遊戯王5D's外伝 異界の決闘神官   作:ナタタク

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セカンドステージ参加者(所持星札状況)

・サテライト最強決闘疾走者 不動遊星 4

・無手札の鬼神 鬼柳京介 0

・黒き旋風 クロウ・ホーガン 0

・W・ユニコーン主将 ジャン 1

・W・ユニコーンエース アンドレ 11

・決闘刑事 牛尾哲 0

・双子の決闘疾走者 龍亜&龍可 0

・スピードホルダー アドマイヤ・ダービー 8

・サイキック・プロファイラー 来宮虎堂 0

・炎と氷の反律師 神楽 羅門 0

・仮面貴公子 アドルフ・ミューラー 3

・無冠の黒馬 ヒイロ・リオニス 9


第11話 妖精と機械

「邪魔だ…どけ!」

《C:Hミラージュガンナー》と《C:Hゾンビバスター》の銃弾とチェーンソーが同時にアドルフに襲い掛かり、2体に攻撃に耐え切れなくなったアドルフのDホイールが粉々になる。

「バカ…な!?」

砕けたDホイールから転げ落ちたアドルフだが、D1GPへの参加権があるだけあって、伊達に決闘疾走をしていたわけではなく、受け身をとってダメージを最小限にとどめてみせた。

外傷は多いものの、それでもよろめきながらもどうにか立ち上がって見せたことで少なくとも意地を見せた。

 

アドルフ

LP4000→0

 

「悪く思うな」

ヒイロは地面に落ちたアドルフの星札を手にする。

これでヒイロの手にしている星札は9と3。

このままスタート地点へ戻れば、ヒイロがセカンドステージ突破の一番乗りとなる。

だが、ヒイロにとって、今はどうでもいいこと。

この決闘疾走も、とどめは2体のC:Hに譲ってはいるが、目的は2体の決闘竜を使いこなせるかどうかを見極めること。

(少なくとも、今のデッキ構成なら使える)

アドルフが目指していた第5星宿へストライクチェイサーを走らせ、そこで安置されている5の星札を回収する。

既に余分の星札ではあるが、だからといってそれを取ってはならないというルールは存在しない。

Dホイールを走らせるヒイロはモニターを操作して現状を確認する。

最古島の地図の横に表示される参加者たちの顔。

そして、既に参加者の誰かが回収済みとなっている星宿には×が表示されている。

回収された星札をだれが所持しているかについては未公開だが、既にリタイアとなった参加者については表示が薄くなっていた。

「遊星とクロウは無事か…脱落はアドルフと牛尾、来宮…鬼柳か…」

決闘疾走での敗北そのものは脱落の条件になっていないものの、先ほどのアドルフのようにDホイールが破壊される、決闘疾走者が再起不能となった場合は脱落となる。

「…まだ脱落していないな。待っていろ」

夜更けとなる中、現在回収されていない星札は6と?のみ。

12ちょうどになるように星札を手にすることが求められるセカンドステージにおいては、こうなるのは当然と言える。

ワイルドカードといえる?を抜きに考えると、6以外の星札はいずれも2枚の組み合わせで12にすることができる。

だからそのカードを手に入れるよりも、6以外の星札を手に入れたうえでほかの決闘疾走者を倒し、星札を奪う方が突破できる可能性が高い。

また、セカンドステージの先がどのようになるのかはまだ発表されていないが、ここで一人でも多くライバルを減らした方が統一皇帝となる可能性が高まる。

それでも6を手に入れたい参加者はあくまでも保険として確保するか、もしくは6を手に入れなければ突破できない状況といえる。

「ヒイロ・リオニス…」

「…お前か」

自分を呼ぶ声が聞こえ、ストライクチェイサーを止めたヒイロの背後に現れる骸骨騎士。

じっとヒイロをにらむ骸骨騎士の視線はデッキに移る。

「2枚目の決闘竜を手に入れたか」

「ああ…」

骸骨騎士の瘴気に反応したのか、ヒイロのデッキが震え、《異海龍マリンフォース》と《旋風龍クリアウィング》が姿を現し、骸骨騎士のデッキからも《冥界龍ドラゴネクロ》が姿を見せる。

3体の決闘竜がにらみ合う中、骸骨騎士が口を開く。

「決闘竜…決闘神官の証を2体同時に従える者は初めて見る。これほどとは思わなかった」

「俺は別の世界の人間だ。お前のルールに従ういわれはない」

「そうであった…ヒイロ・リオニス。貴様は異世界の人間であったな…」

「そんなことを言うつもりで来たのなら消えろ。俺にはやることがある」

セクトのことについては遊星から聞いているとはいえ、彼を救うのは遊星であり、自分ではない。

そして、骸骨騎士とゴドウィンの暗闘についても、興味はない。

あるのは2人のことだけだ。

Dホイールを走らせようとするヒイロだが、かまわず骸骨騎士は口を開く。

「この世界のヒイロ・リオニス…彼は、秘密に近づこうとしていた」

「…」

「貴様が手にしているノート、よもや決闘竜のことを我とゴドウィンのほかに知る者がいるとは思わなかったが…」

おそらく、この世界のヒイロは新たなカードをデザインするための着想の一つとして決闘竜の存在を知り、ノートに記録していたのだろう。

「何故、決闘竜のことを知ったのかはわからぬ。だが、これは誰からかまわず知られてよいものではない。この儀式にふさわしくない者が、器にならぬものが知った場合には呪いが待っている。この秘密はそれによって守られてきた」

「呪い…まさか…」

この世界のヒイロは病に侵されていた。

骸骨騎士の言う呪いがその病だという証拠はない。

だが、あまりにも出来すぎている話だ。

「…だが、因果なものだ。呪いに侵され、すでにこの世にいない男の、異世界の同一人物がここにやってきて、2体の決闘竜を手に入れた。…もはや、儀式は…我とゴドウィンの計画しているものにならぬかもしれんか」

「何が言いたい?俺に抜けろ、ということか?」

だというなら、骸骨騎士をここで倒すだけ。

うまくいけば、セクトもここでついでに助けることができる可能性もある。

「…行け、ヒイロ・リオニス。2体の決闘竜の力でなすべきことを為してみよ」

骸骨騎士の姿が霧の中へ消えていく。

それを見ずにヒイロは走り去っていく。

(不動遊星、ヒイロ・リオニス…。我に為せなかったことが為せるというのか?この2人には…)

 

「ヒイロ・リオニス…2体の決闘竜を従え、私の計画を狂わせようというのか」

モニターでヒイロの様子を見るゴドウィンの表情を見せぬよう努める。

無冠の黒馬と評されるヒイロだが、今のゴドウィンがヒイロに二つ名をつけるというなら黒い刺客だろう。

かつて、皐月賞、ダービー、菊花賞の3冠を手にするはずだった馬が最後の菊花賞で黒い馬によって阻まれたという。

勝利した黒い馬は悲鳴とブーイングによって勝利を祝福されたという。

(ヒイロ・リオニス…貴様は黒い刺客ではない。黒魔法使い。そして、その魔法使いはこの国で一番賢い老婆によって葬られる)

本当であれば、遊星の力を確かめるために彼にぶつけさせるつもりでいたが、一番の不安要素の排除を優先すべきとゴドウィンは考えた。

コンソールが操作され、ゴドウィンは通信を始めた。

 

「…来る、来るわ…黒魔法使いが。ヒイロの皮をかぶって…」

「…」

深夜の第6星宿、人形のように沈黙する龍亜のそばで、龍可はボロボロの絵本を読んでいる。

そこには森に住む黒魔法使いと老婆の戦いが描かれていた。

黒魔法使いは意地が悪く、ドラゴンに化けて村人を驚かす、黒魔法使いを止めようと立ち向かった人々に呪いをかけるといった蛮行を重ねた。

それを見かねた国王は老婆を呼び、黒魔法使いを懲らしめるように命じた。

老婆は壊れたカカシを同行させることを条件に、国王の命令に応じた。

カカシは黒魔法使いによって呪われており、彼女を懲らしめることで呪いを解けることをねがっていた。

だが、ドラゴンに変身できる黒魔法使いを老婆とカカシだけで倒すことはできない。

そこで老婆が仕掛けたのははったりだった。

老婆は叫ぶ。

「黒魔法使いめ、これ以上悪さをすると食ってしまうぞ」と。

驚く黒魔法使いが飛び出すと、彼女は巨大な化け物の影の中にいた。

おびえる黒魔法使いを老婆は拘束する。

実は影の正体はカカシで、老婆の住む屋敷の屋上に立って大きな影を作っただけだった。

黒魔法使いは許しを請い、呪いは自分の本当の姿を思い出しながら朝日に身を照らせば解けると教えた。

カカシが朝日に身を照らすと、呪いが解けて美しい王子となった。

王子は感謝しながら老婆を抱きしめる。

すると、老婆はその姿を乙女へと変えた。

彼女もまた、古き呪いによって老婆へと姿を変えられていたという。

呪いを解く鍵は王子の抱擁だったという。

2人は王様から褒美をもらい、幸せに暮らした。

絵本を閉じた龍可は視線を下に落とす。

「絵本では、王子様に救われて、幸せになった。でも…そうじゃない。ここにいるのは壊れたカカシ。呪いで姿が変わったわけじゃないただのカカシ。本当の王子さまは…」

龍可の脳裏によみがえるのはゴドウィンからの通信だ。

(君の王子様の偽物についてですが…ようやくわかりましたよ。正体は竜に化ける力を持つ黒い魔法使いです。死んだ王子の皮をかぶっているのです。どうか、最愛の彼の仇をあなたの手で討ってください)

「ええ…王様。そうですよね…王子様を殺して、皮を奪った憎き黒魔法使いは私が…」

「龍亜、龍可」

ヒイロを乗せたストライクチェイサーが第6星宿に到着する。

そして、もう1台のDホイールの走行音が3人の耳に届く。

「ヒイロ!来ていたのか…!」

「遊星か…目的は6の星札か」

「ああ…」

遊星は2枚の星札、2と4のカードをヒイロに見せる。

合計が6であることを考えると、ここの星札を手に入れればセカンドステージ突破が決まる。

そして、4の星札を持っているということは同時にあることも意味している。

(決闘竜を手に入れたか、遊星…)

だが、待っている龍亜と龍可はここの星札を手にする様子はない。

「黒魔法使い…王子様の仇…!」

憎悪に満ちた目でヒイロを見る龍可が闇の瘴気を放つ。

何も言わないヒイロは青いマフターを首に結ぶ。

「王子様の姿だけじゃなくて、それまで…どれだけ私から奪えば気が済むの…!」

「遊星、お前はここの星札を持って決闘門へ行け。2人の相手は俺がする」

「ヒイロ…」

「船で言っただろう、これは俺がやるべきことだ。そのための力はある」

《異海龍マリンフォース》と《旋風龍クリアウィング》。

《妖精竜エンシェント》と《機械竜パワー・ツール》。

従えている決闘竜の数はどちらも同じ。

「カカシ…Dホイールに乗って。王子様の仇を討つわ」

「…」

もはやカカシというよりも、マリオネットというべき龍亜は龍可の言葉に従うようにDホイールに乗る。

(王子様…黒魔法使い…?)

スタジアムで戦っていた時とは全く違う、妙な言動を見せる龍可だが、気にする様子を見せないヒイロはスタートラインに立つ。

決闘疾走を始めようとする彼らを星札を手にした遊星は見つめる。

「今、助ける…」

(頼みます…異界から来たもう一人の僕。どうか、2人を…)

「「決闘!!」」

 

龍亜&龍可

手札5

LP4000

 

ヒイロ

手札5

LP4000

 

「私たちの先攻…私たちは手札からフィールド魔法《FairyTail序章旅立ちの暁光》を発動…」

深夜にも関わらず、背後から日の光を感じたヒイロは後ろを振り返る。

そこには笑顔が描かれたデフォルメされている太陽が浮かんでおり、それは実際に太陽の熱として肌で感じるものだった。

「私は手札から《森の聖騎士ワンコ》を召喚…」

銀の鎧と剣を身にまとった、擬人化した犬といえるモンスターがフィールドに現れる。

かわいらしいモンスターだが、龍可の放つ瘴気に震えているようにも見えた。

 

森の聖騎士ワンコ レベル4 攻撃1100

 

「このカードの召喚に成功した時、私のフィールドか墓地に《旅立ちの暁光》が存在する場合、デッキからカードを1枚ドローできる。そして、《旅立ちの暁光》の効果…私のフィールドに光属性・獣族かレベル7か8のドラゴン族シンクロモンスターが存在する場合、1ターンに1度、デッキからカードを1枚ドローできる」

手札に加わる2枚のカードを見つめ、、龍可は笑う。

「フィールド魔法が存在するとき、《森の忍者バット》は手札から特殊召喚できる」

龍可の影から飛び出すように現れる小さなコウモリというべきモンスター。

彼は地上の《森の聖騎士ワンコ》が両脚でつかみ、飛行を始める。

 

森の忍者バット レベル3 攻撃800(チューナー)

 

「《旅立ちの暁光》がフィールドか墓地に存在する状態でこのカードの召喚・特殊召喚に成功した時、デッキから光属性・獣族モンスター1体を手札に加えることができる。私は《森の賢者フォック》を手札に加える…。そして、私はレベル4の《ワンコ》にレベル3の《バット》をチューニング…」

「来るか…」

スタジアムで戦った龍亜の《機械竜パワー・ツール》とは違う瘴気を感じ取り、確信する。

召喚されるのは龍可の、彼女と龍亜の心を縛る悪魔。

「太古の森よりフィールドを制圧する精霊よ、かりそめの姿にその身をやつし降臨せよ。シンクロ召喚!!《妖精竜 エンシェント》」

《森の聖騎士ワンコ》と彼を抱える《森の忍者バット》が龍可の放つ闇の瘴気に取り込まれていく。

そして、その姿を《エンシェント・フェアリー・ドラゴン》に似た姿のドラゴンへと変貌させた。

 

妖精竜エンシェント レベル7 守備3000

 

「そして、フィールドの《旅立ちの暁光》を墓地へ送り、手札から新たなフィールド魔法《FairyTail第二章激怒の太陽》を発動…」

笑顔を見せていた太陽が背中を向け、その背中に怒りに満ちた顔が浮かぶ上がる。

先ほどまでの温かさが鋭い暑さへと変わり、ヒイロの額から汗が流れる。

「フィールド魔法が発動したことで、《エンシェント》の効果を発動。デッキからカードを1枚ドローする。そして、《激怒の太陽》の効果…私のフィールドに私のフィールドに光属性・獣族かレベル7か8のドラゴン族シンクロモンスターが存在する場合、1ターンに1度、相手の手札1枚をランダムで墓地へ送ることができる」

上空に浮かぶ太陽から放たれる光線がヒイロの手札を襲う。

貫かれたカードはホルダーから離れ、風で飛んでヒイロの墓地へ送られる。

 

手札から墓地へ送られたカード

・C:Aアンデッドブレイカー

 

「そして、私は手札から魔法カード《森の意思》を発動。このターン、私たちが発動したフィールド魔法の数だけ、手札・墓地からレベル4以下の獣族・鳥獣族・獣戦士族を特殊召喚できる。墓地の《ワンコ》と《バット》を特殊召喚」

《妖精竜エンシェント》召喚の贄となっていた2体が再びフィールドに姿を現す。

2体とも龍可におびえていて、なぜか相手であるヒイロに助けを求めるように視線を向けている。

 

森の聖騎士ワンコ レベル4 攻撃1100

森の忍者バット レベル3 攻撃800(チューナー)

 

「レベル4の《ワンコ》にレベル3の《バット》をチューニング…現れなさい、カカシの竜、《機械竜パワー・ツール》」

再び闇の瘴気の中へ消える2体のモンスター。

そして、マリオネットのように動く《機械竜パワー・ツール》が姿を見せた。

 

機械竜パワー・ツール レベル7 攻撃2300

 

「そして、手札から永続魔法《老婆の決意》を発動…私のフィールドにエンシェントと名のつくシンクロモンスターか光属性・獣族モンスターが存在する場合、1ターンに1度、墓地に存在するフィールド魔法1枚をデッキに戻し、デッキからカードを1枚ドローできる。私は《旅立ちの暁光》をデッキに戻し、カードを1枚ドロー。そして、《老婆の決意》が存在する限り、1ターンに1度、私のフィールド魔法は破壊されない。私はカードを2枚伏せて、ターンエンド」

 

龍亜&龍可

手札5→2(うち1枚《森の賢者フォック》)

LP4000

機械竜パワー・ツール レベル7 攻撃2300

妖精竜エンシェント レベル7 守備3000

老婆の決意(永続魔法)

伏せカード2

FairyTail第二章激怒の太陽(フィールド魔法)

 

ヒイロ

手札5→4

LP4000

 

「王様…見ていてください。私たちの力で黒魔法使いを…」

取り付かれているかのようにうわごとを口にする龍可。

龍可の人形となった龍亜。

その2人の後ろ姿を見つつ、ヒイロはデッキトップに指をかける。

「俺のターン!」

 

ヒイロ

手札4→5

 

「相手フィールドにのみモンスターが存在する時、《サイファー》はリリース無しで召喚できる」

 

C:Hサイファー レベル6 攻撃2000

 

「《サイファー》の効果。デッキのC:Aを3枚選択し、そのうちの1枚をランダムに選択して手札に加えるか《サイファー》に装備し、それ以外のカードは墓地へ送る」

 

選択されたカード

・C:Aガンフォックス

・C:Hプロペラオウル

・C:Hサウンドキャット

 

3枚のカードが裏向きにシャッフルされ、龍亜のDホイールのモニターに表示される。

「真ん中を選びなさい…」

龍可が耳元にささやいた言葉に従い、龍亜は真ん中のカードをタッチする。

「お前が選択したのは《プロペラオウル》。よって、《ガンフォックス》と《サウンドキャット》は墓地へ送り、《プロペラオウル》を《サイファー》に装備する」

右手でプロペラを手にした《C:Hサイファー》が空を飛び、上空から2体の決闘竜の様子を見る。

《妖精竜エンシェント》がにらむ中、反応を見せない《機械竜パワー・ツール》の様子に口元を緩めた。

(《プロペラオウル》を装備したモンスターは相手プレイヤーに直接攻撃することができる。もしくは…)

この状態でシンクロ召喚できる《C:Hミラージュガンナー 》。

そのモンスターであれば、少なくとも《機械竜パワー・ツール》を破壊できるだろう。

そして、自らの効果によって《C:Aガンフォックス》を装備していれば、さらなるダメージも期待できる。

(だが、あいつは言っていた…。龍亜と龍可を救うことが自分のやるべきことだと)

「俺は《プロペラオウル》の効果を発動。装備を解除し、特殊召喚する。そして、俺はレベル6の《サイファー》にレベル2の《プロペラオウル》をチューニング。世界をつなぐ広大な海の水底に眠りし龍よ、静寂を守るため、今一度甦れ!シンクロ召喚!現れろ、《異海龍マリンフォース》!!」

龍亜を決闘竜の呪縛から解き放った《異海龍マリンフォース》が再び2人の前に姿を現す。

黒魔法使いの化身といえるそのモンスターの様相に龍可は怒りに満ちた目を向ける。

 

異海龍マリンフォース レベル8 攻撃2800

 

「そして、俺は手札から魔法カード《シンクロ・クリード》を発動。フィールドにシンクロモンスターが3体以上存在するため、俺はカードを2枚ドローする。そして、手札から魔法カード《ジャック・シンクロ》を発動。お互いのフィールドにシンクロモンスターが存在する時、自分の墓地に存在するチューナーモンスターと相手の墓地に存在するチューナー以外のモンスター1体を除外することで、それらのモンスターを素材にシンクロ召喚を行う。俺は墓地の《サウンドキャット》と《ワンコ》を除外しチューニング」

いきなり龍亜の墓地から飛び出した《森の聖騎士ワンコ》がヒイロのフィールドへ走り、《C:Aサウンドロッカー》が生み出したチューニングリングの中へと飛び込んでいく。

「幻惑の光を翼に宿し、螺旋の風で敵を貫け。シンクロ召喚。現れろ、《旋風龍クリアウィング》」

「2体目の決闘竜!?」

2人を救うための力を手に入れたとヒイロは確かに言っていたが、まさか2体目の決闘竜を手にしていることは想定外だった。

ブレオに勝利して得た新たなヒイロの切り札が回転しながらフィールドに現れる。

 

旋風龍クリアウィング レベル7 攻撃2500

 

「黒魔法使いの2体目のドラゴン…」

「ああ…お前たちを助けるために手に入れたドラゴンだ。バトル。まずは《クリアウィング》で《妖精竜エンシェント》を攻撃。螺旋光槍」

回転を始める《旋風龍クリアウィング》の羽から放出される緑色の粒子。

粒子は《妖精竜クリアウィング》の身体を包んでいき、その動きを封じ始める。

「《エンシェント》!?」

「《クリアウィング》の効果。このカードが特殊召喚されたモンスターと戦闘を行うとき、そのモンスターの効果を無効にし、ターン終了時まで相手モンスターの元々の攻撃力分、攻撃力をアップさせる」

「よし…これで攻撃力が4600になる。あとは《マリンフォース》の攻撃で2人の決闘竜を…」

「ふふふ…ふふふふ…」

龍可が身を震わせ、こらえるように笑う。

その間にも《旋風龍クリアウィング》の突撃は動けない《妖精竜エンシェント》に襲いかかる。

貫かれた妖精竜は爆発し、その衝撃波はヒイロを襲う。

「なんだ、これは…!ぐうう…」

「ふふ、ふふふふ…私たちは手札の《森の賢者フォック》の効果を発動したのよ。《FairyTail序章旅立ちの暁光》がフィールドに存在していて、私の光属性・獣族モンスターかレベル7か8のドラゴン族シンクロモンスターが攻撃対象になった時、手札のこのカードを墓地へ送ることで、攻撃対象をほかのモンスターに変更できる。そして、攻撃対象がエンシェントと名のつくシンクロモンスターの場合、ほかの相手モンスターを攻撃対象にすることもできる。お前が攻撃したのは自分の化身のドラゴンよ、黒魔法使い…」

消滅する《妖精竜エンシェント》の姿が《異海龍マリンフォース》へと変わり、龍亜と龍可のフィールドには2体の決闘竜が健在な姿を見せる。

「だが、今のフィールド魔法は…」

「《激怒の太陽》はフィールド・墓地に存在する場合、カード名を《FairyTail序章旅立ちの暁光》として扱う。そして、このカードがフィールドゾーンに存在する限り、お互いに受ける戦闘ダメージは倍になる」

 

旋風龍クリアウィング レベル7 攻撃2500→5300

 

「まずい!それでは5000のダメージでヒイロが…!」

《旋風龍クリアウィング》の効果は主であるヒイロの命令であっても発動を止めることができない効果。

衝撃波に襲われる中、ヒイロは手札ホルダーに手を伸ばす。

「俺は手札から速攻魔法《アクア・イリュージョン》を発動!俺のフィールドにマリンフォースシンクロモンスターが存在する時、このターン俺が受けるダメージを半分にする!」

破壊された《異海龍マリンフォース》の身体が泡となってヒイロを包む。

衝撃波からしばらく身を守った後で泡が消え、ダメージを受けながらも健在な姿をヒイロは見せる。

 

ヒイロ

LP4000→1500

 

「そして、俺がその時受けるダメージが1000以上の時、さらにデッキからカードを1枚ドローする。そして、カードを3枚伏せ、ターンエンド。ターン終了と同時に、《クリアウィング》の攻撃力は元に戻る」

 

龍亜&龍可

手札2→1

LP4000

場 機械竜パワー・ツール レベル7 攻撃2300

  妖精竜エンシェント レベル7 守備3000

  老婆の決意(永続魔法)

  伏せカード2

  FairyTail第二章激怒の太陽(フィールド魔法)

 

ヒイロ

手札5→1

LP1500

場 旋風龍クリアウィング レベル7 攻撃5300→2500

  伏せカード3

 

(《マリンフォース》は破壊されたが、それでも《クリアウィング》は生きている。だが…)

《旋風龍クリアウィング》であれば、どちらの決闘も破壊することができる。

しかし、まだ《妖精竜エンシェント》の効果の全容がわかっているわけではない。

ただフィールド魔法発動時にカードをドローする効果だけで終わるほど、決闘竜は甘い存在ではない。

「私のターン、ドロー…」

 

龍亜&龍可

手札1→2

 

「私は《激怒の太陽》の効果を発動。このカードは《旅立ちの暁光》と同じで、スタンバイフェイズ時に別のフィールド魔法に置き換えることができる。そして、《老婆の決意》の効果で、1ターンに1度、私のカードの効果によってフィールド魔法を表側表示で置いたとき、それはフィールド魔法を発動したものとして扱うことができる。さあ、第三章は《黄昏の夕日》よ…」

突き刺すような暑さが消え、入れ替わるように悪寒を感じさせるような寒さがフィールドを包む。

夕日となった太陽は憂い顔を見せており、太陽らしからぬ冷たさを現出させる。

「《エンシェント》の効果により、私はデッキからカードを1枚ドロー。そして、手札から装備魔法《樹海の爆弾》を《クリアウィング》に装備」

上空を飛ぶ《旋風龍クリアウィング》に赤い液体の詰まり、血管のように根のついた袋が取り付く、根は急激に伸びていき黒魔法使いの化身の1体の動きを封じ込めていく。

「そのカードは…!」

「《樹海の爆弾》は破壊されたときに起爆し、装備モンスターを道連れにする。そして、装備モンスターが破壊されたとき、そのモンスターの攻撃力分のダメージを相手に与えるわ。そして、《エンシェント》はフィールド魔法が表側表示で存在する時、1ターンに1度、フィールド上の攻撃表示モンスターを破壊できる。森葬の霊場(スピリット・ベリアル)!」

《妖精竜エンシェント》が黒い光を放ち、その光に《旋風龍クリアウィング》が飲み込まれる。

光の中で《樹海の爆弾》が爆発し、爆風がヒイロを襲う。

「く…罠発動!《ミラージュ・ダイブ》!俺のフィールドのシンクロモンスター1体を除外し、相手フィールドのモンスターの攻撃力をターン終了時までそのモンスターの攻撃力分ダウンさせる。除外されたことで、《樹海の爆弾》は不発に終わる」

 

妖精竜エンシェント レベル7 攻撃2100→0

機械竜パワー・ツール レベル7 攻撃2300→0

 

「けど、これでフィールドから《クリアウィング》が消えたわ!私は罠カード《迎撃の盾》を発動。私のフィールドのモンスター1体をリリースし、リリースしたモンスターの元々の守備力の数値分、私のモンスター1体の攻撃力をターン終了時までアップさせる。私は《エンシェント》をリリースし、《パワー・ツール》の攻撃力をアップ」

闇の瘴気へとその身を変えた《妖精竜エンシェント》が《機械竜パワー・ツール》にとりつく。

激しい頭痛を感じたかのように《機械竜パワー・ツール》は頭を抱えて苦しみだし、同時に出力が上昇していく。

 

機械竜パワー・ツール レベル7 攻撃0→3000

 

「バトル。さあ、《パワー・ツール》、《エンシェント》の力で黒魔法使いを葬りなさい!」

苦しむ《機械竜パワー・ツール》が取り付かれた瘴気に操られ、ヒイロに向けて左手の鋭い爪を突き刺そうとする。

「これで終わりよ…黒魔法使い!」

「俺は永続罠《リビングデッドの呼び声》を発動!その効果により、俺は墓地の《マリンフォース》を復活させる」

一度は惑わされたことで散った《異海龍マリンフォース》が再び2人を救うためにフィールドに飛び出す。

 

異海龍マリンフォース レベル8 攻撃2800

 

「また化身の龍が!?くっ…!」

攻撃宣言を行いたい龍可だが、脳裏にスタジアムでの決闘疾走のことが浮かぶ。

「(《異海龍マリンフォース》は攻撃力が元々の攻撃力と異なるモンスターの攻撃力を元に戻して、効果を無効にする。そして、その効果で変化した攻撃力の数値分、自らの攻撃力をターン終了時までアップさせる。その効果を使われたら…)攻撃中断よ…。メインフェイズ2に《黄昏の夕日》の効果。お互いに自分のメインフェイズ時に1度、自分の墓地のシンクロモンスター1体を守備表示で特殊召喚できる。私は墓地の《妖精竜エンシェント》を呼び戻す」

《機械竜パワー・ツール》に取り付いていた闇の瘴気が離れていき、その姿を《妖精竜エンシェント》へと戻した。

 

妖精竜エンシェント レベル7 守備3000

 

「《エンシェント》がよみがえったか…」

「そして、《妖精竜エンシェント》の効果。《マリンフォース》を破壊する!森葬の霊場!!」

復活したことで再び使用可能となった力によって放たれる黒い光。

それは《異海龍マリンフォース》を飲み込んでいく。

「俺は《マリンフォース》の効果を発動!《パワー・ツール》の攻撃力を元に戻し、効果を無効にする!」

消滅する《異海龍マリンフォース》が放った泡が《機械竜パワー・ツール》を拘束し、彼の持つ力を封印した。

「私は《老婆の決意》の効果を発動。墓地の《激怒の太陽》をデッキに戻し、デッキからカードを1枚ドロー。これで…ターンエンド」

 

龍亜&龍可

手札2→3

LP4000

場 機械竜パワー・ツール レベル7 攻撃2300(《異海龍マリンフォース》の影響下)

  妖精竜エンシェント レベル7 守備3000

  老婆の決意(永続魔法)

  伏せカード2

  FairyTail第三章黄昏の夕日(フィールド魔法)

 

ヒイロ

手札1

LP1500

場 伏せカード1

 

「俺のターン!」

 

ヒイロ

手札1→2

 

「俺は手札から《逆境の宝札》を発動。相手フィールドに特殊召喚されたモンスターが存在し、自分フィールドにモンスターが存在しないとき、デッキからカードを2枚ドローする。そして、《黄昏の夕日》の効果。俺は墓地の《マリンフォース》を復活させる」

 

異海龍マリンフォース レベル8 守備2200

 

「俺はカードを3枚伏せ、ターンエンド」

 

龍亜&龍可

手札3

LP4000

場 機械竜パワー・ツール レベル7 攻撃2300(《異海龍マリンフォース》の影響下)

  妖精竜エンシェント レベル7 守備3000

  老婆の決意(永続魔法)

  伏せカード2

  FairyTail第三章黄昏の夕日(フィールド魔法)

 

ヒイロ

手札2→0

LP1500

場 異海龍マリンフォース レベル8 守備2200

  伏せカード4

 

(ドローしたカード、そしてセットしているカードにすべてを賭けているのか?ヒイロ…)

「私のターン…ドロー…」

 

龍亜&龍可

手札3→4

 

「スタンバイフェイズ時に《黄昏の夕日》の効果を発動…さあ、物語は最終章よ」

日が沈み、怪しい赤い光を放つ月が浮かび上がる。

この最終章が物語なのか、この決闘疾走なのかは誰にもわからない。

「新たなフィールド魔法《忘却の妖月》を発動したことで、《エンシェント》の効果を発動。私はデッキからカードを1枚ドロー…」

「罠発動!《逆転の明札》。相手が通常のドロー以外でカードをドローするか、デッキからカードを手札に加えたとき、俺は相手の手札と同じ枚数になるようにデッキからカードをドローする」

(今の私の手札は《エンシェント》の効果でドローしたカードを加えて5枚!?黒魔法使いめ…!!)

一気に5枚に増えたヒイロの手札。

だが、その手札すべてを生かすにはこのターンを生き延びなければならない。

「私は《エンシェント》を攻撃表示に変更!そして、《忘却の妖月》の効果!守備表示モンスターが攻撃表示となった時、そのモンスターの攻撃力が倍になる」

月の光を浴びた《妖精竜エンシェント》が怪しく笑うと同時の身体をまとう光を赤く染めていく。

 

妖精竜エンシェント レベル7 守備3000→攻撃2100→攻撃4200

 

「だが、守備表示でも《マリンフォース》の効果は…」

「無駄よ、私のフィールドに《エンシェント》が存在する時、《忘却の妖月》の効果によって相手フィールドのモンスターの効果は発動できない。そして、私は手札から魔法カード《森の裁き》を発動。私のフィールドにエンシェントシンクロモンスターが存在する時、相手の魔法・罠カードをすべて破壊する」

《妖精竜エンシェント》が宿す闇の瘴気が爆発するかのように膨れ上がり、ヒイロの伏せカードを焼き尽くしていく。

「ヒイロ!!」

 

破壊された伏せカード

・追走の翼

・攻撃の無力化

・トランザクション・ロールバック

 

「バトルよ!《パワー・ツール》で《マリンフォース》を攻撃!!そして、罠カード《ストライク・ショット》を発動!私のモンスターの攻撃宣言時、そのモンスターの攻撃力を700アップさせて、貫通効果を与える!」

 

妖精竜エンシェント レベル7 攻撃4200→4900

 

「俺は手札の《マリンフォース・ガーディアン》の効果を発動。俺のマリンフォースシンクロモンスターが攻撃対象となった時、手札のこのカードを特殊召喚することで、その攻撃を無効にし、バトルフェイズを終了させる」

鋭いしっぽによって攻撃しようとする《妖精竜エンシェント》をかばうように《マリンフォース・ドラゴン》を模した鎧に身を包んだ少年の騎士が現れ、盾で攻撃を受け流す。

再び攻撃が失敗し、なおも《異海龍マリンフォース》がフィールドに存在し続けることに龍可が体を震わせる。

 

マリンフォース・ガーディアン レベル4 守備2000

 

「私は手札から魔法カード《妖精獣の祝福》を発動!私の墓地に存在する光属性・獣族モンスター1体を手札に戻す。私は墓地の《森の賢者フォック》を手札に戻す!そして、《老婆の決意》の効果。墓地の《黄昏の夕日》をデッキに戻し、デッキからカードを1枚ドロー。そして、私はカードを3枚伏せて、ターンエンド…同時に、《エンシェント》の攻撃力は元に戻る」

 

龍亜&龍可

手札5→2(うち1枚《森の賢者フォック》)

LP4000

場 機械竜パワー・ツール レベル7 攻撃2300(《異海龍マリンフォース》の影響下)

  妖精竜エンシェント レベル7 攻撃4900→2100

  老婆の決意(永続魔法)

  伏せカード4

  FairyTail第三章黄昏の夕日(フィールド魔法)

 

ヒイロ

手札0→4

LP1500

場 異海龍マリンフォース レベル8 守備2200

  マリンフォース・ガーディアン レベル4 守備2000

 

「俺のターン!」

 

ヒイロ

手札4→5

 

「また《フォック》か…」

「黒魔法使い…もう効果は知っているわね?《エンシェント》を攻撃対象とするなら、《フォック》の効果で攻撃対象がお前の《マリンフォース・ガーディアン》となる。さらに私は罠カード《バトルマニア》を発動。《バトルマニア》の効果で相手フィールドに存在するモンスターはすべて攻撃表示となり、このターン攻撃可能なモンスターはすべて攻撃しなければならない」

 

マリンフォース・ガーディアン レベル4 守備2000→攻撃1000→2000

異海龍マリンフォース レベル8 守備2200→攻撃2800→5600

 

「フフフフ…これで、もうお前は攻撃するしかない。攻撃した瞬間、負けるわよ…さあ、覚悟しなさい、黒魔法使い…フフ、フフフフ…」

「くっ…!」

ヒイロの視線は龍可が伏せた残り2枚のカードに向けられる。

(おそらく、伏せているカードは攻撃対象を《エンシェント》のみにする効果のあるカード、より確実に《フォック》の効果を使うための…)

(さあ、攻撃しなさい黒魔法使い…その瞬間、《フォック》の効果で《マリンフォース・ガーディアン》と化身の龍は殺し合う。たとえライフが残ったとしても、このカードがある…)

龍可が伏せたカードのうちの1枚、《森の怒り》。

モンスター同士による戦闘で相手モンスターが破壊されなかった時、攻撃モンスターの攻撃力分のダメージを相手に与える効果を持つ。

(《フォック》でつぶし合うのはお前のフィールドの中だけの話。どうしても生き延びる《マリンフォース》がお前を殺す…!)

「俺は手札から永続魔法《プレイヤーズ・サロン》を発動。このカードは俺のC:Hが装備カードを装備するたびにアームドカウンターが1つ乗り、俺のフィールドのC:Hシンクロモンスターの攻撃力を乗っているアームドカウンター1つにつき、200アップさせる」

「それがどうしたというの?お前のフィールドには肝心のC:Hが存在しないじゃない!」

「ああ、そうだ…。だから、俺は手札から魔法カード《パラレル・ツイスター》を発動。このカードは俺の魔法・罠カード1枚を墓地へ送ることで、フィールド上のカード1枚を破壊する。俺は《プレイヤーズ・サロン》を墓地へ送り…」

(《エンシェント》を破壊するつもりだというの?でも…無駄なことを…)

前のターンに発動した《妖精獣の祝福》のもう1つの効果、破壊されるカード1枚の身代わりになる効果がある。

万が一、《森の賢者フォック》の効果が不発となったとしても、このカードが戦闘の際に身代わりになることで《森の怒り》を発動できる。

《森の賢者フォック》の効果を回避する手段があるとしたら、《バトルマニア》の効果を受けた2体のモンスターをすべて墓地へ送ること。

そうすれば、《バトルマニア》による強制攻撃を回避できる。

だが、残りの手札3枚でそこまでのことをして、なおかつ次のターンを生き残る手段があるのか?

「…」

「ヒイロ…?」

「どうしたの?黒魔法使い、さっさと対象を選びなさい…!」

「待っていろ、龍亜、龍可…。このターンで、お前たちを救う。俺は《マリンフォース・ガーディアン》を破壊する!」

砕け散る《プレイヤーズ・サロン》と《マリンフォース・ガーディアン》。

残るのは《異海龍マリンフォース》のみで、モンスター効果は《FairyTail最終章忘却の妖月》によって封じられている。

攻撃力が5600となったとはいえ、それでも何も有利になっていない。

「俺は墓地の《アクア・イリュージョン》の効果を発動!俺のフィールドに存在するモンスターが《マリンフォース》1体のみの場合、墓地のこのカードとチューナーモンスター1体を除外することで、ターン終了時まで除外したモンスターの元々の攻撃力分、《マリンフォース》の攻撃力がアップする。俺は《アンデッドブレイカー》を除外する!」

 

異海龍マリンフォース レベル8 攻撃5600→6600

 

「そして、この効果を受けた《マリンフォース》が攻撃する時、相手はカード効果を発動できない」

「よし…!この攻撃力なら、たとえどちらを攻撃したとしても、一気に2人のライフを0にすることができる!」

「その程度で勝てると思っているの?私は速攻魔法《森の呪い》を発動!自分フィールドのシンクロモンスター1体の攻撃力分、相手フィールドのモンスター1体の攻撃力をダウンさせる。《パワー・ツール》の攻撃力分、化身の龍の攻撃力はダウンする」

 

異海龍マリンフォース レベル8 攻撃6600→4300

 

「フフフ…これで、攻撃したとしても私のライフは…」

「俺は《マリンフォース》で《エンシェント》を攻撃!」

「無駄なことを!言ったでしょう!攻撃した瞬間、お前は負けると!!」

《異海龍マリンフォース》がヒイロの命令に従い、突き出した両手の掌底を合わせ、指先を揃えてから上下に開く。

両手にはドラゴンの頭のような水の幻影が出現する。

「待て、ヒイロ!!」

遊星が静止させようとするが、もう攻撃は止められない。

勝利を確信した龍可が笑みを浮かべる。

「終わりよ!黒魔法使い!!」

「俺は墓地の《マリンフォース・ガーディアン》の効果を発動!俺の《マリンフォース》が相手モンスターと戦闘を行うとき、墓地のこのカードを除外することで、その攻撃を無効にする!」

カード効果を受けた《異海龍マリンフォース》の両手から幻影が消え、攻撃を中断する。

その様子を見た龍可は驚きの表情を浮かべる。

「何を、無駄なことを…?」

「そして、その時戦闘を行った相手モンスターの効果は無効となり、そのモンスターの攻撃力分、自分フィールドのモンスター1体の攻撃力をターン終了時までアップさせる」

《異海龍マリンフォース》の口から放出される泡のブレスが《妖精竜エンシェント》を包み込んでいく。

泡によって瘴気が消えていくのに反応し、龍可が苦しみ始める。

「く、ううう!!」

 

異海龍マリンフォース レベル8 攻撃4300→6400

 

「《エンシェント》の力が…!?おのれ、黒魔法使いめ!!黒魔法…」

「龍可…」

「黒…まほ…けて…ロ…」

闇の瘴気が徐々に消えていく龍可。

まだそれは消え切れていないようだが、ようやく聞こえてくる龍可の本心の声。

「助けて…ヒイロ…」

(お願いします、終わらせてください。この悪夢を)

「…俺は墓地の《ミラージュ・ダイブ》の効果を発動。俺のフィールドのシンクロモンスターの攻撃が無効となった時、墓地のこのカードを除外することで、もう1度攻撃できる。いけ、《マリンフォース》!!」

上空へ飛ぶ《異海龍マリンフォース》の身体が水のオーラに包まれ、《妖精竜エンシェント》に向けて突撃する。

「龍化幻影撃(ドラゴニック・ミラージュ・ストライク)!」

体を貫かれた《妖精竜エンシェント》が悲鳴とともに消滅し、龍可の身体から闇の瘴気が消えていく。

「ヒイ、ロ…」

 

龍亜&龍可

LP4000→0

 

FairyTail第二章激怒の太陽(漫画オリカ・調整)

フィールド魔法カード

このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

このカードがフィールド・墓地に存在する場合、カード名を「FairyTail序章旅立ちの暁光」として扱う。

(1):このカードがフィールドゾーンに存在する限り、お互いが受ける戦闘ダメージは倍になる。

(2):自分フィールドに獣族・光属性モンスターまたはレベル7・8のドラゴン族Sモンスターが存在する場合に発動できる。相手は手札1枚をランダムで墓地へ送る。

(3):自分スタンバイフェイズ時にフィールドゾーンのこのカードを墓地へ送ることで発動できる。自分の手札・デッキから「FairyTail第二章激怒の太陽」以外のフィールド魔法カード1枚を自分フィールドゾーンに表側表示で置く。

 

老婆の決意

永続魔法カード

このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分フィールドゾーンに表側表示で存在するカードは1ターンに1度、効果では破壊されない。

(2):自分フィールドに「エンシェント」Sモンスター、または光属性・獣族モンスターが存在する時、自分の墓地に存在するフィールド魔法カード1枚を対象に発動できる。そのカードをデッキに戻し、デッキからカードを1枚ドローする。

(3):1ターンに1度、自分のカードの効果により、自分フィールドゾーンにフィールド魔法カードが表側表示で置かれたとき、そのフィールド魔法を発動したものとして扱う。

 

 

森の意思

通常魔法カード

このカード名のカードは1ターンに1度しか発動できない。

(1):自分がフィールド魔法を発動したターンのメインフェイズ時にのみ発動できる。このターン、フィールドゾーンに置かれたフィールド魔法の数まで、自分の墓地に存在するレベル4以下の獣族・鳥獣族・獣戦士族を特殊召喚する。この効果で特殊召喚されたモンスターの効果は無効化される。このカードを発動したターン、ターン終了時まで自分はSモンスター以外をEXデッキから特殊召喚できない。

 

ジャック・シンクロ

通常魔法カード

(1):お互いのフィールドにSモンスターが存在する時に発動できる。自分の墓地に存在するチューナーモンスター1体を相手の墓地に存在するチューナー以外のモンスター1体を除外することで、その2体のモンスターをS素材としてSモンスター1体のS召喚を行う。

 

ミラージュ・ダイブ

通常罠カード

このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分フィールドに存在するSモンスター1体を除外することで発動できる。相手フィールドに存在するモンスターの攻撃力をターン終了時まで除外したモンスターの元々の攻撃力分ダウンさせる。

(2):自分フィールドに存在するSモンスターの攻撃が無効となった時、墓地のこのカードを除外することで発動できる。そのモンスターはもう1度攻撃できる。

 

樹海の爆弾(漫画オリカ・調整)

装備魔法カード

(1):装備状態で存在するこのカードが破壊されたときに発動する。このカードを装備していたモンスターを破壊する。その後、そのモンスターの元々の攻撃力分のダメージを相手に与える。

(2):装備モンスターが破壊されたことでこのカードがフィールドから離れたときに発動する。そのモンスターの元々の攻撃力分のダメージを相手に与える。

 

FairyTail第三章黄昏の夕日(漫画オリカ・調整)

フィールド魔法カード

このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

このカードがフィールド・墓地に存在する場合、カード名を「FairyTail序章旅立ちの暁光」として扱う。

(1):このカードがフィールドゾーンに存在する限り、お互いに自分メインフェイズ時に1度、墓地に存在する自分のSモンスター1体を対象に発動できる。そのモンスターを自分フィールドに表側守備表示で特殊召喚する。

(2):自分フィールドに獣族・光属性モンスターまたはレベル7・8のドラゴン族Sモンスターが存在する場合に発動できる。フィールド上のモンスター1体の表示形式を変更する。

(3):自分スタンバイフェイズ時にフィールドゾーンのこのカードを墓地へ送ることで発動できる。自分の手札・デッキから「FairyTail第三章黄昏の夕日」以外のフィールド魔法カード1枚を自分フィールドゾーンに表側表示で置く。

 

森の裁き

通常魔法カード

(1):自分フィールドに「エンシェント」Sモンスターが存在する場合にのみ発動できる。相手の魔法・罠カードをすべて破壊する。

 

FairyTail最終章忘却の妖月(漫画オリカ・調整)

フィールド魔法カード

このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

このカードがフィールド・墓地に存在する場合、カード名を「FairyTail序章旅立ちの暁光」として扱う。

(1):このカードがフィールドゾーンに存在する限り、フィールド上の守備表示モンスターの表示形式が攻撃表示に変更されたときに発動する。ターン終了時までそのモンスターの攻撃力を倍にする。

(2):自分フィールドに「エンシェント」Sモンスターが存在する時、相手フィールドに存在するモンスターは効果を発動できない。

(3):自分スタンバイフェイズ時にフィールドゾーンのこのカードを墓地へ送ることで発動できる。自分の手札・デッキから「FairyTail最終章忘却の妖月」以外のフィールド魔法カード1枚を自分フィールドゾーンに表側表示で置く。

 

森の賢者フォック

レベル5 攻撃1000 守備2300 効果 光属性 獣族

このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分フィールドに「FairyTail序章旅立ちの暁光」が存在し、自分フィールドに存在する光属性・獣族モンスター、またはレベル7・8のドラゴン族Sモンスターが攻撃対象となった時、手札に存在するこのカードを墓地へ送ることで発動できる。攻撃対象を自分フィールドのほかのモンスターに変更する。攻撃対象が「エンシェント」Sモンスターの場合、攻撃モンスター以外の相手フィールドのモンスターに攻撃対象を変更することができる。

(2):このカードのアドバンス召喚に成功した時に発動できる。デッキからレベル4以下の光属性・獣族モンスター2体を手札に加える。

 

妖精獣の祝福

通常魔法カード

(1):自分の墓地に存在する光属性・獣族モンスター1体を対象に発動できる。そのカードを手札に加える。

(2):フィールド上のカード1枚が破壊されるとき、代わりに墓地に存在するこのカードを除外する(2枚以上破壊される場合は、1枚のみを対象とする)。

 

アクア・イリュージョン

速攻魔法カード

(1):自分フィールドに「マリンフォース」Sモンスターが存在する場合に発動できる。このターン、戦闘・効果によって発生する自分へのダメージが半分になる。また、この効果を発動したターン、自分が1000以上のダメージを受けた場合、1度だけデッキからカードを1枚ドローできる。

(2):自分フィールドに存在するモンスターが「マリンフォース」Sモンスター1体のみの場合、墓地に存在するこのカードとチューナー1体を除外することで発動できる。ターン終了時まで、そのモンスターはこの効果で除外したモンスターの元々の攻撃力分、攻撃力がアップする。そして、この効果を受けた自分のモンスターが攻撃する時、相手はカード効果を発動できない。

 

森の呪い(漫画オリカ・調整)

速攻魔法カード

(1):自分フィールドのSモンスター1体と相手フィールドのモンスター1体を対象に発動できる。ターン終了時までその相手モンスターの攻撃力は対象となった自分のモンスターの攻撃力の数値分ダウンする。自分フィールドにフィールド魔法が存在しない場合、対象となった自分のモンスターの攻撃力はターン終了時まで0となる。

 

マリンフォース・ガーディアン

レベル4 攻撃1000 守備2000 効果 水属性 戦士族

このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか発動できない。

(1):自分フィールドに存在する「マリンフォース」Sモンスターが相手の攻撃対象となった時に発動できる。手札に存在するこのカードを特殊召喚することでその攻撃を無効にし、バトルフェイズを終了させる。

(2):自分フィールドの「マリンフォース」Sモンスターが相手モンスターと戦闘を行うとき、墓地に存在するこのカードを除外することで発動できる。その攻撃を無効にする。その後、戦闘を行った相手モンスターの効果は無効化され、次の自分のターン終了時まで自分フィールドのモンスター1体の攻撃力はそのモンスターの攻撃力分アップする。

 

 

「ヒイロ…!」

龍可の闇が消えたことで、人形のようになっていた龍亜が正気に戻る。

彼の記憶はスタジアムで龍可に取り込まれたときから途絶えているが、乗っているDホイールと決闘疾走をしている状況から、何かを察する。

「龍可!!」

後ろを振り向いた龍亜の目に映ったのは龍可の手からぬいぐるみと絵本が飛んでいく様子。

そして、彼女が危険を顧みずにDホイールから飛び出し、絵本を取ろうとする様子だった。

「龍可!!!」

絵本をつかんだものの、そのまま転落していく龍可をぬいぐるみごとヒイロがかっさらう。

フードが取れ、顔を見せる龍可の視線はヒイロに向けられる。

決闘疾走の間に夜が明け、登り始めた太陽によってヒイロの顔がよく見えない。

疲れた様子の龍可がゆっくり目を閉じた。

その顔はとても安心していて、穏やかなものだった。

Dホイールを止めたヒイロは龍可を抱いており、停車している龍亜のDホイールへと向かう。

「龍可!あ…」

慌ててDホイールから降りて走ってきた龍亜がヒイロの顔を見つめる。

首に巻いているマフラー、もう見ることはないと思っていた彼の顔。

「ヒイロ…ヒイローーーー!!」

大粒の涙を浮かべ、ヒイロに抱き着く龍亜。

何も言わずに龍亜の頭を撫でた後で、ヒイロは視線を龍亜に合わせて龍可の無事な姿をを見せる。

「龍可----!!」

「龍亜…?」

耳元に聞こえた家族の声で龍可がゆっくりと目を開け、家族の名前を呼ぶ。

双子の兄の涙でグチャグチャな様子が見え、目覚めた龍可がヒイロの腕から離れた瞬間、龍亜が抱き着く。

「よかった!よかったよーーー!龍可が絵本の世界から帰ってきたーーー!!」

「龍亜…」

「…」

2人の幸せな様子にヒイロは背中を向けて歩き出す。

苦戦したとはいえ、この世界のヒイロの約束は果たした。

なら、次の戦いへ向かうだけと考えていたヒイロはストライクチェイサーへと向かっている。

「ヒイロ!待って、ヒイロ!!」

龍亜の声にヒイロの足が止まる。

2人の走ってくる足音が聞こえるが、ヒイロは振り返らない。

「俺は…お前たちの知っているヒイロじゃない。別の世界のヒイロ・リオニスだ。なら…」

「分かってるよ!どうしてこうなってるのかよくわからないけど、でも、分かってるよ!でも、でも…!」

それでも、龍亜にとって目の前のヒイロはヒイロであることには変わりない。

たとえそれが別世界の人間であったとしても。

「ヒイロ…あなたは、私の知っているヒイロの代わりに、私たちを助けに来てくれたのよね?顔を、ちゃんと見せて…」

「…」

「ヒイロ」

追いつき、ヒイロの前に立つ遊星が龍亜と龍可の顔を見た後で、ヒイロと向き合う。

「お前は確かに、2人に知っているヒイロとは別の人間だ。だが、それで突き放すのがお前の本心か?」

「遊星…」

「違うだろう、そうじゃないなら、こんな無茶はしないはずだ。たとえ、この世界のお前自身が頼んだとしても。お前は優しい奴だからな」

「気に入らないな、その言い方は」

脳裏にかつて、ダークシグナーとの戦いが始まる3年前に突然現れた精霊、《エンシェント・フェアリー・ドラゴン》も同じように自分のことを呼んでいた光景がよみがえる。

本当にやさしい人間の存在を知っているからこそ、自分はそんな人間じゃないことがわかる。

そんな人間が、血に汚れるはずがない。

その言葉はおそらく、この世界の自分自身にこそふさわしい。

「ヒイロ…」

「ヒイロ…」

背後から感じる2人の視線。

目の前で笑う遊星。

それにため息をついた後で振り返ったヒイロが2人に近付く。

そして、2人の頭をやさしくなでた。

 

 

 

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