I will always love you! 作:リアム
To win.
カレンダーに印刷された数字の上へバツ印を書き込む度に、その日が着実に近付いているのだと実感させられる。
俺の担当するウマ娘、デイヴィッドが最高位のレースG1宝塚記念へ出走出来る事が決まった日から、トレーニングの量も増えている。
学生として必要な時間と最低限の休日以外は殆どトレーニングに費やして、高い壁を乗り越える為の力を付ける。
「デイヴィッド!5分休憩してからもう一本いくぞ!」
「うん……!」
ドリンクの入ったボトルを渡して、新しいタオルを頭の上に掛ける。
そこまで気温の高い時期でも無いのに汗が流れて、複数枚用意したタオルが直ぐに重くなる。
「本番まであと10日。もう少し、頑張ろう」
「大丈夫……わたし、やれるよ」
「あぁ……そうだ!デイヴィッド!終わったら思いっきりパーティーをしようか。食事も、次の日のトレーニングも気にせずに、ぱーっとさ!」
「たの、しそう……じゃあ、テーブルの上……トロフィーが、あった方が……もっと、素敵だ、ね」
デイヴィッドがぎこちなく笑う。
本当は出走できただけ嬉しいと言いたいけれど、この言葉が士気を下げうるものになる言葉だと分かっている。
俺の悪癖である諦め癖、というか何かにつけて満足をしようとする癖はこの場において出してはいけないものだと俺が一番分かっている。
目標は高い所が良い。
宝塚記念を勝つ。それも、後続へ10バ身付ける程の圧倒的な勝利。
「よし、よしっ!優勝しに行こう!デイヴィッド!」
「も、もち、ろん!」
「2着に10バ身は付けよう!」
「つ、付ける……!」
「先輩にも声を掛けて、また合同トレーニングだ!」
「また、囲まれ、ます!」
「2200メートル逃げ切り勝ち!」
「します……!」
グラウンドの端、周りにもトレーニングをするチームがいる中で恥も注目も気にせずえいえいおーと拳を高く上げる。
もしかしたら、誰かの癪に触れてしまったのかもしれない。お前になんか勝ちを譲る気は無いと思われているかもしれない。
でも、関係無い。
デイヴィッドは勝つ。きっと、勝つ。
沢山の観衆の目を奪い、圧倒的なパフォーマンスで。
「もう一本いくぞ!」
「うん!」
ストップウォッチを片手に収めて、記録用紙を抱える。
スタートの合図で走り出すデイヴィッド。淡々と数字を刻んでいく画面。着実に縮んでいくタイム。
坂路トレーニングのお陰でパワーも、心肺機能も抜群に良くなっている。
デイヴィッドが、先頭で、2分9秒を切る様な速さでターフを駆け抜ける姿を夢に見る。
俺は、それを現実にする。