三階の教室の自分の席で、頬杖をついてぼんやりと朋也は外を眺めていると、横手から盛大な
見ると、昼飯を食べた後、教師の声を子守歌にしてずっと爆睡していた春原がようやく目覚めたらしく、両手を挙げて大きく伸びて大きく口を開けていた。
「おまえ、よく眠れるな」
寝坊して昼休みぎりぎりに来て、飯食ってまた惰眠を貪る。どうせ学校に来て寝るだけならこんな堅い机の上じゃなく、寮のベッドの上で寝た方がよっぽどいいんじゃないか。
と、朋也などは思うのだが、当の春原はどんな場所でも快適に眠れるらしく、全然平気で得意げに胸さえ張って応えた。
「寝る子は育つっていうからね」
「まぁ確かに、育ってるよな」
——ゴキブリ並みのしぶとさに。
だからあの杏と智代の情け無用の凶悪な蹴りを喰らい続けても、生きてられるんだろう。
「当然」と、春原は呆れて見返す朋也に、さも自慢げに親指を立てて片目を
「ところで岡崎、おまえさ、今日も演劇部の部室には行かないのか?」
「ああ」
途端に顔を
「演劇部の再建だってまだなのに、おまえ本気で手を引く気かよ」
「杏達が居れば、別に問題ねぇだろ」
部員じゃないが、演劇部の部室に入り浸っているあいつらが。
特に杏は凶暴だが行動力もあるし押しも強い。それに、あれでいて学級委員長をしているくらいだから人望もあって面倒見もいい。教師に目を付けられている自分達が手伝うより、よっぽど早く演劇部を再建できるだろう。
「渚ちゃん
「ああ、いらねぇよ」
大体あれは自分達を付き合っていると勘違いした春原に、色々あって今に至った自分達の関係を説明するのが面倒でついた嘘なんだから。
「古河に彼氏ができちまえば、俺達のとこにパンが回ってくる可能性はゼロだぞ」
「んなの、まだ分かんないだろ」
希望を捨てずにそう言った後で、春原は顔をしかめて朋也を見た。
「って、おまえ渚ちゃんのコト、なんで苗字で呼んでんだよ」
「もう関係ねぇのに、親しげに名前で呼んだら変過ぎるだろ」
「岡崎……」
一年の時からの付き合いで、朋也が自分からやり出した事を途中で投げ出すような奴じゃないと分かっていた春原は、あの時朋也があんな事言ったのは、渚の楽しげなデートシーンやコクられたのを見た後で面白くなくて、つい心にもないことを言ってしまったんだと思っていたのだ。
だが、この徹底ぶりに朋也の本気を悟り、春原は言葉を詰まらせ呆然と窓の外を見続ける朋也を見た。