副総長、特攻隊長、防衛隊長は、総長のガロダートの引き立て役にされる毎日だった…。
羅刹の咎人ガロダート。
狂乱ヴァンプの攻撃の要であり、狂乱ヴァンプの全勝利数の6、7割を担う男。対戦相手からしても、6ターン目以降は常にガロダートの存在を意識しながらプレイしなければならない。まさに台風の目のような存在だ。
ガロダートが真価を発揮するには同一ターン内に4回の自傷ダメージを必要とする。しかし、ガロダート自体の効果では1回しか自傷できないため、残りの3回を他のカードで補わなければならない。
そう、ガロダートの輝きの陰には、彼を支える仲間の存在が必要不可欠だったのだ。
さて、話は数年前にさかのぼる。
ガロダートとその仲間たちが高校生時代。体育の授業でサッカーが行われた。防衛隊長が相手からボールを奪うと、それを特攻隊長にパスをする。特攻隊長が華麗なドリブルで敵陣深くまで切り込み、そこでさらに副総長にボールが渡った。
「これはチャンス!」
副総長がシュートをして決めようとした瞬間、どこからともなく現れたガロダートが副総長の隣に回り込んできた。
「副総長、オレに回せ、オレが決める!」
「あ、はい総長、お願いします」
ガロダートに言われ、条件反射的にパスを回す。そして、ガロダートはそのボールをそのままシュートしゴールを決める。
「よし、決まったぜ。ナイスアシストだ副総長!」
「おす、ありがとうございます!」
女子生徒がガロダートに黄色い声援を送る。
「キャー、ガロダート君カッコいい!」
「ステキ―!」
「フッ、ボールを繋いでくれた仲間たちのおかげだ」
防衛隊長は女子生徒に囲まれているガロダートを遠目に見ながら呟く。
「あーあ、総長は最後に決めただけで、8割がた俺たちが仕事したのになあ」
その呟きを受けて特攻隊長と副総長も小さくため息を吐いた。
別のある日、ガロダートたちは野球チームを結成していた。とある大会の決勝戦、0対0のまま9回の裏を迎えていた。
打順は1番の特攻隊長。特攻隊長は死球(デッドボール)で1塁に出ると、2番の防衛隊長が送りバントで特攻隊長を2塁に進め、1アウト2塁で打順は3番の副総長となった。
副総長はライトフェンス直撃の長打コース。打球は転々とライト線を転がる。副総長は、2塁ランナーが悠々と本塁に生還できると確信した。
(勝った!)
サヨナラヒットを確信し、副総長は1塁を回った所でストップする。そしてランナーの様子を見ようと辺りを見回すと、3塁に特攻隊長がいる事に気付く。見ると3塁コーチャーが特攻隊長の進塁を止める指示を出していた。
「え、バカな、あのヒットで帰れなかっただと!?」
すると、バッターボックスに4番のガロダートが立っていた。1アウトランナー1,3塁の状況で、ガロダートが構えの態勢に入る。
「まさか総長、自分が決めるために・・・」
4球目のストレートを叩くと、打球はライト方向に高々と上がった。ライトが捕球すると特攻隊長はタッチアップし、本塁に生還。サヨナラ犠牲フライとなった。
そうしてゲームに勝利し、ヒーローインタビューとなった。
「ヒーローインタビュー、サヨナラ犠牲フライを放ったガロダート選手にお越しいただきました!」
するとガロダートはお立ち台の上で観客に向かって手を振っている。
「ガロダート選手、どんな気持ちで打席に入りましたか?」
「仲間が繋いでくれたんで、絶対にオレが決めてやろうと思って打席に立ちました」
「前の打者のライト線へのヒットでも十分帰れそうでしたが、あれを止めたのはガロダート選手の指示だったそうですが、何か意図があったのですか?」
「次の打者がオレじゃなきゃあそこは走らせてました。しかし、次の打者がオレだった。無理に走らせるより、オレに回した方が確実に点が取れると思ったので止めました」
「ガロダート選手、次はシャドバ界に進出するという噂をお聞きしたのですが、本当でしょうか?」
「ああ、次はシャドバ界に殴り込みをかけます。オレには心強い仲間がいますから、この絆をシャドバプレイヤーに見せつけてやりますよ!」
すると観衆の歓声が一際大きくなる。ガロダートは両手を振って歓声に応える。防衛隊長、特攻隊長、副総長はそれを冷ややかに見守っていた。
「なあ、オレ達また、引き立て役かなあ」
「だろうな」
「美味しいとこはみんな総長が総取りだもんなあ」
そうして思った通り、シャドウバースでもガロダートに美味しい所を取られ続ける3人なのでした。
おしまいw