シャドバプレイヤーには一人に一体ずつ、デジタルフレンド、通称デジフレが存在する。どのプレイヤーもデジフレを可愛がりそれぞれに絆を深めていく。しかし、中にはデジフレに対して冷たく扱う者もいた。その一人が邪星リョウガである。
リョウガがデジフレに対して冷たいのには理由があった。それはリョウガがシャドバを始めたきっかけまで遡る。
ある時、リョウガの友人がシャドバをプレイしていた。リョウガは何となくその様子を眺めていた。すると、友人は対戦相手に勝利した。すると、その友人の前にどこからともなく可愛い女の子が現れた。
「わーい、やったぁ。けんぞくぅ、よくやったえらいえらい」
その女の子は、リョウガの友人の頭をナデナデする。
「ん、なんだそのコは?」
「ああ、彼女か? ヴァンピィちゃんと言って、シャドバを始めた時に俺に設定されたデジフレなんだ」
「デジフレ?」
「デジタルフレンド、通称デジフレ。シャドバプレイヤーみんなに与えられるデジタルデータの友達なんだ」
「へえ、いいじゃないか」
「でもよ、勝ったときはいいけど、負けた時は悲惨なんだぜ。雑魚呼ばわりしてなじってくるしよ」
「雑魚呼ばわり・・」
リョウガはふと、自分が対戦に負けた時の事を想像した。
「けんぞくぅ、負けちゃったじゃないの。ざぁこ、ざぁこ」
「あ、わりぃ。まだ慣れてなくてよ」
「それで謝ってるつもり? 誠意が感じられないわねえ」
「ええと、負けてすまん」
「まだちょっと偉そうねえ」
「負けてしまって、ごめんなさい・・」
「ごめんなさいが、聞こえな~い!」
「ええー・・」
「・・いい」
「ん、何か言ったか?」
「いや、何でもねえ。それより悪い、急用があった。俺帰るわ」
「あ、そうか、じゃあな」
リョウガはすぐに自宅に帰ると、すぐにスマホを取り出してシャドバをインストールした。そして、メインクラスに迷わずヴァンパイアクラスを選択する。
「さあ来いヴァンピィちゃん。オレをけんぞくぅにしてくれー!」
しかし次の瞬間、青色の奇妙な生物が現れ、嬉しそうにリョウガの足もとにすり寄ってきた。
「デモ~ww」
「あ、なんだこいつ?」
「デモデモ~」
リョウガがスマホの画面を見ると、そこには『デジタルフレンドにパンクデビル デモニアが選ばれました』と書かれている。
「はあ、何だそれ、ふざけんなよ!」
「デモ~」
「デモじゃねえ、オレは言い訳は嫌いなんだよ!」
「デモデモ~」
「だから、言い訳なんかすんじゃねえ! くそ、最悪だ、こうなったらリセマラだ。こんな得体の知れないモンスターをデジフレにして何が楽しいんだ」
リョウガはスマホ画面を開き、シャドバのアプリをアンインストールする。その瞬間、デモニアも消えてしまった。それを確認してから、改めてシャドバを再インストールする。そして再びシャドバを起動する。すると、それを同時に再びデモニアが現れる。
「ああ!? んだよこれ、リセマラできない仕様かよ、ふざけんなよ!」
「デモ~」
「デモもテロもねえ、そんなにデモがしたいなら国会議事堂前にでも行きやがれ!」
リョウガはデモニアを蹴り飛ばし、部屋の外に追いやってしまう。
「くっそぉ、オレの甘酸っぱい青春が。最悪な気分だぜ、ちきしょう!」
そうしてデモニアの苦難の日々が始まったのでした。
おしまい。