「ぬぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?!?」
「きゃあぁぁぁぁっ!!」
「おわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?!?」
流砂に飲み込まれて落ちていく3人
「ジャバド‼︎吾輩掴んで飛べないのか貴様⁉︎」
『まぁ可能だ、一応。契約者とその娘くらいなら支えられる』
「ならさっさとやれ‼︎」
『承知した』
「ガタル‼︎」
『わかったわかった。お前に死なれても困るしな』
ジャバドがラプラスとルニを、ガタルがヤミナを捕まえて飛行
落下の衝撃を和らげて砂の上に落とす
『随分高く落ちたみたいだな』
『だなぁ。全く、こんな流砂があるなんて危ねぇな』
いつの間に打ち解けたのやら、ジャバドとガタルがやれやれと肩を竦めてため息を吐く
「ぶはぁっ⁉︎ぺっぺっ…‼︎」
砂山から顔を持ち上げ、飲み込んでしまった砂を吐き出す
「ルニ、女頭領、大丈夫か?」
「…うん」
「なんとかな…」
ルニを抱き抱えて一緒にヤミナが立ち上がる
ラプラスは辺りを見回す
暗い場所だが、石造りの壁や廊下が見え、独特の意匠が見られる
「なんだこりゃ…遺跡か?」
ラプラスが上を見上げる
落ちてきたであろう穴とそこからの光が見える
「ん…飛んで出るのは難しいかもな」
状況を見たラプラスがぱんぱんと砂を払いながら立ち上がる
ヤミナも目を細めて辺りを見ているが、ラプラスのようにはっきりと何かを見ることができないようで首を傾げる
「こんな暗い中、よく見えるな…」
「吾輩の目は多少『よく見える』ようになってるからな」
自身の金色の目を指差しながらラプラスが告げる
そんなラプラスの足が少しふらついた
頭を小さく振り、ラプラスが告げる
「……ともかく、この遺跡どこか別の出入り口が無いか探索しないとな…こんなところに閉じ込められたまんまは息苦しいし」
ーコツ、コツ、コツ…
そんな中にヒールの足音が響いてくる
ラプラスたちが警戒して通路の方を見やる
ーコツ、コツ、コツ
尚も響いてくる足音の持ち主が通路の暗がりから姿を現す
「ーなんだか聞いたことある声がするな、とか思ったけど…そのまさかだったとはね」
その声を聞いたラプラスが目をぱちくりと瞬かせる
「お、お前は‼︎」
「待っ“たかね”?ラプ。いや…待ってたのは私も同じだね」
緋色の髪の美女ー
「ルイーーーーーー!!!!」
ラプラスが目を輝かせてルイの胸に飛び込む
「はいはい、私だよ。ラプ」
「どこに行ってたんだよぉ‼︎holoXの幹部が席空きじゃカッコつかないだろ!?」
「そうだね。私も寂しかったよ、ラプ」
よしよし、とまるで母親のようにラプラスの頭をルイが撫でる
「あんたは…誰だ?」
「カッコいいお姉さん…」
しばらくルイとラプラスを眺めていたヤミナとルニが近寄ってくる
ふと顔を上げたルイがヤミナの顔を見て驚く
「私はーッえ?トワ様⁉︎」
「ああ、女頭領はそっくりなだけだよ。ややこしいけど」
「あー…そっくりさんなのね…」
こほん、と咳払いしてルイがヤミナたちに向き直る
「私は鷹嶺 ルイ。ラプが総帥してる秘密結社holoXの女幹部、ってヤツだよ」
ルイの紹介に合わせてラプラスも胸を張る
「そーだ‼︎吾輩の自慢の幹部だ‼︎仕事も早いしご飯もうまい‼︎幹部のハンバーグはうまいんだぞ‼︎チーズも入るし‼︎」
子供のように目を輝かせながらヨダレを垂らすラプラス
そのヨダレを横から拭いてあげているルイはもう母親にしか見えない
「ハンバーグ……なんか知らんが、うまそうな響きだな」
口の端から少しヨダレを垂らしながらヤミナとルニが目を輝かせる
「え?この世界にはハンバーグ無いの…?今度作ろうか?」
ルイの提案にルニがこくこくと元気いっぱい頷く
あはは、と愉快そうに笑うルイのベルトあたりが赤く光り、小さな影が飛び出す
『おーっとレディ‼︎ルイの手料理一番乗りはミーが予約済みだぜ?』
現れたのは頭にゴーグルをはめた赤い羽根を持つ小さな鷲
ちっちっ、と翼の先を指のように動かしながら鷲は得意げに続ける
『まぁ、ミーは紳士だから順番の一つや二つ譲ってあげるとも。可愛いレディ』
ぱちり、とルニにウィンクを飛ばすがとうの本人は首を傾げている
「ガットくん、誰彼構わずそういう態度はやめた方がいいと思うけど」
『ミーは全てのレディとか弱きみんなの味方だからノープロブレムさ‼︎もちろん、今は契約者のキミが一番だけどねルイ』
HAHAHAと愉快に笑うガットに肩を竦めるルイ
「…まさか、契約スピリット…⁉︎」
その様にわなわなとヤミナが口を震わせる
「ん?たしかガットくんはそう名乗ってたけど…」
「契約アルティメットも驚きだが、知り合いも契約スピリット持ち…⁉︎どうなってんだよラプラス…」
目眩を起こしたようにヤミナが頭に手を当てふらつく
『ほらな、ミーたちはスペシャルだって紹介したろ?』
「あれほんとだったんだ…」
ふぅ、と息を吐きガタルが引き継ぐ
『俺たち契約スピリットは、この世界でもかなり貴重な存在だ。各地に宝物として収められてるXレア、XXレアやらと比べても価値が段違いだ。眠ってるとすれば秘境の奥地。目覚めて契約者がいるにしても、大抵がどこぞの大国の主やら要人がほとんどだ。俺らの所持は確かな地位とも言えるな』
「あたしがコイツを見つけたのも密林の秘境の奥地だったからな。4回は死んだと思ったよ、そこに辿り着くまで」
ヤミナがやれやれと頭を抱える
「そんなすごい子だったんだね、キミ」
『何度でも見直してくれていいんだぜ、ルイ』
ふふんとガットがウインクを見せる
ーヴィーン…
そこに古代遺跡のようなここに似つかわしく無いホバー音のような近代的な音が響いてくる
現れたのは乾電池のような寸胴体型をした鋼色のロボット
みょーんと頭からはアンテナがのび、大きな目としまらない口元となんだかコミカルな印象を受けるロボットだった
「……なんだか…すごい見たことあるようなロボ…」
ルイの言葉にそばにいたラプラスも頷く
ロボットはラプラスたちを見つけるとビコーン‼︎とその瞳を黄色く輝かせて告げる
【ー侵入者を確認。我らが主、コロボの寝所への侵入は万死に値する】
「あ、ヤバいヤツだコイツ」
ロボットは胸を観音開きに開き、そこからデッキを取り出して機械的に構える
【デッキビルド完了、侵入者駆逐のためバトルを宣誓する】
「全く、こうなるの、か…」
デッキを構えようとしたところでラプラスがよろける
「ラプラス⁉︎」
ヤミナがなんとかその体を支えるが脱力しているのが伝わる
「なんで、なんか体が悪いのか……って」
おろおろしていたヤミナだが、ラプラスが寝息らしいのを立てているのに気づき我に返る
「え…寝て…?」
「あー…ラプ頑張りすぎたかな…」
ルイがあちゃーと顔を手で覆う
「うちの総帥、いい子というか…健康優良児なタイムスケールしてるからいつも11時すぎくらいはもう眠くなるんだよね…あと配信とかずっとして疲れた時とか」
「ええ…」
カツン、とルイが3人の前に歩み出る
「総帥がおねむならしょうがない。ここはー」
腰のホルダーからデッキを抜いてルイが構える
青い瞳が細められると同時に金色に輝き、虹彩に十字の光が走る
「ーholoX女幹部、鷹嶺 ルイがお相手しようか‼︎」
シニカルな笑みを浮かべたルイの言葉を聞いたガットがその周囲を飛び回る
『ヒュウッ‼︎やっぱルイはカッコいいなぁ‼︎』
「行くよガットくん‼︎」
『オーライ‼︎』
ガットが赤く光るカードに戻り、ルイのデッキに入り込む
くるくると銃のようにデッキを回し、ルイがロボットに向けデッキを構える
『ゲート・オープン‼︎ 界放!!』
肩がけにしていたコートが消え、代わりに左肩に赤い翼型のアーマーが装着され、そこから襷がけに伸びた黒いベルトがスタイルのいい体を引き締め、腰に回ったベルトから翼状の腰布が伸びる
いつの間にかかけていた鋭角なオレンジのサングラスを持ち上げるとそれがゴーグルへと変わり、頭に装着される
ウインクと共に左腕を伸ばすと共にアーマーから赤い片マントが伸び、バサッと派手にはためかせ翻ると、アーマーにライフのコア5つが装填された
バトルフィールドに降り立つルイの足元には赤いバイクをデフォルメしたようなバトルフロートが浮かぶ
holoXの女幹部が今、バトルフィールドに降り立った
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
ターン1 サーガードナー
持ちコア:4
手札:4→5
乾電池型のボディがそのままフロートに突き刺さったような見た目のバトルフォームをしたロボットが機械的に言葉を紡ぐ
【メインステップを開始】
サーガードナーのフィールドに3枚のカードが並べられる
【《ファイザード》、《アルマジトカゲ》、《ディフェンザード》を召喚】
小型のドラゴンが2体と機械の小竜が出現する
【こちらのターン行動、全て完了を確認】
【エンドステップ。自ターンの終了を宣言】
ターン2 鷹嶺 ルイ
持ちコア:4→5
手札:4→5
「小型のスピリットが複数…なるほど、速攻寄りのデッキかもしくは序盤の守りから固めるタイプかな」
相手のフィールドを見定めながらルイが手札のカードを切る
「私のメインステップ、《エマウディウス》を召喚‼︎」
ルイのフィールドに現れたのは体に複数のトゲを持つ小さな恐竜
「エマウディウスの召喚時効果‼︎私のカウントを+1する」
ルイの隣に飛翔してきた鳥ロボがぶら下げたモニターにカウント数が表示される
「そして、私の手札から《鷲相棒ガット》を召喚‼︎」
手札から放たれたカードを中心に小さな旋風が舞い、赤い羽を持つ小さな鷲が召喚される
『早速、ミー、参上!!!』
アクロバティックに宙返りしながらウインクするガット
「早速行くよ、ガットでアタック‼︎」
『オーケイ‼︎行くぜぇ‼︎』
ルイの宣言に頷き、ガットが飛翔する
「鷲相棒ガット、アタック時効果‼︎カウント+2した後、ガットのBP以下のファイザードを破壊‼︎」
ガットが燃えたぎる羽根の光輪を放つ
放たれた光輪はアルマジトカゲを捉え爆散させる
【対処実行。ライフで受けます】
ガットの飛び蹴りがサーガードナーのバリアをぶち抜く
サーガードナーのライフが砕け、サーガードナーが甲高いアラートを鳴らす
「ターンエンド、かな」
『堅実に攻めるねぇ』
「まぁね。ライフが減るほど相手のコストになるし、今叩きすぎても相手に塩を送る羽目になるし」
ターン3 サーガードナー
ライフ:5→4
持ちコア:4→6(うち2コアはフィールド)
手札:2→3
【リザーブ内コア、規定数以上と把握。自軍の最大戦力の一部を投入します】
サーガードナーが1枚のカードを取り、その目が黄色から白銀の輝きに変化する
【召喚条件、こちらのフィールドに白のスピリット1体以上の満了を確認。白きアルティメット、《アルティメット・オーディーン》を投入致します】
リザーブのコア全てをコストに使い、更にアルマジトカゲのコアを維持コアとして乗せたカードが黄金に輝く魔法陣を広げる
その中心からバトルフィールドの地面が開き、ディフェンザードが慌てて飛び退く横から黄金の機人が迫り上がってくる
その全身をあらわにした機人ーアルティメット・オーディンが腕を開きながら仁王立ちし、黄金の光を払って白銀の機体を顕現する
「いきなりXレア…⁉︎しかもアルティメットだと⁉︎」
バトルフィールド横に浮かぶ観覧席フロートから身を乗り出し、ヤミナが叫ぶ
隣でお眠なラプラスと並んで固唾を飲んで観戦していたルニも目を見開いている
【アルティメット・オーディーン、召喚時の効果発揮。相手のスピリット1体を手札に戻します】
アルティメット・オーディーンの右手に大型銃が出現
白銀のエネルギーを溜めるそれがルイのフィールドに向けられる
アルティメット・オーディーンの目の中、ターゲットサイトに捉えられたのは…ガットのほうだった
【鷲相棒ガットを指定します】
『ってミーかよ!?』
大型銃から放たれた白銀の光線がガットを貫く
ガットは目を丸くしたまま白い光となってバトルフィールドから消滅してカードに戻る
「ーッ、ここは魂状態にしないで手札に戻す‼︎」
カードに戻ったガットはルイの手札に戻る
観覧席フロートのラプラスが目を擦りながら呟く
「……幹部…なんだか詳しいな…」
ラプラスのか細い声が聞こえたのか、ルイがウインクを返す
「この遺跡で迷子になってる時にガットくんから教えてもらったからね。ルールが覚えやすくて助かったよ」
それだけ返答したルイは表情を改めサーガードナーを見据える
【アタックステップ。アルティメット・オーディーン攻撃開始】
アルティメット・オーディーンが目を輝かせる
【アルティメット・トリガー、ロックオン】
サーガードナーの目にヘッドデバイスが展開され、ルイのデッキがロックオン、その一番上のカードが弾き飛ばされ表返る
【サベッジ・アックス、コスト4。ヒットを確認】
めくられたサベッジ・アックスのカードがトラッシュに落下する
「な、何…⁉︎」
『今のはアルティメット・トリガーだ。アルティメットたちの固有能力みたいなもんで、相手のデッキを上から1枚めくってコストを確認すると共に発動したアルティメットよりコストが低いとヒットとなって効果が発動するんだ』
手札から響くガットの言葉を聞いたルイの表情が暗くなる
「今、ヒットって言ったってことは…」
『もちろん、効果発動ってこと……あ』
アルティメット・オーディーンの体が白銀に輝く
【アルティメット・トリガーがヒットしたアルティメット・オーディーンは、ブロックされません】
「おっと…⁉︎中々攻撃的な能力だね」
アルティメット・オーディーンが大型銃を構えながら駆ける
ルイは肩を竦めながら身構える
「選択肢は無いよね。ライフで受ける」
アルティメット・オーディーンの銃撃がルイのバリアに突き刺さり、ライフと共に割り砕く
「ぐっ⁉︎」
『ルイ⁉︎大丈夫か?』
「思ったより痛かっただけ。問題ないよ」
【エンドステップ。自ターンの終了を宣言】
ターン4 鷹嶺 ルイ
ライフ:5→4
持ちコア:5→7(うち1コアはフィールド)
手札:3→5
カウント:0→3
「私のメインステップ。まずは…」
ルイは手札から1枚のカードを取り出す
「ミラージュ、ステゴウロをセット‼︎」
ルイのフィールド左上にカードが1枚セットされ、半透明な恐竜型スピリットのシルエットが浮かぶ
「ミラージュ…?」
ラプラスが眠い目を瞬かせながら首を右に傾げぼそりと呟く
『コストを払ってフィールドにセットして効果を発揮するカードだ。ネクサスと違ってシンボルは増えないがな』
「そうなのか……」
隣で問いに答えるジャバドにラプラスが首を傾げる
「更に、バーストをセット‼︎」
ルイのフィールドに伏せられた裏側のカードが出現する
「バースト…?」
再びラプラスが目を瞬かせながら首を左に傾げぼそりと呟く
『フィールドにセットしておいて条件を満たした時に効果を発動するってヤツだ。モノによってはドカンとハジけるデカい効果もあるぜ』
「そうなんだ……」
ルニの隣で答えるガタルの話を聞いたラプラスは首をふらふらと揺らす
「メインステップはまだ終わらない。もう一体エマウディウスを召喚して効果でガットを再召喚‼︎」
ルイのフィールドに新たなエマウディウスとガットが召喚される
『早速‼︎ミー再登場‼︎』
ルイの横のモニターに表示されたカウント数がエマウディウスの召喚時効果で増える
更にルイは残る1枚の手札を掲げる
「私のリザーブに残るソウルコアをトラッシュに移動してガットくんに契約煌臨‼︎」
ルイのリザーブからソウルコアが移動し、ガットに新たなカードが重なる
「《ローターブレーダー・ガット》‼︎」
ガットが天空に舞い上がり、その姿がバトルフィールドを照らす擬似太陽に消えると共に変わって赤い翼を持つ鷲の翼人が天空から降り立ってきた
『ルイの呼び声に応えて即参上‼︎ミーの契約煌臨、派手に決まっただろう?』
翼を広げて得意げにアピールするガットに苦笑いを返すルイ
「アタックステップ‼︎ローターブレーダー・ガットでアタック‼︎」
「アタック時効果、デッキから1枚ドローして更に煌臨元のガットの効果でカウント+2してこのスピリットのBP以下のスピリットもしくはアルティメットを破壊する‼︎」
ローターブレーダー・ガットが炎の炎刃を回転させながら放つ
「アルティメット・オーディーンを破壊‼︎」
放たれた炎刃が過たずアルティメット・オーディーンを切り裂く
白銀の巨体が爆発する
【アタックはライフで受けます】
ローターブレーダー・ガットの炎刃の一撃によりサーガードナーのライフが弾け飛ぶ
「更にエマウディウスで攻撃‼︎」
【それもライフで受けます】
エマウディウスの回転アタックがもう一度サーガードナーのバリアを割り砕く
「ターンエンド、だね」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
ターン5 サーガードナー
ライフ:4→2
持ちコア:6→9(うち1コアはフィールド)
手札:2→3
【メインステップ。ファイザードを召喚】
ディフェンザードの隣に小さな赤いトカゲが召喚され、可愛らしい咆哮を上げる
【召喚条件、こちらのフィールドに赤と白のスピリット1体以上ずつの満了を確認】
サーガードナーの目が赤と白に輝く
【こちらの最大戦力を投入します】
サーガードナーが放ったカードから爆炎が噴き上がり、バトルフィールドにそのカードを中心にした大穴を穿つ
【《アルティメット・ジークフリーデン》を召喚します】
穿たれた大穴から黄金の輝きを放つ竜の体が現れる
飛翔し着地したその両脚は機巧に覆われた半機械の体
黄金の輝きを咆哮と共に払い、現れるは灼熱の牙と鋼の肉体と魂を持つ赤と白のアルティメット、《アルティメット・ジークフリーデン》が現れる
「赤と白の2色アルティメット…⁉︎そんなカードまで持ってんのかこのロボット⁉︎⁉︎」
観覧席フロートのヤミナの驚いた声にラプラスがハッと顔を上げ、目を白黒させている
眠気が覚めたのか、黄金の瞳を細めたラプラスがバトルフィールドを眺め、口元に手を当てる
「中々これは…大物が出てきたみたいだね」
不敵に笑うルイだが、その頬を冷や汗が伝う
【アタックステップ。アルティメット・ジークフリーデンでアタックします】
サーガードナーの目に再びヘッドデバイスが現れる
【アルティメット・トリガー、ロックオン】
再びルイのデッキから1枚カードが弾き飛ばされる
「《ドラゴファイター》、コストは3だね」
【ヒット、確認】
ヒットしたカードがトラッシュに落下
アルティメット・ジークフリーデンの目が輝く
【ヒットしたアルティメット・トリガーのコスト1につき1体、相手のBP10000以下のスピリットを破壊します】
「ーな⁉︎」
『あっ、なんかミー嫌な予感』
アルティメット・ジークフリーデンの体から吹き出した炎が上空で3つの火の玉を作り出して弾け、炎の雨となってルイのフィールドに降り注ぐ
エマウディウス2体が蹴散らされ、残るローターブレーダー・ガットにも炎の雨が迫る
『ミーはそう簡単にはやられないぞぉ‼︎』
身を翻しながら炎の雨を避けていたガットだが、前方に降り注いだ雨に進路を塞がれ、あえなく雨に貫かれて爆散する
『ノォオォォォォォォォォォォォ!!!!』
「ガットくん⁉︎今度は魂状態に‼︎」
ローターブレーダー・ガットのカードがトラッシュに落ちると共にその下の鷲相棒ガットのカードはフィールド端に残る
『すまないルイィ…』
ルイの隣に半透明になったガットの姿が浮かぶ
駆け出したアルティメット・ジークフリーデンが飛翔し、ルイを見下ろして睨む
「ライフで受ける‼︎」
アルティメット・ジークフリーデンの飛び蹴りがルイのバリアに突き刺さる
ライフが弾け飛び、残るルイのライフは3
【相手手札は1枚。勝機と判断。ファイザードとディフェンザードでアタックします】
「どちらもライフで受ける‼︎」
ルイのライフが続け様に2つ弾け飛び、ルイのフロートが衝撃で大きく吹き飛ばされる
「くぅっ…‼︎」
【エンドステップ。自ターンの終了を宣言】
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
観覧席フロートで観戦していたヤミナが爪を噛む
「ルイのデッキは見たところ速攻型…速攻型なら少ないターンで相手を攻め落とすことが可能だけど、手札が切れやすい弱点がある…」
ちきちきと電子音を鳴らしながらも静かに待機するロボットを睨んでヤミナが顔をしかめる
「あのロボット…一番痛いところを突いてきやがった‼︎」
悔しそうに呻くヤミナ、祈るように手を握るルニ
だがその横のラプラスは眠気は去ったらしいがリラックスしてバトルフィールドを眺めていた
「…随分と余裕そうだな」
「当たり前だ。偉大なるholoXの女幹部だぞ?鷹嶺 ルイは」
ラプラスがニッと得意げに笑う
「戦略と審美眼も強いが思い切りと引きの強さも、うちでも随一な幹部が、ここで負けるはずが無いのさ」
ターン6 鷹嶺 ルイ
ライフ:4→1
持ちコア:7→11
手札:1→2
カウント:3→6
鷹嶺 ルイの手札にあるカードは《サイクロキャニオン》と《ウェポンズドロー》
どちらもアタッカーとなりうるカードじゃない
残るサーガードナーのライフ2個を削りうるカードはまだデッキに眠ったままだ
『ルイ…』
魂状態のガットが不安げに呟く
ルイは胸に手を当て、深く息を吸い込んで吐き出し、頬を打つ
一度閉じて開かれたその目は、翡翠から金に変わっていた
「ーやるっきゃないよね…‼︎」
ルイは手札のカードを切る
「メインステップ‼︎マジック《ウェポンズドロー》‼︎」
フィールドに放ったカードが赤い輝きを放つ
「私はデッキから2枚ドローする‼︎」
引いたカードは《ローターブレーダー・ガット》と《リューマン・ポラリス》
「更に、魂状態のガットくんがいることで私のデッキを上から3枚オープンしてその中の系統:《緋炎》を持つブレイヴカードを好きなだけ手札に加えられる‼︎」
デッキから飛び出したカード3枚が1枚ずつ表返っていく
1枚目は《ウェポンズドロー》
2枚目は《溶岩海のエデラ砦》
どちらもブレイヴカードではない
ルイの表情が曇る
最後の1枚が裏返る
裏返ったカードが赤と緑の光を放った
《廻天刃ツヴァイザー》
系統:《緋炎》のブレイヴカードだ
パチン、とルイが指を鳴らす
「どうやら、賭けに勝ったみたいだね」
『カッコいいぜ、ルイ!!!』
「言ったろ。うちの自慢の幹部だってな」
ニッと歯を見せてラプラスが笑う
「私のリザーブのソウルコアをトラッシュに送って、再び《ローターブレーダー・ガット》を契約煌臨‼︎」
魂状態のガットがカードに宿り直し、再び大翼の翼人が降り立つ
『ミーは戻ってくる、何度でもッ!!!』
ルイとローターブレーダー・ガットが頷き合い、手札から1枚のカードが放たれる
「契約の閃刃‼︎空裂く2挺の牙‼︎《廻天刃ツヴァイザー》を召喚して、ローターブレーダー・ガットにダイレクト
カードが光となって空に昇ると共に太陽から2本のナイフが回転しながら降ってくる
ローターブレーダー・ガットは宙返りしながらそれを掴み、両手で回転させながら構えた
『ヒュウッ‼︎やっぱコイツは手に馴染むなぁ‼︎』
「ツヴァイザーの効果、
ローターブレーダー・ガットにコアが3つ追加されLvが最大まで上がる
「アタックステップ‼︎決めちゃって、ガットくん‼︎」
『おうよ‼︎ミーの剣さばきで決めちゃうぜ‼︎』
ローターブレーダー・ガットがウインクと共にツヴァイザーを回転させながら飛翔する
「ローターブレーダー・ガットのアタック時効果、デッキから1枚ドロー‼︎更にブレイヴとの合体中だからもう1枚‼︎更にツヴァイザーの効果でもう1枚ドロー‼︎」
「一気に3枚も⁉︎」
思わずヤミナが目を丸くする
「更に煌臨元のガットくんの効果‼︎ガットくんのBP以下のスピリットかアルティメットを破壊。ターゲットは…アルティメット・ジークフリーデン‼︎」
ルイが指鉄砲を作り、アルティメット・ジークフリーデンを捉える
アルティメット・ジークフリーデンも負けじと咆哮し立ち上がり、翼から放つビームで
鬱陶しげに踏み潰そうとアルティメット・ジークフリーデンが脚を持ち上げたところをすかさず
刃が突き刺さりバランスを崩したアルティメット・ジークフリーデンめがけて高空から
『ミーを貫いた落とし前、きっちりリターンさせてもらうぜ‼︎』
アルティメット・ジークフリーデンの首を合体スピリットの刃が引き裂き、巨体が爆発する
「ここは女幹部らしく、パーフェクト勝利を目指そうか‼︎」
「ローターブレーダー・ガットのフラッシュ効果‼︎私の手札1枚を破棄してこのスピリットのBP以下のファイザードを破壊‼︎」
爆炎の中から帰ってきた刃を受け取った
「そちらのフラッシュが無いようなら、もう一度‼︎」
【フラッシュタイミングは、ありません】
サーガードナーの返答を受け取り、ルイがもう1枚手札を破棄して効果を発動。もう1本の剣が投擲され、ディフェンザードを破壊する
爆炎を背に振り向いたローターブレーダー・ガットは腕を広げて戻ってきたツヴァイザーを掴み、フッと笑う
「
サーガードナーは一度チカチカと目を明滅させるが機械的に告げる
【ライフで受けます】
サーガードナーのライフが全て砕かれ、煙を吹き出しながらサーガードナーがバトルフィールドから消える
片マントを翻しルイがポーズを決め、その背後でローターブレーダー・ガットも似たポーズを決める
「これがholoX幹部の実力…なんてね?」
『スーパークールな大勝利、だぜ‼︎』
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
バトルが終了し、観覧席フロートからラプラスたちが消える
そのフロートの最後列が突如ゆらめき、黒いローブを纏う小柄な人影が姿を現す
「ーふ〜ん。なんか異世界からの迷子ちゃんたちが来たから見にきて見たけど、中々面白そうなことしてるんだねぇ彼女たち。愉快な子らは大歓迎だよ」
愉快そうにからから笑いながらコツコツと最前列まで歩みを進めていく
「さっき戦ってたガットくんの契約相手も面白そうだけど、契約アルティメットなんて珍しい子と契約してるあのツノの子の方が気になるなぁ〜」
ペロリ、と人物は舌を出して唇を舐める
その舌は細長く、2又に分かれた蛇のような構造だった
フードの下の翡翠の両眼を輝かせて笑う
口元は笑っていてもその目はまるで獲物を睨む蛇のような無表情さを見せていた
最前列の手すりに寄りかかるローブの人物
その背後で誰もいなくなったはずのバトルフィールドに白く長大な影が這いずり回り、人物の背後で鎌首をもたげたそれが巨大で荘厳な翼を広げる
「この遺跡…確か『彼』の信徒もいたはずだし、少し遊んじゃおうかなぁ〜?にしし…」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
バトルフィールドから戻ってきた4人と3匹
その前にサーガードナーがぷすぷすと煙を上げながら佇んでいた
【機体の大幅損傷を確認。機体修復に本部へ帰還開始】
サーガードナーはきゅるきゅると車輪を回し、暗い廊下の方へと逃走していった
「今あのロボット本部に戻るって言ったわね」
「だな、追うぞ。この遺跡から出るなら大元を辿るのが多分一番だ」
ラプラスとルイの言葉に皆が頷きロボットを追って歩き出す
ロボットが降りていく下り坂になった廊下
その途中の部屋から赤い輝きが漏れていた
赤く輝く部屋、その中で台座にはめられた剣とその根元に置かれたカードが一際輝いていた
防衛ロボを追う一行
そんな中、それぞれを誘う声に引かれてラプラスとルイがはぐれてしまう
「お前のアツい実力、ぶつけてみろ‼︎」
ルイに立ちはだかる黒の竜人
「ボクと遊んでよ、総帥さん?」
宝物を前にしたラプラスに囁く怪しい黒ローブ
遺跡の最奥を前に新たな切り札をかけたそれぞれのバトルが幕を開ける‼︎
次回
「立ちはだかるは神⁉︎創造の神と叡智の神」
「神だかなんだか知らないが、holoXを舐めるなよ‼︎」