帝鉄D51形蒸気機関車241号機専用レイルロオド 作:1999bizzare summer
苗穂から三時間ほどで追分に着きました。
その間、私は前方の入替機のレイルロオドと共感をし、
241号機の速度計器に異常はないか、実際の業務の様子はどんなものか、
というようなことを確認していました。
また、彼女の話によると、夕張から追分までは特に峠がキツく、トンネルも多いので、
そこでずっと働いている者たちは腕に信用ができるそうです。
私も、追分区所属の名に恥じぬよう、日々精進しなければなりませんね。
入替機の方は追分駅で連結解除し、汽笛を上げながら苗穂方面へ戻っていきました。
しばらくすると、追分区の蒸気機関車が後方からやってきました。
連結作業のため、私が241号機から降りると、向こうの方も降りてきました。
「あなたは、本日配属予定のD51 241号機の専用レイルロオドで間違いありませんね」
「はい、間違いありません。以後ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いします、先輩」
彼女は9600形19673号機専用レイルロオドで、名前を船見というそうです。
優しそうな顔をしていますが、毎日峠を幾つも越えているのですから、敬意を持って接しなければなりませんね。
「そんなに硬くならなくていいのに。あ、もしかして緊張してるの?かわいいね」
「あなたの持っているその鞄、運転体が入ってて重いでしょう?私が持つよ」
「気にしなくていいの。私が好きでやっていることだから」
……なんだろう、この人は。私のタブレットが震えている気がする。怖ぁ…
運転体入りの鞄は、しっかりと持っておこう。
あ、さっきから窓から顔を出していた機関士のお方が呆れた顔をしてらっしゃる。
そういえば、まだ連結作業が終わっていなかった。
「私が旗を持って誘導致しますので、先輩は機関士殿に私との共感の内容を伝えてください」
「え?あ、うん分かった。じゃあ私は一旦戻るね」
ハチローと叫びながら彼女は機関車に戻った。
先ほど目にした機関士殿はハチロー様というのだろうか。ちゃんとメモっておこう。
では、連結作業に移りましょう。
いま私は、二色の旗を持っています。緑と赤です。
まず、赤い旗で機関車をできるだけ近くに寄せます。
そこから連結器がつながるまで緑色の旗を振ります。
「構内進行よし」と、先輩の元気な喚呼が聞こえてきました。
繋がる直前にタイミングよく、緑の旗を振るのをやめます。
こうすることによって、連結器同士が思い切りぶつかることを防止しているのです。
ガチャコン!
連結部確認ヨシ!さて、241号機に戻りましょうか。
ブォッと軽い汽笛を鳴らして、二台の蒸気機関車が動き始めました。
するとすぐに、機関庫が見えてきました。
車窓から見える、『D51241号、追分へようこそ』の横断幕がとても印象に残りました。
思わず私は横断幕に敬礼しました。
241号機は機関庫の中に入れられ、私は船見先輩に挨拶しに行きました。
「船見先輩、乗務お疲れ様です。横断幕には感動いたしました」
「この機関区の伝統なの。新人さんを迎えるときはね」
「それより、私のことは気軽に船見とかフナちゃんって呼んでくれていいのに」
…私は彼女のことを誤解していたのかもしれない。
どうやら彼女はただのいい人のようだ。
もし同僚にソッチの気があったら、業務に支障が出ていたに違いない。
「では、船見さん、でどうでしょう」
「むう、まあよし。それで、あなたのことをどう呼べばいいか教えてほしいの」
…これはどういうことだろうか。
レイルロオドに名前など必要なく、ただ役割をこなせばいい、私たちはそう作られたのに。
「あ、もしかしてまだ考えてなかったの?」
「え、あはい」
「早めに考えておいてね。意思疎通の上で、名前は何より大事だから」
確かにそうだ。共感でも、報告でも、レイルロオドは個体識別名を持ったほうが円滑な業務ができるだろう。
ううむ…反省反省
「わかりました。明日までに考えておきます」
「ハチローさんが言い出したんだよね~」
「なんでも、『お前たち三姉妹は全員キューロク担当の上、連番で続いているからだれがどの専用なのか分からん。』
だって。面白いこと考えるよね」
ん?
「船見さんには、姉妹がいるのですか?」
「うん、そう。私は19673号の専用レイルロオドだけど、ここには私と同時期に作られた19671号と、19672号の専用のもいるの」
今回の話は少し挑戦してみました。
何かおかしな点があればぜひ教えてください。