アレを使って、やっぱり看板に箔を付けたいみたいだね」
「まあ確かに、トリニティの老舗高級店とか優良店の証明みたいになってるとこありますけど……」
普通に食べる分にはめっちゃ酸っぱい、品種改良が進んだ普通に売ってる方のよりマズいリンゴでしかない。
でも適切な調理をすればその重ねた年輪にふさわしい深みのある味が姿を現す。
普通にケーキとかお菓子類も独特な美味しいものになるが、特にシードルなんかのリンゴ酒は絶品らしくとんでもない高値がつくとかなんとか……。
酒は飲めないんで話に聞くだけだが。
「高級店として上手くいけば良い人脈も作れるし、そこから“切り崩していく”ことだってできる。ちょっと小突いてやるだけで甘い蜜が溢れるほど……なんて、ちょーっと笑っちゃうよね」
それくらい隙だらけに見えてるんだろうけどと、くるくる髪をいじりながら皮肉げに笑うミカ様。
「まあ、余計なことはいいよ。とにかく、楽しいお祭にしようね」
「……そっすね!」
暴力で対処できる問題ならどうとでもなるというのは、まさにこっちの話でもある。しょーもないロボなんかよりもっとやらないといけない仕事がいくらでもあるんだからひとまずは忘れよう。
一頻り俺の頭やら羽やらわしわしして落ち着いたらしいミカ様と別れお仕事お仕事。各方面との最終調整や搬入機材のチェック、やることはいくらでもあるのだ。
せっかくエンディングまでこぎつけたのでミカとイチャイチャする回は設けたいなあということでイチャイチャ回です。……イチャイチャかこれ?
原作中ではメンタル折れてるとこと立ち直りきれてないとこしか見れてなくて、バレンタインでちょっと元気になる片鱗が見えてって感じだったのでやっぱり今後に期待したいですよね。
別衣装ではきっとすっかり元気になった姿を見せてくれるのではないか。
別衣装はよ。
ティーパーティーで一人実装されてないフォックスがいるな……。
セイアちゃんはよはよ!みたいな日々です。
ナギちゃん復刻で近々来てくれると信じてるぞアロナ。