ギーツエクストラ 仮面ライダーアルデン   作:きゃぷてん

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とある掲示板のスレを見て箸休めに書いたもの


交錯I:新星誕生

 

 その日、青年は思い知った。

 

 世界の終わりというものは、突然訪れることを。

 

「ジャ!」

 

「がああっ!」

 

 命は理不尽に、あっけなく散ってしまうことを。

 

 それは自分でさえ、例外ではないということを。

 

「ジャ〜……」

 

 ただ、何か食べたいからコンビニに寄ってお菓子を買い、家へ帰宅しようとしただけだ。

 

 それでも突然始まった。世界の終わりは、命の蹂躙は。

 

 尻餅をついていた青年に、白い刃の切先が迫る。きっとアレが、自分の体を切り裂くのだろう。そしてそれによって血が大量に噴き出し、失血死でもするんだろうと、適当に予想をする。

 

 ああ、思えば最低の人生だった。ただあの言葉を糧に生きようとした結果、馬鹿なことをやって孤独になって、クソみたいな時間を貪って。きっと神様は俺を見放したんだろうって、そう思った。だったら死ぬのも仕方ないな。

 

「……ゃ……だ……」

 

 死を覚悟してた、受け入れようとしてた。でも、自分の意地汚い本能はそれを拒絶しようとしてるらしい。

 

「死にたく……ない……!」

 

「ピアーブ!」

 

刃が青年の体に振り下ろされようとする。神様は見放した、自身の意地汚い願いなど聞き入れるはずもない————そう思い、見届けようとした。

 

「ハアッ!」

 

「ジャアッ!」

 

 そんな青年の前に救世主は現れた。その救世主は、白い狐の銃士だった。

 

「あんたは……」

 

「こんな悲劇は忘れるに限る」

 

「え……?」

 

「始まるぞ……新しい世界が」

 

 狐の銃士のその一言と共に、荘厳な鐘の音が鳴り響く。それと同時に青年は————菜月昴は、意識を失った。

 

◇◇◇◇

 

「!」

 

 青年は瞼を開き、目を覚ます。目の前にあるのは見知った天井、自分の部屋だ。

 

「変な夢……」

 

頭を掻きながらベッドから身を起こす青年、菜月昴。どうも自分は直前まで、怪物によって世界が終わる夢を見ていたらしい。ゲームやラノベの影響かもしれない。

 

「…………」

 

 その夢の中で出てきた白い狐の銃士。スバルの中で、その人物がどうも引っかかる。ただの夢の筈なのにだ。

 

「グッモーーーーーニン息子ォーーーー!」

 

 ベッドから立ち上がり伸びをしていると、部屋の扉が開かれ何者かが入り、大声と共にベッドへ飛び込む。ボスンッ、と音がしてその上半身半裸の男はベッドへ沈み込んだ。

 

「何だよ昴ゥー! せっかく俺が愛情たっぷりのダイビングプレスを決めようとしたのにもう起きてたのかよー!」

 

「今日は早起きなんだよ……ていうかソレやめろよ! 腹がクソ痛いから!」

 

 半裸の男————昴の父である菜月賢一は不満げな様子であり、昴はそれに気怠げながらもツッコミを入れた。

 

「俺は先に降りるから。もう母さんがご飯作ってるだろうし」

 

「おいおい待ってくれよ愛しい息子よォー!」

 

 早足でそそくさと部屋から出るスバル。それを追いかける賢一だった。

 

◇◇◇◇

 

「昴、貴方にお客さんが来てるわよ?」

 

 ちょうど階段を降りた先に、そこには目付きの悪い女性がいた。母親の菜穂子のようだ。

 

昴は階段を降り切って菜穂子が開いていた扉の先を見る。そこには、白黒の衣装を纏っている端正な顔立ちのポニーテールの女性が居た。

 

「おー何だよスバル! 知らないうちにこんな美人と友達になってたのか!?」

 

「いや完全に初対面なんだけど……」

 

 賢一の発言を流しながら、スバルは女性の手元を見る。そこには黄色い箱があった。もしかすると宅配だろうか。だが何か頼んだ覚えはないし、自分に何かを送ってくれる仲の人物は居ない筈。そう思っていると女性は口を開く。

 

「申し訳ありませんが、菜月昴様と二人きりでお話をさせてもらえないでしょうか?」

 

「あ、はい。それじゃあ、ごゆっくり」

 

「昴、失礼のないようにしろよ?」

 

 菜穂子と賢一はそう言って部屋の奥へ歩いていく。昴と女性は二人きりになった。

 どうもこの女性は話したいことがあるらしいが、昴は彼女と面識はない。まさか宗教勧誘? 嫌な予感が昴の脳内によぎる。

 

「あのー……失礼っすけど宗教の方ですか? すんませんけどそういうのは……」

 

「おめでとうございます!」

 

「へ?」

 

やんわりと断りを入れようとした時、突如として女性は祝福の言葉を告げた。

 

「厳正なる審査の結果、貴方は選ばれました! 今日から貴方は————仮面ライダーです!」

 

◇◇◇◇

 

 昴は賢一と菜穂子と共にご飯を食べて賢一が仕事に行った後、部屋に戻って女性から渡された黄色い箱を持っていた。

 

 その箱は蓋がスライドして開いた状態であり、そこには小さい黒い何かと、大きめの黒い何かが存在していた。

 

「何なんだこれ……? 仮面ライダーって何だよ……?」

 

 疑問を口にするスバル。あの後、黄色い箱を受け取って仮面ライダーが何か聞こうとしたが、女性はすぐさま何処かへ消えたのだ。

 

 とりあえず中に入っている小さい紙を開いて読んでみる。そこにはデザイアグランプリなるものについて、こんな一文があった。

 

『最後まで勝ち残った者は理想の世界を叶えられる』

 

 胡散臭い。昴の脳内に最初に浮かんだのはそれだ。それと、他にも入っている小さいのはIDコア、大きいのはデザイアドライバーというらしい。

 

 恐る恐るまずはIDコアに触れようとする昴。

 

「いっ……!」

 

 触れた瞬間、指に衝撃が走る。そして同時に、自身の脳にも衝撃が走った。

 

「え……?」

 

 脳内に映像が映し出される。表現するならそんな所だった。

 

 脳内には、謎の怪物によって人々と自身が襲われていた。世界の終わりを悟る中、白い狐の銃士が自分を助け、最後に荘厳な鐘が鳴った光景があった。

 

「夢じゃ、無かったのか……!?」

 

 失われていた記憶が突然蘇ったことに困惑しながらもIDコアを手に取る。そしてデザイアドライバーを見ると、そこにはコアがちょうど嵌りそうな窪みがあった。

 

『ENTRY!』

 

 窪みに嵌めると音声が鳴る。デザイアドライバーを手に取るが、その後どうすれば良いのだろう。

 

「……こう?」

 

 頭に乗っけてみた。何も起こらない。

 

「…………こう?」

 

 背中に当ててみる。何も起こらず。

 

「………………こう?」

 

 足に当ててみる。異変なし。

 

「……………………4度目の正直!」

 

 腰に当てる。すると、帯が噴出し腰を一周して巻きつく。

 

『DESIRE DRIVER!』

 

 音声が鳴ったと同時に、青色の光が昴を覆う。光が晴れると、何処か見知らぬところにいた。周囲には他にもみたところ20人くらいは居る。彼らも戸惑っている上に、腰に昴と同じデザイアドライバーを付けていた。

 

「何だここ!?」

 

 驚愕する昴。見たところ、どうも自分たちは空の上にいるらしい。つまり今いる場所は浮いているということだ。

 

「皆様こんにちは! 私はゲームナビゲーターのツムリです。ようこそ、デザイアグランプリへ!」

 

 声がした方を見ると、そこには箱を渡してきた白黒の女性がいた。聞いた限り、名前はツムリというらしい。

 

「今、私達の世界はジャマトの脅威に晒されています。何処から来るのか、何が目的なのかは分からない。ジャマトから町の平和を守る為、誕生したのがデザイアグランプリなのです!」

 

 ツムリの解説を、昴も含め皆呆然とした表情で聞いている。何人かはどうも物知り顔であるが。

 

「何だソレ〜? って感じですよね? 知らないのも無理はありません。平穏を保つ為、デザイアグランプリが終わるごとに人々の記憶がリセットされるように設計されているのです。記憶が蘇るのは、IDコアを手にした人だけ」

 

 だから自分は記憶を失っていたのか、と昴は理解する。

 

「皆様は、“仮面ライダー“となってジャマトと戦うのです。そして、見事に勝ち抜いた……通称、“デザ神“は、自分の理想の世界を叶えることが出来ます! 要は、どんな願いも叶うということです!」

 

胡散臭いと思っていたが、どうもマジのようである。恐らく口ぶりからするに、何度も行われてきてるのだろう。

 

「それでは皆さん、お手元のデザイアカードに、願いをご記入ください!」

 

 すると昴の手元には、いつの間にか羽ペンと金縁の色紙があった。

 周りをみる。皆、何か願いを書き込んでいるようだ。

 

(…………俺の、願いか…………)

 

 昴はカードを見つめて思う。

 

————やっぱり、あの人の子だな!

 

 ある言葉が、スバルの脳裏に駆け巡った。

 

 それが駆け巡った瞬間、スバルはカードに何かを書いた。

 

◇◇◇◇

 

「それでは、デザイアグランプリ第1回戦、監獄脱出ゲームを始めます!」

 

 ツムリはゲーム名を告げる。

 

「今回、監獄に蔓延る囚人ジャマト達を撃退しながら、親玉囚人ジャマトを倒せば鍵を入手し脱出が可能となります。バックルを各自お配りしますのでそれでジャマトに対処を。それではミッション開始です!」

 

 ツムリの一声と同時に、昴は青い光に包まれ転送される。光が晴れると、周りには牢屋が見える。ゲームの名の通り、監獄のようだ。それと自分の衣装も紺と黒のジャケットに変化していた。

 

 昴が足元を見ると、ピンク色の箱があった。それを拾って蓋を開くと、何かが入っている。

 

「これは……プロペラか?」

 

 入っていたのはプロペラレイズバックルであった。端っこに矢印が刻まれてるので、ドライバーに差し込んでみる。

 

『SET!』

 

 バックルをドライバーの右側に装填すると、待機音が鳴り出した。プロペラを恐る恐る回す昴。

 

『ARMED PROPELLER! READY FIGHT!』

 

「こ……これが仮面ライダー……!」

 

 自分の変貌した体をペタペタと触る昴————仮面ライダーアルデン。

 

 全体的にスーツは黒色で、胸元にはプロペラのマークが描かれている装甲がある。手にはプロペラが握られていた。

 

 そしてそのマスクは黒い牛を模したものだ。

 

「ジャッ!」

 

「ジャア〜!」

 

するとアルデンの目の前に縞々の服を着た囚人ジャマト2人が現れる。どちらも鉄パイプを持っていた。

 

「……とりあえずやるしかないか!」

 

 剣道をやったことはあるし、鍛えてもいるので戦いに多少の自信はある。アルデンはプロペラを突き出して構えた。

 

「……え!?」

 

 その時、突如プロペラが回転を始める。そのまま高速で回転したプロペラは前へ勢いよく前進しだした。

 

「おわーっ!?」

 

「ツバー!?」

 

「デデコー!?」

 

 アルデンとジャマト達の悲鳴が混じる。回転するプロペラにぶつかり左右に吹き飛んだジャマトは爆発したが、アルデンは壁にぶつかり転がった。

 

「いってぇ〜……いきなりこれかよ!? 幸先良いのか悪いのか……」

 

 格好がつかない状態だが、結果的に敵は倒せた。

 

「キョトヅ! ゼラスエロカカ!」

 

立ち上がると、囚人ジャマトが3人現れる。

 

「うし! 今度は決めるぞ!」

 

 そう言ってアルデンは走り出し、プロペラの長さを生かし3人を一気に殴りつける。

 

『PROPELLER STRIKE!』

 

プロペラレイズバックルのプロペラを回すと、プロペラに灰色のエネルギーが纏われる。

 

 それで3人を順番に殴りつけると、限界を迎えたのかそのまま爆発した。

 

「よぉし! んじゃ、早く脱出しねぇとな!」

 

 そう言ってアルデンは走り出し、監獄からの脱出を目指すのだった。

 

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