惡の帝王 作:承認欲求
恐らく彼奴が放っているだろう覇気が空気を通して肌にヒリヒリと伝わってくる。
さっき苦戦していた”ロイ”なるものとは比べ物にならないほどに強く、絶対的で。
俺の心の安寧を辛うじて保っていたナニカが消え、瞬く間に頭が恐怖で塗りつぶされた。
(……ァ、)
何百何千回挑んでも勝ち筋が全く見えない、自分の遥か上を行く強者。今俺が持っている能力を縛りなしで総動員しても逃亡が出来るかどうかすら怪しいだろう。
そう俺に思わせる程の恐怖を、恐慌を俺の心に刻み付けていた。
勝てない。
怖い。
逃げたい。
助けて。
俺の中に燻ぶっている負の感情が一瞬にして爆発しそうになるが、外面だけは必死に取り繕う。マイナスのエネルギーが、感情が外に溢れ出したら俺は終わる。心が折れ、その場にヘタレ込むしかなくなるという予感が―――否、確信があった。
そんな俺の内心も知らず、彼奴は楽しそうに俺を見るだけ。遂に口を開いたと思ったら、
「どうした。此方を見て何を黙りこんどる?」
と、意地の悪い質問を飛ばしてくる。
先程の俺なら余裕をもってその質問に答えれただろうが、今の俺にはそんな当たり前の事が出来ない。何故か。
恐いからだ。いまここで彼奴に楯突いたら、即座に首を飛ばされるのではないか、二度目の生を無為に終わらせてしまうのではないかという不安があったからだ。
―――嫌だ。そんなことは許されない! 折角チャンスを手にしたのだ。有効に利用せねばその価値も廃れる。それに、なにより―――彼らから受け継いだ意志が、夢が、期待が―――総てッ! 総て無駄になってしまうッッ!!!
「……を決めろ……」
「む?」
自然と口から漏れ出た知らない、しかしとても馴染み深く、勇気がわく言葉ッ!
偶像でもいい。
思い違いでもいい。
すれ違っていてもいい―――!
―――「「覚悟を決めろ……
さっきまでの感情が嘘のように消え、その全てが『勇気』と『決断』に変わり、心の内から希望がムンムンと湧いてきた。
「覚悟は、何物にも勝り得る武器だッ! 吸血鬼! 今、ここで! 決着をつけようじゃあないか!!」
「……。その前に」
「なんだ?」
「名を、教えてもらってもよいか?」
「……ディオ。ディオ・ブランドー」
「ディオ・ブランドー」
目の前の吸血鬼は俺の名前をゆっくりと咀嚼して、やがて飲み込んだ。
「その名、覚えておくぞ!」
◆
神代の大戦―――そう形容してもさして違和感がない程の大激戦。ルミナス様も最初は余力を以て戦っていたものの、戦闘が激化していくにつれスキルの使用を厭わなくなっていった。
2000年以上前から生きていた血姫と渡り合う程の権能、知恵、能力を持った男。当然、先程までそれに圧倒されていた私が興味を持たないはずがなかった。
ルミナス様の場所は残像と速度の上昇に依って起こる衝撃波によってギリギリ位置を特定することができるが―――ディオと名乗った男にはそれがない。
まるで、
最初からルミナス様の挙動が解っているかのように攻撃を避け、時には傷つきながらもバチバチと迸る紅色のエネルギーを纏って。
ルミナス様の手刀で腕を吹っ飛ばされても、気が付いた頃には腕は再生しており、寧ろそれに乗じてルミナス様を爆発。
勇者グランベルが応援に来るまで、私はその戦から目を話す事が出来なかった。
所詮漫画の中の能力を持ってきても中身が未熟だったらなんの意味も持たず、只の仮初でしかない。
だから、主人公に『覚悟』させる必要があったんですね......
※注釈※
ルミナスってそんな強いんけ? って思った皆様の為にィ~ルミナスさんの軽い強さの指標を作らせていただきましたァ。興味のある方は是非ご閲覧を
・神祖であるトワイライト・バレンタインの血から複製されたゴスロリ。この時点でヴェルダナーヴァ存命時代から生きている事が判明+彼の高弟の 第 二 位 である。
・神祖により創られたため、当然強さもバケモン級。おまけに種族も『吸血鬼』ではなく『真血魔霊鬼』という完全上位互換のいかにもな種族である。要するに生まれた時から勝ち組。
・ヴェルダ―ヴァが直々に創った(暫定)とされるトワイライト・バレンタインを自らの手で殺害している。
・当たり前のように覚醒魔王。
・うろ覚えだけでこんなに長所が出てくる(多分まだまだある)。おまけに政治方面の方が強い。リムルや竜種、加えてそこまでフォーカスされない為本人の能力が霞んで見えるが、恐らく作中トップレベルで強いと思われる。後作者の推し。
こんな化物勝てません。以上! 閉経! ありがとうございました!
ヒロイン(スライム)について
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