リーダースキン化を諦めきれないテトラは、姉のモノに人気が出るためにはどうしたら良いか相談するのだった。
テトラは人気キャラ投票に2連敗し、モノ、テトラ、エンネアの三姉妹の中では唯一リーダースキン化していない。その悲しみを長姉であるモノに伝えていた。
「モノ姉さま、スキン化人気投票また負けてしまいましたー」
「うむ、相手はエレノア嬢だったな。まあ、この結果は目に見えていたよ」
「えっ、姉さまには分かっていたのですか!?」
「ああ。エレノア嬢は実に私に似ている。そして、それこそが彼女の人気の源泉だ。それが何か分かるかテトラ?」
「うーん、あの物おじしない口調とかはモノ姉さまに似ている気もしますが、後は思いつかないです」
「まあ、一言で言うと、意外性だな」
「意外性?」
「例えば私で言うと、一見か弱いレディーだが、一瞬の爆発力はあのユリアス・フォルモンドでさえ一目置くほどだ。それに、アンドロイドでありながら、これまた恋愛とは最も程遠い存在と思われるユリアス・フォルモンドとのラブロマンス、まさに意外性の塊と言っても過言ではない」
「なるほど」
「ではエレノア嬢の話に戻ろう。彼女もまた意外性の塊だ。まだあどけなさの残る少女の容姿でありながら、あの達観した精神と大人びた口調、ギルド長の肩書、確かな戦闘力、内に秘められたものが外見からは想像もつかない。またそんな認識がプレイヤーの間に定着したタイミングで、今度はギルド会議などのカードイラストで見せる年齢相応の無邪気な笑顔。プレイヤーは彼女に2度騙されているのだ」
「確かに意外性の塊ですね」
「それに比べてお前はどうだ、残念ながら意外性の『い』の字もない」
「確かに・・」
「彼女に勝つにはお前も意外性を身につけねばならない」
「では、実はギャンブル好きというのはどうでしょう。私、実は麻雀が強いとか?」
「全然駄目だ、全く意外ではない。麻雀とは一見アウトローなイメージを持たれているが、その実、非常に高度な知的遊戯なのだ。アンドロイドが麻雀が強くても全く違和感はない」
「ではお料理が上手とか。食事を摂らないアンドロイドが料理したら意外じゃないですか?」
「もっと駄目だ。料理などレシピ通りに作れば基本的に美味い。今のご時世、お料理ロボットというのもあるのだぞ。それにむしろ、お前は家庭的な雰囲気がある。私ならまだしも、お前が料理をした所で、誰も意外には思わないだろう」
「そんな、それじゃもう、完全に手詰まりじゃないですか」
「いや。そこで私から提案がある。お前が人気が出るための意外性、それは・・」
「それは??」
「それは、エロスかお笑いだ」
「えっ、エロスかお笑い!?」
「うむ。手っ取り早く人気が出るのはやはりセクシー路線で攻めるんだ。とりあえず手始めにイザベルと
「む、む、む、無理です。絶対無理ー!!」
「そうか。これができればスキン化は約束されたと言ってもいいのだぞ」
「それでも、できる事とできない事があります(滝汗)!!」
「では、もう一つの選択肢、お笑いに行くしかないな」
「お笑い?」
「ああ、真面目なお前がお笑い路線に走れば、まさに意外でしかない。まあ任せておけ。こんな事もあろうかと、すでにネタは作ってある。お前はこの脚本通りに演じるだけで良いのだ」
「そうですか、それならまあ、やれなくもないかもです・・」
そうして急遽、ナテラではテトラのお笑いステージのイベントが開催される事になったのだった。
それから数日が経過した。
ナテラの森の中にコンサート用の小さなライブステージがあった。そこでテトラのお笑いライブをやると、ミストリナやラティカなどに声をかけた。これで何人かの観客が来てくれるだろうと考えていたが、元々娯楽の少ないナテラ、物珍しさとミストリナの影響力もあり、口コミで噂はたちまち広がり、会場には千人を超える会衆が集まった。席は満席で、後ろで立ち見する観客もいた。しかも観客の中にはヴァイディやベイリオンまでいた。
「どうしましょうモノ姉さま。こんなに集まるなんて思ってもいませんでした。しかもベイリオンさんまでいますよ。王族なのにこんなのを見に来るなんて、どんだけ暇なんですか」
「そう言うなテトラ。それだけナテラが平和という事の証左だ。それにこの大舞台でお笑いライブが成功すれば、お前のスキン化がますます近づくんだ。まさに好機」
そうしてテトラのお笑いライブが始まった。
テトラは舞台の中央に出てお辞儀をして挨拶をすると、そのまま右腕を大きくグルグルと回し、それから手を大きく前方へかざす。
「ファーストワン・アンロック! モノ姉さまの真似、これが本当のモノ真似、なんちゃってw」
そう言いながらテトラは会衆を見回すが、会場は静寂に包まれたままだった。
『姉さま、駄目です。全然反応がありません!』
テトラは涙目で舞台の袖にいるモノに目で訴えかけた。
『大丈夫だテトラ。このネタは二段構えの構造になっている。さあ、続きをやるんだ!』
モノはテトラを見て大きく頷いた。それを見てテトラは覚悟を決めた。そして、前方にかざしていた手を、今度は天に向かって大きく掲げる。
「ジェネレイトナイン! あ、これはモノ真似じゃなくてエンネア真似だった」
すると、静寂に包まれていた会場が、今度はざわざわとどよめきだした。
そんな中、ヴァイディがスッと立ち上がる。
「いかん、野暮用を思い出した。これにて失敬する」
するとヴァイディの隣に座っていたベイリオンも立ち上がった。
「うむ、私も国の要人と会う約束があったのを思い出した。そろそろ退席しなくては」
その流れに釣られて、ゾロゾロと会場を出ようとする客が出始めた。
「ああ、皆さんが帰ってしまう・・」
ライブは失敗、そのショックと羞恥心がテトラの限界に達し、ついにはテトラは制御不能な行動をしてしまう。
テトラはピンと背筋を真っすぐにして立った状態で、足の先だけを小刻みに動かし、その場でグルグルと回りだした。
「思考停止! パニッパニ、パニッパニ、パニパニパニック! パニッパニ、パニッパニ、パニパニパニック!」
そう言いながらテトラは白目を剥き、口から大きく蒸気を吐き出した。
それを見ていた観客から一斉に笑いがこみあげる。
「なんだアレ、おかしいぞ!」
「ママ―、あのお姉ちゃん面白ーいw」
すると立ち去りかけていたベイリオンとヴァイディも再び椅子に座った。
「おっと、どうやら私の勘違いだったようだ。要人と会う約束は明日だった」
「奇遇だな。私も用事は明日だったようだ」
会場が笑いに包まれ、その盛り上がりでテトラは意識を取り戻した。
「ハッ・・。姉さま、これは一体・・?」
「説明は後だ。お笑いはノリと勢いが大事だ、ここで一気に畳みかけるぞ!」
「はい!」
モノも舞台の中央に行き、テトラと二人で並ぶ。
「テトラ、シャドバあるある頼むよ!」
「任せてください、いきます! 前の試合で欲しい札♪ 次の試合の初手に来る♪ ハイ、ハイ、ハイハイハイ!」
「ワオ!」
「「あるある探検隊! あ、それ、あるある探検隊!」」
「うむ、確かにあるな。この札があれば、さっきの試合に勝ててたのにって事」
「しかも、そういうカードに限って序盤って役に立たないんですよね」
お笑いというものは不思議なもので、一度笑うと次の笑いの沸点は大きく下がるものである。そのため、この二人のネタがこれまた大きくうけた。
「ではテトラ、次だ! あるあるで頼むよ!」
「あるあるですね!」
「あるあるだ!」
「ではいきます。マリガンで戻した不要札、返した直後に引き戻す♪ ハイ、ハイ、ハイハイハイ!」
「ワオ!」
「「あるある探検隊! あ、それ、あるある探検隊!」」
「姉さま、マリガンの意味を教えて~!」
そうしてさらに会場は笑いに包まれた。テトラはその会場の熱気に包まれ、今まで感じた事のないような充実感に包まれていた。
『ああ、モノ姉さま。私、お笑い芸人としてやっていけそうです・・』
もはや完全に当初の目的を忘れているテトラなのだった。
頑張れテトラ、スキン化されるその日まで!
終わりw
おまけw
もしもマンマルがスキン化されたら。
ルナ「わーい、ガシャガシャも一緒だ、嬉しいなーw」
マンマル「ボクモ、ルナトイッショニイレテウレシイw」
ルナ「サ終(サービス終了)までずっと一緒だよ、ガシャガシャ!」
テトラ「マンマルまで…。モノ姉さま、私もう、立ち直れないかも・・」
ちゃんちゃんw