I will always love you!   作:リアム

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リアムが日本のお人好しとメールのやり取りを始めて少し経った頃、デイヴィッドの馬主である富豪がこれまでの悪行が世に晒されて捕まりました。
馬主はデイヴィッドへの素行のみならず、自分の会社でも沢山の事を行なっていました。
馬主が捕まってからの厩舎はリアムの孤城でした。
この場所にサラブレッドを愛する人間など、最初からいなかったのですから。
 


 One more thing.

 

Irreplaceable time.

 

 

俺の目の前にいる見慣れたオトコノコ。

栗毛を美しく纏うその身体に優しく手を添える。

ゆっくりと、時間をかけて手を動かせば嬉しそうに、幸せそうに目を細めて俺の身体にぎゅっと、顔を押し付ける。

俺はこうされるのがとても誇らしくて思わずその顔を抱き締めてしまう。

あぁ、

あぁ、

 

デイヴィッド。

元気そうで、安心したよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

騒がしい音で意識が戻る。

赤くなった瞼を開ければ、カーテンの隙間から光が漏れている。

休日用に設定した何時もより何時間か遅いアラームを止めて、身体を持ち上げる。

 

「……また、夢か」

 

当たり前だ。

あの子はもう何年も前に亡くなり、今は少量の鬣を残すばかりで、それ以外は静かな場所で眠っている。

 

それにしても久し振りに夢を見た気がする。

最近ゲームのデイヴィッドに現を抜かしてから嫉妬をしてきたのか、それとも偶然か。

 

「どちらにせよ、会えて嬉しかった」

 

お守りとして常に身近に置いている鬣を包んだ紙を撫でる。

人間はどんなに大切な存在でも時間と共に記憶から消えていってしまうと言うが、まだ、俺がデイヴィッドの事を忘れていないのだと安心する。

 

「“会えて嬉しかった”って、昔のオンナ?」

「……嫌、違うさ。どちらかと言えば昔のオトコかな」

「昔の……分かった!またあの子ね?なんだか嫉妬しそう」

「すまない。そんなつもりは無いんだけど」

「良いのよ私にだって忘れられない思い出はあるもの……お早う、リアム」

「あぁ。お早うユウキ」

 

俺を起こしに来てくれたのかユウキが悪戯っぽく笑う。

そういえば、ルリが今日は帰ってくる日で、三人で出掛けようって予定を立てていたんだった

 

「今すぐ準備するよ」

「あ、思い出した?なるはやで宜しくね」

「ナルハヤ……?」

「なるべく早くって事!」

 

日本に来てはや20年以上、未だに知らない言葉が出てくる毎日に感心しながらひんやりとしたフローリングに両足を乗せる。

身体を伸ばして日の光を浴びれば、少しぼやけていた意識も完璧に覚醒する。

鏡の前に立ちアイロンをかけたシャツを着て、新しいスラックス。そして、カジュアルなジャケットを上に着れば二人と並んでもきっと遜色は無い筈だ。

髭もしっかりと剃って、髪の毛だって整える。

今日は少しだらしなくても許される場所では無いからな。

 

「これは……今日は辞めておこう」

 

普段は必ず持ち歩く“お守り”を持たずに家を出る。

たまの休みにデイヴィッドを連れて行かないのは申し訳無いけれど、今日は一日家族で過ごす日だから、デイヴィッドだってきっと許してくれる。

 

「……行ってきます」

 

本当に大切な子なのねと笑うユウキに、俺のTOP3の3番目だと笑い返す。

ユウキにルリにデイヴィッド。

 

俺の大切な二人と一頭だ。

 

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