I will always love you!   作:リアム

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とあるウマ娘の晴れ舞台を見て、漸くその熱が冷めてきたある日のこと。トレーニングでは無く、ミーティングを行う為にトレーナー室でデイヴィッドと向かい合う。
トレーニングについては勿論、今日の本題は「勝負服」についてどうするか。
デイヴィッドと共に見たフェブラリーステークス。そして、選手達が身に纏ったGIレースに必要な大きな一つの色とりどりな勝負服。
 
「という訳で、勝負服のデザインを考えようと思います!」
 
ファッション雑誌、様々なドレスが何百ページと掲載された図鑑、デザインの助けとなるであろう芸術系の資料集、GIレースを勝った歴代のウマ娘達の写真など分からないなりに見繕ってきた資料を机の上に積み上げる。
デイヴィッドは少し驚いた様な素振りをしておずおずと丁度目の前にあった図鑑へ手を伸ばし、ページを捲る。淡々と指を動かすデイヴィッドだったが、その瞳はいつもよりキラキラと輝いている様に見えた。
 
デイヴィッドの勝負服はどの様な形になるのだろうか。和装か洋装か、パンツスタイルかスカートか、装飾はどんな感じか。
自分が走る訳では無いのに年甲斐もなくワクワクとした気持ちを抑えながら、静かにページを捲り続けるデイヴィッドを見守った。



Consider the design!

 

It is the form of your dream.

 

トレーナーが用意してくれた沢山の本へ手を伸ばす。

大きく載せられた美しい写真に、説明文。それらをキリが良い所まで目を通して、頭を上げる。わたしの目の前にはトレーナーが静かに座っていたが、疲れていたのか目を閉じて眠っている様に見えた。

どうしよう。と考えて、今日の予定を思い出す。

今日のミーティングはわたしの勝負服を決めるのだと教えられていた。直近で見た勝負服は親分のものだけど、流石にあの格好は親分だから似合うのであって、わたしには少し違うと、思う。

「何かアイディアが浮かんだらここに書いてね」と渡されたルーズリーフを見つめる。

今までデザインをするなんて行動と無縁だったからか、与えられた課題に対して何も答えが出ず難しいと思ってしまう。トレーナーが用意してくれた写真を見て何となく和服は違うなという感覚を覚えて、一行目に「洋服」と書く。後は、トレーナーが用意してくれた本を見て目に留まった飾りや要素を名称が分からない代わりに、伝わる様にと願いを込めて事細かく説明文に似た長い文章で書いていく。

詳しい勝負服の形は全然思い浮かばないけれど、一応勝負服に取り入れたい案は出せたから、後は専門のデザイナーとトレーナーと一緒に作っていこう。

でも、もしかしたら案外トレーナーがこういったデザインを得意としているかもしれない。

 

長い説明の所為で渡されたルーズリーフにいっぱいの文字が終われている姿を見ながらペンを仕舞う。

何十分か振りに目線を上げ、トレーナーの顔を見てみるが気持ち良さそうに眠っていてまだ起きる気配は無い。

一瞬、起こそうかと思うが普段から色々な事で動いてくれている疲れが出たのだろうから、トレーナーを起こすのもなんだか忍びなく感じてしまい、まだ手を付けていない本へ手を伸ばす。

デザインの本は初めて見たけれど、案外面白くて、もう少しだけこの時間を続けていよう。

トレーナーを起こすのは、後少し、針が進んだ後でも大丈夫なはずだ。

 

 

 

ふわふわとした感覚に身を委ねている時、優しく肩を揺すられて瞼を開ける。室内に入る光の色と、変わった空、直ぐに目を向けた時計の針の位置に声を上げる。

そうして、ひとしきりやってしまったと騒いだ後にデイヴィッドから渡されたルーズリーフに目を通す。

頭の片隅で渡されるそれは真っ白なままだと思ってしまっていたから、真っ白の中に沢山黒が混じっている事へ安堵して、心の底から嬉しくなった。

 

「後は、これを形にするだけだな」

「う、ん。お願い、します……」

 

きっと色々考えて、表現してくれたのであろう文章を読みながら自信満々に受け取ってはみるものの、生憎俺は大切な時に発揮できるセンスを鍛える事が出来なかったので、担当の晴れ舞台に着る大切な一着を任せてもらう事は出来ない。

今日という日以上にデザインが得意な友人がいた事へ感謝した事はない。

 

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