ポケットに煌めきを詰めて   作:NiwaNiwa

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第13話です。話数だけで言えばもう1クールかぁ、と思いつつも。まだまだ内容は本編2話途中。タイトル天丼してるのは見逃してください。

それでは、本編はじまりはじまり。


第13話~ちぃちゃん先生の特訓・二段~

 次の日の朝。予想通り、筋肉痛に苛まれる脚をさすりながら、私は学校へと向かっていた。こんな調子だから、いつもは肩に乗っているペラップとピチューもボールの中でお休み中。

 

「かのんサーン!」

「可可ちゃん、おはよう」

 

 学校が近づいてきたところで、可可ちゃんの声が。こちらへ駆けてきた可可ちゃんは、何やら細長いモノを携えていた。

 

「それ、なぁに?」

「昨日の夜、作ったのデス。かのんサンが頑張れるように、気合のハチマキデス!」

「それだと、十分の一でしか助からないねぇ……」

「あぇ、イヤでしたか……」

「あ、違うの! ウソウソごめんごめんごめん! ポケモンの道具だとそうだなぁって。大丈夫! 可可ちゃんのお手製なら、何百回でも頑張れるよ!」

 

 いけないいけない。ポケモンに持たせる道具にも同じ名前のモノがあるからついぼやいてしまった。慌てて弁解したら、パァッと可可ちゃんの笑顔が“にほんばれ“。

 

「えへへ、ありがとうございマス。可可とお揃いなんデスよ」

 

 可可ちゃんの言葉通り、可可ちゃんの手には2本のハチマキが。どちらも、何やら文字が書いてある。

 

「えっと……この、『永不放弃的意志』って、どういう意味?」

「ニホン語に直すなら、“あきらめないキモチ”でしょうか。何があっても、どんなに苦しくても。可可達2人で、部活動したいんデス。だから、絶対に諦めないって」

 

 あきらめないキモチ。ハチマキと一緒に受け取ったその言葉は、すぅっと胸の中に入っていって、身体中に溶けて広がるような。そんな感覚。不思議と力が漲ってきて、何が何でも目標を達成したいと思える。そんなキモチにさせてくれる。

 こんな素敵な贈り物をくれた可可ちゃんに、私は改めてお礼を言う事にした。

 

「この言葉……凄く気に入ったよ! 大切にするね、可可ちゃん!」

「やったぁ! えへへ、ありがとうございマス♡ そうだ、可可今日はこれを付けて授業を……」

「それは止めてね?」

 

***

 

 時は飛んで放課後。今日は公園のバトルフィールドでバトルの特訓。

 

「かのんサーン! 頑張ってクダサーイ!」

「シャマ! シャマ!」

「チャムー!」

 

 例のハチマキを巻いた可可ちゃんの応援の中、私はボールを構える。相対するのは……

 

「よしっ。それじゃ、今日から早速バトルの特訓……準備はいいね?」

「勿論っ!」

「行くよっ。マリル、うぃっすー!」

「マリーッ!」

 

 ちぃちゃんとマリル。小さい頃から一緒のコンビはきっと手強いけど、大丈夫。

 

「私達も負けないよ……出ておいで、ペラップ!」

「ペラーッ!」

「頑張るよ、ペラップ!」

「ガンバル!」

 

 私とペラップの絆だって、負けてないもん。

 

「可可ちゃん、審判頼める?」

「らじゃデスっ。1対1、どちらかのポケモンが戦闘不能になった時点でバトル終了デス。では、バトルスタート!」

「マリル、“アクアジェット”!」

 

 戦いの火蓋が切って落とされた瞬間、マリルが水流を纏ってこちらに一直線に突っ込んでくる。

 

「ギャー!」

「ペラップ、避けてっ!」

 

 それを見て慌てふためいたペラップが上昇、数瞬前までペラップがいた場所をマリルが通過していった。そのペラップさんは……こちらへ飛んできて、私の背の後ろへと隠れてしまった。

 

「ペ、ペラップ!? ダメだよ、ちゃんと戦わなきゃ!」

「バトル、コワイ……」

「マリル、今のうちに“まるくなる”だよ!」

「マリッ!」

 

 こうしている間にも、マリルは自分のステータスを上げている。早くペラップを説得しなきゃ……!

 

「ペラップ、バトル嫌いを直さなきゃ……バトルに勝たなきゃ、私達部活出来ないんだよ?」

「ウゥ…」

「ほら、頑張ろうペラップ!」

「…ウン」

「よし。ペラップ、“エアカッター”!」

 

 私の話を聞いてくれたのか、前に飛んでいったペラップが空気の刃を放つ。だがしかし、“まるくなる”で防御を上げたマリルはびくともしなかった。

 

「マリル、“ころがる”攻撃!」

 

 そのままマリルは攻撃の姿勢を取って、回転しながらこっちに突っ込んでくる。私は再びペラップに避けるよう指示を出そうと思ったけど……

 

「ペラップ、避け」

「マリ!」

「ギャース!」

 

 指示が遅れたのか、ペラップにマリルの攻撃が命中。“ころがる”はいわタイプの技だからひこうタイプのペラップは……。

 

「バタンキュー…」

 

 当然一溜まりもなく、墜落地点でそのまま伸びていた。

 

「ペ、ペラップ戦闘不能、デス。この勝負、千砂都サンの勝ち……」

「ペラップ!」

 

 可可ちゃんの言葉が遠くで聞こえたような気がしたけど、そんな事はどうでもいい。私は急いで、地に伏したペラップに駆け寄った。

 

「ウゥ、カノン…」

「ごめんね、ペラップ。怖かったよね……」

「……まぁ、最初から上手く行かないとはわかっていたけど。でもね、ペラップ」

「ペラ?」

「いつまでも怖がってたら、ずっとバトルなんて出来ない。かのんちゃんの事、助けられないよ。それでもいいの?」

「ソレハ…イヤ」

「うんっ。もう少し、頑張ってみよう。私もマリルも、ペラップの事傷つけたいんじゃなくて、力になってあげたいんだ」

「リルル!」

「ワカッタ!」

 

 ちぃちゃんの激励を受けて、ペラップが立ち上がる。うん、そうだ。この子は強い子なんだ。

 

「技は当てられてるから、次は相手の技を怖がらない事を意識してみよっか! はい、オボンのみ。これで2人とも元気出して、もう一戦いくよ!」

「ラジャー! ガツ、ガツ…」

「マリ、マリ…」

「ちぃちゃん……ありがとう」

「いいの! これぐらい、お安い御用だよ! それに……かのんちゃんの、役に立ててるし」

「ん? 何か言った?」

「ううん、なんでも! それより、かのんちゃんも。指示を出すタイミング、もう少し早く! 技が飛んできても動揺しない!」

「は、はいっ!」

 

 私もちぃちゃんの指導を受け、さらに特訓を重ねる。この日は夕方まで特訓、特訓だった。

 

「ふぃ~疲れたぁ……ペラップもお疲れ様」

「カノン、オツカレサマ」

「2人ともお疲れ様! どう、かのんちゃん?」

「ちぃちゃんの言ってた通り。マリルもペラップも見なきゃいけないから、集中力が必要だし、体力も使うね……」

「でしょっ? 明日からは走り込み、バトルの特訓半々でやって行くよ!」

「うんっ!」

「かのんサ~ン、千砂都サ~ン。お疲れ様デス! これ、差し入れデス!」

 

 可可ちゃんが持ってきてくれたおいしいみずをグビッと一口。

 

「ぷは~っ。なんだか、体力が回復した感じがするよ!」

「あはは、かのんちゃんはポケモンじゃないでしょ?」

「それでもなんかこう……一気に元気が出てくるっていうか!」

「はいはい。ペラップ達は大分疲れてるし、ポケモンセンター寄って帰ろっか」

 

***

 

 ポケモンセンターにペラップ達を預けて、休憩スペースで一息中。

 

「ところで、可可ちゃん。可可ちゃんの先生なんだけど……どうだった?」

「ダメデシタ~……クラスの人達に色々聞いて回ったのデスが」

「やっぱり、リボンを持ってる人は一握りなんだね……」

 

 そう。可可ちゃんの先生の条件として私達が考えているのは、コンテストリボンを持っている事。コンテストにおける確かな知識と経験の裏付けにもなるだろう。でも、可可ちゃんの話を聞いた限り、学校にそんな人は……

 

「あれ、かのんちゃん? やっほー!」

 

 うんうんと唸っていると、向こうから3人組……ナナミちゃん、ヤエちゃん、ココノちゃんが声をかけてきた。それぞれ手持ちのポケモンを抱きかかえて、こちらに歩いてくる。

 

「ナナミちゃん達。こんにちは」

「かのんサンのクラスメートデスか?」

「うんっ。3人は何してるの?」

「買えるまでまだちょっと喋っていたいから、ここで時間を潰す事にしたの」

「そうなんだ、仲良しだね」

「えへへっ。まぁ、私達もなんだけど……」

「この子達の方が、離れたがらなくて」

「ナックル」

「ヤトー」

「コッコ!」

 

 それぞれの腕に抱きかかえられたナックラー、ヤトウモリ、ココガラもお互いを見て笑い合う。なんだかそれを見て、微笑ましく思えてくるのだった。

 

「かのんちゃん達こそ、何してるの?」

「バトルの特訓。私がジムバッジ、可可ちゃんがコンテストリボンをゲット出来たら部活動を認めてくれるんだって」

「かのんちゃんがジム戦!?」

「へぇ~、頑張って!」

「応援しに行くよ!」

 

 私がポケモンジムに挑む、とわかった瞬間、みんな口々に応援の言葉をかけてくれた。私を応援してくれる人が、いる。これは益々、頑張らなくっちゃね。

 

「それで、唐さんのコンテストは……」

「可可でいいデスよ! それが、いい先生が見つからなくって」

「かのんちゃんにつきっきりだと、どうしても可可ちゃんの事を見てあげられなくて。それに、私はバトル専門だからね」

「そっかぁ……」

「可可ちゃん、探してはみたんだけど……中々、リボンを持ってるぐらい凄い人はクラスにいないらしくって」

「あれ? 確か……1人いた気がするけどな?」

「えっ、それ本当!?」

 

 なんとなんと。意外な所から情報が。私はナナミちゃんに詳しく話を聞いてみる事にした。

 

「うんっ。6年生ぐらいの時に、テレビで見たっきりなんだけど……間違い無いよ。確か、“うつくしさ”のハイパークラスまでは優勝してたんじゃないかな?」

「ハイパークラス……! エリート中のエリートコーディネーターじゃん!」

「それで、誰なの!?」

「ちょっと待ってね。えぇっと、確か記事が……はいっ」

 

 ナナミちゃんのスマホの画面に、3人で食いつく。星を溶かしたような綺麗な金髪に、赤いカチューシャ。その子がトロフィーを抱えて笑っている。その横には、美しいという言葉を体現したようなポケモン……ミロカロスがいた。写真の下には、その子の名前が記されていた。

 

平安名(へあんな)すみれ……」

「あ、この人! ウチのクラスメートデス!」

「やっぱり! チラッと見かけて、見間違えかなって思ったけど、そうじゃなかったみたい!」

「よかったね、かのんちゃん!」

「うんっ……! 可可ちゃん、明日この人に声をかけに行ってみようか!」

「ハイッ!」

 

 少しだけ、希望の灯が見えてきた。そんな予感と共に、ポケモンセンターのチャイムが鳴ったのだった。

 




感想・評価などお待ちしております。

次回はいよいよ、あのキャラが……? 少し早めのメイン参戦、かもしれない。
お楽しみに!
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