ポケットに煌めきを詰めて   作:NiwaNiwa

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まずは一言……更新が遅れてしまい、本っ当にすみませんでした!!!!!
3ヶ月ぶりってマジ???いやね、言い訳はあるんです。夏休みは車校に卒研、就活ピクミン……色々なモノが私を押し潰してきて、執筆のモチベが一ミリたりとも湧かなかったのです。毎週更新とのたまっておきながらこの体たらく、本当に申し訳ない限りです。
まぁ、言わなきゃエタってないと言うのもそろそろ限度があるだろうと。それと、就活に車校も片付いてきたので、執筆の余裕も生まれたので早速更新とさせていただきました。

前置きはこれぐらいにして、それでは本編どうぞ!


第11話~革命の為に成すべき事~

 おかしい。昨日の私は、確固たる決意を持ってして可可ちゃんの事を手伝うと決めたハズなのに。その為に、何が出来るかを色々と考えていたのに。その考えは……決して、今この瞬間の為なんかじゃないのになぁ。

 今、私がしている事は……可可ちゃんが乗った移動型ステージを引っ張っている。そのステージと言うものがまた凝っていて。

 

「我々に自由をー!!この学校で、革命をもたらすのデース!」

「ピッピチュー!」

「カクメー! カクメー!」

「しょ、署名お願いしまぁす……ぜぇっ、はぁっ……」

 

 ステージの上にはメガホンを持った可可ちゃんが選挙カーばりの音量で周りの生徒に呼びかけている。無論、十人中十人が振り向いていた。その上でペラップが輪を描きながら叫び散らかし……ピチューの“でんきショック”で装飾がピカピカと光り輝いている。これを一晩で作ったと言うから驚きだ。可可ちゃん、そんなセンスあるの……?

 それから、可可ちゃんのオシャマリが“バブルこうせん”で泡を、ヤンチャムがこれまた可可ちゃんお手製のチラシをばらまいている。目を引く演出に混じったチラシを、生徒は自然と手に取るってわけ。

 ここまでで察しの良い人ならわかって貰えると思うけど……私は今、女の子1人とポケモン3体が乗ったステージを、全身の筋肉を使って引いているのだ。こんなの、息絶え絶えにもなっちゃうって。

 

「く、可可ちゃんの事を手伝うって、こういう事じゃないと思うんだけどなぁ……うっ、げほっ……」

「かのんちゃん!? 何してるの!?」

 

 顔中を伝う汗を拭いながら、声のした方に目をやると、ナナミちゃん達3人がとても心配そうな目をしていた。あ、優しい……出来れば変わって欲しいんだけど……

 

「署名活動……生徒が自由に部活が設立出来た方が、いいよねって呼びかけてるの……うげっ」

「えずいてるよ、かのんちゃん?」

「まぁ、かのんちゃん達の言う事はわかるけど……」

「じゃあ、署名お願いします……」

 

 私も、そばに備え付けられてた箱から署名用紙(これも可可ちゃんのお手製)を3枚取り出した。

 

「そうしたいのは、山々だけど……葉月さんに見つかっちゃったらどうするの?」

「やるにしても、もう少し目立たないようにやるとか……」

「またバトル科の子達に目をつけられちゃうよ? 可可ちゃん達、バトルして負けちゃったって聞いたから、それでこんな事してたら余計に……」

 

 ナナミちゃん達の言い分もわかる。でも、間違った事をしてるわけじゃないと思うんだけどなぁ……いや、このステージを引くのは間違ってる気がするけどね? と、そんな風に考えていると。

 

「……んちゃーん! かのんちゃーん!」

 

 学校の玄関の方から、耳に馴染んだ声が。この声の主は、流石に間違える事はない。

 

「ちぃちゃん。どうしたの?」

「かのんちゃん……ぜぇっ、はぁっ……」

 

 余程急いで来たのだろう。元々運動は出来る方のちぃちゃんが、さっきまでの私レベルで息を切らしてるなんて。

 

「理事長が……理事長が、かのんちゃん達2人の事を呼んでるの!」

「……えっ」

 

 理事長って……もしかしなくても、この学校で1番偉い人。そんな人が、私達を呼んでいるという。

 心当たりはある。ありすぎる。こんな朝早くから、こんな大きな目立つモノを引いて、こんな大きな声で色々と自由だの革命だの叫んで……今度は本物の退学届を書かなきゃいけないかもしれない。私は思わず身震いをした。

 

***

 

「失礼しま~す……」

 

 私と可可ちゃんは恐る恐る、プレートが示す理事長室と書かれた扉を開く。その瞬間。

 

「グルァウ!」

「きゃあっ!?」

 

 スラリとした体躯のポケモンが私達の前に躍り出た。な、なんかすっごくこちらを威嚇しているんですけど……そう思っていると、凜とした声が。

 

「ゾロアーク、この子達は私が呼んだのです。下がっていなさい」

「ガウッ」

 

 そのポケモン……ゾロアークが駆け寄った先にいたのは、高そうな椅子に腰掛けた1人の女性。先程の声の主、そしてゾロアークのトレーナーだろう。その人の前の机には“理事長”の文字が。そして、その隣には……こちらをキッと睨む女の子。その正体は言わずもがな。

 

「葉月さん……」

「さて。澁谷かのんさんと、唐可可さんね」

「は、はいっ。あの、今朝の事は……」

「唐さん。作成した書類を見せて貰えるかしら?」

 

 私の謝罪を制して、理事長は可可ちゃんの方を見据える。その眼光の鋭さと言ったら、可可ちゃんもハブネークに睨まれたかのように震え上がり、プルプルと手作りのチラシと署名用紙を差し出す。それらを受け取った理事長は2枚の紙へ交互に目をやり、そして口を開く。今にも私達へ厳しい言葉が飛ぶんじゃないかと、私は思わず目を瞑った。だがしかし。

 

「葉月さん」

 

 理事長の言葉の矛先は、意外にも葉月さんだった。

 

「はい、なんでしょうか」

「部を作る許可を出さなかったのは、事実なの?」

「ええ。この方々がポケモンに関して部活動を行うのは、相応しくないと考えたからです」

 

 葉月さんのキツい言葉に、思わず2人してキッと睨む。嗚呼、理事長も葉月さんと同意見なのかな。わざわざ私達を呼び出すだなんて、そうに決まっている。不意にそんな考えが頭をよぎったんだけ。

 

「葉月さん……気持ちはわかりますが、ここはポケモンの学校。科に関係無く、ポケモンに関する活動を止める権限はありませんよ」

「っ……ですが、母は!」

「お母さんは、今関係ありませんよ。わかりましたね?」

「……はい」

 

 ……あれ? 話を聞く感じ、何やら葉月さんがお叱りを受けている気がする。これは、これはもしかして、上手くいくんじゃない? そうだよ! おかしいと思ったんだよね~、いくら学校を創った人の娘と言っても、学校で好き勝手する権利ないよね!!

 私は思わず、肩に留まっているペラップとピチューと笑い合う。そして、可可ちゃんとも。そんな安心めいた空気は、すぐに破れ去る事になる。

 

「2人とも、安心するのはまだ早いですよ。我が校の方針に沿って、ポケモンに関する部活の設立を禁止はしません。ですが、葉月さんの言う通り、ポケモンの教育に力を入れているこの学校にとってポケモンは誇り。故に、そのポケモンを扱うトレーナーも同じように優れていなくてはなりません。貴女達には課題を出します。まず、澁谷さん」

「は、はいっ!」

 

 名前を呼ばれて、思わず背筋が伸びた。

 

「貴女は確か、バトル科への入学を希望していたそうね。ですから、貴女はポケモンリーグに登録してジムバッジを1つ、獲得してきなさい。そうね……初めてだったら、シノノメシティのジムがオススメだわ」

 

 その言葉に息を吞む。トーキョー地方のポケモンジム。全国でもトップレベルの水準を誇っているそれらは、初めて挑戦する私だろうと容赦無く牙を剥くだろう。

 

「そして、唐さん。貴女はコンテスト科ですから、コンテストリボンを一つ獲得してきなさい。部門は問いません」

「わ、わかりマシタ!」

 

 可可ちゃんに課されたのは、コンテスト。こっちもポケモンバトルより下火とは言っても、かなりの人気がある。この学校のコンテスト科にも、リボンを持ってる生徒なんて殆どいないんじゃないかな。

 

「特訓の時間もあるでしょうから、これらを5月の終わりまでにこなすこと。そうすれば、部活の設立を認めましょう。葉月さんも、それでいいですね?」

「……わかりました」

 

 私達に課された2つの課題……どちらも一筋縄ではいかないだろう。でも、これを乗り越えなきゃ私達のやりたい事なんて出来ない。きっと、葉月さんにだってバカにされちゃう。大丈夫、私達ならきっと出来る。

 

「可可ちゃん、一緒に頑張ろう!」

「はいっ!」

「理事長、ありがとうございました!」

「いいえ。私は理事長として、当然の事をしたまでです。2人とも、頑張ってくださいね」

 

 2人でお礼を言って、理事長室を後にしようとする。

 

「あぁ、そういえば。唐さん」

「ハイッ! なんでしょうか!」

「今朝方の事についてだけれど……早速、近隣住民の方から色々と言われているわ」

 

 だがしかし、理事長は私達が出るのを許してくれなかった。理事長の言葉で、可可ちゃんの顔から笑顔が消えていく。

 

「その事について、少しお話があるので……残って貰えるかしら? 澁谷さんは戻ってもらって構わないわよ」

「は、はい……」

 

 しおしおと、その場で項垂れる可可ちゃんを尻目に、私は理事長室を後にするのだった。

 

***

 

「失礼しマシタ~……」

 

 一通り、唐さんに注意をした後、彼女が去った理事長室に私と葉月さん、そしてゾロアークだけが残る。

 

「はぁ、全く……葉月さんも、少し面倒な事をしてくれたわね」

「ご、ごめんなさい。そんなつもりでは」

「ま、その事についてはもういいのだけれど……ここからは理事長としてはなく、私個人として話をさせて貰うわ」

 

 生徒に素を見せるなんて、恥ずかしいのだけれど。でも、恋ちゃん(・・・・)とは昔からの付き合いだからね。

 

「あの子は……花は、恋ちゃんがこうなる事なんて望んでいないわよ」

「私は……」

 

 しばしの間。そうして出た言葉は。

 

「私は、ポケモンなんて……嫌いです」

 

 それだけ言って、恋ちゃんは理事長室を後にした。思わず溜息を漏らす。まぁ、あんな事があっては仕方が無いとは思うけれど。

 

「花も……あんなお別れの仕方ではね。親子揃って、困った子達だわ」

 

 理事長室の、1番奥の棚。そこにしまってある写真を取り出した。そこに写っているのは、一組の親子と私。そしてポケモン達。特に目を引くのは、真ん中で幸せそうな笑顔を浮かべながらヨーテリーを抱いている少女。

 

「グルルゥ……」

「ふふっ、心配してくれてるの? ありがとう」

 

 そばに寄ってきてくれたゾロアークを一撫でしてから、私は再び写真をしまった。恋ちゃんにも、気づいて欲しいわね。すぐそばで、心配してくれている子の事を。

 




感想・評価などお待ちしております。

今後も不定期更新とはなりますが、改めまして弊作『ポケットに煌めきを詰めて』を何卒よろしくお願いいたします。
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