ウマ娘 プリティーダービー GTR最速伝説 作:frostvernt
数日前、トレセン学園の業務の手伝いをしていた。担当がいないのでやることがないのだ。
学園の端の方にある倉庫の整理を終えたころには、すでに暗くなっていた。
その帰り道でのことだった。
帰り道、途中にあるコースが目に入った。
普段はあまり近づかない場所だったから、こんなところにコースがあるのかと思ったものだ。
でもそれだけだった。そのまま目を外して終わり。そこに光が見えなければ。
光が見えた時、誰かが寮を抜け出して自主練をしているのかもしれない。そう思った。とっくに門限は過ぎているはずだ。
声をかけておいた方がいいかと思い、コースに近づいていく。しかしなにか違和感がある。
コースが真っ暗だ。当然だ。こんな外れの方にあるコースにナイター設備などないし、使えば警備に見つかってしまうはずだ。雲が月明かりさえ遮ってしまっている。
そこでとある噂話が頭によぎった。前のチームの娘に聞いた内容だ。所謂、トレセン学園の七不思議というやつだ。この何故かオカルトな出来事に事欠かないトレセン学園において、七不思議が何個あるか知らないが・・・
確か・・・そうだ。
夜中にコースを走る幽霊の話だ。ありきたりな噂話。トレセン学園では似たような話が山のようにあるが・・・
コースが見えない闇の中を光が疾走し、恐ろしく速く、コーナーでも速度が遅くならないらしい。
ウマ娘とは思えない走りだとか。
外ラチに近づいたとき、闇の中をその光が走り出した。
俺は立ち止まって、それを見ていた。なぜかそうするべきだと思った。
トレーナーとしての本能だろうか、とっさにタイムウオッチを取り出した。
確かに何かおかしい。速度が上がったり、下がったりしている。
でもそれだけだ。トレセン学園に入ったばかりならそういうウマ娘もいる。
自分のペースが分かっていないウマ娘の走りだ。
でも、そうじゃないように見える。何かおかしい。
わからないが、心が沸き立つのを感じる。
半分すぎてわかった。速い。どんどん速くなっていっている!
1度速度が下がるたびに、その前よりもスピードを上げていく!
驚異的なスピードだ。そしてコーナーに差し掛かる。
速度が落ちない。そして、まったくぶれない。
あの速度でコーナーを走ることなんてできないはずだ。速ければ速いほど遠心力がかかる。
しかし、あの光は内ラチをなめるように走る。
コーナーを抜ける。
光の速度が上がる。ゴールを駆け抜けた。見たこともない速さだった。
手元に視線を落とす。タイムは・・・衝撃的だった。驚きと興奮が胸を満たした。
光が消えた。コースから立ち去ろうとしているのが分かる。
そこに偶然だろうか。月明かりが差し込んだ。
月明かりに照らされ、黒みがかった青い髪が一瞬だけ見える。
そして、彼女は闇に消えていった。
俺は確かに彼女の姿を見た。
だが、彼女が一体何者なのか、なぜこんな驚異的なスピードを持っているのか、まだ分からないままだった。
ようやく、第1話に入れる。。。