I will always love you!   作:リアム

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「ネオユニヴァースは、デイヴィッドを“激励”する。一緒に『観測をしよう』」
 


Let's go find love.

 

Open the box a little.

 

緑豊かな地面がどこまでも広がる場所。都会の様な喧騒はなく、ただずっと穏やかな時間だけが流れている。

不思議な空間に連れて来られて、導かれるままに歩く。

 

「スフィーラ。良い所、だね」

「これが、激励。ですか?」

「そう。此処は、別世界のデイヴィッドが“PRTS”と過ごした場所。ネオユニヴァースは、この景色でデイヴィッドの“士気”を『高める』をするよ」

 

風に揺れるネオユニヴァースの髪を見ながら、もう一度世界に目を向ける。変わらない、穏やかな場所。初めて見た景色なのに“どうか、これからも変わりません様に”と祈ってしまう不思議な魅力がある。

湧き上がる形容の出来ない懐かしさに包まれながら、もう少しだけこの世界を見たいと思い歩く。不思議な空間ではあるけれど、ネオユニヴァースの言った士気が高まる様に心身のリフレッシュを存分に楽しむ。

そうして綺麗な世界を歩いて、辿り着いた大きな建物。立派だけど、年季が入っていて所々ボロボロな部分が見える。

 

「もう少し、待っていて」

「待つ……?」

 

立ち止まり、静かな時間が進む。

言われたままに建物を見つめていれば、コンクリートの床でトツトツと音を立てて誰かが歩いて来る。建物から外、コンクリートから土の地面に歩く場所が変わり歩いて来たヒトの顔がよく見える様になる。

働き者の焼けた肌と顔に刻まれた皺、ズボンに乱雑に押し込んだ軍手が揺れ、長靴は泥に塗れている。その男性はわたし達に気付くことなく真っ直ぐ歩いて行く。

咄嗟に声を掛けようとして手を伸ばしかけて、一歩を踏み出した瞬間にわたしの隣を歩いて行くもう一つの存在。

 

「あ、れ?」

 

大きさは全く違うけれど、犬や猫と同じ四足歩行で茶色の身体、長い尻尾が揺れるわたしが夢の中で見た事のある姿。それは、何をするでもなく男性の背を追ってゆっくりと歩き、いつしか一人ともう一つは柵で囲われたスペースに入ってわたし達が歩いて来た緑豊かな地面に寝転んだ。

 

「これが、デイヴィッドの『愛』、なんだね」

「わたしの、愛?」

 

正直、ネオユニヴァースの言っている言葉は分からない。知らない男性と夢で見た事があるだけの動物が一緒にいるだけだ。お父さんやお母さんが出て来るわけでもなければ、トレーナーが出てくる事もない、おじさんだっていない。

それなのに、どうしてだろう。

 

「……懐かしい」

 

漠然と感じるこの気持ちはなんだ。

人間と動物が仲睦まじく同じ時間を過ごしているだけの殺風景な景色なのに、頭が掻き回される様な感覚。

 

「Nice weather.×××××」

 

どこからともなく声が聞こえる。きっと、あの寝転んでいる男性からだ。でも、最後の言葉はボヤけて上手く聞こえなかった。

何も起こらない、淡々と過ぎていくだけの時間。

それでも、理由は分からないし根拠も無い。頭に浮かんだだけの思い。

 

「あれは、僕だ」

 

男性が身体を預ける大きな動物。ネオユニヴァースが言った別世界とやらで自分が持っていた姿。

そんな思いが浮かんだ瞬間に、確信を持つ。

緑豊かな地面の上、寝転ぶあの男性が怖い夢の中“大丈夫だ”と優しく言ってくれたヒトだ。

 

「……やっと、会え、た」

 

ずっと会いたかったんだ。

僕が辛くて、苦しくて、死にたくなってしまう時、ずっとずっと側にいて唯一笑い掛けてくれた。離れてしまった時も会いに来てくれた。優しくて、僕の大好きな守護者(家族)

 

「ネオユニヴァースの“激励”は『リフレッシュ』になった?」

 

訳も分からずボロボロと流れる涙を拭って、止まらない嗚咽の音を立てながら声を上げる。

こんな幸せな気持ちで泣けたのはいつぶりなんだろう。心のどこか、怖い気持ちの所為で鍵が掛かってしまっていた箱が少しだけ開いた気がする。

あぁ、幸せだ。

もう、怖いものは無いよ。

僕は、僕を助けてくれた皆に“勝利”を届けてみせる。

 

「そろそろ“帰還”しよう」

 

頷く。

本当は名残惜しくて、この場所から動きたくなんてないけれど自分の目標の為に一歩を踏み出す。

悲しいけれど、苦しくはない。この思い出はしっかり記憶に残っているから。

 

「I will always love you.」

 

その言葉に僕が言葉を返せたら、どれだけ幸せだったのだろう。今の僕なら、沢山話せるのに。

 

「言葉を交わすのは難しい。でも、心でなら簡単に“交信”できる。そうでしょ、デイヴィッド」

「……うん……うん!その通りだ!」

 

心を読んだかの様にネオユニヴァースが振り向く事なく笑っていて、さっきまで泣いていた僕も釣られて笑う。

 

有馬記念、必ず勝って僕の言葉を伝えるから、どうか貴方に届きます様に。

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