I will always love you! 作:リアム
I would like to support that run.
乾杯と使い慣れたマグカップを合わせる。中身はいつも通りの紅茶で、砂糖やレモンは入っていない。
シンプルな味と香りが口の中に広がって、紅茶の温もりがどこを通っているのか知らせながら胃に落ちていく。
「これで、3連勝だね。おめでとう」
「う、ん。ありが、とう」
「それで身体はどう?お医者さんからは特に問題無いと言われたけれど、大丈夫?」
「脚が、ふるえ……震える?」
「あはは。キツい筋肉痛がくるって言われてたもんね」
紅茶を飲んで、時々目の前の机に広げた少しのお菓子を食べながらデイヴィッドと同じ時間を過ごす。
デイヴィッドは表情こそ相変わらずだが、いつもとは違って耳と尻尾がユラユラと揺れている。
そんな変化が現れる様になったデイヴィッドに嬉しくなって、思わず笑ってしまう。
「ど、どぅ……、したの?」
「どうもしないよ。ごめんね、ちょっと嬉しくなって」
「わ、たしも。嬉しい。レースを勝った、トレーナー……と、自分の、……ちから」
「うん。うん!そう、デイヴィッドの力で勝ったんだ!」
少し前までは言う筈も無い言葉。
もう一度嬉しくなって、デイヴィッドの頭を撫でれば目を閉じてジッと尻尾を揺らす。
いつか、その顔にも笑顔を浮かべさせられたら。
きっと、それが俺のシアワセなのだろう。
「そうだ。デイヴィッドに聞きたいんだけど、次のレースは予定だと宝塚記念になるけど、半年の間どこかレースに出ておきたいとかはある?」
「で、ておきたいは分から、ない、です……でも、フェ……ブラリー、ステー、クス。見に、行きたい」
「フェブラリーステークス?何か気になっている事があるの?」
「と、もだちが、出ます」
「友達。そっか!じゃあ応援行かなきゃだね」
「うん!」
そうか。
と、自分でも驚く程に落ち着いた声が出る。
デイヴィッドは応援したいと思える程、大切に感じる友人が出来たのか。
「最前列で、応援しないとね!」
「うん。よく見える所、が、良いです」
部屋の中に掛けられたカレンダーを捲る。
大きく「2月」と印刷されたページ、デイヴィッドが望んだ日付に赤いペンで印を付ける。
忘れない様に、デイヴィッドが楽しみに待てる様に。
楽しみだな。ともう一度椅子に座って、デイヴィッドと目を合わせる。
デイヴィッドは珍しくその口角を緩く持ち上げながら頷いた。
「それにしても、デイヴィッドが応援したいと思う相手ってどんな子なんだ?」
「えっ、と……親分……?」
「親分?」
2月に向けて、一つの謎が生まれた瞬間だった。