エジッタイト砂漠 どこかのオアシス
砂上船の残骸を組み上げて作られた小屋の中でギースはひざまづいていた
「す、すいませんでした‼︎姐さん‼︎ガキを取り逃して…」
ギースがひざまづくその向こうにはガラクタの山に腰掛けるゆったりとした緑の着衣の人物がいた
顔は顔布とカマキリを模したようなマスクで隠されている
側のカードの山を弄びながらその人物は口を開く
「そんなことはまだいい。それよりも、あんたを負かしたヤツは本当に契約アルティメットなんて代物を使ってたのかい?」
ハスキーながらどこか妖艶な声が響く
「あ、は、はい‼︎ヤツが使ってたのは、間違いなく…‼︎」
マスクの下の顔がニヤリと微笑む
姐さんと呼ばれた人物がゆらりと立ち上がる
「なら結構。そいつをあたしが負かせば、その契約アルティメットもあたしらトワイライト団のものだ」
マスク女の胸元が緑に輝き、羽音と共に小さな影が飛び出す
『契約アルティメット…いいねぇ。そいつも俺たちグリューン∴バウムに加えたら、もっとハジけられそうだ』
マスク女の側に対空しながら小さな黒い影が笑う
「勝てるのかい?あんたの力で」
『愚問だな。俺らグリューン∴バウムは簡単に負けやしねぇよ』
不敵な笑みで返す小さな影を見たマスク女はカードの山からデッキを荒々しく取り出し、歩み出した
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「なるほどな。この砂漠地帯を支配してる王様の勢力圏は3つ」
オアシスまで戻ってきたラプラスたちは湖のそばに転がっていた錆びた砂上船の残骸を日除に水を飲みながら情報交換をしていた
「一つは荒くれ者をまとめたコボルダム帝とかいう皇帝が支配する侵略国家・セトナクト」
「次に富豪や商人が住まう商業と工芸の国・アクトホルス。こっちは女帝にして随一の富豪、レイネリアってのが治めてる、と」
地面に簡単に絵を描きながらラプラスがエジッタイト砂漠の勢力図を整理していく
「最後に基本的に戦争や衝突を好まない穏健な小国・ラピス=ラー。女王コーマ・カー・ユも穏やかで国民からの信頼も厚い。ルニはこの国が治める土地の村出身、と。これであってるな?」
ルニはこくり、と頷く
「でこの世界…ロロ・レクリウスだっけ、はこのカードゲーム・バトルスピリッツが力であり、このカードでの勝負が戦争の代わり。勝った側は負けた側のあらゆるものを奪える世界のルールがあって、それを利用してコボルダム帝は元から周辺の侵略を行っていた」
ラプラスが指をラピス=ラーの方に向ける
「が、何故か戦争を好まないはずのラピス=ラーのコーマ女王がコボルダムに宣戦布告してからは情勢が大きく変わった」
ラプラスの言葉にルニが悲痛そうに頷く
「コーマ女王が蜂の巣を突いて2つの国で戦線が拡大。最悪なことに漁夫の利を狙ったかアクトホルスの女帝も両国に攻撃して戦地が拡大。ルニの村は村長がバトルで負けて奪われた…」
状況を整理し終わったラプラスががしがしと頭をかく
「……いきなり世紀末すぎるだろこの勢力図…異世界とはいえ」
頭を抱えるラプラスの隣でジャバドが付け加える
『そのコーマ、という王がセトナクトを攻めた理由が大地のアルティメット……「《マグナ》の名を持つ王のカード」がセトナクトが侵略した土地に眠っているからだったな』
「そっちの狙いはその王のカードってヤツだろう?四魔卿…だったっけ?」
『その通りだ』
ジャバドが目を閉じて頷く
『《マグナ》、《ブラム》、《イル》、《ヴァン》の名を頂く王のカードたち。それが我が統べるはずの魔卿たちだ』
「統べるはずって、なんだか曖昧な感じだな」
ラプラスの言葉にジャバドが珍しく押し黙る
『……我とて、目覚めたばかりだからな』
「………」
ジャバドの言葉にラプラスも無言で彼を見つめる
瞳が一層金色に輝き、細められた
しばらくの無言を貫いた後、ラプラスは不意に立ち上がり伸びをする
「まぁまずはラピス=ラーとかいう国に行くか。ルニの故郷があった国だし、この中でなら一番征服がしやすそうだ…」
フフフと悪い笑みを浮かべるラプラスにルニが不安そうな顔を見せる
その小さな頭をぶかぶかの袖越しの手が撫でる
「心配すんなルニ。吾輩の征服はクレバーかつエコロジーだ。奪い合いみたいな真似にはしない」
得意げにニッと笑うラプラス
その姿はどことなく威厳と説得力を感じる不思議な魅力があった
ルニは小さくこくり、と頷いた
隣に浮かぶジャバドの方も振り返る
「ついでだからお前の言う四魔卿とやらも征服してやる」
悪戯っぽく笑うラプラスを見たジャバドもフッと小さく笑う
『ああ、そうでないと困る。我が契約者』
「…とは言ったものの、こうなってくると移動の足が無いのが辛いとこだなぁ…」
ラプラスが頬をかく
ルニの乗っていた砂上船は大破。ここにあるのも砂上船のスクラップばかりで利用できそうなものは見当たらない
「こんな時博士がいれば…サムライがいてもなんとかしてくれそうだが。幹部の知恵もあればありがたいし、新人もまぁ…なんか役に立ちそうだしな」
ラプラスの脳裏にふと、holoXのいつもの面々の姿が過ぎる
「あいつらもこの世界に来てるはずだし…早いとこ合流しないと不便極まりない……少しだけ、寂しいしな…」
そんなラプラスたちの前に盛大な砂煙を巻き上げながら何かが猛スピードで飛来してきた
「うわっぷ⁉︎砂飲んじゃったじゃねぇかなんだぁ!?」
ラプラスが盛大に咳き込み、ルニもこほこほと小さく咳き込む
ちゃっかりジャバドは翼で防いでいた
そこに現れたのは黒いハチ型の小型飛空艇
そこには仮面を纏う人物が乗っていた
「あんたか?うちのギースを倒してくれたガキってのは」
小型飛空艇に立ち乗りしていた人物が告げる
その声を聞いたラプラスが首を傾げる
(……なんか、この声聞いたことある気が…いや、でも…)
「返事なしとは舐められたもんだねぇ?」
獰猛な声が響く
ラプラスははぁ、と息を吐くと目を細めて睨む
「吾輩は、これからのプランニングに忙しい。盗賊の相手なんかしてられないぞ?」
「これでも、かい?」
小型飛空艇が加速、ラプラスの横を駆け抜ける
思いもよらぬ行動にラプラスが不意を突かれ、よろめいて尻餅をつく
再びホバリングし始めた小型飛空艇の上
仮面女の手にはルニが抱えられていた
「このガキがどうなってもいいなら、どこにでも行きな」
ラプラスは唇を噛む
「ジャバド‼︎」
『わかっている』
契約者の呼びかけに答え、相棒魔卿がラプラスへとカードに戻りながら飛来、ラプラスのデッキに戻る
『へぇ、そいつが契約アルティメットか』
「な⁉︎」
仮面女の隣に現れた小さな影にラプラスが驚く
羽音を鳴らしながら浮かぶのは緑色のクワガタのような小さな怪人
バイザーに覆われた目を挑戦的に細めながらラプラスを見ていた
「まさか、ジャバドと同じようなヤツか⁉︎」
『ご明察。俺は契約“スピリット”だがな』
腕を組みながら答える緑の甲虫
『俺はガタル。秘密結社グリューン∴バウムの戦士ってヤツだ』
「秘密結社…?」
それを聞いたラプラスがハッ、と笑う
「…なおのこと負けらんねぇな…‼︎秘密結社ならholoXの方が偉大ってこと、思い知らせてやるよ‼︎」
ガタルがカードに戻り、仮面女のデッキに収まる
2人が互いにカードを突きつけ構える
『ゲート・オープン、
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
自身のバトルフロートたる玉座に腰を下ろして脚を組むラプラス
それに相対する形で現れた仮面女のバトルフロート。先程乗っていたのとよく似た黒い蜂型のものに乗る仮面女はぴっちりとした黒いボディスーツに虫の羽のような装飾を持ち、胸にはライフのコア5つがハマったカマキリに似た虫の顔の装飾がハマっている
「へぇ、中々面白いバトルフォームだなぁ」
「そっちのも中々悪者らしいスーツじゃないか」
ラプラスの皮肉にハッ、と仮面女が笑う
「おっと、ここでも仮面のままは失礼だな」
仮面女が顔にはめた仮面を取り、首を振って収めていた長い髪を露わにする
鮮やかな紫の細いツインテール
そしてその顔には形の良い翠の切れ長の目
悪魔的な妖艶さを持ちながらもどこか愛嬌のある勝ち気な笑みを見せたその顔を見てラプラスがポカン、と口を開く
そしてその顔が徐々に青くなり、酸欠の魚のように口をぱくぱくさせる
「な……トワ様⁉︎⁉︎」
震える声でラプラスが叫ぶ
「あぁん…トワ様?誰だそれ?」
仮面女が怪訝そうな顔を見せる
ラプラスは今なお目を白黒させていた
ラプラスが言っている「トワ様」というのはholoXが現在所属しているバーチャルアイドルの事務所・ホロライブに所属している先輩ライバーこと「常闇 トワ」のことである
何を隠そう、彼女はトワの大ファン…『眷属』なのである
「あたしの名前はヤミナ・トワイライト。盗賊団トワイライト団の団長さ。それ以上でも以下でもない」
仮面女ーヤミナはトワにそっくりな顔でそう告げる
「やめろぉーーーーーーー!!!」
突如叫びだしたラプラスに今度はヤミナが目を白黒させる
「な、なんだよあんたいきなりー」
「トワ様は、トワ様は悪魔だけどめちゃくちゃ優しい大天使な悪魔なんだよぉ‼︎そんなトワ様そっくりの顔で、盗賊団のボスとか…解釈違いだ!!!!」
玉座をげしげし蹴りながら叫ぶラプラスを白い目で見つめるヤミナ
「…いや知らねーし。あたしはあたしだ。あたしのやりたいように、奪いたいもの、欲しいものを狙うんだよ‼︎」
ターン1 ラプラス・ダークネス
持ちコア:4
手札:4→5
「くそぉ‼︎絶対負けないかんな‼︎」
「メインステップ‼︎《
ラプラスが叫びながらフィールドに相棒魔卿ジャバドを呼び出す
「へぇ、そいつが契約アルティメット…中々良さそうなカードじゃないか。ますます欲しくなってきたよ」
フッと笑うヤミナの顔にトワの面影を見たのか少し頬を赤らめるラプラスだが、顔をぶんぶん振って唇を噛む
「ターンエンドだ‼︎」
ターン2 ヤミナ・トワイライト
持ちコア:4→5
手札:4→5
ヤミナは得意げにニッと笑いながら1枚のカードを放つ
「メインステップ‼︎早速行くよ、《
ヤミナのフィールドにヤミナと共にいた相棒虫ガタルがスピリットとして姿を現す
『さぁて、今回もハジけようか‼︎』
「アタックステップ‼︎ 行きな、ガタル‼︎」
ガタルが羽音を立て、ラプラスへと突撃する
「コアの残りが無いあんたに今フラッシュはできない。でも、あたしは可能なのさ‼︎」
ヤミナが手札からカードを1枚取り出す
「フラッシュタイミング、【
「神速…?」
ヤミナのフィールドに新たなスピリットが召喚される
「《
外套を纏ったクモのようなスピリットが召喚され、その目が妖しく輝きを放つ
「G∴Bスパイダークの効果‼︎ボイドかあたしのトラッシュにコア1つを置く。ガタルがいるなら、代わりにリザーブに追加‼︎」
「更にガタルの効果。効果で緑一色のスピリットを召喚した時、あたしのカウントを1増やす。あたしのアタックステップだから、更に+1だ」
ヤミナのリザーブにコアが1つ追加され、リザーブのコアが2つになる
ヤミナのバトルフロートから分離したハチ型のドローンの頭部モニターのカウントが1増え、すぐさま2になる
「な、なんだよそれ⁉︎アタックステップに追加召喚⁉︎」
『緑属性特有の効果、【神速】の効果だ。コスト支払いと維持コアをリザーブから支払うことにより、アタックステップでも行える召喚だ』
「そんなのもあるのかよ…⁉︎」
一人ごちるラプラスの目前にガタルが現れる
「ガタルのアタックはまだ続行中だよ?」
「くっ、ライフで受ける‼︎」
ガタルが大顎を打ち鳴らし、出現したバリアに打ち付ける
ラプラスのライフが砕け散る
「まだまだ行くよ‼︎スパイダーク、行きな‼︎」
G∴Bスパイダークがジャンプを繰り返しながらラプラスに向かってくる
「こっちも負けてられるか‼︎ジャバドのフラッシュ効果‼︎」
ジャバドが目を輝かせ、腕を振るう
コアを取り除かれたスパイダークが消滅する
同時にラプラスの隣にモニターが現れ、カウントが2増え、手札が1枚増加する
「それに続けてあたしもフラッシュタイミング‼︎更にG∴Bスパイダークを召喚‼︎」
新たに別のスパイダークが召喚され、その効果でリザーブにコアが1つ増える
ガタルも反応し、カウントが更に2増える
「行きな‼︎スパイダーク‼︎」
新たに召喚されたスパイダークが襲いかかる
「ライフだ‼︎」
ラプラスのライフが更に一つ削られる
「相棒虫ガタルの効果。バトルを終えたスパイダークを手札に戻す」
ガタルが指を鳴らすとG∴Bスパイダークがヤミナの手札へと戻る
ヤミナはニッと微笑む
「ターンエンドだ」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
ターン3 ラプラス・ダークネス
ライフ:5→3
カウント:0→2
持ちコア:4→7(うちソウルコア1はフィールド)
手札:4→6
「メインステップ‼︎バーゴイルを召喚‼︎」
バーゴイルが新たに召喚され、バーゴイルの効果でコアが1つ増加する
「もう一体‼︎獄土伯グレイ・チュードを召喚‼︎」
新たに黒いトカゲのようなアルティメットが召喚される
「召喚時効果‼︎カウントを+1して、吾輩は1枚ドローする‼︎」
「続けてアタックステップ‼︎ジャバド、行け‼︎」
ラプラスの指示に頷き、ジャバドが駆ける
ヤミナは手札からカードを1枚取り出す
「フラッシュタイミング‼︎《G∴Bモンカラー》を神速召喚‼︎」
新たに呼び出された白い外套を纏うカラスのようなスピリットが飛来する
「モンカラーの効果であたしのリザーブにコアを1つ追加。更にガタルがいるからもう1コアをトラッシュに追加する‼︎」
「2コアプラス…⁉︎コスト稼ぎが早いな⁉︎」
『あれが緑デッキの特色だ』
ハチドローンのカウントが+2される
ヤミナにジャバドが迫る
「ライフだ‼︎」
ヤミナにジャバドの一撃が命中し、ライフが砕ける
「ターンエンドだ…」
ターン4 ヤミナ・トワイライト
ライフ:5→4
持ちコア:9→10(うち2はフィールド。ガタルにソウルコア1)
手札:2→3
「メインステップ、ネクサス《
ヤミナが配置したカードに呼応してその背後に妖しく光る木のような「魔王城」が顕現する
「ネクサス…?」
『フィールドに配置することで効果を発揮するカードだ。スピリットらと違ってアタックはできん』
ジャバドは油断なく目を細める
『こいつはただ効果のための配置では無さそうだが、な』
その言葉にヤミナが得意げな笑みを見せる
「察しがいいじゃないか」
ヤミナが構える
「魔王蟲の根城をLv2にアップしてアタックステップ‼︎モンカラー、まずはあんたからだ‼︎」
モンカラーがラプラスに突撃する
「フラッシュタイミング‼︎ジャバドの効果でバーゴイルのコアをトラッシュに送り、ガタルのコアをリザーブに‼︎」
ジャバドの目が輝き、コアを奪われたガタルがモンカラーの背後で消滅する
更にジャバドの効果でラプラスのカウントは2増え、手札も1枚増える
「厄介な効果を使うじゃないか。契約スピリットはフィールドを離れる時に魂状態にすることができる。ガタルは魂状態にするよ」
トラッシュに置かれるはずのガタルのカードがフィールドの端に残る
ヤミナの隣に緑に淡く輝く魂状態のガタルが現れる
「モンカラーのアタックはライフで受ける‼︎」
ラプラスのライフがモンカラーのついばみにより破壊され、残るライフは2となる
「だが、これで終わりじゃない。契約スピリットの真価はここからなのさ、ガタル」
『ああ、グリューン∴バウムは常に進化するのさ…‼︎』
ヤミナとガタルが笑う
「ガタルから取り除かれたリザーブのソウルコアをトラッシュに送り、魂状態になったガタルに《G∴B暗器のベニシス》を
ヤミナの手元で輝いたカードに魂状態のガタルが憑依、それをフィールドに放つ
緑の旋風を鋭い鎌が引き裂き、紅色の甲殻を持つ暗殺者ー暗器のベニシスが姿を現す
「契約煌臨‼︎ ジャバドのヤツと同じか…⁉︎」
「ベニシス煌臨時効果‼︎あたしの手札全て…といってももうスパイダーク1枚だけど、これを破棄」
ヤミナの手から落ちたカードがトラッシュに消える
「系統:《
ヤミナのデッキかラプラスの手札と同じ6枚のカードが飛び出し、新たなヤミナの手札となる
「こっちのドロー効果を掠め取るみたいなもんか…‼︎盗賊団らしい効果しやがって‼︎」
「褒め言葉どうも。ベニシス、いきな‼︎」
『ああ、行くぜぇ‼︎』
ガタルが宿るベニシスがアタックする
「そちらのフラッシュタイミングは無さそうだね。無いなら、あたしのフラッシュ効果だ」
ヤミナの背後の根城が妖しく緑の輝きを放つ
「魔王蟲の根城、Lv2効果‼︎ターンに1度、【神速】でスピリット/ブレイヴを召喚する時そのコストを支払わずに召喚できる‼︎」
ヤミナが獰猛に微笑む
「暗き森の主‼︎ 漆黒の大顎持つ執行人‼︎」
「《
黒と緑の旋風。黄金に紅葉した葉が舞い散る中、黄色の瞳が輝く
旋風を引き裂き突き出してきたのはねじくれた黒い樹のような大顎
ガチン‼︎と旋風を引き裂き現れたのは巨大な黒い樹皮の甲殻を纏う巨大なクワガタ。《黒樹神クワガ・ラブナ》
「Lv2で神速召喚さ」
「ぽこじゃが出てきやがって…‼︎」
神速召喚成功によりヤミナのカウントが2増える
ぐぬぬと歯噛みするラプラスにベニシスが迫る
「バーゴイル‼︎ブロックだ‼︎」
控えていた魔像のアルティメットが飛び出す
バーゴイルのLv3のBPは5000
ベニシスのLv1BPは3000だが、カウントが4以上のためオーバーカウント中となり、BPは更に5000上昇する
バーゴイルが掴み、捻り上げようとしたベニシスの姿が消え、その背後から現れた2人に分身したベニシスが同時にバーゴイルの喉を掻き切る
致命傷を受けたバーゴイルは脱力し、爆発する
「ベニシスのアタック終了時効果。トラッシュのソウルコアをリザーブに戻すよ」
ソウルコアがリザーブに戻る
「まだ終わらないよ‼︎やりな、クワガ・ラブナ‼︎」
樹の軋むような鳴き声を響かせてクワガ・ラブナが飛来する
「フラッシュ効果は使わないのかい?」
ヤミナの挑戦的な問いにラプラスは唇を噛む
「無い‼︎」
「ならーあたしの勝ちかな?」
ヤミナがカードを突き出す
「フラッシュタイミング‼︎マジック《フェイタルアタック》‼︎」
突き出されたカードから突風が渦巻く
「相手のアルティメットを2体、グレイ・チュードとジャバドを指定‼︎回復状態のグレイ・チュードは重疲労させ、疲労状態のジャバドはデッキの下に戻す‼︎」
「なっ⁉︎」
グレイ・チュードに風が纏わりつき、カードの向きが上下逆になる
ジャバドはフィールドから離脱させられる
「ジャバドは魂状態に‼︎」
ラプラスの宣言によりフィールド端に残るジャバド
『してやられたな』
「うっさい‼︎」
「クワガ・ラブナのアタック時効果‼︎バースト効果は発動できない。これに加えて魔王蟲の根城の青シンボルにより、《
ヤミナの背後の根城が今度は青く輝き、呼応したようにクワガ・ラブナも青いオーラを纏う
「ターンに1度、クワガ・ラブナはネクサスを疲労させることで回復する‼︎」
魔王蟲の根城が横向きの疲労状態になると共にクワガ・ラブナは縦向きに直り回復状態となる
「さぁ、このアタックはどうする⁉︎」
「ーッ、ライフで受ける‼︎」
ラプラスを大顎が挟む
バリアが弾けると共にライフが砕け、ラプラスの残るライフは1つ
加えて、今ラプラスのフィールドにはブロックできる存在がいない
「終わりだ‼︎クワガ・ラブナ、もう一度行きな‼︎」
クワガ・ラブナの目が輝き、再び羽音を響かせながら襲ってくる
ラプラスは万事休す、と息を呑みかけるが
ニヤリ、と笑った
「ー⁉︎」
ヤミナがその笑みに気づく
「吾輩のリザーブのソウルコアをトラッシュに置き、契約煌臨‼︎」
ラプラスがカードを掲げる
「来い‼︎《魔卿執事バランドール》‼︎」
ジャバドがカードに宿り、バトルフィールドにスタイリッシュな細身の悪魔のような姿ー魔卿執事バランドールとなって君臨する
「バランドールの煌臨時効果‼︎相手のスピリットのコア2個をリザーブに‼︎更にトラッシュからコア1つを吾輩のライフに置く‼︎」
クワガ・ラブナのコアが2つリザーブに送られ、砕けていたライフが一つ輝きを取り戻す
契約煌臨元のジャバドの効果でラプラスのカウントは2増え、手札も1枚増える
「更にバランドールのフラッシュ効果‼︎吾輩の手札のコスト6以下の《邪神》アルティメットをノーコスト召喚‼︎出てこい、《
呼び出されたアルティメットはヌーヴェル・バーグ
ハチのような姿のアルティメットが魔卿執事に並び立つ
「ヌーヴェル・バーグの効果でボイドからコア一つをヌーヴェル・バーグに追加‼︎更に疲労状態のクワガ・ラブナをデッキの下に戻す‼︎」
アタック中だったクワガ・ラブナがデッキの下に戻り消滅する
「チッ、ターンエンドだよ」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
ターン5 ラプラス・ダークネス
ライフ:3→2
カウント:2→7
持ちコア:7→10(うち3コアはフィールド)
手札:6→8
リフレッシュステップでグレイ・チュードは疲労状態に戻るが、回復状態にはならないためにこのターンの行動は不可能となる
「吾輩のメインステップ‼︎バーゴイル2体を連続召喚‼︎」
邪神像のアルティメットが2体現れる
「バーゴイルの効果‼︎1体はボイドからのコア追加、もう1体はBP7000以下の相手スピリット破壊の効果だ‼︎」
バーゴイルが口から炎を放ち、モンカラーを焼き払う
「アタックステップ‼︎行け、バーゴイル‼︎」
バーゴイルが咆哮し、ヤミナに襲いかかる
ヤミナが舌打ちを漏らす
「ライフで受ける」
ヤミナはそれをライフで受け止める
「続けてアタックだ、ヌーヴェル・バーグ‼︎」
「アタック時効果でコアを追加し、ベニシスをデッキの下に‼︎」
ベニシスがデッキ下に戻され、再びガタルは魂状態となる
「ーフラッシュタイミング、手札の《
ヤミナが掲げたカードが煌めく
「まぁ効果はスピリット対象だから意味が無いが、だがコストの支払いをリザーブから行ったことにより、こいつは【
黒風渦巻くカードがバトルフィールドに降り立つ
「黒き旋風、死神の鎌‼︎ 全てを奪う魔王の羽音‼︎」
「《黒蟲魔王ディアボリカ・マンティス》Lv2で閃神速召喚‼︎」
バトルフィールドに雄々しき脚が降り立つ
現れたのは禍々しい鎌を持つ黒き蟷螂
黒蟲魔王ディアボリカ・マンティスが咆哮を上げる
「まだ隠し球がいたのか⁉︎」
「あたしはしぶといんだよ‼︎ディアボリカ・マンティスでブロック‼︎」
ヌーヴェル・バーグに飛びついたディアボリカ・マンティスが鎌を振るう。ヌーヴェル・バーグは腕の針で受け止めるが、その針ごとその体が両断され爆散する
「くっ、だがまだ削り切るチャンスはある…バーゴイル‼︎」
もう1体のバーゴイルが駆けていく
「終わらねぇ、あたしはまだ‼︎」
「フラッシュタイミング‼︎魔王蟲の根城、Lv2効果で手札の《
ヤミナが手札からカードを神速召喚
召喚されたそれは黒い細剣。ディアボリカ・マンティスの元に飛来したそれを黒き魔王は右の鎌と合体させる形で受け取り、巨大化した剣鎌を振りかざす
「な、剣を持った⁉︎」
『ブレイヴというカードは、ああやってスピリットやアルティメットに合体させて能力を上げることができるのだ』
「でも、あのカマキリはもうブロックできないー」
ヤミナは新たにカードを切る
「更にフラッシュタイミング、マジック《バインドエッジ》‼︎」
魔王蟲の根城のコアを使ってマジックを使用したのだ
「系統:《
バインドエッジの効果を受けたディアボリカ・マンティスが緑の光に包まれながら立ち上がる
「バーゴイルをブロック!」
ディアボリカ・マンティスのウスバカゲロウによる一閃がバーゴイルを引き裂き、爆散させる
「中々やるじゃないか、女盗賊‼︎」
ラプラスの挑戦的な言葉にヤミナはテーブルを殴りつけながら余裕の笑みの消えた顔でラプラスを睨む
「あたしは負けられねぇ…もう奪われる側にはならねぇ‼︎」
ヤミナのその言葉にラプラスも笑みを消す
「譲れないもの、ってヤツか」
ラプラスは自身の胸に手を置いてヤミナを見据える
深い金色の瞳にヤミナがたじろぐ
「なら、吾輩にもある。吾輩の『世界征服』は誰にも譲れん‼︎」
「ぶつかろうじゃないか、女盗賊‼︎真正面からなぁ‼︎」
「バランドール‼︎アタックだ‼︎」
魔卿執事バランドールが慇懃に礼をして空を駆ける
「バランドールの効果‼︎相手のスピリットのコア2個をリザーブに置き、トラッシュから吾輩のライフにコアを追加する‼︎」
ソード
「更に手札からグレイ・チュードを新たに召喚‼︎維持コアに元いたグレイ・チュードのコアを使う‼︎」
バランドールの手招きと共に新たなグレイ・チュードが出現
元いたグレイ・チュードは消滅する
このままアタックが通れば、ヤミナのライフは2に減るがー
「フラッシュタイミング‼︎マジック《バインドエッジ》‼︎」
もう一枚のバインドエッジが発動。ソード
「やっぱりそう来るよなぁ‼︎」
「当たり前だ。その契約アルティメット、もらうぞ‼︎」
バランドールとソード
オーバー・カウントによりパワーアップしたバランドールのBPは12000、ウスバカゲロウと合体したソード
鎌の攻撃を手刀で受け流しながらその鎌を捕まえ押さえ込むが、互いの力は拮抗している
「道連れにしてやるよ…ただでやられないのさあたしはぁ‼︎」
ラプラスがニヤリ、と笑う
「それは吾輩も同じだ‼︎」
「リザーブのソウルコアをトラッシュに置き、魔卿執事バランドールに《四魔卿を統べる者ロード・ジャバド》を契約煌臨‼︎」
リザーブのソウルコアが移動し、魔卿執事バランドールに四魔卿を統べる者ロード・ジャバドが重なる
更なる力を得たバランドールの体が紫と金の光に包まれ、バイザー下の目が紅に輝く
拮抗状態を崩し、回し蹴りでソード合体スピリットを退かせる
距離を空けたその瞬間、バランドールが足元から吹き上がる炎に包まれ、その姿を変じさせ金色の光を纏う巨大な『
「なー」
『更なる契約煌臨だと…⁉︎』
驚愕するヤミナとガタルを見据え、ラプラスが宣言する
「バトルは継続中‼︎吾輩のカウントはグレイ・チュードとジャバドの効果で増えて10‼︎オーバーカウント状態でBP+7000されて、合計17000だぁ!!!!」
ソード合体スピリットが振るう閃刃をロード・ジャバドは手の甲で受け止める
そのまま火花を散らしながら滑らせ突撃したロード・ジャバドの拳がディアボリカ・マンティスの顔に直撃、そのままに地面に叩きつけて爆散させる
「ば、かな…⁉︎」
力無く呟くヤミナの背後に分離したウスバカゲロウが突き刺さる
「ロード・ジャバドのアタック時効果で吾輩のトラッシュのソウルコアを乗せ、ロード・ジャバドを回復させる‼︎」
ソウルコアの乗ったロード・ジャバドが立ち上がる
「……アタック可能なのはグレイ・チュードとロード・ジャバドだけ。あたしのライフ3つは削りきれない…‼︎」
「いいや、行けるね」
勝利を確信したラプラスが宣言する
「グレイ・チュード、アタックだ‼︎」
黒きアルティメットが疾走する
「フラッシュタイミング‼︎吾輩のリザーブのコア2個をトラッシュに置くことで、獄風伯ヌーヴェル・バーグを召喚する‼︎」
「ーッ‼︎」
ヤミナの目が見開かれる
バーゴイルのコアを維持コアに使い、その消滅に代わって獄風伯ヌーヴェル・バーグが現れる
「散々【神速】で引っ掻き回してくれたお返しには、ピッタリだろ?」
ぱたぱたと手札で仰ぎながら言うラプラスにヤミナが歯を噛み締める
グレイ・チュードがヤミナに刃を向ける
もうフラッシュタイミング用のコアも、ソウルコアも残っていない
「ライフだぁ‼︎」
叫ぶヤミナのバリアをグレイ・チュードが砕く
爆煙の中をロード・ジャバドがゆっくりと近づいていく
「ロード・ジャバド、続け‼︎」
「ライフ…ライフだぁ…ッ!!!」
ロード・ジャバドの拳が2つ目のライフを砕く
ヌーヴェル・バーグが刃を研ぎ澄まし、羽音を掻き鳴らす
「最後のアタック、ヌーヴェル・バーグ‼︎頼むぞ‼︎」
ラプラスの指令にヌーヴェル・バーグは敬礼し、ヤミナに突撃していく
高速で接近したヌーヴェル・バーグがバリアを足場に着地し、その針を向ける
「……逃げも隠れも、しねぇよ…‼︎ライフだ‼︎」
ヤミナの覚悟を受け、ヌーヴェル・バーグが針を突き立てる
「畜生ぉぉぉぉぉぉ!!!!」
ヤミナの最後のライフが砕け散り、バトルフォームの崩壊と共にヤミナがフィールドから消える
玉座に座り足を組み直したラプラスが右手の指を鳴らす
「異世界征服、ひとつ完了だ!!!」
ラプラスが宣言する背後でロード・ジャバド、グレイ・チュード、ヌーヴェル・バーグが勝利の咆哮を上げた
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元の服に戻り、片膝を突いたヤミナが忌々しげにラプラスを睨む
「煮るなり焼くなり好きにしな…どうせ、どうせ遅かれ早かれだ」
一応女性ながら胡座をかいて目を閉じて腕を組む
「いや、煮るなり焼くなりって…」
「あんたがどの国のヤツかは知らん。でも、あたしらはどうせどこの国でも鼻つまみモノ…どのみちロクなことにはならない」
「…ちょっと待て、吾輩はー」
反論しようとしたラプラスをにぎやかな声が遮る
『ヤミナ姉ちゃんをいじめるなぁーーー!!!』
油断していたラプラスの元に小さな人影が殺到、小柄なラプラスを押し倒す
「ぬわっ⁉︎なんだなんだぁ⁉︎」
ラプラスを押し倒したのは何人もの子供たち
獣人のような子、普通の人間のような子、ヤミナのように悪魔風な尻尾が生えた子、様々な子がいた
「チビども…⁉︎なんでここに⁉︎」
「す、すんません姐さん…」
申し訳無さそうなギースの声と共に中型の古びた砂上船が追いつく
「姐さんを助けるんだって、ガキども聞かなくて…」
砂上船から顔を出したギースと他数人の団員が頭をかく
「それを守りするのがお前たちの仕事だって何度も言ってんだろうがバカども!!!」
ヤミナが団員を叱責する
「な、何がなんだか、わぷっ⁉︎とりあえず説明をーおいツノを掴んで揺らすな⁉︎酔う酔う!!!」
もみくちゃにされるラプラスをちゃっかり飛んで回避していたジャバドが見下ろし、フンと息を吐く
「…あー、チビども‼︎話の邪魔だから今はどいてろ」
ヤミナの言葉を聞いた子供たちがラプラスから離れる
一通りおもちゃにされて酔ったラプラスが袖で口を押さえて青い顔をしているのを心配そうにルニが背中をさする
「な、なんなんだ…」
ラプラスの言葉にヤミナが背後に集まる子を見ながら頬をかく
「あたしが勝手に拾ったガキどもだよ。戦利品だ、戦利品」
「嘘だ‼︎ヤミナ姉ちゃんは
「絢爛軍に襲われた村から助けてくれたもん‼︎」
「村から追い出されたボクを拾ってくれたもん‼︎」
「あ、お前らそれは言わない約束だろ⁉︎」
『ケッ、カッコつけやがって。隠すことかよ』
「盗賊団らしくねぇだろこんなん⁉︎」
ヤミナが顔を赤くしながら群がる子供らをいさめ、いつの間にか隣に飛んで呆れ顔でため息をついていたガタルを睨む
子供たちの言葉から大方の事情を悟ったラプラスはやっぱり、と肩をすくめて笑う
「なんだ。ちゃんとトワ様にそっくりじゃん」
「だから誰だよ、それ」
ラプラスが砂を払いながら立ち上がり、おほん、と咳払いする
「まぁ話を聞け。吾輩が勝ったから貴様らは吾輩の頼みは断れない。そうだな?」
「そうだよ。バトスピの勝敗がこの世界は絶対だ…」
目を伏せるヤミナを見たラプラスがニヤリ、と悪そうな笑みを浮かべる
「そーか、そーか。なら話が早い」
「まずは、ルニに謝れ。怖がらせたんだからな」
ラプラスはルニの肩を持ちながらヤミナたちに告げる
「は…?」
ルニはポカンとした顔をし、ヤミナも思わず呆れ声を漏らす
「ごめんなさいがまずは先だろ?そんな子供らの面倒見てるのに、どういう事情とはいえ子供を追い回したんだ。そこんとこはケジメつけとかないとだろ?」
ヤミナの隣にギースが駆けつける
「そのガキを追い回したのはオレだ‼︎謝るならー」
ギースをヤミナが制する
ヤミナはルニに近づき、膝をついて目線を合わせると静かに告げる
「怖がらせて悪かったな…あたしも、焦りすぎてた。愛想尽かした王様どもと同じものに目が眩んでちゃ世話ねぇよな」
ヤミナの謝罪を受けたルニはおずおずと頷く
その小さな頭をヤミナは優しく撫でた
それを見たラプラスは満足げに頷くと、右手を大仰に突き出す
「よし、次に貴様らはー」
ラプラスの要求をヤミナたちは固唾を飲んで待つ
「ー今日から、この世界でのホロクサーになってもらおうか‼︎」
「…は?」
何度目か知らない呆けた声をヤミナが漏らす
「ホロクサー…?なんだそれ…?」
「吾輩たち秘密結社holoXの信奉者、まぁいわゆるファンというヤツだ。この世界では…『国民』の方がいいかもな」
下手くそにウインクしながら告げたラプラスの言葉を聞いてヤミナが目を見開く
「あんた、一体何をー」
「決まってるだろう。この世界の征服を始めるのさ」
当たり前のようにラプラスが告げる
「こんな子供らを虐げて戦争して、せっかく面白そうな世界なのに全くつまらない。そんな世界なら、吾輩たちが侵略して面白おかしく最高な世界にしてやればいい‼︎」
「吾輩たちholoXの世界征服は、そういう世界が欲しいからだ‼︎」
ハッハッハー‼︎と得意げに笑うラプラス
「…あたしらから、なんか奪うとかしないのか?」
「奪うというか、今から貴様らは吾輩が作るholoX異世界支部の構成員になるんだよ。安心しろ?holoXは待遇を悪くはしないように善処しまくる秘密結社だからな‼︎」
『いや善処止まりなのかよ…』
呆れ声でツッコむガタルにヤミナが思わず吹き出す
「あんたら、変なヤツだな」
「変⁉︎吾輩たちそんな変か⁉︎」
ラプラスの前にヤミナが手を差し出す
「あたしらは誰かの下なんかまっぴらでこんなことしてるけど、あんたのとこは面白そうだ。あたしも含めバカどもとチビしかいないけど、よろしくな」
「ーああ、記念すべきこの世界でのホロクサー第2号だからもちろん大切にするぞ‼︎」
ヤミナに握手を返しながらラプラスはルニの方に視線をやり微笑む
「もちろん1号はルニだ‼︎」
「…‼︎」
ラプラスの言葉にルニが嬉しそうに頷く
それを見ていたガタルが呟く
『…秘密結社のご同業…しばらく眺めさせてもらおうか』
ラプラスは辺りを見回しながらヤミナに提案する
「とりあえずまずは吾輩の仲間たちとルニの言う大地のアルティメットを探し出したい。その船があれば探索範囲が広がるから大助かりだ」
「わかった。まぁチビどもがいるから狭いし騒がしいが、割と乗り心地は悪くないから安心しなよ」
ヤミナの言葉に頷き、ラプラスが脚を踏み出す
その踏み出した先の砂が、大きく落ち込んで流砂になった
「ぬぁっ⁉︎」
回避できるわけもなく、ラプラスが転倒し流れるように流砂に落とされていく
「こんなとこに流砂⁉︎うわわっ⁉︎」
「きゃっ…⁉︎」
近くにいたヤミナとルニも流砂に巻き込まれる
ルニをなんとか抱えたヤミナとラプラスの姿が砂の中に消えていくのをただギースたちは見ているしかできなかった
「あ、姐さぁぁぁぁぁぁぁん!!!!」
『ヤミナお姉ちゃん!!!ツノのお姉ちゃん!!!』
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ザザ…と砂が落ちる音が響く
『ン?またどこかに砂が落ちたかな?』
若い男のような声が暗い中に響く
「また何か落ちてきたのかな?有用なものならいいけど…」
艶のある女性の声がそれに応える
カツカツ、とヒールを響かせながら暗がりを進んでいくのはスーツのような服に身を包み、コートを肩に羽織った背の高いスタイル抜群な緋色の髪の女性
その目は鷹のように鋭く、オレンジの瞳が輝いている
「ここの出口は一体どこなのやら…早く光のある場所に出たい」
『ドントウォーリーさ、ルイ。ミーもついてるから百人力さ‼︎』
女性の側を低空飛行するゴーグルを付けた小さな鷲のような存在がカッコつけたポーズをしながらHAHA‼︎と笑う
それに苦笑をこぼす女性
「いや、百人力でも出口がわからなきゃダメでしょ。早いところラプたちと合流もしたいんだけどなぁ…」
女性ー
ラプラスたちが落ちた先は謎の地下遺跡
そこで遂に女幹部・鷹嶺 ルイが合流する
「待っ“たかね”、ラプ?」
ルイと彼女と契約したガットを加えた遺跡探索
そこに立ちはだかる遺跡のガーディアン
繰り出される赤と白のアルティメット
女幹部と赤き旋風がバトルフィールドに吹き荒れる
次回
「待ったかね?女幹部合流‼︎ ローターブレーダー・ガット契約煌臨‼︎」
「holoX女幹部の実力、試してみる?」