推しの結婚式に出たいだけの人生だった……_:(´ཀ`」 ∠):   作:かりん2022

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宴の招待状

「さとゆ」

 

 すぐゆは、今日も怪我をして俺の前に現れた。

 

「しょこ!」

「すぐゆ!」

 

 しょこがすぐに癒してくれるが俺はもう嫌だった。ぎゅっとすぐゆを抱きしめる。

 傑や悟の命令で戦うのも。

 彼らが傷つくたびに傷つくのも。

 嫌で嫌で仕方なかった。

 

 今でも、すぐゆと共に死にかけた時の事は忘れられない。

 自由が欲しかった。

 遠い子孫がいつか、なんて言いたくない。

 今! 俺たちが! 自由になりたかった!!

 

 創造主はいった。

 

 知恵の実を食べて初めて人は人になると。

 

 条件は満たした。

 

 主人達の愛と呪力は十分に得た。

 創造主の骸を喰らった。

 はち切れんばかりの力を持って、今、俺たちは進化する。

 

 すぐゆから生まれる子供に、もう主人なんて必要ない。

 俺たち逃げようぜ。そう訴えるが、すぐゆはそれを止めた。

 

「さとゆさとゆさとゆ」

「すぐゆすぐゆすぐゆ」

 

 ふむ。確かに、ここを出て食事とかどうするって話だよな。

 人間の世界には戸籍もある。

 

 じゃあさ。

 並行世界に家出して、ダメだったら戻ってこようぜ。

 

 そうして、念には念を入れて、力を貯めたそのあとで、俺たちは家出した。

 

 

 そして、渋谷駅の片隅で、すぐゆは子を産んだ。

 生まれた子供は、俺たち皆で名をつけた。

 呪よ、転じて祈りとなせ、そう思いを込めて。

 イノリと。

 

 まあ、名前を決めたって、誰も呼んでやれないんだけどな。

 渋谷駅で食材をちょろまかすのも限界が来ていた。

 灰原も戻ってきていない。人間の助けが必要なのは明らかだった。

 

 今日のハロウィンが終わったら、そろそろ、保護を求めてみるべきだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

「すぐゆを見つけたって?」

「はい。証拠はこちらに」

 

 すっと胡散臭い男に差し出されたのは、檻に入ったはいばらの写真。

 

「ただし、お一人で引き取りに来て欲しいと」

「人質ってことかい?」

「単なる呪具ですよ。それも、貴方のものでもない。人質になるんですか?」

「……いや」

「貴方様は呪霊操術の使い手。まさか、一人で来るのが怖いとは申しますまい。常に軍と共にしていると同じなのですから」

「それもそうだね。わかった。行くよ」

 

 そうして。夏油は、胡散臭い男についていく。

 

「それで、どうやって捕まえるのかな?」

「まず炙り出して、夏油様に傷を負っていただきます。その傷はすぐゆとさとゆにフィードバックされるはずなので、そこを捉えます」

「まった。……さとゆにも?」

「ええ。さとゆにも。問題ありますか?」

「それは……いいや、ないよ」

 

 渋谷駅の奥にまで辿り着く。

 囚われのはいばらを見て、夏油の心は激しく揺れた。

 

「謝礼は払おう。はいばらはこのまま連れ帰る。すぐゆはもういいよ」

 

 気がつけば、そんな言葉を吐き出していて。

 

 次の瞬間、夏油はその手足を貫かれていた。

 油断はしていなかった。ただ、相手の力量が上だった。それだけ。

 それを成した男は。

 

「バカな……伏黒甚爾?」

「反魂の術だよ。すぐゆも君も、両方手に入れるに決まってるだろ。大事な実験動物だからね」

 

 胡散臭い男は、老婆を従え、額に大きな縫い目を持っていた。

 

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