NARUTO-カルタ新伝- 卑の意志を継ぐ者   作:新名蝦夷守

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第1幕『羽衣カルタ立志篇』
004.戦乱の足音


 木ノ葉隠れと雲隠れ。

 二つの大国にある忍びの隠れ里にとっての英雄。

 

 二代目火影・千手扉間。

 

 かの者がこの世を去ってから何十もの季節が過ぎた。

 

 

 そんな英雄が望んだ平和は過去に一度崩された。

 それは扉間の死後、20年も経たない頃のこと。

 

 忍び五大国の内の三大国。

 風の国・砂隠れの里、土の国・岩隠れの里、水の国・霧隠れの里の各国武闘派が「公平なる利権拡大」という私欲的なスローガンを掲げ、武力行使による領土拡大を計った。第1次忍界大戦後の休戦条約を反故にしたのだ。

 その被害を直接的間接的問わず受けた周辺の中小国が忍界の盟主たる火の国・木ノ葉隠れの里に援軍や仲裁を要請。その要請に木の葉隠れが応え、雲隠れも木ノ葉との同盟を理由に参戦した為、忍界ほぼ全土を巻き込んだ戦争。第2次忍界大戦が勃発したのであった。

 そのような経緯で始まった第2次忍界大戦は数年で終戦するもこれまでの五大国による統治のバランスは揺らぎ、以後永きに渡って小国を巻き込んだ小競り合いが続いていた。

 

 そして。

 まさしく、これから。

 再度、平和が大きく崩されようとしていた───。

 

 

 

 

 

**********

 

 

 

 火の国・木ノ葉隠れの里。

 火影邸内にある会議室には里の重鎮数名が渋い表情を浮かべながら議論が紛糾していた。

 

「草の国に出していた援軍が壊滅か……」

「戦場には岩隠れの忍びのみならず砂隠れの額宛をした忍びが数名目撃されているという情報も入っておる」

「なんと! まさか岩が砂と手を組んだというのか!?」

「まだ確定ではないがな。だが木ノ葉にとって最悪の状況を想定しておくことに越したことは無いだろう」

「それは当然のことではあるが……」

「東でも林の国や霧隠れとの小競り合いが激しさを増してきておる。このまま西側でも戦闘が激化するとなると最早それは平時の態勢ではおられんぞ」

 

 良くも悪くも里の長である火影と重鎮たちとの距離感が近い現在の木ノ葉では、議論が始まると各々が勝手に口を開くことが多かった。

 

「同盟国とはいえ雲を当てにはせず、事に当たるとなると忍びの頭数が足りんぞ」

「先の大戦で名を上げたサクモや三忍たち主力に踏ん張ってもらうしかなかろう」

「いやいや、それはそうだが補給部隊にしろ医療部隊にしろ後方支援の頭数が多方面に展開するとなると足りないのが事実」

 

 そんな議論とも呼べない議論に静かに耳をかたむける三代目火影・猿飛ヒルゼン。その右隣に座る者がそろそろ話を纏めようかと口を開く。

 

「んんっ! 皆の者、一度落ち着け」

 

 その一言でつい先程まで言葉が飛び交っていた会議室がピタリと静まる。

 

 言葉を発したその者の名は、千手板間。

 先代火影、先々代火影の実の弟にして、現火影の右腕であり、五尾の人柱力。

 また先の大戦で一族の長であった甥が亡くなった為、千手一族の長を務めているという木ノ葉重鎮中の重鎮だ。

 

「火影様。如何致しましょう」

「……うむ」

 

 そんな板間に話を振られたヒルゼンは最後に自身の思考を纏めてから話し始める。

 

「岩と砂が共同戦線を張っているかもしれない西部戦線に兵を厚く配備する。滝隠れにもこれまで以上の負担を願おう。状況が状況である故、否とは言わんだろう。

 そして西部戦線に派遣する部隊には医療水遁もしくは医療忍術を使える者を必ず1小隊に1人組み込み、前線基地には綱手と綱手子飼いの医療班を配置する。

 後方支援の人手不足。その対策には下忍登録の忍びに対し総動員をかける。各一族内でも暫く現場を離れている者や他にも若く忍びを引退している者たちもおろう。その者たちには申し訳ないが戦時総動員法を一部適用し一時的に現場復帰してもらう。

 また下忍が抜けたことにより滞りの出る低ランク任務はアカデミーからの成績優秀者上位の者達の卒業を繰り上げることで対応する。そしてこの施策は当面の間は続けるものとする。

 霧隠れと林の国と対峙する東部戦線は暗部からの報告によるとまだ暫くの間は小競り合い程度になり本格的な戦闘に発展するまでには多少時間はあるはず。雲とも連結を取り北から睨みを効かせるくらいの仕事はやって貰おう」

 

 ヒルゼンが今後の対応策を語ると間を置かずに「異議のある者はいるか」と、板間が出席者に問いかける。

 するとうちは一族の重鎮、うちはカガミが異議無しと唱え、それに続いて他の者たちも異議無しと応える。

 

 これがいつも通りの会議の流れであった。

 そして今回も例に漏れず、そのような流れで会議は締められたのであった。

 

 

 

 

 

**********

 

 

 

 所変わって忍者養成学校。通称、アカデミー。

 

 ここでは忍者を目指す子ども達が入学し、日々勉学の他に心身を鍛えている。

 

 そんな子ども達の卒業平均年齢は10歳。

 つまりは入学した多くの子どもは10歳ほどで下忍と認められ、護られる側から護る側へと移っていくのだ。

 

 もちろん中には忍者の才能が無く中退や退学になる子どももいれば、それとは真逆に幼い時期から才覚を遺憾なく発揮して飛び級で卒業する子どももいる。

 

 そして、アカデミー卒業の最年少記録を大幅に塗り替える可能性を秘めた2人の名が、はたけカカシと羽衣カルタ。

 それぞれ5歳と4歳である。

 

 この2人は今年度の入学にもかかわらず今年度末の卒業試験を受ける予定の子ども達以上の成績を早くも叩き出している所謂、超が付くほどの天才児。

 

 はたけカカシは第2次忍界大戦で他国から木ノ葉の白い牙と畏れられたはたけサクモの一人息子。

 羽衣カルタは古くから忍びの一族として存在する羽衣一族の直系であった。

 

 そんな彼ら2人ともう1人、彼らよりは年上の少女が放課後の教室に集められていた。

 

「んー、なんで居残りさせられてるのかな。ねえ? カカシ」

「さあ? ま、もう少ししたら先生も来るだろうしそれまでは余計なことしないで待っていなよカルタ」

「変化の術で火影様とかになって待っていたら先生驚くんじゃない? ほら、みんなで初代、二代目、三代目ってやってさ!」

 

 そんなイタズラを楽しそうに企画するカルタにカカシが「だからそういうことをするなっていってんの」とジト目をきつめに向けながら注意する。

 その様子に「あ、これは本当にやったら本気でカカシに怒られるやつっぽいぞ」と感じ取ったカルタは大人しく「はーい」と返事を返す。

 

 ただそれでも暇なことには変わりなかったのか、カルタは教室内にいるもう1人にちょっかいをかけ始める。

 

「お姉さん、はじめまして。ぼくは羽衣一族の羽衣カルタと言います。お名前は?」

「え、あ……私ですか?」

「うん! この教室にお姉さんはお姉さんしかいないでしょ?」

「あ、そうね。あはは……ごめんなさい。私はくノ一クラスの雪まふゆ。私はまだ使えないけれど氷遁使いの雪一族よ」

 

 雪まふゆ。

 雪のような真っ白な肌に艶やかな長い黒髪を持つ、現在10歳の少女。

 そして、飛び級組のカルタとカカシがいなければ今年度の首席であったはずの才女であった。

 

 お互いに自己紹介が終わったからかどちらともなく「「よろしくお願いします」」との声がかぶり、2人は顔を見合わせてカルタはケラケラと、雪まふゆの方はクスクスと笑っていた。

 その笑いも収まり、カルタが「ちなみにぼくとどっかで会ったことない?」と典型的な口説き文句を言ったことにより「え、あ、えぇ!?」と、まふゆは固まってしまった。

 

「カルタ、それはもうナンパの域」

 

 ペチンとカルタの額をはたく音が教室内に軽く響いた。

 いままで害は無さそうだと判断しカルタを放置していたカカシだったが、真っ赤になって狼狽えている少女を見ると流石に助け船を出さねばとツッコミを入れざるを得なかった。

 

「あ、そんなつもりじゃなかったんだけど……なんかごめんなさい」

「い、いえいえ! 私の方こそなんか変に反応してしまってごめんなさい」

 

 珍しくすんなりと謝ったカルタと、年下の男の子の言葉の綾程度のことであたふたしたことにより重ねて恥ずかしいまふゆ。

 

 なにやってんだか。と、白い目で2人のことを見ているカカシだったが、カルタの「え、でも本当にどっかで会わなかった?」との言葉には思わずずっこけた。

 

 それと同時に扉が開き、アカデミーの先生2人が入ってきた。

 

「どうしたカカシ?」

 

 ずっこけた状態を先生方に見られたカカシは「いえ……何でもないです」と答え、すまし顔で元の位置に戻った。

 その様子をカルタがクスクスと笑って見ていたが、それを見逃すほどカカシは甘くはない。後ほど拳骨が落とされることになるのは想像に難くないだろう。

 

 ちなみに入ってきたアカデミーの先生は一応カルタとカカシの担任である土井先生と、まふゆの担任であり、くノ一クラスの担任である山本先生であった。

 そして土井先生が話し始める。

 

「急な話になるんだが、里の方針として、最近の諸外国との情勢を鑑みた結果、お前達3人は今月末でアカデミーを繰り上げ卒業してもらうことになった。これは決定事項である上、ある種の試験的な試みでもある」

 

 急な話になるとの前置きはあったものの、本当に急な話であったため、カルタもカカシもまふゆも目を丸くしていた。

 

 寝耳に水にもほどがある……とはカカシの心情。

 

 現にその話が本当であるのだとしたら、カルタとカカシは入学から僅か9ヶ月での卒業になる。

 そんな話は聞いたことすら無かった。

 

 しかし同時に聡明なカカシは思う。

 

 確かに最近、父サクモが長期の任務や里の上役からの呼び出しで家を空けていることが多かったし、周辺諸国との小競り合いが激しさを増しているとの噂を町で耳にしたこともあった。

 もしかして、戦争が始まるのか?と。

 

 そしてカカシはカルタを見る。

 こいつ分かってて話を聞いているんだろうか。早く下忍になれてラッキーくらいにしか思っていないんじゃなかろうか、と。

 

 カルタの表情を見るに案の定、ニコニコと笑みを浮かべていた。

 その様子に「あ、これは完全に喜んでるだけだな」と判断したカカシはカルタにあとで詳しく説明してやろうと心の中で呟いた。

 

「すみません先生。ある種の試験的な試みとはどういったものなのでしょうか?」

「そうですね、その説明については直接ご説明頂いた方がいいでしょう……」

 

 いつもの授業と同じように手を挙げてから質問をする優等生なまふゆ。

 その質問に対して山本先生も普段通り丁寧な言葉使いで、言葉を綴るもその後はいつも通り生徒の質問に自分で答えるということはなく、教室の外に向けてその言葉を発した。

 

「板間様。ご説明のほど、よろしくお願い致します」

 

 山本先生の呼び掛けが終わると同時に教室の扉が開き、柔らかい空気感を醸し出しつつも一見して只者ではないオーラが滲み出ている袴姿の見知らぬ白髪の老人が教室の中へと入ってきた。

 その姿にカカシやまふゆは勿論、流石のカルタも背筋がピンと伸びた。

 

「初めまして。雪まゆふくん、はたけカカシくん、羽衣カルタくん。私は千手板間という者だ」

 

 その声質は分かりやすい威厳と共に聴くものを妙に落ち着かせるそんな声の持ち主でもあった。

 そして「皆に分かりやすく言うと火影様の補佐役だよ」と続いた言葉にもカルタ達3人は驚きと納得感。それに加えて不思議な高揚感を覚えるのであった。

 

 

 

 

 







こんにちはあるいはこんばんは
エージェント《読者》
どうも新名蝦夷守です。

まずはここまで読んでくださりありがとうございます!
そしてお気に入り登録、高評価していただいた方々感謝です!
テンションあがりますわー

担任の土井先生、くノ一クラスの山本先生の名前は某忍術学園の先生方から頂いてます。
お気になさらず。

そして卑劣さに磨きのかかった(褒め言葉)扉間のおかげで存命の板間お爺ちゃん登場です。
こちらも勝手に脚色してますが、モチーフは誰かな。わかるかな。わかったらすごいと思う。
クイズじゃないけど、わかった人おったらコメントくださーい。

続きが気になるなー。読みたいなーと思ってくれた方はお気に入り登録と高評価よろしくお願いします!
そうしますと筆者の気分が良くなります→執筆時間が増えるかも→更新するスピードも多少変わるかもです。

では、次回は未定ですがなるべく早くお会いしましょー。
それでは。
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