惡の帝王   作:承認欲求

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初投稿です。


3.僅か三秒、されど三秒

 ……誰かに視られている。

 漠然とした感覚だが、実感があった。ただ見られているというだけで、何処からどうやってみられているかは分からない。

 故に、勝負に出てみる事にした。

 話に応じてくれたらいいなという一抹の期待と、自分を黙って覗き見してくるような奴が好意なんか持っている訳がないと考えを巡らせながら。

 

 

 草木の密度が徐々に減っていることから、もうそろそろ開けた場所に出るということがわかる。ので、その時に仕掛ける。

 万一死の危機に陥っても、俺にはスタンド(?)が背についている。

 それに、もとより自身の力を量ってみたい、という低俗極まりない感情が俺の心で燻ぶっていた。俺のモチベーション面も考えての作戦である。

 最早この作戦に隙は無かった。

 

 

 勿論、戦闘面での対策も考えている。

 世界(ザ・ワールド)で時を停め、そのまま殴りまくる。至極簡潔かつ単純な、しかし完成度が非常に高い策略である。脳筋とは言ってくれるなよ。

 ……話し合いの余地があるならそっちの方が100倍よいのだろうが、人の事を黙って覗き見してくるようなやつがこちらに好意を抱いているとは考えづらい。

 用があるなら普通に話しかけてくればいいだけだし。

 

 

 そうこう考えている内に、開けた場所に出た。

 今が仕掛け時だろうと口を開きかけたその時、急に視界が明瞭になり、思考が酷く速くなる。それから、遅れて脳内にクソデカ音量で警報のようなものが鳴り響いた。

 

 

 危機感の赴くままにバックステップを決め、適当な所に後退する。

 瞬間、思考の速度と視界が元に戻る。

 先程の場所から異音が聞こえたので目を向けてみると、地面が丸々抉れていた。

 ぶわっ、と冷汗が湧き出るような感覚に陥る。

 

 

「ほう……今のを危なげなく躱すとは。一撃で殺るつもりだったのだがね、私もまだまだということか」

 

 

 抉れた地面から、とても厳かな渋い声が聞こえてきた。

 遅れて俺も言葉を返す。

 

 

「……その程度の攻撃が俺に当たるとでも?」

 

 

 言の葉がするすると口から滑り出す。

 勿論はったりだ。あの疑似キングクリムゾンの様なものがなければ、俺は普通に体を吹っ飛ばされていただろう。

 ただ、喜ばしい事にこんなヤバイ状況に陥っても思考はとても冴えており、恐怖や混乱のような負の感情もない。

 ただ、その老人のみに意識を集中することが出来ていた。

 

 

「ハハ、自分の実力に随分な自信があるようだ」

「当たり前だろう。お前の手先だけの技術では俺を弑することは絶対に出来ない」

 

 

 嘘だ。この老人がどんな技を使ってくるのか皆目見当もつかない。

 ただ、はったりをかますだけなら幾らでもできる。

 

 

「……言うではないか。私もそれなりの年数を修行に費やしていたのだがね」

「これは俺の持論だが、努力とは”かけた時間”で語るのではなく、”出した結果”で語らなければ意味はないと思っている」

 

 例え永い時を修練にかけたとしても、その修練の内容が手抜きでは育つものも育たない。結果なのだ、最終的に大事になっていくのは。

 勿論、時を経て得た技術はそれ相応のモノだろうとは思うが。

 

 

「何が言いたい?」

「闘りたければくるがいい。どこを狙ってきてくれても構わんぞ?」

 

 

 俺がそう言い切ると老人の姿が掻き消えた。

 どこの部位を狙ってくるのだろうか。

 目か。

 首か。

 足か。

 腹か。

 なんにせよ関係ない、何故なら―――

 

 

世界(ザ・ワールド)、時よ止まれ」

 

 

 ―――世界(ザ・ワールド)によって、この世に遍く総てがの時が止まるからだ。今の俺に止められる時の長さは三秒。

 その三秒は戦闘に於いて、大きすぎる物であった。

 

 

「一秒経過ッ!! まずは貴様の腕を斬り落とすッ!」

 

 

 有言実行。

 言葉の通り、老人の腕を波紋(・・)を纏わせた手刀で斬り落とす。

 波紋。そう、波紋。吸血鬼(ディオ)を殺すことに特化したその技術は、今や俺の手でバチバチと力強く迸っていた。

 

 

 本来、世界(ザ・ワールド)とは時を停めることに特化した能力。

 世界(ザ・ワールド)というテリトリーをスタンドで生成し、自分の有利な状況を創り出す。

 そしてそのテリトリーには、多大な副産物がついていた。

 そのうちの一つが―――物理法則を好きに変化させることができる、というモノ。

 

 

 原作のDIOが空を飛んでナイフを投げていたのも、その能力の応用だろう。

 そしてその能力は、世界(ザ・ワールド)というテリトリー(自分に都合のいい環境)の追加によって更に強化される。その結果が今纏っている波紋だ。

 

 

「二秒経過ッ!!」

 

 

 スタンドによって生み出された貴重な一秒を活かし、老人の背後に周りこみ首根っこを掴む。   

 

 

「三秒経過ッ! 時は動き出す!」

「グゥッ!?」

 

 

 時は再始動した。

 老人の腕は切り落とされており、生物共通の弱点である首も俺の手の中にある。

 ただ、年の功とでもいうべきか。はたまた、火事場の底力というべきか。絶体絶命の状況にその身を置いているというのに、全く怯まず蹴りを放ってきた。

 俺の身体が後ろに下がると同時に首も引っこ抜いたが、老人の身体は変わらず健在であった。

 

 

「チッ……貴様、何をしたァ!!」

「自分の手の内を相手にむざむざと教えると思っているのか?」

「クソッ!!」

 

 

 それよりも問題なのがコイツの身体だ。

 何故首をまるまる失っても立てて、あろうことか喋れるんだ? ありえないだろう。生物として破綻している。ゾンビか何かか?

 即座に殺すことはできないだろうが、だからといって倒せない相手ではなさそうだ。

 事実、目の前の老人は動きを鈍らせているし、先程までの威勢と生命力はナリを潜めている。時間はかかるだろうが、勝てない相手ではない。

 歩みを進めようとした瞬間、鈴の様な美しい声と共に、鉛の様に重い圧が肩にのしかかる。

 慌てて振り向くと、そこには―――

 

 

「妾の部下が随分と世話になったようじゃな……なぁ? ルイよ」

 

 

 物語の中から飛び出してきたと言われても信じてしまいそうな程の美しさをもった少女が、面白くてたまらないといった様子で立っていた。

 

 

 




 主人公の口調はディオというよりかはジョジョ成分若干多めに作ってます。
 速く主人公君の過去(設定)について説明して物語の整合性とらなきゃ……(使命感)

ヒロイン(スライム)について

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