ポケットに煌めきを詰めて   作:NiwaNiwa

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ここに来て連載とはとても大変なモノであると今更思い知っている作者でございます。
日々作品を更新している全ての創作者に、敬礼ーーー

では、本編どうぞ!


第15話~終わりから始まりへ~

「ぜぇっ……はぁっ……ペラップ、ピチュー、今日もお疲れ様ぁ……」

「オツカレー…」

「ピッチュ…」

「ほらかのんちゃん、まだまだ! 今日はバトルの特訓もするよ」

「えぇ、そんなぁ!」

 

 私達がランニングを追えて、地面にへたり込んでいると、ちぃちゃんから残酷な宣言がもたらされる。今日はもうクッタクタなのにぃ……

 

「すみれちゃーん、帰ってきたよ!」

「ん、お疲れ様」

「そっちの特訓はどう?」

「まぁまぁかしら。この子、筋はいいみたいだし」

 

 ちぃちゃんがすみれちゃんと話し合っていその隣では、可可ちゃんが同じくへたり込んでいた。

 

「可可ちゃん、どんな特訓をしたの?」

「ほへぇ……すみれサンによると、可愛く技を出す特訓だそうデス……」

「成る程ねぇ」

「す、すみれサンはポケモンを出さないのデスかぁ……?」

「え、えぇっと……ま、まだまだ! 私の可憐なポケモンと一緒に特訓なんて10年早いわ!」

「そんなぁ! パタリ……」

「ほら、可可もまだまだ特訓よ。千砂都はこの後どうするの?」

「私もかのんちゃんとバトルの特訓! 近くの公園のバトルコートまで移動するけど」

「なら、私達もついていこうかしら。ほら、可可!」

 

 すみれちゃんがパンッ、と手を叩いて可可ちゃんに立つよう促す。うぅ、私も頑張らないと……

 

***

 

 場所は移って公園に、私達はいつも通りバトルの特訓を、可可ちゃんはその横ですみれちゃんの指導の下、可愛く技を出す特訓、とやらを行っていた。どんな特訓かは気になるけれど、バトルコートに立った以上、よそ見は許されない。

 

「マリル、“ころがる”攻撃!」

「ペラップ、避けて“エアカッター”!」

「マリマリマリーッ!」

「ペラーップ!」

 

 ペラップがひらりと飛び上がって、ペラップが今さっきまでいた場所をマリルが通過する。ペラップは上空で身を翻し、マリルへと空気の刃を命中させた。

 

「……はいっ、そこまで! ペラップ、だいぶ筋が良くなってきたよ!」

「ペラップ、スジ、イイ!」

「かのんちゃんも、指示のタイミングがペラップと息ぴったり。これなら、今すぐにでもジムに挑戦出来るんじゃないかってぐらい!」

「本当!?」

「うんっ! ちぃちゃんが保証するよ! その代わり、ジムは練習通りなんて行かないし、よりアドリブが求められる事もわかってないといけないよ?」

「わかってるよ。ちぃちゃん、ありがとう! マリルもね!」

「マリリ!」

「マリル、アリガト!」

 

 私はちぃちゃんと、握手を交わす。ペラップもマリルの上に留まって、ご機嫌のようだ。

 

「さて、可可ちゃんの方はっと……」

「こっ、こひゅー……お疲れ、様デシタ……」

「まぁ、初めてにしてはよく出来た方なんじゃないかしら。お疲れ様。オシャマリもね」

「シャマ!」

 

 可可ちゃん達も特訓が終わったみたい。可可ちゃん、メチャクチャ疲れてるけど……コンテストも、トレーナーとポケモンが心を通わせなきゃいけないみたいだし、同じぐらい大変なんだろうな。現に私もメチャクチャ疲れているし。

 

「それじゃあ、手持ちのポケモンの回復がてら、みんなでポケモンセンターにでも寄っていこうか!」

「賛成ったら賛成ね。ほら、可可。立ちなさい」

「可可も回復したいデス……」

 

 私も可可ちゃんと同意見。ちぃちゃんの音頭で、私達はその足でポケモンセンターへと向かう事にした。

 

***

 

「もう5月が始まるし、かのんちゃんは今度の連休でジム戦に挑戦すればいいんじゃないかな?」

「ま、タイミング的にはそこがベストよね」

「わかった。じゃあ、皆で一緒に行こっか」

「可可もかのんサンのバトル、見たいデス!」

 

 手持ちのポケモン達を預けて、私達は休憩スペースで談笑していた。今度の連休、私の初めてのジム戦が待っている。そう思うと、武者震いしてしまいそうだった。

 

「あ、でもその前に一度、他の人ともバトルしておいた方がいいんじゃないかな。それと、走り込みも続ける事!」

「えぇ~。バトルの方は全然いいんだけど、走り込みもかぁ」

「継続は力なり、だよっ!」

「可可も頑張りマスから、かのんサンも一緒に頑張りマショウ!」

「うん……わかったよ」

「走り込み、ってのは私の視点にはなかったわね。体力作り的にもいいでしょうし、何よりポケモンと一緒に走る事で結束力も高まるんじゃないかしら」

「とにかく、かのんちゃんの課題はなんとかなりそうだね! すみれちゃん、可可ちゃんの方はどう?」

「基礎知識も付けて貰ったし、半日見てたけど、筋はいいわよこの子」

 

 すみれちゃんの話を聞く限りだと、可可ちゃんもなんとかなりそうなのかな。と思っていると、可可ちゃんがこっちに向けてピースを送ってきた。その様子が可愛くって、私も笑みを返す。

 

「お互い順風満帆ってところだね。後はかのんちゃんと可可ちゃん、それにポケモン達次第って所かな!」

「うんっ、そうだね……頑張ろう、可可ちゃん!」

「はいっ! かのんサンと可可なら、きっと出来マス!」

 

 可可ちゃんがグッと握り拳を作ったところで、ポケモンセンターのチャイムが鳴ってペラップ達が戻ってきた。

 

「私、この後オクタン焼きのバイトがあるんだけど、かのんちゃん達おいでよ。ご馳走するよっ!」

「本当デスか!?」

「うわぁ、ちぃちゃんのオクタン焼きは絶品なんだよね! すみれちゃんも来る?」

「う~ん、私は……あの子(・・・)をあんまり待たせたくないから」

「あの子?」

「あっ、妹よ! あやめって妹がいるんだけど……ね、あんまり帰りが遅くなるとその子が拗ねちゃうから」

「そっか。ふふっ、妹思いなんだね」

「えぇ、まぁそうね……じゃ、私は失礼するわ」

 

 すみれちゃんと別れて、私達はちぃちゃんについてオクタン焼きのキッチンカーへと直行した。疲れた体に、私達もエネルギーを補給したいからね。オクタン焼きが鉄板の上でジュージューと焼来上がるのを、私達はすぐそばで今か今かと待っていた。

 

「ほいっ。オクタン焼き一丁あがり! こっちはかのんちゃん達の分で、こっちがポケモン達の分ね!」

「「わーい!!」」

 

 そうして焼き上がったオクタン焼きを、私達は心ゆくまで楽しんだのだった。

 

***

 

ピピピ、とけたたましく鳴く目覚ましを止めてから、一つ伸びをする。ベッドから降りて窓を開ければ、朝の日差しが私を出迎えてくれる……なんて事はなく。

 

「うぅ、寒っ……」

 

 まだまだ4月終わりの朝は日も照っていなくて、肌を刺すような寒さが窓を伝って、私にまとわりついていた。それもそのはず、目覚まし時計を設定した時間は……朝の5時。そんな朝早くに目覚ましをセットした理由は……

 

「ほら起きて、2人とも。ランニング行くよ」

「ピ、ピチュ…」

「マダネムイ…」

 

 そう。ちぃちゃんにも釘を刺されたランニング、学校も会社もまだ寝息を立て、人通りも少ないだろうこの時間にやっておこうと、こうして早起きした次第だ。ペラップとピチューにも早起きを強いるのは少し可哀想だけど……すみれちゃんも言ってたもんね。ポケモンと一緒に走る事で結束力が高まるって。

 

「はあっ……はぁ……」

 

 寝ぼけ眼を擦っている2人を抱きかかえて布団から下ろしていると、窓の外から吐息と一緒にこちらにやってくる人の気配が。貴方もこんな時間からランニングですか、お疲れ様ですとそちらの方を見に行くと……その人は、私のよく知っている人だった。

 

「見て、ペラップ、ピチュー。可可ちゃん達だよ」

「ピチュピチュ?」

「クークー」

「ほら、可可ちゃんのオシャマリ達も一緒に頑張ってる。私達も走りに行こっ!」

「ピ」

「イク!」

 

 よしっ。この子達もやる気になったところで……私はジャージに着替えて、家族を起こさないように階段を下って玄関を飛び出した。しばらく走っていると、目標確認。可可ちゃんの背中が見えてきた。

 

「はあっ……はぁ……」

「可可ちゃーん!」

「はっ……ほぁ、かのんサン!」

「オシャマリ達も、おはよっ」

「シャマ!」

「チャム!」

「一緒に走ろっ」

「ハイッ!」

 

 2人と4人……匹?で、街を駆けていく。普段は人通りもあるから、少し速度を抑えて走ってたけれど……いつもより人の少ない街は広々と感じられて、気がつけばいつもより加速して走っていた。

 

「びゅーん! あははっ、気持ちいいね、可可ちゃん!」

「ハイッ!」

 

 そうしてしばらく走っていると大きな歩道橋が見えてきた。私は可可ちゃんに目で合図して、その歩道橋へと昇る。そこから見える景色は、真っ直ぐと伸びる道路がまるでどこまでも続いているようで、なんだかこれから私達が歩んでいく道みたい。なんちゃって。隣で肩を上下させている可可ちゃんも、もう最初みたいにヘトヘトってわけじゃない。私達は、確実に道を進んでいる。そう、思えたのだった。

 

「可可ちゃん、ちょっといい? オシャマリ達も」

「ほぁ、なんデスかかのんサン?」

「シャマ?」

「チャム?」

「……私ね、バトル科を落とされた時、何もかもおしまいだって思ってた。結ヶ丘の入学式で新学期が始まっても……私は始まらない。私の始まりなんて、もうないって思ってた。でもね……やっと、始まった」

「かのんサン……」

「可可ちゃんと出会って、ペラップ、ピチューをゲットして……また、次の私が始まった。始める事が、出来たんだよ! そして、今こうして走っていけている。それは全部……ここにいる皆のおかげ。だから、ありがとう」

 

 改めてお礼を言うのは照れくさいけれど、まだまだ道は続いている。それを一緒に歩いている可可ちゃんやそのパートナー達。そして、何よりペラップとピチューにも伝えたかった。ありがとうって。

 

「かのんサンっ……! こちらこそ、ありがとうございマス! 可可もかのんサンと一緒だから、もっともっと遠くまで歩いて……走っていける。そんな気がするのデス! だから……かのんサン。これからもずっと、一緒にいてクダサイね?」

「うんっ。わかった! まずは私のジム戦……それから、可可ちゃんのコンテストも! お互い応援しに行こっ」

「はいっ! 約束デス!」

「ペラ!」

「ピチュ!」

「シャマ!」

「チャム!」

 

 私達は、歩道橋の上で小指を交わす。そんな私達を、たった今昇り始めた朝日が照らしていた。まるで、早くこっちにおいでよと言わんばかりに。

 




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