I will always love you!   作:リアム

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Take a video.

 

Training so hot that it is burned into your memory.

 

「皆、さん。見えています、か?……こん、にちは……デイヴィッド。で、す」

 

体操服に着替え、グラウンドを背にしたデイヴィッドを画面に収め、その姿や言葉を録画する。

有馬記念のファン投票が始まってから行っている俺の最善という名のアピール方法。始めた頃はこんなんで良いのだろうかと悩んだけれど、普段表立った事をしてこなかったからか簡単に編集しただけの動画でもそこそこの再生回数を記録し、応援コメントも投稿して貰っている。

質問返答、トレーニング、ダンスレッスンを主に投稿しているが矢張りと言うべきが一番の人気所はダンスレッスンの動画で、先日10万回再生を突破し2人で声を上げて驚いた。

それ程デイヴィッドが注目される存在となったのはとても喜ばしい。

 

「で、では……今日は併走をして、いきます」

 

動画の流れや進行として話すべき言葉を書いたカンペを元にデイヴィッドが今日のトレーニング内容を口にし、それを言い終えたタイミングを見計らって併走相手が映る様にカメラを動かす。

デイヴィッドから変わり、画面の真ん中に映るのは先輩と契約している俺もお世話になりっぱなしないつメンとも言えるウマ娘達。先輩が受け持つウマ娘達は有馬記念に出走する予定が無い為、今回も、二つ返事で頷いてくれた。本当に有難い限りだ。

 

「じゃ!この可愛い後輩、デイヴィッドと一緒に走っていくよっ!」

「あ、えっと、距離は、2500メートル……で、す」

「今日は特に本番をイメージしてやるから、この動画を見ている皆!目を離しちゃ駄目だかんねっ!」

 

肩を抱かれ、少し驚いた顔をするデイヴィッドと見慣れた快活さで進行をしていく先輩のウマ娘、ギェナトラベルが言葉を話し終えた所で一旦録画を止め、少しの休憩時間を取る。

そしてまた、カメラを向けウォーミングアップ場面を映し、今日の目玉である併走の準備を進める。流石にここからのトレーニングには邪魔になるので、手で持っていたカメラを三脚に付け画面を確認して再び録画ボタンを押す。

 

「それでは、軽くグラウンドを一周流して2500メートルを走っていくよ!」

 

デイヴィッドのアピールであるこの活動は最初、俺の声が入る事にちょっとした心配があったものだけど、トレーニングを主題としたコンテンツであった為に案外俺の声が入る事に見てくれる人は好意的で、一人部屋の中で「良かった」と肩の力を抜いたなんて懐かしい事を思い出す。

グラウンドを緩い速度で走るデイヴィッドと、ギェナトラベルの髪が風に揺れていかにも青春の一ページを演出する様な世界が動画へと記録される。

 

「……それでは、芝2500メートル。天気は晴れ、バ場状態は良。よーい、ドンッ!」

 

俺の声に2人が走り始める。

スタートして直ぐウマ娘にとっては本気では無い速度でも、人間の俺にとっては追い付けないスピードでグラウンドの上を走って行く。楕円に作られたコースを蹄鉄で抉って土を飛ばし、芝の破片を空へと巻き上げながらスピードを上げて行く。

坂路では無い為、辿り着いたスピードのまま500メートル、1000メートル、1500メートルを通過する。

 

「残り800メートルッ!ギェナッ!」

 

「あいあい!!!」

 

グンとギェナトラベルの走りが変わる。今まで並んでいた場所からデイヴィッドを2バ身、3バ身と離して行く。

驚いた顔のデイヴィッドもギェナトラベルを追う為にスピードを上げるが、ここでデイヴィッドへと持たせていた数百グラムの錘が牙を向く。

体力がある状態、ペースを守っていた状態なら特に気にならない物だったとしても、疲労を溜めた所から更に頑張ろうとする状態では例え数百グラムの違いも苦しくなるものだ。

本番も疲労した状態で最後の急坂を登り、周りの猛追を退けて一番にならないといけない。

ならば、今回のギェナトラベルにも喰らい付ける様にならなければいけない。

 

「4200メートルちゃっちゃと飛んでたアタシに着いて来なッ!!!」

「負け、無いッッッッ!!!!!」

 

デイヴィッドがスピードを上げる。しかし、ギェナトラベルが持つ無尽蔵にも思えるスタミナと、デビュー当時はスプリントでタイトルを重ねていたその天性の速さに追い付けない。

800メートルの死闘の末、デイヴィッドは1バ身まで差を縮めたもののギェナトラベルには届かなかった。

 

「お疲れ様〜っ!」

「ハァ、ハァ……んぐ……」

「おーおーおー、限界超えちゃってるね。ホラ、まずは歩こ〜」

 

頑張り過ぎて激しい呼吸をするデイヴィッドの手を引いてギェナトラベルがゆっくりのスピードで歩いて行く。まだまだやれると言わんばかりのギェナと、疲れ切ったデイヴ。

デイヴィッドのスタミナだって素晴らしい筈なのに、それを凌駕するものを持つギェナトラベルが同じレースに出ない事を喜ぶべきか、それとも悔しいと思うべきが少しゴチャついた気持ちを覚えながらカメラの録画を止める。

終わりの挨拶をして貰うには、まだ少し、時間が掛かりそうだから。

 

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