I will always love you!   作:リアム

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Can you see it?

 

This "blue" .

 

「子分、緊張しているのだ?」

「……いえ。緊張は、していません」

「そっか!今更だけど、その衣装似合ってるのだ」

「有難う御座います、親分。行ってきます!」

「うん!全力で走ってくるのだ!」

 

光が漏れる地下道の出口前、応援に来てくれた親分が応援をくれる。遠くから熱狂の声が聞こえていて、私もそれに触発されて早く走りたいと心が叫んでいる。

両頬をペチペチと叩けば、後ろに回った親分が背中を優しく叩く。

 

「Have a Blast.」

「You’re the Bee’s knees.」

 

 

【URAファイナルズ、枠入りが始まっています。3番人気はこの子ゼンノロブロイ、僅差で2番人気となったネオユニヴァース】

 

淀みなくゲートの中にウマ娘達が入っていく。あと数分もすれば目の前を遮る壁が無くなり、数分間の勝負が始まる。

 

【1番人気は勿論この子、有馬記念を優勝したデイヴィッド!】

 

ざわりと観客席から歓声が上がる。

私がこんなにも大きな歓声を向けられる存在になるなんて思ってもいなかった。皆から遅れたスタートを切りながらも、この瞬間に素晴らしい舞台に立てている事に感謝しかない。

 

「良い、レースにしよう」

 

ガチャンと音を立てて目の前が開かれる。

一流の舞台、誰も遅れる事なく揃ったスタート。

先頭を走るウマ娘達の背を見ながら中団少し後ろに位置を取る。私がメイクデビューを飾った時と同じ東京レース場。

 

「……勝ちたいッ!」

 

ただ、それだけを目指して。

 

スキル:ブルースターとエピドート

 

 

【一斉にゴールを切った18人のウマ娘達は緩やかに降りながら第一コーナーを通過していきます!勢いに乗ってユグドラバレーが更に前に出て行きますが、どこかで息を入れられるでしょうか!ここで、17番ブリーズカイトも最後方から少し順位を上げています!】

 

和洋折衷の勝負服を見に纏う小柄なウマ娘が大逃げをするウマ娘に惑わされず、先頭を走るウマ娘の背を見つめ落ち着いて走っている。

その姿を見るのが、俺は好きだ。

全力で走るウマ娘を見ると心が湧き上がって大声で応援したくなる。そして、その中で一等輝いて見えるのは契約を結んでいる担当ウマ娘。

今日もまた「頑張れ」と声が出る。届かないと分かっていても、思わず漏れてしまう応援の声。

 

【大逃げウマ娘ドリーミネスデイズは1人3コーナーの坂を登っていきますが、少し勢いが落ちてしまったか!?先程よりも差が縮まってきている!】

 

先頭のスピードが落ち、最初は10バ身に迫る差があったのが、3コーナー付近の坂を登る頃には7バ身程度になり、坂を降る頃には5バ身の距離になる。

表情に少しの苦しさが滲んでいる。ただでさえ逃げを選択しているのに足して大舞台で掛かってしまったか。

ウマ娘達が一つ目の坂を駆け上がる。

 

スキル:余熱、支えてくれた心

 

【ここで2番のデイヴィッドが下り坂を活かして前に出るが、スタミナは大丈夫か!?ラストスパートに耐えられるのか!!!】

 

蹄鉄が地面を蹴る音を聞きながら下り坂の勢いのままスピードを上げる。ある程度平坦になった芝の上を気付かれないギリギリを攻めながら息を入れて、再びスピードを上げる。残りの直線で坂道が待っている故か、私の走りに釣られてスピードを上げるウマ娘はまだいない。

しかし、私はスタミナ自慢のウマ娘でもある。

皆の狙いには乗ってやらない。

 

最後のコーナーを回り、脚にグンと負荷が掛かる。走っている目線では感じられない上り坂が、着実にスタミナを奪う。

ここまで来て漸く蹄鉄の音が激しく聞こえ始める。誰もがラストスパートに向けてスピードを上げ始めている。

 

「抜かせる、ものか……!」

 

400メートル手前、私が先頭に立つ。

 

リトル・レッドはTHxと鳴く

 

【先頭に立ったデイヴィッド!まだ余裕がある!しかし後ろからネオユニヴァース!!!ゼンノロブロイの猛追!!!グラスワンダーが来た来た来たッ!!!!後ろからヒシアマゾンも襲って来る!!!!!】

 

息が止まる様だった。

握った両手が白く染まって、爪が食い込む。世界が歓声にも似た大声で揺れる。心臓が何よりも大きく音を立てる。

 

「行け……行けぇッッッッ!!!!!デイヴィッドォォォォッッッッッ!!!!!!!!」

 

【泣いても笑ってもこれが最後!!最後の脚比べ!!!ネオユニヴァースが前に……出ない!デイヴィッド再び前に出る!!!】

 

グンと脚に力を込める。まだ余力はある。

直ぐ後ろにビリビリとした恐怖が走る。

抜かせるものか、抜かせるものか、抜かせるものか!!!

 

「うあ"あ"あ"あ"ぁ"ぁ"ぁ"!!!!!!!」

 

自分のものとは思えない咆哮が溢れる。

ウイニングライブの事なんて知らない。私はただ、この一瞬だけを自分のものにしたい。親分に、両親に、おじさんに、トレーナーに、共に走ってくれた皆に胸を張れる私として勝利する。

 

「私が!!!!勝つ!!!!!!!」

 

 

 

 

 

【URAファイナルズ決着!!!!!2400メートルを制したのは2番ゼッケンのデイヴィッド!!!!!2着にはネオユニヴァース、3着にはハナの差でゼンノロブロイ!!!まさかまさかの発表された人気と同じ順位となりました!!!】

 

ターフの真ん中に立つ1人のウマ娘に何万、何十万の視線が向けられる。肩を激しく揺らして巨大な電光掲示板に映される結果を見つめているそのウマ娘は、ゆっくりと震える右手を青空に向けて突き上げた。

もう一度、レース場が揺れる。それは祝福かもしれないし、何故お前がという罵倒かもしれない。

だが、結果が揺らぐ事は無い。正々堂々戦って、勝利したのがデイヴィッドだ。

 

「私を見ろ。貴方の、愛バが……勝って、しまったよ……」

 

顔を上げて幸せそうに笑うウマ娘がポツリと言葉を溢す。

誰に向けたのかも分からない言葉は、ウマ娘の持つ瞳と同じ色の空に溶けていった。

 

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