I will always love you! 作:リアム
Mixing flavors and Photos.
デイヴィッドとデイヴィッドの親分が交わした同じレースに出るという約束。
俺と初めましてのトレーナーが頷く担当するウマ娘からの願い。
舞台は10月に京都レース場で行われるオープン戦「太秦ステークス」、ダートの1800メートル。そこを目標にデイヴィッドは挑戦する者として不得意の修正を、親分は立ち塞がる者として更に牙を磨く。
陽炎が揺れる地面、キラキラと輝く海を前にして荷物を持ち直す。
「デイヴィッド、夏合宿でとことん追い込むぞ!」
「うん……!」
仲の良い親分との勝負前だからかデイヴィッドのやる気もあり、熱中症予防に被っている帽子で遮られている代わりに尻尾がいつもより多めに揺れている。
前回の合宿から一年経ったのかという実感と、前回よりもテンションを高くして迎えられた事実を噛み締める。
「今日は移動の疲れを取る為にトレーニングは最低限にして、夜はバーベキューを楽しもうね」
「バー、ベキュー……?」
「あれ?やった事ない?」
「ううん……I was very much looking forward to it.」
デイヴィッドから放たれる流暢な言葉に首を傾げてしまう。
突然どうしたの?と聞けば、何となくと帰ってきて、その言葉にそっかと返す。
こんなおちゃらけたやり取りをできるくらい俺と彼女の関係性が出来上がっているのかと思うと、先程噛み締めた気持ちにプラスして無性に嬉しくなった。
ダートレースに挑戦する為に脚の速さより、パワーを付けるトレーニングを中心に組んだメニューを軽くこなした後、夕食の時間。
久し振りに炭へ火をつけるなんて行動をしながら、食材を切り分けていく。デイヴィッドは別のテーブルで黙々と食材を串に刺している。
「……うん。炭はこれくらいで大丈夫かな?デイヴィッド!刺し終わったやつから順に網に乗せていって」
「わ、かった」
肉と野菜が鉄の網に触れ、ジュッと音を立てる。
立ち上る煙は咽せるだけのものなのに今だけは食欲を湧かせるものに変わっている。
数分待って、串を回す。網目の濃い茶色が味を保証する。
タレを塗ってワッと煙が上がるのをデイヴィッドと一緒に目で追う。
「……よし!これで大丈夫かな……?食べようか」
「はい……!」
いだだきます。
声を合わせて、串を持って、かぶり付く。
あちっ!と声を上げながら、隣でバーベキューを楽しむデイヴィッドを横目で見る。
いつもよりキラキラした瞳で、昼間に見た時よりも激しく耳と尻尾を揺らしながら咀嚼している。
美味しい?と聞けば、頷きだけが返ってくる。
でも、今回の頷きは昔の様な透明なものではなく、食べる事に夢中で声を出せないというとても色付いた頷きに見えた。
「あれ、デイヴィッド何してるの?」
食事の途中、珍しくデイヴィッドが携帯を持つ。
使っている姿を殆ど見た事の無いそれを掲げて首を傾げている。
「顔……映ら、ない?」
顔が映らない?
何の事だと思いながら画面を覗かせて貰えば、購入時、最初からインストールされているカメラアプリの画面になっていて、ずっと的外れな水道が並んでいる景色を映している。
「もしかして、写真撮りたいの?」
「お父さん、と……お母さんに、見せ、たくて」
「そっか。じゃあ、俺が撮るよ」
携帯を受け取ろうと手を出しかけるが、デイヴィッドは首を振る。
「あなたも、」
言われた言葉に一瞬頭が真っ白になって、へ?と間抜けな声が出る。その間もずっと、デイヴィッドは首を傾げている。
お互いに何も進歩が出せない中、通り掛かった親切なウマ娘にデイヴィッドはカメラの操作を教わっていて、自分の顔が映る様になった画面を高く掲げる。
しかし、身長差があって俺の顔はあまり映らない。
娘の私的な記念写真に俺なんかが入って良いものかと考えるが、デイヴィッドが一緒にと言ってくれるならそれに応えたい。
デイヴィッドの持つ携帯を一言断って手に取り俺とデイヴィッドが映る様に位置を修正する。
カシャと聞き慣れた音を立てて画面が切り取られる。
デイヴィッドは満足げに「有難う」と言って携帯をポケットへしまう。
写真を撮る瞬間、見上げた時に見えた夜空はデイヴィッドの瞳の様に星が煌めいていた。
お父さん、お母さんへ
先日、夏合宿に行きました。
去年よりも楽しんでトレーニングができて、バーベキューもできました。
前送った手紙で書いた親分とのレースもできることになりました。10月の太秦ステークスです。中継で見てくれたら嬉しいです。
頑張ります。
今回は一緒に写真を送ります。トレーナーと撮ったものです。
僕は今、学園生活を楽しんでいます。有難う御座います。