私は貞操逆転世界にTS転生したのに、親友は男のまま転移とかずるい   作:甘朔八夏

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感想もらって嬉しかったので書きました。
いぇーいぴすぴす


10話 休日くらいは穏やかに遊べると思っていた時期がありました

 

 

 

「あっ、柊さん!こっちこっち!」

 

待ち合わせ場所の改札前で、クラスメイトが私に向かって手を振っている。まだ集合時間15分前のはずなのになんて早い行動……

 

「おはよう、良子ちゃん。待った?」

 

「いやいや全然!!あの、私中学の時はこういう大人数でのイベントに参加したことなくて……!わくわくしてたらあっという間に時間がすぎたから!!」

 

「……いつここに来たの?」

 

「え、9時だよ?」

 

「1時間前じゃん!!」

 

私の叫びにもきょとん、とするだけ。きっと昨日は眠れなかったのだろう、変な目力を発揮する彼女を見て思わずため息が漏れた。

花村(はなむら) 諒子(りょうこ)ちゃん。始業式で仲良くなった友達の一人だ。学校で話した時は大人しい子のはずだったんだけどなぁ…

 

「いや、待ってる時間も遊びのうちかなと思ってへへへ……それにしても柊さん、その、すごく可愛いね。おしゃれっていうか、似合ってる」

 

「そう? 嬉しい、この服お気に入りなんだよね!」

 

その場でくるりと回ると、カットソーが空気を取り込んでふわりと広がった。意外にも制服はきっちり着る私だからこそ、こういう時は抜け感を意識しちゃうのだ!…とはいえ、下はデニムのメンズライクな服装なので、王道に可愛いと言うわけではないけど。

やはり褒められると素直に笑顔が漏れる。

 

「うん…なんか、柊さんってもっとふわふわした服着てるのかなーって思ってた…はは」

 

「そういう服も着るけど、私好みがブレブレで…いろんなデザインもすぐ好きになっちゃうの。今日の良子ちゃんが着てるようなフェミニンなのも好きだよ!」

 

彼女のコーデはモノトーンのロングワンピース。長くて綺麗な黒髪も相まってお嬢様という印象だ。

 

「変じゃないかな…?」

 

「すごく似合ってるよ!男の子ウケも良さそう——」

 

「ほっほんと!?」

 

食い入るように近づかれてちょこっとだけ肩が跳ねた。その勢いに押されて、こちらもぶんぶんと首を縦に振ってしまう。

 

「あっごめんね!?またテンション上がっちゃった……」

 

「気にしないで、私も楽しみにしてたから」

 

私の言葉に、良子ちゃんの顔がやらしくなった。違うそっち方面に楽しみだったわけじゃない。ちょ、急に穏やかな顔で肩を組もうとするんじゃない!普通にみんなで遊ぶのが楽しみだっただけだし!!!

 

 

——何を隠そう、今日はクラスの親睦会を兼ねたカラオケの日。始業式が金曜日だったので、自己紹介の直後すぐさま休みに突入したのを利用しての開催だ。

 

 

やっと少し落ち着いた様子の良子ちゃんをちらりと見やる。さっき男の子ウケの話しといて悪いけど、多分このカラオケに男子は一人も来ないだろうな…

 

そもそもクラスに男子が3人しかいないのだ。それに対して女子の数は10倍を超える。仮にクラスの半分の女子が参加したとして、男子が全員参加だとしてもその男女比はおよそ1:5。しかも密室。

かなりの好色男(ビッチ)でも怯む布陣ではなかろうか。

私が前世の姿なら裸足で逃げ出すね。

 

「そ、それでね!万が一もあるかもだから昨日徹夜してラブソングを——」

 

「おっはよー!」

 

声だけで分かる明るさを背中全体に受けて、良子ちゃんが爆発した。

 

「えっちょっと良子ちゃん!?大丈夫!?」

 

「え?どしたー?」

 

突如肩を天まで跳ねさせた彼女は、そのまま力を失ってその場に崩れ落ちる。その寸前で咄嗟に支えた。

 

…やっぱり私では無理だそりゃオーラが違うから仕方ないな、うん

 

「良子ちゃん?」

 

「あっ大丈夫歌う自信と立つ気力が消えただけ!」

 

「大丈夫な要素が一個もないんだけど」

 

来て早々に私たちの漫才(?)を食らってからからと笑っているクラスメイト——日野(ひの) (あおい)に助けを求める。

 

「柚葉、面白いからそのままでよろしくー」

 

「どのまま!?」

 

……と。葵とも普通に接している私だが。実は急に瀕死になった良子ちゃんの気持ちもわからんでもない。

 

「ん?なんでじっと見てくるの?もしや柚葉もメッシュ入れたい?」

 

彼女はギャルである。キャミソールにヘソ出しという、着る人によっては下品になりそうなファッションが葵にはバッチリ合っていた。

 

「…いや、相変わらずスタイルいいなと思って」

 

「あぁ、だーいじょうぶだって!高校で伸びる子も膨らむ子も全然いるみたいじゃん?」

 

励ますように肩を軽く叩いてくる。…いや、別にコンプレックス感じてるとかじゃないんですけど?別に今の状態で満足してますし?そういえば伊織は大きい方が好きだったなとか思ってないですし?

いや本当に。

 

そうこう騒いでるうちに、続々と参加者が集まってきた。やはり昨日会ったばかりのメンバーなので完全に打ち解けた、というわけではないが、案外話は盛り上がる。

 

「…ねぇ、今日って男子来るかな?」

 

その言葉を発したのは、私と同じくカラオケに誘われていた朱莉(あかり)だ。

瞬間、場の空気が確かに引き締まる。

 

「いや一応ね?そんなに期待してるわけじゃないけど——」

 

「まあ1人は確定だろうねー」

 

「えっそれマジってかどういうこと!?」

 

猪突猛進以外に形容する言葉が無いほどの勢いの朱莉を、葵はひらりと受け流した。ほう、これがギャルの身のこなし…(多分ちがう)

 

「あれ?朱莉ってばクラスの男子把握してないの?いたじゃん、典型的な王子サマがさ」

 

「「王子?」」

 

思わず漏れた疑問が朱莉とハモる。瞬間、こちらをニヤニヤしながら見る朱莉。

 

(やっぱりユズも気になるんだね)

 

って顔。しっかりウザい。

 

 

ちなみに「王子様」と聞けば、普通はヒロインのピンチを颯爽と解決するスパダリを想像するだろう。しかし残念、ここは貞操逆転世界である。

 

すなわち、「王子」は元の世界での「姫」と同義語なのだ!

 

 

 

「——ごめん、おまたせ!待ったぁ?」

 

その甘い声が響いたと同時に、カラオケ軍団の穏やかな雰囲気に明らかな亀裂が走った。

高い声だ。しかしそこには、女声には無いエッジの入ったえっちな(以下略)

 

「僕で最後かな?それじゃーカラオケに出発!」

 

オフショルダー(肩出し)を着こなした』華奢で色白の少年は、近くにいたクラスメイト(もちろん女)の手を引いて集団の先頭を歩き始めた。

 

 

……あの日は伊織が暴れに暴れたせいで頭から抜けていたが。そういえばいたなぁ、「あの子、(おとこ)なのに制服を着崩して鎖骨が見えそうになってる!」って騒いでるクラスメイトが。

 

「? どうしたの?はやく行こうよ!」

 

今の数秒で何人かを手中に落とした、女心を弄ぶクラッシャー予備軍。彼こそ噂の王子様、内田(うちだ) (かおる)である。

 

今日のカラオケ、ものすごく不安です。

 

 

 

 




感想乞食なので、催促いただけたらすぐ書かせていただきやす…へへ…
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