推しの結婚式に出たいだけの人生だった……_:(´ཀ`」 ∠): 作:かりん2022
マシュマロ
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「どうしたんだ五条。大事な話があるから医務室で食事を一緒にって。そのバスケットは?」
私に食事を用意しろと言ったくせに、そう続けようとするのを五条は遮った。
「ジャーン! さとゆとすぐゆです!」
「さとゆ」
「すぐゆ」
ぴょこんとバスケットから顔を出したのは、ちんまい悟と傑。
「ぶっは!なんだよ、これ。迷子札? は?」
「今日気づいたら枕元にいたんだよね。硝子の所にはいなかった?」
「いや。いなかったな。なんだこれ」
ぬいぐるみではないし生き物だ。しかし人間ではあり得ない。ふくふくしてちぃちゃな、いっそ漫画にでも出てきそうな小さな生き物。
迷子札と写真を見て絶句する。
そして、ギギギ、と悟の方を向いた。
「クズども結婚したの?」
「どうだろ。並行世界から迷い込んじゃったんだろうね。向こうの傑、女の子とかかな?」
「どう見ても男だろ。眼は大丈夫か」
「学長の悪戯……のわけないか」
「これ、ぬいぐるみじゃなくて生物っぽいもんねぇ。学長はこんな悪戯しないし」
「私のはいないのか」
「呼んでみれば? こっちの世界に来てるかもよ」
硝子は手を差し伸べ、言ってみる。
「いでよ小さい私! なんてな」
手の先には何にも出なかった。
「硝子硝子。足元」
しかし、足元を見ると、可愛らしい二頭身の女の子が見上げていた。
「しょこ?」
「かーわいい! じゃあ、七海にも連絡しよっと」
話している間に、出しておいた食事にさとゆとすぐゆが群がっていた。
「ご飯も食べるんだね。手掴みしないの。僕がちゃんと食べさせてあげるから」
「この勢いだと足りないな。追加を持ってくる」
「ついでに学長と七海も呼んで」
「手狭になりそうだな。食堂じゃダメだったのか?」
「方針決まるまではあんま目立ちたくないんだよねー」
「すぐバレる。目立つし」
「ま、そうなんだけどさ」
3人のおちびさん達に順番に食事を与えつつ待っていると、学長と七海が来た。
小さな灰原を連れている。
「これは……これはどういう事ですか!」
ダンと出されたのは迷子札。
そこには、笑う灰原と七海が写っている。ありえない事に、大人の灰原の姿だった。
「多分、並行世界からのお客様? 僕も知らないよ。気がついたら枕元にこの子達がいてさぁ」
七海と夜蛾は絶句する。
五条悟が食べさせているのは、悟と傑と硝子のミニチュアだった。
そして、悟は鎮痛な面持ちで迷子札を開く。
中身を覗いた2人は吹いた。
「……ご結婚おめでとうございます」
「並行世界の僕に言ってあげて。流石に僕は傑にそんな感情ないかなぁ。当主として子供作んなきゃだし」
「どうだか」
硝子が軽口を叩く。
「ほんとだって。僕だって女の子がいいよ」
「でもそうしてるといいお父さんっぽい」
「早く役目果たした方が良いですよ」
「そうねー。あっ 七海。七海のちっちゃいのも呼べる?」
「呼んでみて」
七海が手を伸ばす。何故か夜蛾学長も。
当然、出てきたのはナナくんだけである。こっそり落ち込む夜蛾学長。
「ナナくんですか。しかし、よほど凄い術師が作ったのでしょうね。向こうの夜蛾学長ですか?」
「いや。これは、俺は比較対象にもならん」
「それな。術式もコピーしてるんだよ、こいつら」
「は?」
「そー! こいつ、六眼無下限使えんの! 流石にミニマムだろうけど」
「すぐゆ!」
えっへんと胸を張るさとゆ。
「さとゆ!」
「なな!」
「はいばら」
「しょこ!」
お分かりだろうか。一人だけイケボイスなナナであった。
「よしよし、凄いね君ら」
「このサイズで私の術式を使えてもだから何って感じですが。あ、一応ミニマム呪具持ってるんですね」
「はい」
「おおっ! ナナは返事できるんだ。凄いね」
「はい」
「さとゆさとゆさとゆ」
「すぐゆ!」
「しょこ! しょこしょこ!」
「なな!」
我も我もと何かしらアピールしてくるちびっ子達。可愛い。
「ということで、並行世界人が現れるかもしれないから、学長、それとなくアンテナ張っててくれない? 特に傑とかさ」
「これは……」
「素直に周知する事も考えたんだけど、下手に事情言って先に確保されるのもなーと思って。どっちがいいかな」
そこで、伊地知がドアをノックした。
「なんか変な人が七海さんの隠し子のななくんを保護したと。でも急にいなくなったと言い出して。あの、追い出しますよね?」
「いえ、一応話を聞きましょう」
「ええ、聞くんですか?」
「その隠し子というのは、こちらの呪具のことでしょうから」
そうして七海が視線をやると、5人のちんまい子供達。
伊地知は顎を落とした。
「げと……! さん、の、呪霊ですか?」
「傑は違うみたいよ。どういう事!? って電話で怒鳴り込んできたから。あ、傑に呼ばれたみたいね」
すぐゆが消えていく。忙しない子達である。両親(?)が敵対関係なので仕方ない。
「下手に疑われるより、周知しておいた方が良いだろう。だがまあ、色々言われるのは避けられんが……」
「あくまで並行世界の出来事ですーっていうしかないね。事実だし。傑と結婚かぁ……何がどうなってそうなったんだろ」
そうして、悟達はななくんを保護したという女にあった。
五条は目を眇める。間違いない。術者はこいつである。
地味で体幹どころか背筋が丸まっており、いかにも一般人です! オタクです!
と言った感じの女である。
だが、五条は騙されない。その内に潜む呪力量は大きいし、荷物には五条をして恐ろしいと思わせる程に呪力を凝縮した塊があった。
「ヒェッ 顔がいい。あの、夏油さんからの誕生日プレゼントはお気に召しましたか? わた、私が夢卵を用意したんです!」
オタク女は特に五条ファンだった。しかも五条は実際に会ってみると、なるほどあ圧倒される呪力を持っている。思わず敬語にもなろうというもの。
「誕生日プレゼントだったんだ?」
「そう、そうです! あの時は押し付けるだけ押し付けて、海外に高跳びしちゃったけど、でも大事に持ってくれてるってことは気に入ってくれたんですよね!」
風向きが怪しくなってきた。オタクの女は、汗ばんだ手をコネコネして、一生懸命に告げる。
「そうだと言ったら? 何か欲しいものでもあるのかな」
「だったら! 結婚の際は、引き出物! 引き出物が欲しいです!」
「えっ」
「マグカップとか! いいと思うんですよ!」
何を言っているんだと、オタク女も思っていた。だが、止まらない。
20年以上、秘めていた思いが、今爆発していた。
「結婚式とか、隅っこでいいから! 隅っこでいいから!」
「え、あ、もしかして高跳びしてたから知らなかった?」
迷子札を開けて見せると、女は奇声を浴びて喜び、迷子札を天に掲げた。
「一生の宝物にします……! 最強コンビの結婚……! このまま死んでもいい……!」
「そ、そう? それはあげないけど。そんなことで死んで良いの?」
「すみません、嘘ですまだ死にたくないです。え、ということは結婚式終わったのか。マジか。マジか。マジか。えっ あっ うおおおおおおおおおおおおおおお!! 」
血涙を流す女。嬉しいんだか悲しいんだかどっちかにしろ。
「君さぁ、もしかして、僕と傑の結婚式に出たくて、呪具ともしかして何か縛りとか押し付けて高跳びしてたわけ? 灰原と七海に対しても?」
「そ、そんなことは……。二人についてはおまけだし……」
「じゃあ、縛り結んでない?」
「結びました!」
「男同士で結婚させる為にどんな無茶な縛りしたわけ?」
「ご、誤解です! そんな事は」
「でも縛りはしたんだよね?」
「縛りました! でもほら、日本って法律あるから、本当に結婚するとは思わないっていうか、今でも夢見たい嬉しすぎて死んじゃいそうっていうか、えっ 日本壊滅してからの話だと!」
「今なんて言った?」
「や、それ狙ってる呪詛師がいたので、それに便乗して日本壊滅した隙にどうにかして二人を結婚させられないかと!!」
グッと両手を握る女の頭をギリギリと締め付けると、5人のちんまい子たちが心配して駆け寄っている。
五条はため息をついて、女を下ろした。
「まず名乗ってもらおうか」
「私は、証 愛衣です」
「珍しい名前だね」
伊地知に視線をやると、伊地知はサッと席を外して調べる。
愛衣は確保もとい保護される事となった。
「有名人は大変だな、五条」
「厄介ファンすぎるでしょう」
硝子と七海が同情の言葉を放つ。
「しかし、おかしいですね。証 愛衣は私の調査では9歳で呪霊にやられて死んでいます」
「どうやら、世界の差異はそこで発生してるようだね。彼女が並行世界から来たと思えば納得がいく」
「彼女の術式は呪具作成では?」
「そうだよ。でも、実質的にいろんな術式使えるのがいるだろ? な、すぐゆ」
「さとゆ!」
「すぐゆさん。元の世界に戻れますか?」
「さとゆ……さとゆさとゆさとゆ」
「おそらく、傑と呪霊を共有している。だから、この世界に来て、この世界の傑とリンクを繋ぎ直してしまった今、戻るのは無理だろうね。傑も同じ呪霊を持っていたら別だけど」
「さとゆ」
すぐゆは首を振る。
「ということで、傑が迎えに来るまで、この件については保留!! あとは、日本壊滅狙う呪詛師がこっちにもいないか気になるぐらいかなー。それは調査部を待とうか。うわー交渉大変そう。でも並行世界の僕と戦うような真似にはなりたくないからね」
一方その頃。
5人の呪術師達のウルトラアイドルが消えて、阿鼻叫喚の並行世界。
何せ、特級呪具である。それらが10年の時を超えて呪詛師の手に渡ったとなれば一大事。しかも呪詛師は何やら大きな目的がある模様。
いっそ夏油傑を秘匿死刑にすることで、最も厄介なすぐゆを破壊しろという話も出て、大変な事になっていた。
タイトルコールですが、まだ続きます。
ここ好き、評価、お気にいり、お題感想ありがとうございます!!
とっても励みになってます!
誤字報告ありがとうございます。
日本語本当にダメですみません。わかりやすくしてくれてありがとうございます。
あえてそうしてる部分等もありますので、一部未適用させていただいてます。
あと、申し訳ないですが、明らかな誤字を超える修正はえーと、お控えくださるとありがたいです。
「五条家として命令」→「五条家当主として命令」など。
ちょっと戸惑ってしまうので。お気持ちだけいただきます、ありがとうございます!