I will always love you! 作:リアム
Spend time with you smiling.
小さな振動に揺られる。
座ってから1時間半。もう少しで目的地に着く。それからはバスに乗って30分。
膝の上に置いた普段とは違うバッグを抱き締めながら、淡々と動く窓の外を眺める。
「おねーちゃん。どこ行くの〜?」
耳が動く。目線を変えれば、私よりもずっと小さい男の子。
キラキラと輝く瞳に見つめられ目が合う。
「あ……え、と……帰り、ます……」
「帰る?お家に帰るの?」
「はい。帰省、で、す」
「きせい〜?」
「お、家に……かえ、り、ま……す」
「そっかー!」
ニコニコ、私にはできない顔をしながら男の子は笑って、今度は自分の話を始める。
「僕もお家に帰るんだ!」と、幸せな顔をする。
隣に座っていたお父さんらしきヒトがすみませんと謝ってくるけれど、私はその言葉に首を横に振った。
ガタガタとレールが奏でる音と、男の子の楽しそうな声に耳を傾けながら目的地までの短い時間を過ごして、知っている駅の名前で立ち上がる。
「じゃあねぇ〜!!!」
大きく手を振る男の子に手を振りかえす。
分からないけれど、嬉しい様な、恥ずかしい様な気持ちになりながらバス停へと歩いた。バスが来るまであと20分。
ショルダーストラップを直しながら、道の向こうにあるコンビニを見ながらバスを待つ。
口から、白い息が溢れていた。
バスから降りて、薄暗くなった世界の右側でコツコツ音を立てながら目的地へと只歩く。
立ち止まり、黒い機械の小さなボタンを押す。
数年振り、前と何も変わらない両親の姿。
「た、だいま……帰り、ました……」
私の顔を見て、突然泣き崩れたお母さんに驚いて後ずさる。
お父さんがお母さんと一緒に私を抱き締めた。
よく分からないまま、真似をして二人の身体に腕を回す。
「良かったねぇ」
「お帰りなさい、デイヴィッド!」
理解できないまま、頷いて、家の中に招き入れられる。
私の部屋は時間を感じない程に綺麗で、口に入れたお母さんの手料理は少しも変わる事無く只々美味しかった。
「ねぇ、デイヴ。学園の話、聞かせてくれたら嬉しいな」
「あとレースの話!次は何に出るのか決まってるのかな?お父さん達、ぜっっっったい!応援に行くからな!」
お揃いのマグカップが並ぶテーブル。
暖かい部屋の中、テレビからは年越しに向けて楽しそうな声が流れる。
「あ、と……次は、」
少しずつ声を出す。ゆっくりな私の言葉にも二人は静かに相槌をして、待ってくれる。
そうして話を終えた後、タイミングよく年が変わる。
明けましておめでとう御座います。を、言い合って新しい一年が始まる。
レースの都合で、明日の朝には帰ってしまうけれど、だけど、何時もより何倍も、何十倍も、幸せだと思う年越しだった。
「……僕。頑張る、ね」
お父さんとお母さんは声を揃えて「また笑った」と幸せそうに顔を見合わせた。