惡の帝王   作:承認欲求

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初投稿です。


2.洞窟の爆弾魔

 カツリ、カツリと、洞窟の中に響く音が一つ。

 俺が独り心の整理をつけた後、宛もなしに辺りを彷徨い歩いていたのだが未だこの洞窟から抜け出せていない。

 当然と言えば当然だが、その場に留まって思案を続けているよりかは辺りを探索して少しでも脱出の糸口を手にしておいた方がいいと思ったのだ。……まぁ、このザマなのだが。

 

 

 水や食料の心配は俺のスキル『究極生命体(アルティメット・シイング)』によって解決している。

 名前や概要こそ『ジョジョの奇妙な冒険』の能力そのものであるため、これらの能力を『ジョジョの奇妙な冒険』に出てきたスキルとして扱っているが、必ずしもそれが漫画の通りそっくりそのまま使えるとは限らない。

 だとしても、食事をしなくていい、というのは酷く便利なスキルだとは思う。

 

 

 他にもなにかあるっぽいのだが、それ以上は【未開】と表示してあって見れなかった。自分の事なのに自分で把握できないってどういう事なんだろうか。

 

 

 なんせ、概要もふんわりと何ができるか書いてあるだけで、具体的な事はほっとんど書いていない。

 読み込めば読み込むほどジョジョに似ている気がするが、そうだと暫定するにはやっぱり情報が足りなかった。

 

 

 別に口調がディオ(暫定)の様になっている訳ではないし、考え方が傲慢だったりになっているわけでもない。楽観的ではあるが。

 

 

 他のスキルも粗方確認したが、能力単体でみたらどれも強力であり、ジョジョに出てくるスタンドそっくりのものであった。ただ、能力に制限がかかっているようでまともに使えなかったが。

 ……それにしても出口が見えない。どうしよう、いくらディオのハイスペックな身体と『究極生命体(アルティメット・シイング)』があるとはいえ、いつまでもこの薄暗い洞窟にいると思ったら、些か不安が募ってくる。

 

 

 いっそのこと、壁をぶっ壊してでも道を……と若干頭の悪い発想になる。

 ……あれ、割と名案じゃないか?

 ………。

 いっちょやってみるかと思い、俺はとあるスタンドの名前を口から出した。 

 

 

「出でよ、キラークイーン!」

 

 

 俺がそう叫ぶと、後ろから奇妙なポーズを取った筋肉質な獣人? が出てきた。随所に髑髏のデザインをあしらっており、目がガンギマっている。凄い失礼だが、目薬を点すのが下手そうだ。

 ……試しに呼んでみただけなんだが、本当に出るとは思わなんだ。

 

 

 正直、この漫画に居たキャラが現実に出てきた、という時点でインパクトがとんでもないのだが、そこは一旦おいておいて。

 俺は岩肌に手を置き、「第一の爆弾」と呟いた後、その場から距離をとった。

 そして―――

 

 

「第一の爆弾、起爆せよ!」

 

 

 俺の声に呼応してキラークイーンがボタンを押した瞬間、ドゴォン!!! と轟々とした音が辺りに響き、焦げ臭い火の匂いがこちらに迫ってきた。

 軽く手を払って辺りの砂埃と匂いを撒くと、そこには緻密な長方形の型をとった小さい穴が創られていた。

 

 

「あんな現実離れした壊し方ができるのか……?」

 

 

 キラークイーンの概要を噛み砕いて説明すると、手で触れた対象を爆発する、というモノ。

 他にも色々あるっぽいが、先も言った通り【未開放】バリアに阻まれて見れない。それに、一度爆弾を使ったら暫くは再使用が不可能なようだ。

 

 ただ、これらは飽くまでも『ジョジョの奇妙な冒険』の要素とスキル概要をベースに構築した憶測であって、この憶測が完全に合っているという確証はない。

 何をするにせよ情報が足りない。この世界はなんなのか、俺はなんでこんな意味不なスキルを保持しているのか。

 未来について慮り、しかし今の状況を危惧しながら、一つの星がよく光る夜空の下に歩みを進めていった。

 

 

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

 

 

 

「ほう……彼奴が跡形も無く魔岩を跡形も無く消し去る(・・・・・・・・・)等と云う芸当を行ったのか?」

「ハッ、確かに」

 

 

 一人の吸血鬼が問い、従者が答えた。

 吸血鬼の見た目は輝く銀髪に、紅い目と青い目の金銀妖眼(ヘテロクロミア)であり、星月夜に照らされているのも相まって、その美麗な横顔がより幻想的に映し出されている。

 一方、配下の執事だが、その老いた身体はからは塵ほども弱さなどを感じさせず、その身体に内包する力と主への敬虔さは、それこそ銀髪の吸血鬼が隣に置く程であった。

 

 

「始末、されますか?」

 

 

 机の上に置かれている水晶玉の中には、轟々という爆発音と共に、魔岩が跡形も無く爆発されている様子が繰り返し映し出されている。

 執事の問いに、銀髪の吸血鬼は一考する。

 

 

「始末まではせんでもよい。ただ、彼奴とは『話し合い』をしなければならぬ。何故いきなりそこに現れたのか、どうやってあの魔岩を跡形も無く破壊したのか、とかな。妾の領民や信仰に傷をつけるようなら即座に殺すし、そのような意思がないのならこちらで抱え込むなりなんなりすればよい。なに、うちに曲者は幾らでもおる。一人二人増えたところで今更じゃろう?」

 

 

 吸血鬼は紅茶を啜りながら、酷く面白そうに答えた。

 その声からは絶対的な自信と、強い好奇心が感じられる。

 

 

「……彼の者が魔物だった場合は?」

 

 

 執事が再度問う。

 余り肯定的な雰囲気は感じられず、その声音からは異物はさっさと排除した方が良いと言っているように思えた。

 

 

「それこそありえぬ。水晶越しに妾の眼で視たが、少なくとも魔性の類ではなかった。アレはもっと別のナニカじゃ。それに、例え奴が魔の類だったとしてもルベリオスの聖浄化結界(ホーリーフィールド)にて弱体化しておるし、今は勇者グランもいる。ここまでの条件が揃っていて負ける程妾も弱くないわ」

 

 

 暫し睨み合い。

 執事は依然と思考を巡らせており、それすらも面白いと言わんばかりに吸血鬼は回答を待つ。そして、最終的に―――

 

 

「……解りました。彼の者を必ずここに連れてくることを約束します」

 

 

 ―――執事が折れた。

 

 

「そうか。なら早く行くのじゃ。妾は気の短い故な」

「ハッ、仰せのままに」

 

 

 執事が空を見上げると、そこでは大きな一等星が、爛々と光り輝いていた。




・魔岩……魔素が永い年月を掛けて内部に蓄積された岩。一般ピーポーには到底壊せないが、ちゃんと鍛錬をしている人間だったら普通に壊せる。が、完全な長方形として壊すのは物理的に無理。一部の地域ではこの魔岩を瓦状に加工して、チョップでどれだけ割れるのかを競い合ったりするのだとか。通称『魔瓦割り』

次回、バトル。

ヒロイン(スライム)について

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