I will always love you!   作:リアム

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I hope it will reach you.

 

The voice of this child!

 

冷たい風が吹くトウキョウレース場。すみませんと声を掛けながらファンを掻き分けて、小柄なデイヴィッドでも見易い場所に陣取らせて貰う。

 

「ここならよく見えるな?」

「うん……あり、がとう」

 

友人の応援ともあってかいつもよりずっと、デイヴィッドの表情は明るい。集合した時から穏やかに口角は上がっていて、耳や尻尾も揺れている。

電光掲示板にはもう直ぐで始まる「フェブラリーステークス」の出走メンバーが表示され、何人かのウマ娘は本バ場へと顔を表し始めている。

 

「デイヴィッドの親分はもういるか?」

「えっ、と……ま……あっ!今、出て、来ました」

 

今出てきたとなるとあの茶色い髪のウマ娘。

ワイルドな勝負服に身を包んで、自身たっぷりに砂の感触を確かめているあの娘。

名前は、シンコウウインディ。これまでにG1を含めた重賞を3勝もしている。もし、走る場所が同じだったなら高い高い壁になったであろう最強の1人。

 

「がんばれ、頑張れ……!」

 

小さく祈る様なデイヴィッドの言葉。

隣にいる俺ですらやっと聞き取れる程の声量。

それなのに彼女は、シンコウウインディはまるで言葉が届いたかの様にタイミング良くデイヴィッドに顔を向け、ピースサインを残してゲートへと走る。

 

「Have a blast……ウインディ、ちゃん……!」

 

ファンファーレに包まれながら、青色のゲートに入ったシンコウウインディはどこまでも格好良い顔をしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

走る。走る。走る。

マイルに区分された1600メートルを砂を巻き上げウマ娘達が走る。

顔に刺さる砂、身体を突き刺す冷たい風をもろともせず、勝利へと突き進む。

シンコウウインディは現在5番手を走っており、位置取りとしては素晴らしいが、ウマ娘に囲まれていてゴール前、隙間が開かないと勝利には厳しい。

 

「ウインディ、ちゃん!が、んばれ!」

 

指先を真っ白にして応援するデイヴィッドに突き動かされて俺も声を上げる。

2人で声を合わせて「頑張れ」と叫ぶ。

 

最終コーナーを回って、ウマ娘が俺達の目の前に現れる。トウキョウの長い直線、坂を登りながらラストスパートをかける。

シンコウウインディは4番手に順位を上げているが、隣も前もウマ娘達がいて抜け出す為の進路が取れるとは到底思えない。

 

「頑張れーッ!ウインディさん!!!!」

 

俺の応援なんて必要とされていないだろうけど、担当の友人を応援するくらい罰は当たらないだろう。

 

「あっ!」

 

残り、300メートル付近。

前が少し寄れてほんの少し、綻びが生まれる。

 

「が、んばれぇぇ!!!!!ういんでぃ、ちゃん……!!!!!!」

 

会場を揺らす大きな声援は、どこまでも届く。

蹄鉄の後を地面に刻み込んで、加速するウマ娘の姿。

歯を剥き出して溢れんばかり気迫で先頭に立つ。

 

「いけっ!!!!は、しれぇ!!!!」

「頑張れっ!ウインディさん!!!!」

 

喉が壊れるなんて関係無い。

友人を応援するのにそんなのは気にしない。

応援をしたいと思った相手にそんなのは気にしない。

 

喝采。

デイヴィッドの親分は、腕を上げてその結果をアピールした。

 




 
シャッターの音と、主役を囲むインタビュアー。

「本日、フェブラリーステークスを勝利した感想をお願い致します!」

身体を所々砂で汚した王者がマイクを向けられて口を開く。

「とっても嬉しいのだ!それに、今日は友達と、頑張るって約束をしていたから、頑張って、頑張って、優勝できたから、もうとっっっっても!嬉しいのだ!子分ー!!!ウインディちゃんが勝ったのだー!!」

カメラに向かい大きく手を振る王者を見ながら、目線はこっちだよね。なんて、隣に立つウマ娘と笑い合う
ほんの少しだけ、そのウマ娘の目尻は濡れている様にも見えた。
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