遊戯王5D's外伝 異界の決闘神官   作:ナタタク

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第13話 セイバル

「…」

「なぁ、ヒイロ…さすがに、そろそろ許してやったらどうなんだよ。こいつがやったことは許せねえけど…」

カードに封印された決闘疾走者たちのこと、D1GPで出場者たちを侮辱するような所業についてはクロウも許せない。

だが、今のイェーガーの惨状を見るとさすがに怒りが収まった。

ズタボロになる度に何度も治療され、また引きずり回されるの繰り返しで終点に到達しようとしている。

ついに観念して封印を解く方法をしゃべったが、それでも引きずり回しをやめない。

正確に言えば、今引きずり回しをしているのはクロウではなくヒイロ。

封印を解く方法をイェーガーが吐くと、約束通りブラックバードとつながっている縄をほどいた。

そして、そのままストライクチェイサーに結びなおして引きずり回しを続行した。

表情一つ変えずにその行動をしたヒイロにさすがのクロウも引いた。

(こいつ…絶対に怒らせねえほうがいいな…)

もう既にいつまでも続く引きずり回しでイェーガーは真っ白になっている。

今ではもはやまともな受け答えもできないだろう。

だが、既に封印を解く手段がわかっており、それにイェーガーが必要ないことも分かっているため、もう用はない。

しいて言えば、ゴドウィンが何をしようとしているのかを問い詰めることもできただろうが、それを彼が答えることはないだろう。

「ヒイロ、あれを見ろ!城だ…でけえ城が空に!」

「城…」

クロウが指さした方向にはかつて、ヒイロが見たことのあるアーククレイドルによく似た巨大な建造物が空に浮かんでいるのが見えた。

違いがあるとすれば、分厚い黒い雲が周囲に発生していることだろう。

(モーメントで動いているわけではなさそうだが…)

長く続く道の終点である、開けた空間にヒイロとクロウは到達する。

そこには決闘疾走ができるような広場と、それを見下ろすように存在する祭壇があり、祭壇からは城につながる光の柱が発生していた。

そして、祭壇の前には遊星とジャックの姿があった。

「遊星、ジャック…」

「ヒイロ!イェーガーを倒したか」

「ああ…」

ようやく解放されたイェーガーだが、白目をむいた状態で気絶しており、体には目立った外傷はないものの、着ている衣服はすっかりボロボロな状態だ。

「彼らは解放できる。それと…この状況を説明できるか?」

「ああ…実は…」

遊星はこの場で起こったことをありのままに説明する。

敗退したアキがゴドウィンによって五千年前の自分の前世、決闘巫女としての記憶を思い出した。

そして、経緯は不明ではあるが、骸骨騎士とゴドウィンの手引きによってセクトとアキが決闘疾走をしてセクトが勝利した。

上空の城、天空城セイバルはそれがきっかけで出現したらしい。

ゴドウィンの目的は天空城セイバルに封印されている究極神を手に入れること。

セクトは倒したアキをさらってセイバルへ向かい、ゴドウィンと骸骨騎士も後に続いた。

そして今、遊星とジャックもまた、それぞれの目的のためにセイバルへ向かおうとしている。

「この光の柱に入れば、その城へ行けるということか」

「貴様も来る…ということか?」

「ああ…まだ俺の戦いが終わったわけじゃないからな」

ヒイロの言葉に反応するように、ヒイロの手にある4体の決闘竜が彼の背後に姿を現す。

それに共鳴するように、遊星とジャック、クロウの手にしている決闘竜も姿を見せた。

「クロウ、お前もか…」

「ああ、あの星札で手に入れたぜ。結構きつかったがな」

クロウの決闘竜、《玄翼竜ブラック・フェザー》。

闇の瘴気が生み出した自分の幻影とのミラーマッチの末に勝利して今、ここにいる。

「こいつがいろいろと教えてくれたぜ…。究極神をゴドウィンの手に渡してはならないってな。俺も行くぜ…とその前に…」

クロウは抜け殻のイェーガーから没収した封印された決闘疾走者たちのカードをブラックバードの決闘盤に置いていく。

そして、何もイラストが描かれていない魔法カードを発動することで、カードから次々と決闘疾走者たちが出てくる。

「ああ…やっぱ、5人ずつになるよなぁ。イェーガーもこのままの状態のままって保証もねえし…」

イェーガーが吐いた情報から予測はできたとはいえ、これでは時間がかかりすぎる。

それに、出現している光の柱の勢いが徐々に弱まっているようにも見えた。

「仕方ねえ、俺はここでイェーガーの見張りとみんなの解放をする。お前らは先に行け」

「ふん…言われずともそうしてやる。そして…ヒイロ・リオニス」

ホイール・オブ・フォーチュンのエンジンを吹かせつつ、ジャックの視線がヒイロにぶつけられる。

龍亜と龍可から譲り受けたとはいえ、4体もの決闘竜を操り、何もそれによって暴走している様子のないヒイロは、以前の決闘疾走でもわかっているがジャックにとっては未知の相手。

《琰魔竜レッド・デーモン》を手にしたが、それで今のヒイロを圧倒できると思うほどジャックはうぬぼれていない。

だが、負けることは微塵も思っていない。

わずかでも自らの勝利に疑問を抱いては、既に絶対王者ではなくなる。

「貴様との決着はついておらん。このセイバルを貴様の墓場にしてくれる。首を洗って待っていろ」

「楽しみにしている。だが…勝つのは俺だ」

「ふん…!」

ホイール・オブ・フォーチュンが走り出し、光の柱の中へ消えていく。

そして、遊星とヒイロも走り出そうとしていた。

「遊星、お前はお前のやるべき事をしろ」

「ああ…わかっている。セクトとアキを助け出す!」

「それでいい」

二人のDホイールも光の柱の中へ消えていく。

封印から解放され、意識を失っている決闘疾走者たちの様子を見ながら、クロウは消えていく光の柱を見送る。

「悔しいが、俺にできるのはここまでだ。頼んだぜ、遊星…ヒイロ」

 

力が最初にあったのか、力を求める者が先に存在したのか。

それは今となってはわからない。

しかし、力を求め得た者は儀式を有利に進め、儀式は力により強大となった。

そして、強大になりすぎた力を畏れる人々によって力は封印された。

力とは究極神、そしてそれを封じるのは地獄の天空城、セイバル。

そこへと向かう光の柱の中をヒイロは疾走する。

同じくその中にいるであろう遊星とジャックの姿はなく、ただひたすらに前へ進むだけ。

「いったい、どれだけかかる…」

遊星が言うには、セクトもゴドウィンも骸骨騎士もこの光の柱に入った。

セイバルへの入り口であることには間違いない。

だが、ここまで到達に時間がかかるとは思えない。

ありえるとしたら、自分がイレギュラーだからだろうか。

「去れ、ヒイロ・リオニス。ここはお前の来るべきところではない」

周囲から聞こえる複数の男女の声。

遊星やジャック、クロウ、龍亜、龍可、アキの声が混ざり合って一つになり、ヒイロに警告する。

「邪魔をするな、俺は行く」

「決闘巫女を倒した者は地錠覇王となる、彼の者と戦うには、天錠覇王の資格を得る必要がある」

「錠前か…究極神の封印を解くための道具のような称号だな」

「セイバルには北天回廊と南天回廊が存在し、それぞれの場所において決闘神官が試練を突破して天錠台へ向かう。そして、そこで2人の決闘神官が戦い、勝利したものが天錠覇王となるのだ」

光の中に映像が出現し、そこには北天回廊と南天回廊の様子が映し出される。

「既に、儀式は始まっている。貴様の出る幕ではない」

「遊星、ジャック…」

北天回廊では遊星と骸骨騎士が、南天回廊ではジャックとゴドウィンがそれぞれ決闘疾走をしている。

ゴドウィンのDホイールは漆黒のホイール・オブ・フォーチュンというべきもので、彼のフィールドには白銀の蛇のような決闘竜がDホイールの色には見合わない神々しい光を放ちながら出現していた。

「俺は4体の決闘竜を手にしている。資格は十分あると思うが?」

「決闘竜を手にすることはあくまでも必要条件に過ぎない。儀式がすでに始まっている時点で、もう貴様は…」

「関係ない。俺のやるべきことのためにはな」

決闘竜やセイバル、儀式。

それについてはヒイロにとっては関係ないこと。

あくまでも、ヒイロは別の世界の人間。

この世界のルールに従ういわれはない。

「この儀式に異物は必要ない。ゆえに、ここで止めよう。決闘疾走によって」

光の中から出現する白銀のDホイール。

同じ色のマントで身を包み、仮面で顔を隠した長髪の決闘疾走者がそれに乗っていて、ヒイロと並走する。

「私が召喚した、異界の決闘疾走者。彼が貴様を退場させる」

「自分の手で排除しないのか?」

「我々の肉体は存在しない故に」

 

アンノウン

手札5

LP4000

 

ヒイロ

手札5

LP4000

 

「私の先攻、私は手札から永続魔法《白の輪廻》を発動。このカードの発動処理として、私はデッキから自らをチューナーとして扱う効果を持つ魚族モンスター1体を手札に加える。私は《白棘鱏》を手札に加える。そして、私は手札の水属性モンスター1体を墓地へ送り、《白棘鱏》を特殊召喚」

光の中から飛び出してきたのは真っ白なヒトマキエイといえるモンスターで、泳ぐようにDホイーラーのそばを飛ぶ。

 

白棘鱏 レベル4 攻撃1400

 

手札から墓地へ送られたカード

・白鱓

 

「そして、手札から永続魔法《再生の海》を発動。1ターンに1度、墓地の攻撃力1000以下の水属性モンスター1体を特殊召喚できる。私は《白鱓》を特殊召喚」

純白のウツボというべきモンスターが水しぶきを上げながらフィールドに飛び出し、《白棘鱏》の前を泳ぐ。

 

白鱓 レベル2 攻撃600

 

「《白鱓》の効果。このカードが墓地から特殊召喚されたとき、ターン終了時までチューナーとして扱うことができる。レベル4の《白棘鱏》にレベル2の《白鱓》をチューニング。シンクロ召喚、いでよ、《白闘気砂滑》」

2体の輪廻の海の住民がシンクロ素材となり、小型の白いスナメリクジラとなってフィールドに現れる。

そして、そのモンスターの頭上にはシンクロ素材となったはずの《白棘鱏》の姿も2体に増えていたが、存在していた。

 

白闘気砂滑 レベル6 攻撃2000

白棘鱏 レベル4 攻撃1400

白棘鱏 レベル4 守備1000

 

「シンクロ召喚したモンスターの効果か…」

「そう、《白闘気砂滑》はシンクロ召喚に成功した時、手札・墓地からレベル4以下の魚族モンスター1体を特殊召喚できる。更に、墓地からこの効果で特殊召喚された魚族モンスターと同じ名前のモンスター1体も特殊召喚できる。それで私は手札と墓地から1体ずつ特殊召喚した。そして、《白棘鱏》の効果。このカードもまた、墓地から特殊召喚された場合、チューナーとすることができる。レベル6の《白闘気砂滑》にレベル4の《白棘鱏》をチューニング」

「1ターン目からレベル10のシンクロモンスターのシンクロ召喚を…!?」

「万物の頂に眠りし臥龍!全知全能の神気を宿し今こそ目覚めよ!シンクロ召喚!!現れろ《白闘気双頭神龍》!!!」

再び行われたシンクロ召喚。

それによって出現する2つの頭を持つ深海のドラゴン。

4つの瞳は今回の獲物であるヒイロをにらむ。

 

白闘気双頭神龍 レベル10 攻撃3300

 

「《白闘気双頭神龍》の効果。このカードのシンクロ召喚に成功した時、私のフィールドに《神龍トークン》1体を特殊召喚できる」

分身するかのようにフィールドに現れる《白闘気双頭神龍》とうり二つのモンスター。

だが、発するプレッシャーはオリジナルに匹敵するものだった。

 

神龍トークン レベル10 攻撃3300

 

「私はカードを1枚伏せ、ターンエンド」

 

アンノウン

手札5→0

LP4000

場 白棘鱏 レベル4 守備1000

  白闘気双頭神龍 レベル10 攻撃3300

  神龍トークン レベル10 攻撃3300

  白の輪廻(永続魔法)

  再生の海(永続魔法)

  伏せカード1

 

ヒイロ

手札5

LP4000

場 なし

 

「いきなりレベル10のシンクロモンスター…おまけに同じ攻撃力のトークンか…」

どのような効果を持つのかはわからないが、攻撃力3300というのは脅威だ。

だが、攻撃力だけでならやりようはある。

「俺のターン!」

 

ヒイロ

手札5→6

 

「俺は手札から魔法カード《聖天使の施し》を発動。俺のフィールドにカードがない時、デッキからカードを2枚ドローし、手札1枚を墓地へ捨てる」

 

手札から墓地へ送られたカード

・C:Aアローフェアリー

 

「そして、俺は手札から《C:Hネオン》を召喚」

 

C:Hネオン レベル3 攻撃1000

 

「《ネオン》の効果。このカードの召喚に成功した時、墓地のC:A1体を装備する。《アローフェアリー》を装備」

空を飛ぶ椅子に座ったままボウガンを手にした《C:Hネオン》が狙いを自分よりも大物の《白闘気双頭神龍》に向ける。

 

C:Hネオン レベル3 攻撃1000→1600

 

「装備状態の《アローフェアリー》の効果。レベル3の《ネオン》にレベル1の《アローフェアリー》をチューニング。シンクロ召喚。現れろ、《クリエイト・ナビゲーター》」

シンクロ召喚の光の中から飛び出す純白のドレスと黒いポニーテールの女性がタブレット端末を手にした状態でフィールドに飛び出す。

 

クリエイト・ナビゲーター レベル4 攻撃1000

 

「そして、このカードは俺のフィールドにサイボーグシンクロモンスターが存在する場合、手札から特殊召喚できる。《クリエイト・ナビゲーター》はルール上、C:Hとして扱う。《C:Hシンガー》を特殊召喚」

《クリエイト・ナビゲーター》が端末を操作したことで上空に出現したゲートから飛び出したのはパンクロッカーのような派手な装飾と黒いジャケットの男。

背中に背負っているギターを手にすると、その場で演奏を開始する。

 

C:Hシンガー レベル3 攻撃1200

 

「《クリエイト・ナビゲーター》の効果。このカードがフィールドにいる状態でC:Hの召喚・特殊召喚に成功した時、墓地のC:A1体を除外し、デッキからサイボーグ儀式モンスター1体と《創世の力の降臨》を手札に加える」

「儀式モンスターと魔法カード…」

「そして、俺は《シンガー》の効果を発動。デッキの上から5枚をめくり、その中のC:A1枚を装備し、それ以外のカードを墓地へ送る。俺は《ナックルベアー》を装備させる」

ギターを奏でる《C:Hシンガー》の下へ《C:Aナックルベアー》がやってきて、手にしているナックルを投げつける。

演奏を止め、ギターを背中に戻した《C:Hシンガー》が投げられたナックルを装着し、格闘家のように拳を相手に向ける。

 

C:Hシンガー レベル3 攻撃1200→2200

 

デッキから墓地へ送られたカード

・C:Aサウンドキャット

・サイボーグ・サプライ

・マリンフォース・ガーディアン

・C:Hランナー

 

「そして、俺は手札から魔法カード《創世の力の降臨》を発動。俺の手札・フィールドのモンスターを素材にサイボーグ儀式モンスターの儀式召喚を行う。このカードを発動する時、俺のフィールドに《クリエイト・ナビゲーター》が存在する時、装備カード扱いとなっているモンスターも儀式素材とすることができる。レベル4の《ナックルベアー》とレベル4の《クリエイト・ナビゲーター》を儀式素材にする。契約を履行する。転生の戦士よ、疾風の力を持って戦場を支配せよ。儀式召喚。現れろ、《N-C:Hミラージュストライカー5》」

上空に生まれる8つの炎の中心に5つの火種が生まれ、それらが融合すると周囲の炎を巻き込んで巨大な炎となる。

その中から真紅の鎧を身にまとった《C:Hサイファー》が出現する。

 

N-C:Hミラージュストライカー5 レベル8 攻撃2500

 

「《ミラージュストライカー5》の効果。1ターンに1度、手札または墓地に存在するC:A1体を装備カード扱いとして、俺のフィールドのC:H1体に装備させることができる。俺は墓地の《ナックルベアー》を《ミラージュストライカー5》に装備する」

儀式素材として消えたばかりのナックルが再びフィールドに現れると、《N-C:Hミラージュストライカー5》の腕に装着される。

自分の装備がとられたようにみえた《C:Hシンガー》が抗議するように彼に指をさしていた。

 

N-C:Hミラージュストライカー5 レベル8 攻撃2500→3500

 

「攻撃力が《白闘気双頭神龍》を上回ったか…」

「《ナックルベアー》を装備したモンスターが戦闘で相手モンスターを破壊した時、破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを相手に与える。いけ、《ミラージュストライカー5》。《白闘気双頭神龍》を攻撃。ブーストエナジーアタック」

《N・C:Hミラージュストライカー5》が赤い残像を生み出しながら一気に懐へ飛び込むと、炎が宿った拳で殴り掛かる。

「装備カードを装備した《ミラージュストライカー5》が戦闘を行うとき、ダメージ計算時に攻撃力を元々の攻撃力の倍の数値になる」

 

N-C:Hミラージュストライカー5 レベル8 攻撃3500→5000(ダメージ計算時のみ)

 

「これでワンショットキルだ」

《白闘気双頭神龍》を殴り倒した《N・C:Hミラージュストライカー5》がそのままアンノウンに殴り掛かる。

拳が接触すると同時に大きな爆発が起こった。

「…」

攻撃は通じたように見えるが、まだ《N・C:Hミラージュストライカー5》は消えておらず、ヒイロのそばまで戻ってくる。

煙が晴れると、そこにはダメージを負っているものの、問題なく走るアンノウンの姿があった。

「罠カード《ダメージ・ダイエット》。これで私が受けるダメージをこのターン、すべて半分にした」

 

アンノウン

LP4000→3150→1500

 

「…俺はカードを2枚伏せ、ターンエンド。ターン終了と同時に、《ナックルベアー》の効果。装備モンスターが攻撃を行ったターン終了時にこのカードはデッキに戻る」

 

アンノウン

手札0

LP1500

場 白棘鱏 レベル4 守備1000

  神龍トークン レベル10 攻撃3300

  白の輪廻(永続魔法)

  再生の海(永続魔法)

 

ヒイロ

手札6→2

LP4000

場 N-C:Hミラージュストライカー5 レベル8 攻撃5000→2500

  C:Hシンガー レベル3 攻撃1200

  伏せカード2

 

「まずはシンクロモンスターはつぶした…これで…」

「これで勝てる…そう思ったか?」

アンノウンが口を開き、仮面の中の口元を緩ませる。

表情を変えないヒイロだが、沈黙が彼の言葉を肯定する。

「白き海のシンクロモンスター達は輪廻する。その力を見せてやろう。私のターン」

 

アンノウン

手札0→1

 

「私はフィールドの《再生の海》を墓地へ送り、手札から永続魔法《輪廻の海》を発動。このカードは1ターンに1度、墓地の水属性モンスター1体を特殊召喚できる。この効果で特殊召喚されたモンスターはターン終了と同時に破壊される。その時、この破壊は相手の効果による破壊として扱うことができる。甦れ、《白闘気双頭神龍》」

《神龍トークン》の咆哮が呼び寄せたかのように、破壊されたはずの《白闘気双頭神龍》が再びフィールドに姿を現す。

その口には既に白いエネルギーが蓄積されていた。

 

白闘気双頭神龍 レベル10 攻撃3300

 

「よみがえったか…だが、これは…」

「《白の輪廻》の効果。1ターンに1度、私の墓地からレベル8以上の魚族シンクロモンスターの特殊召喚に成功した時、相手フィールドのモンスターをすべて破壊する」

「何!?」

「いけ、《白闘気双頭神龍》」

口から解放されたエネルギーがヒイロのフィールドを包み込んでいき、その中で《C:Hシンガー》が消し飛んでいく。

エネルギーが霧散すると、ヒイロのフィールドに残されたモンスターは《N-C:Hミラージュストライカー5》1体となっていた。

「破壊されない…?」

「《ミラージュストライカー5》は装備カードを装備しているとき、相手が攻撃対象にできるモンスターをこのモンスターのみとなり、さらにカード効果では破壊されない」

「だが、既に装備していた《ナックルベアー》はデッキに」

「そうだ。だから速攻魔法カード《緊急装着》を発動した。その効果で、デッキから《C:Aシノビラクーン》を装備した」

《N-C:Hミラージュストライカー5》の身には忍者の衣を身にまとっていて、ヒイロのそばを忍者のような低い姿勢で疾走していた。

「《輪廻の海》の効果。私のフィールドにレベル8以上の水属性シンクロモンスターが特殊召喚されたとき、デッキからカードを1枚ドローする。私はカードを1枚伏せ、ターンエンド。ターン終了と同時に《輪廻の海》の効果で《白闘気双頭神龍》は破壊される。この破壊を相手の効果による破壊として扱う」

再生されたばかりの《白闘気双頭神龍》が最初から存在しなかったかのようにフィールドから消えていく。

だが、そのモンスターの気配が消えたわけではなかった。

「《白闘気双頭神龍》の効果。このカードが相手の効果によって破壊されたとき、私のフィールドに《神龍トークン》が存在する時、墓地から守備表示で特殊召喚できる」

再び咆哮する《神龍トークン》。

そして、消えたはずの《白闘気双頭神龍》が光の中から飛び出してヒイロの頭上を飛び越えてからアンノウンのそばを飛ぶ。

「ターン終了と同時に、《緊急装着》で装備された《シノビラクーン》は除外される」

 

アンノウン

手札1→0

LP1500

場 白棘鱏 レベル4 守備1000

  神龍トークン レベル10 攻撃3300

  白闘気双頭神龍 レベル10 守備3000

  白の輪廻(永続魔法)

  輪廻の海(永続魔法)

  伏せカード1

 

ヒイロ

手札2

LP4000

場 N-C:Hミラージュストライカー5 レベル8 攻撃2500

  伏せカード1

 

(《白の輪廻》をかわした…だが、今の《ミラージュストライカー5》に装備カードはない。しかし…)

ヒイロの墓地には《C:Hシンガー》の効果によって墓地へ送られた《C:Aサウンドキャット》が存在する。

《N-C:Hミラージュストライカー5》の効果であれば、すぐに装備カードを取り戻すことができる。

「俺のターン!」

 

ヒイロ

手札2→3

 

「俺は《ミラージュストライカー5》の効果を発動。墓地の《サウンドキャット》を《ミラージュストライカー5》に装備する」

フィールドに現れたギターを手にした《N・C:Hミラージュストライカー5》はそれを斧のように肩において構えた。

「バトル。《ミラージュストライカー5》で《神龍トークン》を攻撃。ブーストエナジートマホーク」

《N-C:Hミラージュストライカー5》が両手で握ったギターを《神龍トークン》に向けて投げつける。

炎をまとったギターが回転しながら《神龍トークン》に迫る。

「装備カードを装備した状態の《ミラージュストライカー5》の攻撃力はダメージ計算時に倍になる」

 

N-C:Hミラージュストライカー5 レベル8 攻撃2500→5000(ダメージ計算時のみ)

 

(攻撃が通れば、戦闘ダメージは1700。これで…)

「私は罠カード《デストラクト・ポーション》。私のフィールドのモンスター1体を破壊し、その攻撃力分ライフを回復する。私は《神龍トークン》を破壊する」

刃が届く直前に《神龍トークン》が青い光となってアンノウンの肉体へと吸収されていく。

空を切ったギターは《N・C:Hミラージュストライカー5》の手元へむなしく戻る。

 

アンノウン

LP1500→4800

 

「そして、《白闘気双頭神龍》の効果。相手ターンに1度、私のフィールドにトークンが存在しない場合、《神龍トークン》を特殊召喚できる」

《白闘気双頭神龍》の影の中から姿を現す《神龍トークン》が咆哮する。

《白闘気双頭神龍》と《神龍トークン》。

互いをよみがえらせ合うその力はまさに2体で1体のモンスターと言える。

 

神龍トークン レベル10 守備3000

 

「…攻撃対象を変更。《白棘鱏》を攻撃」

再びギターを構えた《N・C:Hミラージュストライカー5》が大きく跳躍すると、兜割りの要領で《白棘鱏》を真っ二つに切り裂いて破壊する。

《輪廻の海》の存在を考えると微々たるダメージだが、攻撃対象の選択肢はそれしかなかった。

「俺はカードを1枚伏せ、ターンエンド」

 

アンノウン

手札0

LP4800

場 神龍トークン レベル10 守備3000

  白闘気双頭神龍 レベル10 守備3000

  白の輪廻(永続魔法)

  輪廻の海(永続魔法)

 

ヒイロ

手札3→2

LP4000

場 N-C:Hミラージュストライカー5(《C:Aサウンドキャット》装備) レベル8 攻撃2500

  伏せカード2

 

「私のターン」

 

アンノウン

手札0→1

 

(装備カードを装備している状態の《ミラージュストライカー5》を倒すことはできない。だが、あくまでも装備カードを装備していればの話。やりようはある)

そのやりようとなりえるカードを今ドローした。

「私は手札から装備魔法《白の断罪》を《白闘気双頭神龍》に装備」

装備カードを宿した《白闘気双頭神龍》の肉体が真っ白な光に包まれていく。

ギターを構える《N・C:Hミラージュストライカー5》は強敵が新たに見せる力を警戒し、その顔をじっと見つめる。

「バトル。《白闘気双頭神龍》で《ミラージュストライカー5》を攻撃。同時に、装備カードである《白の断罪》の効果を発動。このカードを装備したモンスターが戦闘を行うとき、フィールドの魔法・罠カードを1枚破壊できる。私が破壊するのは《サウンドキャット》」

その身に宿した光を解放し、周囲を白く染めていく。

光が収まると、《N-C:Hミラージュストライカー5》の手に握られていたはずのギターが失われ、攻撃力を上昇させる手段を失っていた。

「くっ…罠発動!《ドロップアウト&エントリー》。装備カードを装備していないC:Hが相手モンスターと戦闘を行うとき、その攻撃力をダメージステップ終了時まで戦闘を行う相手モンスターと同じにする」

得物のない《N-C:Hミラージュストライカー5》が炎をまとった状態で真正面から《白闘気双頭神龍》に向けて突撃する。

ブレスを放つ《白闘気双頭神龍》だが、火の玉のような突撃を行う《N-C:Hミラージュストライカー5》の攻撃を押さえつけることができず、激突と同時に2体とも爆散する。

「だが、まだ私のフィールドには《神龍トークン》が残っている。そして、《白の断罪》は墓地へ送られたターン終了時に、私のフィールドに存在する水属性シンクロモンスター1体に装備することができる。《神龍トークン》でダイレクトアタック」

残った片割れである《神龍トークン》が放つブレスが自身を守るモンスターがいないヒイロに容赦なく襲い掛かる。

「ぐおおおおお!!!」

直撃を受け、大きく体勢を崩したストライクチェイサー。

横に倒れ、転倒するギリギリのところでどうにか立て直した。

 

ヒイロ

LP4000→700

 

「く…俺は罠カード《ショック・ドロー》を発動。俺がこのターンに受けたダメージ1000ごとに1枚、デッキからカードをドローする。俺が受けたダメージは3300。よって、カードを3枚ドローする」

「私は《輪廻の海》の効果を発動。再び《白闘気双頭神龍》を特殊召喚」

爆発とともに消滅したはずの《白闘気双頭神龍》が爆発の煙の中から無傷な状態で飛び出す。

片割れが存在する限り、自らは決して滅びぬといわんばかりに。

 

白闘気双頭神龍 レベル10 攻撃3300

 

「そして、《輪廻の海》のもう1つの効果により、デッキからカードを1枚ドロー。私はこれでターンエンド。ターン終了と同時に、墓地へ送られた《白の断罪》の効果発動。再び《白闘気双頭神龍》に装備」

 

アンノウン

手札1

LP4800

場 神龍トークン レベル10 守備3000

  白闘気双頭神龍(《白の断罪》装備) レベル10 攻撃3300

  白の輪廻(永続魔法)

  輪廻の海(永続魔法)

 

ヒイロ

手札2→5

LP700

場 なし

 

手札は5枚に増えたものの、ライフは一気に700まで下がり、《N-C:Hミラージュストライカー5》が破壊された。

「装備カードを操るデッキが、相手の装備カードによって窮地に陥るとは、皮肉だな」

「それを言うのは、デュエルが終わった後にしろ。俺のターン!」

 

ヒイロ

手札5→6

 

「スタンバイフェイズ時、墓地の《クリエイト・ナビゲーター》の効果を発動。俺のフィールドにモンスターが存在しないとき、墓地のこのカードと儀式モンスター1体を除外することで、デッキからサイボーグモンスター1体を手札に加える。俺は《シェイド》を手札に加える」

 

墓地から除外されたカード

・N-C:Hミラージュストライカー5

 

「そして、俺は《C:Hシェイド》を召喚」

 

C:Hシェイド レベル2 攻撃900

 

「《シェイド》の効果。このカードが装備カードを装備していないとき、除外されているC:A1体を装備することができる。俺は《シノビラクーン》を《シェイド》に装備する。そして、装備された《シノビラクーン》の効果。自らを特殊召喚する」

 

C:Aシノビラクーン レベル5 攻撃0(チューナー)

 

「レベル2の《シェイド》にレベル5の《シノビラクーン》をチューニング。幻惑の光を翼に宿し、螺旋の風で敵を貫け。シンクロ召喚。現れろ、《旋風龍クリアウィング》」

「決闘竜か…」

レベル7のシンクロモンスターの中で、ヒイロが《白闘気双頭神龍》に対抗できるカードはこの1枚のみ。

《C:Aシノビラクーン》の効果が発動した時点で、それはアンノウンにとっては織り込み済みだ。

 

旋風龍クリアウィング レベル7 攻撃2500

 

「このカードが特殊召喚されたモンスターと戦闘を行うとき、そのモンスターの効果を無効にし、ターン終了時まで相手モンスターの元々の攻撃力分、攻撃力をアップさせる」

この攻撃が通れば、たとえ《神龍トークン》と《白闘気双頭神龍》を破壊できないとしても、アンノウンのライフをゼロにして決闘疾走を終えることができる。

「バトル。《旋風龍クリアウィング》で《神龍トークン》を攻撃。螺旋光槍」

攻撃を仕掛けようとする《旋風龍クリアウィング》のパーツから放出される緑色の粒子。

粒子による拘束を受けた《神龍トークン》から放出される力を吸収し、彼は回転しながらドリルのように突撃する。

 

旋風龍クリアウィング レベル7 攻撃2500→5800

 

「私は《白の断罪》のもう1つの効果を発動。バトルフェイズ時、装備モンスターは自らをリリースすることで、私か君の墓地からリリースしたモンスターよりも低いレベルのシンクロモンスター1体を特殊召喚できる。《白闘気双頭神龍》をリリースし、《白闘気砂滑》を特殊召喚」

《白闘気双頭神龍》が突然発生した光の柱の中に消え、入れ替わるようにそこから《白闘気砂滑》が姿を現す。

 

 

白闘気砂滑 レベル6 守備1300

 

「そして、《輪廻の海》の効果により、私はカードを1枚ドローする」

「なら俺は《神龍トークン》に攻撃対象を変更する」

旋回する《旋風龍クリアウィング》が放つ突撃によって、胴体に大穴が空いた《神龍トークン》が消滅する。

これで、《白闘気双頭神龍》も《神龍トークン》もフィールドから消えたが、《輪廻の海》による復活と《白の輪廻》のコンボが待っている。

それが発動すると、ヒイロのフィールドのモンスターが全滅する。

「俺はカードを3枚伏せ、ターンエンド」

「ターン終了時に《白の裁き》の効果を発動。このカードを《白闘気砂滑》に装備する」

 

アンノウン

手札1→2

LP4800

場 白闘気砂滑(《白の断罪》装備) レベル6 守備1300

  白の輪廻(永続魔法)

  輪廻の海(永続魔法)

 

ヒイロ

手札6→3

LP700

場 旋風龍クリアウィング レベル7 攻撃2500

  伏せカード3

 

「その3枚の伏せカードにすべてを賭けるか…。私のターン」

 

アンノウン

手札2→3

 

「私は《輪廻の海》の効果を発動。墓地の《白闘気双頭神龍》を特殊召喚する」

フィールドから消えたはずの《白闘気双頭神龍》が再びフィールドに姿を現す。

既に《白の輪廻》の力を解放する準備を整えており、その眼は獲物となる《旋風龍クリアウィング》に向けられていた。

 

白闘気双頭神龍 レベル10 攻撃3300

 

「そして、《輪廻の海》の効果により私はデッキからカードを1枚ドロー。そして、《白の輪廻》の効果。レベル8以上の水属性シンクロモンスターが墓地から特殊召喚されたことで、相手フィールドのすべてのモンスターを破壊する」

口から放出されるエネルギーの嵐が《旋風龍クリアウィング》に襲い掛かり、焼き尽くしていく。

エネルギーが収まると、ヒイロを守るモンスターはいなくなっていた。

「俺は罠カード《シャドー・インパルス》を発動。俺のフィールドのシンクロモンスターが破壊されたとき、そのモンスターと同じレベルと種族のシンクロモンスターをエクストラデッキから特殊召喚できる。《クリアウィング》のレベルは7、よって《妖精竜エンシェント》を特殊召喚する」

《シャドー・インパルス》のソリッドビジョンの中から飛び出す《妖精竜エンシェント》がヒイロを守るように《白闘気双頭神龍》の前に立ちはだかる。

 

妖精竜エンシェント レベル7 攻撃2100

 

「守備表示ではなく、攻撃表示で特殊召喚か…。だが、攻撃力2100では何もできないな」

攻撃力3300の《白闘気双頭神龍》には届かず、ライフ700のヒイロにとって盾にもならない。

それでも攻撃表示で召喚したことには目的があるだろうことは見えている。

「私は手札から速攻魔法《ツインツイスター》を発動。このカードは手札1枚を捨てることで、フィールドの魔法・罠カードを2枚まで破壊できる。私は君のフィールドに残された2枚の伏せカードを破壊する」

発動された《ツインツイスター》から襲い掛かる2つの竜巻がヒイロの2枚の伏せカードを飲み込もうとする。

「俺は速攻魔法《エターナル・フュージョン》を発動。このカードは俺のフィールドにエンシェント、パワー・ツール、マリンフォース、ライフ・ストリームシンクロモンスターが存在する時、そのモンスターを含む融合素材となるモンスターをデッキに戻し、エクストラデッキからシンクロモンスターを融合素材とする融合モンスター1体を融合召喚する。俺は除外されている《ミラージュストライカー5》とフィールドの《エンシェント》をデッキに戻す。現れろ、創造の力を手にした銃士!!《N-C:Hミラージュクリエイター9》!」

再びフィールドに舞い戻った《N-C:Hミラージュストライカー5》が背後に移動した《妖精竜エンシェント》が両の羽根で彼を包み込む。

同時に2体のモンスターが光となり、その光の中から白と赤のアーマーとキツネを模したヘッドギアを身に着けた《N:Hサイファー》が現れ、背中には九尾の狐の尾を模したマントを身に着けていた。

 

N-C:Hミラージュクリエイター9 レベル9 攻撃2900

 

「そして、もう1枚の伏せカードは《威嚇する咆哮》。これでこのターン、お前は攻撃宣言ができない」

「なるほど、実質フリーチェーンの伏せカードを私は選んでしまったということか」

 

手札から墓地へ送られたカード

・強欲なウツボ

 

このターンの攻撃はしのぐことができるだろう。

だが、こうして召喚した《N-C:Hミラージュクリエイター9》の攻撃力は2900。

《白闘気双頭神龍》の攻撃力には届かない。

「私は手札から速攻魔法《ダブル・サイクロン》を発動。お互いのフィールドの魔法・罠カードを1枚ずつ破壊する。私は《白の断罪》と君の最後の伏せカードを破壊する」

 

破壊された伏せカード

・リベンジ・リターン

 

「《輪廻の海》の効果で、ターン終了時に《白闘気双頭神龍》は破壊される。《神龍トークン》がいない今、お前は再生できない」

「そうだな…私はカードを1枚伏せて、ターンエンド。ターン終了と同時に《白闘気双頭神龍》は破壊され、墓地の《白の断罪》は再び《白闘気砂滑》に装備される」

《輪廻の海》の中へと消えていく《白闘気双頭神龍》。

切り札がいないにも関わらず、アンノウンは余裕な様子だ。

 

アンノウン

手札3→0

LP4800

場 白闘気砂滑(《白の断罪》装備) レベル6 守備1300

  白の輪廻(永続魔法)

  輪廻の海(永続魔法)

  伏せカード1

 

ヒイロ

手札3

LP700

場 N-C:Hミラージュクリエイター9 レベル9 攻撃2900

 

だが、ヒイロにとっては《白闘気砂滑》がいない今が攻勢をかけるチャンス。

「俺のターン」

 

ヒイロ

手札3→4

 

「私は罠カード《戦線復帰》を発動」

「何…?」

「墓地のモンスター1体を守備表示で特殊召喚できる。私は墓地の《白闘気双頭神龍》を再びフィールドへ呼び戻す」

再びヒイロを仕留めるべくフィールドに現れた《白闘気双頭神龍》。

現れたと同時にヒイロのフィールドの《N-C:Hミラージュクリエイター9》に食らいつく。

 

白闘気双頭神龍 レベル10 守備3000

 

「《白の輪廻》の効果…!」

「そう、《輪廻の海》の効果により、デッキからカードを1枚ドロー。そして、レベル8の水属性シンクロモンスターが墓地から特殊召喚されたことで、君のフィールドのすべてのモンスターを破壊する。せっかくの《ミラージュクリエイター9》には消えてもらう」

これまでのサイボーグモンスターの効果から、装備カードの存在が前提となることは想定できる。

なら、装備を行う前のこの状況が最も隙となるタイミング。

食らいつかれた《N-C:Hミラージュクリエイター9》が銃で相手の鼻頭を射撃するが、抵抗できるのはそこまで。

下半身を食われて、残った上半身が地上へと落ちながら消滅する。

「く…なら俺は墓地の罠カード《リベンジ・リターン》の効果を使う」

「墓地から発動できる罠カード…」

「ああ…このカードを墓地から除外することで、このターンにカード効果で破壊された俺のモンスター1体を特殊召喚できる。《ミラージュクリエイター9》を特殊召喚」

どこからか聞こえてくるフィンガースナップに《白闘気双頭神龍》があたりを見回す。

聞こえてきたのは背後で、そのモンスターの背中には死んだはずの《N-C:Hミラージュクリエイター9》が五体満足な姿でそこにいた。

 

N-C:Hミラージュクリエイター9 レベル9 攻撃2900

 

「更に、俺は墓地の罠カード《ドロップアウト&エントリー》の効果を発動。俺のフィールドのモンスターがC:H1体のみの時、墓地のこのカードを除外することで、墓地のC:A1体を装備カード扱いとして俺のモンスターに装備するか、フィールドに特殊召喚できる。俺は《シノビラクーン》を《ミラージュクリエイター9》に装備する」

《C:Hシェイド》とともに《旋風龍クリアウィング》の素材として消えた忍の衣が創造の銃士を守る衣となる。

「更に、《ミラージュクリエイター9》の効果。墓地のサイボーグモンスターまたはドラゴン族シンクロモンスターを装備カード扱いとして自分に装備する。俺は墓地の《旋風龍クリアウィング》を装備させる。そして、この効果で装備したモンスターの攻撃力分、《ミラージュクリエイター9》の攻撃力はアップする」

再びフィールドに飛び出した《旋風龍クリアウィング》がその体をプリズム状態の素材で作られたドリルへと変貌させ、《N-C:Hミラージュクリエイター9》の右腕に装着される。

 

N-C:Hミラージュクリエイター9 レベル9 攻撃2900→5400

 

「私は《白闘気双頭神龍》の効果を発動。相手ターンに1度、私のフィールドにトークンが存在しない場合、自らの片割れを呼び出す!」

 

神龍トークン レベル10 守備3000

 

「《ミラージュクリエイター9》は自らの効果で装備したモンスターの効果を得る。《旋風龍クリアウィング》の効果は特殊召喚された相手モンスターと戦闘を行うとき、そのモンスターの効果を無効化し、ターン終了時までそのモンスターの元々の攻撃力分、自らの攻撃力をアップさせる」

「だが、私のフィールドのモンスターはすべて守備表示。そして、《神龍トークン》を攻撃したとしても、次の君のターンに復活する」

この状態では戦闘ダメージを与えることはできず、仮に《白闘気双頭神龍》が戦闘破壊した場合、再び《輪廻の海》と《白の輪廻》のコンボが待っている。

《白闘気砂滑》に攻撃した場合、《白の裁き》の効果で装備カードを失うことになる。

(だが…気になるのは《シノビラクーン》か…)

アンノウンが気になるのは《ドロップアウト&エントリー》の効果で装備した《C:Aシノビラクーン》だ。

確かに1ターンに1度だけ戦闘やカード効果による破壊を防ぐだけでなく、戦闘で発生する自分へのダメージを0にする。

しかし、今の状況で考えると意味のない効果ともいえる。

「俺は装備状態の《シノビラクーン》を墓地へ送り、手札から装備魔法《N-C:Aミラージュバスター》を《ミラージュクリエイター9》に装備!」

忍び装束が消え、入れ替わるように小さな九尾の狐が出現する。

葉っぱを頭にのせてクルンと一回転すると剣のパーツがついた銃へ変形し、《N-C:Hミラージュクリエイター9》の手に渡る。

「バトル。俺は《ミラージュクリエイター9》で《白闘気双頭神龍》を攻撃。同時に、装備している《クリアウィング》の効果を発動。攻撃力がアップする」

 

N-C:Hミラージュクリエイター9 レベル9 攻撃5400→8400

 

「いくら攻撃力をアップさせようとも、守備表示であれば…」

「《ミラージュバスター》を装備したモンスターが戦闘で相手モンスターを破壊した時、破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを与える」

「だが、それでもライフは残る。そして、次のターンに…」

「お前に次のターンはない。俺は手札から速攻魔法《アサルト・フォース》を発動。装備カード1枚を墓地へ送り、装備していたモンスターはこのターン、もう1度だけ攻撃できる。《クリアウィング》を墓地へ送る」

 

N-C:Hミラージュクリエイター9 レベル9 攻撃8400→5900

 

「もう1つの攻撃対象は《神龍トークン》。2体を破壊しろ、《ミラージュクリエイター9》!」

右手で《N-C:Aミラージュバスター》を握る《N-C:Hミラージュクリエイター9》が左手でフィンガースナップを決める。

左手に出現したもう1つの《N-C:Aミラージュバスター》を手にし、2丁にエネルギーを充填させる。

危険を感じた《白闘気双頭神龍》と《神龍トークン》が襲い掛かるも、エネルギーの重点を完了した《ミラージュクリエイター9》が同時に大出力で質量弾を発射する。

撃ち抜かれた2体が爆散し、弾丸はアンノウンに襲い掛かる。

「…見事だ、ヒイロ・リオニス」

 

アンノウン

LP4800→0

 

 

 

 

 

 

 

創世の力の降臨

儀式魔法カード

「サイボーグ」儀式モンスターの降臨に必要。

(1):レベルの合計が儀式召喚するモンスターのレベル以上になるように、自分の手札・フィールドのモンスターをリリースし、手札から「サイボーグ」儀式モンスターを儀式召喚する。その時、自分フィールドに「クリエイト・ナビゲーター」が存在する場合、自分魔法・罠ゾーンに存在する装備カード扱いとなっているモンスターをリリースすることもできる。

 

N・C:Hミラージュストライカー5

レベル8 攻撃2500 守備2000 儀式 闇属性 戦士族

「創世の力の降臨」により降臨。

(1):1ターンに1度、自分の墓地に存在する「C:A」モンスター1体を対象に発動できる。このカードを装備カード扱いとして自分フィールドの「C:H」1体に装備させる。

(2):このカードが装備カードを装備している場合、相手はこのモンスター以外のモンスターを攻撃対象とすることができず、このカードはカード効果では破壊されない。

(3):このカードが装備カードを装備している状態で相手モンスターと戦闘を行うダメージ計算時、このカードの攻撃力を元々の攻撃力を倍にした数値にする。

 

輪廻の海

永続魔法カード

自分の魔法・罠ゾーンに存在する「再生の海」1枚を墓地へ送ることで、このカードは発動できる。

このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか発動できない。

(1):1ターンに1度、自分の墓地に存在する水属性モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターはエンドフェイズに破壊される。この効果による破壊は相手の効果による破壊として扱うことができる。

(2):自分フィールドに水属性Sモンスターが特殊召喚されたときに発動できる。デッキからカードを1枚ドローする。

 

C:Hシンガー

レベル3 攻撃1200 守備1000 効果 闇属性 戦士族

このカード名の(1)の効果による特殊召喚は1ターンに1度しか行えない。

このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか発動できない。

(1):自分フィールドに「サイボーグ」Sモンスターが存在する場合、このカードは手札から特殊召喚できる。

(2):このカードが装備カードを装備していない自分メインフェイズ時に発動できる。自分のデッキの上から5枚を確認し、その中に存在する「C:A」モンスター1体を装備カード扱いとしてこのカードに装備する。その後、それ以外のカードはすべて墓地へ送る。

 

クリエイト・ナビゲーター

レベル4 攻撃1000 守備1000 シンクロ 光属性 魔法使い族

チューナー+チューナー以外のモンスター1体

このカードはルール上「C:H」モンスターとして扱う。

このカードをS召喚する場合、カード効果によるものでなければならない。

このカード名の(1)(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードがフィールドに存在する状態で「C:H」が召喚・特殊召喚されたとき、自分の墓地に存在する「C:A」1体を除外することで発動できる。デッキから「C:H」儀式モンスター1体と「創世の力の降臨」を手札に加える。

(2):自分スタンバイフェイズ時、自分フィールドにモンスターが存在しない場合、墓地のこのカードと儀式モンスター1体を除外することで発動できる。デッキから「サイボーグ」モンスター1体を手札に加える。

 

白の断罪(ホワイト・ジャッジメント)

装備魔法カード

水属性Sモンスターのみ装備可能。

(1):装備モンスターが戦闘を行うとき、フィールド上の魔法・罠カード1枚を対象に発動できる。そのカードを破壊する。

(2):装備モンスターは以下の効果を得る。

●自分または相手バトルフェイズ時、このカードをリリースすることで発動できる。自分または相手の墓地に存在するこのカードの元々のレベルよりも低いレベルのSモンスター1体を特殊召喚する。この効果を発動したターン、自分はこの効果で特殊召喚されたモンスター以外で攻撃宣言を行えない。この効果は1ターンに1度しか発動できない。

(3):このカードが墓地へ送られたターンのエンドフェイズ時に発動できる。このカードを自分フィールドのモンスターに装備する。

 

ドロップアウト&エントリー

通常罠カード

このカードはルール上、「サイボーグ」カードとして扱う。

このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分フィールドに存在する装備カードを装備していない「C:H」モンスターが相手モンスターと戦闘を行うときに発動できる。戦闘を行う自分のモンスターの攻撃力はダメージステップ終了時まで戦闘を行う相手モンスターの攻撃力と同じ数値になる。

(2):自分フィールドに存在するモンスターが「C:H」1体のみの場合、墓地に存在するこのカードを除外することで発動できる。自分の墓地に存在する「C:A」1体を装備カード扱いとして自分フィールドのモンスターに装備するか、特殊召喚する。この効果を発動したターン、自分は「サイボーグ」以外のモンスターを特殊召喚できない。

 

エターナル・フュージョン

速攻魔法カード

このカード名のカードの効果はそれぞれ1ターンに1度しか発動できない。

(1):自分フィールドに「マリンフォース」「エンシェント」「パワー・ツール」「ライフ・ストリーム」Sモンスターが存在する場合にのみ発動できる。そのモンスターを含む自分のフィールド・墓地・除外状態の融合モンスターによって決められた融合素材モンスターを好きな順番でデッキの下に戻し、Sモンスターを融合素材とするその融合モンスター1体をEXデッキから融合召喚する。

 

リベンジ・リターン(アニメオリカ)

通常罠カード

(1):モンスターが戦闘で破壊されたときに発動できる。自分はデッキからカードを1枚ドローする。

(2):墓地のこのカードを除外し、自分の墓地に存在するこのターンに効果によって破壊されたモンスター1体を対象に発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。

 

N-C:Hミラージュクリエイター9

レベル9 攻撃2900 守備2500 融合 闇属性 戦士族

「N・C:Hミラージュストライカー5」+Sモンスター

このカード名のカードは自分フィールド上に1体しか存在できない。

このカード名の(4)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):1ターンに1度、自分の墓地から「サイボーグ」モンスターまたはドラゴン族Sモンスター1体を選び、装備カード扱いとして装備カードを装備していない自分のモンスターに装備する。

(2):このカードの攻撃力はこの効果で装備したモンスターの元々の攻撃力分アップする。

(3):自分フィールドのこのカードが破壊されるとき、代わりに自分フィールドの装備カード1枚を破壊することができる。

(4):1ターンに1度、このカードが(1)の効果で装備しているカード1枚を対象に発動できる。ターン終了時まで、そのモンスターの効果を得る。この効果は相手ターンでも発動できる。

(5):このカードが装備カードを装備している場合、相手はこのモンスター以外のモンスターを攻撃対象とすることができず、このカードはカード効果では破壊されない。

 

N-C:Aミラージュバスター

装備魔法カード

レベル5以上の「C:H」にのみ装備可能。

自分の魔法・罠ゾーンに存在する「C:A」装備カード1枚を墓地へ送ることで発動できる。

(1):装備モンスターが戦闘で相手モンスターを破壊した時に発動できる。破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを相手に与える。

(2):自分の魔法・罠ゾーンに表側表示で存在するこのカードが墓地へ送られたターン終了時、自分フィールドのSモンスター1体を対象に発動できる。墓地に存在するこのカードをそのモンスターに装備する。この時、レベル5以上の「C:H」以外のモンスターにも装備でき、装備モンスターはこのカードを装備している間、ルール上「C:H」モンスターとして扱うことができる。

 

アサルト・フォース

速攻魔法カード

(1):自分フィールドの装備カードを装備しているモンスター1体を対象として発動できる。装備カード1枚を墓地へ送り、そのモンスターはこのターンのバトルフェイズ中、もう1度だけ攻撃できる。

 

決闘疾走が終わると同時にアンノウンの姿が消え、ヒイロの目の前に暗い渦が発生する。

真っ黒だった渦だが、やがて見えてきたのは廃墟のような場所だ。

(ヒイロ・リオニス。お前は今、この世界に新しい道を示そうとしている。それは、果たして正しいことか、間違っていることかは誰にもわからない)

ヒイロの目の前に、真っ白なローブとピエロの仮面の少年が現れる。

姿を見せるにつれて、声が遊星たちの声が入り混じったものではなく、普通の少年の声へと変わっていく。

白い靄がかかった彼の姿からは、肉体を持っていないという彼の主張を覆すのは難しく、肉体を持っているような気配が感じられない。

「正しいも間違っているもない。少なくとも、決めるのはお前で俺でもない」

(なら、せめて後悔はするな。異界の決闘神官、ヒイロ・リオニス)

ヒイロと少年がすれ違い、ヒイロの姿が渦の中へ消えていく。

その後ろ姿を見送った少年は仮面をはずす。

フードがずれ、赤と緑の髪、そして赤い瞳がヒイロの後ろ姿を見せる。

「さあ…彼はどんなエンタメを見せてくれるのかな?みんな」

 

 

 

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