遊戯王5D's外伝 異界の決闘神官   作:ナタタク

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第3話 骸骨騎士

夕日の合わせ札を終え、その場で待つこと3時間。

真夜中となってもなお、骸骨騎士は姿を見せない。

遊星の仲間がそれで骸骨騎士を呼ぶことができたという事実があるものの、あくまでも都市伝説というわけなのか。

「レアカードを望んでいるわけではない俺に用はない、というわけか…」

シューッシューッ!

熱気と何かが噴き出す音が響き渡り、真っ白な蒸気が周囲を包んでいく。

蒸気が収まり、ヒイロの目の前に現れたのは工場の機械で作られたかのような祭壇で、4つの燭台には炎が灯っていた。

そして、その祭壇の上には灰色の包帯姿の馬とそれにまたがるボロボロな鎧の騎士の姿があった。

「ほぉ…妙な気配を持っているな、決闘者よ…」

「お前が骸骨騎士か…。待った甲斐があった。お前に聞きたいことがある」

「ふん…初対面の我を目前として平然とするか、そして!」

馬が大きく跳躍し、祭壇の下で着地するとともにヒイロの額めがけて槍を突き立てる。

槍の穂先はヒイロの額に当たるギリギリのところで止まり、少しでも体を前のめりにしようものなら、そのまま穴が開いてしまうところだ。

「度胸もある、か…ますます奇妙であるな。面白い…昨晩の男といい、こうも戦士といえる者と出会えるとはな」

「出会うも何も、お前が俺を呼んだんだろう?」

「呼ぶ…?貴様を…?フッ、貴様のような戦士を都合よく呼ぶことができれば、どれほど楽だったものか…」

(骸骨騎士…嘘は言っているように見えないが…)

何かを隠していることは明白ではあるが、それでも彼がヒイロがこの世界に来た原因ではないことは分かった。

だとしたら、次の手掛かりとなるものがなくなることを意味していた。

ゴドウィンの線も薄い以上、当てのない放浪をこの世界で続けることになる。

もう用はないといわんばかりに骸骨騎士に背を向けたヒイロはストライクチェイサーに乗る。

「邪魔をしたな、知らない以上はもう用はない」

「待て、戦士よ…」

骸骨騎士が槍を地面に突き刺すと、急に紫の炎が祭壇を中心に発生していく。

戻る道は炎にふさがれ、炎の壁が両側面に発生している状況から、ヒイロはかつてのダークシグナーが生み出した地上絵を思い出す。

「我と決闘疾走をせよ、戦士よ…」

「何のために?それで俺に得があるとでも?」

「なに、ただで決闘疾走をせよとは言わぬ。汝が勝利した暁には、汝の疑問に答える力添えをしてやろう。悪い条件ではなかろう」

「力添え…?お前のような奴が、か?」

「我にも誇りはある。決してたがえぬ」

「どうだろうな…?この逃げられない状況で言われても、説得力がないな」

ヒイロと骸骨騎士が横並びとなり、フライング防止のための炎が2人の進路を封鎖する。

「この炎のコースを1周する間に勝負を決めようぞ」

「好きにしろ、勝つだけだ」

「「デュエル」」

 

ヒイロ

手札5

LP4000

 

骸骨騎士

手札5

LP4000

 

炎が消え、ストライクチェイサーと馬が一斉に走り始める。

走り始めたと同時にヒイロの目に飛び込むのはDホイール以上の速度で走る馬の姿だった。

競走馬が人を乗せた状態で走る場合の平均時速は60キロから70キロといわれている。

最も速い時速は短距離走においてだが、84キロである。

ただし、これはあくまでの軽装な騎手を乗せた場合での数字であり、骸骨騎士のような甲冑姿で走る場合にはそれよりも遅くなるはずだ。

だが、彼の馬はストライクチェイサーを上回るスピードを出しており、ただの馬ではないことを思い知らせる。

「俺の先攻。俺は手札から《C:Hアンノウン》を召喚」

 

C:Hアンノウン レベル4 攻撃1600

 

「そして、手札から永続魔法《リボルブオン》を発動。その効果により、俺は手札の《C:Aアンデッドブレイカー》を特殊召喚する」

 

C:Aアンデッドブレイカー レベル3 攻撃1000(チューナー)

 

「レベル4の《アンノウン》にレベル3の《アンデッドブレイカー》をチューニング。屍を切り刻む刃よ、戦士に鎧を与え、冥府の番人とせよ。シンクロ召喚。現れろ、《C:Hゾンビバスター》」

 

C:Hゾンビバスター レベル7 攻撃2600

 

「カードを2枚伏せ、ターンエンド」

 

ヒイロ

手札5→0

LP4000

場 C:Hゾンビバスター レベル7 攻撃2600

  リボルブオン(永続魔法)

  伏せカード2

 

骸骨騎士

手札5

LP4000

場 なし

 

「フフフ…我と決闘疾走してなお、平静…面白い。骨のある決闘者であるな」

「さっさとデュエルを続けろ、お前のターンだ」

「フフフ…よかろう」

昨日出会った男も、これまで出会った決闘疾走者も、いざ決闘疾走をしようものなら多かれ少なかれ恐怖を抱き、それが走行にも決闘疾走にも出ていた。

遊星のように、恐怖を乗り越えて勝利した決闘疾走者もいたが、それはあくまでも稀な話だ。

そして、ヒイロのような一切の恐怖を見せないような決闘疾走者と戦うのは骸骨騎士にとっては初めてのことと言えた。

「我がターン…」

 

骸骨騎士

手札5→6

 

「我は《劫火の翼竜ゴースト・ワイバーン》を召喚」

骸骨騎士の蝙蝠の羽根のようなデュエルディスクにセットされたそのカードから炎があふれ出て、それが上空に火球へと変化していく。

その火球の中からは炎を宿したワイバーンの亡骸といえるモンスターが飛び出した。

 

劫火の翼竜ゴースト・ワイバーン レベル4 攻撃1700

 

「《ゴースト・ワイバーン》の効果。このカードの召喚・特殊召喚に成功した時、デッキより《幽合-ゴースト・フュージョン-》を手札に加える。更に、このカードはわれのフィールドに守備力は0のアンデッド族が存在する場合、手札より特殊召喚できる。《劫火の破戒僧ゴースト・プリースト》を特殊召喚」

再びデュエルディスクから放出される炎。

次に出現するのは紫の袈裟をまとい、体のいたるところから炎を吹き出す僧侶であり、錫杖を鳴らしながらブツブツと念仏を唱え始めていた。

 

劫火の破戒僧ゴースト・プリースト レベル3 攻撃1200(チューナー)

 

「我はレベル4の《ゴースト・ワイバーン》にレベル3の《ゴースト・プリースト》をチューニング。シンクロ召喚。いでよ、冥界の炎宿せし常勝の将軍。《劫火の魔将ゴースト・ジェネラル》」

念仏を唱える《劫火の破戒僧ゴースト・プリースト》が3つの炎のチューニングリングとなり、それをくぐった《劫火の翼竜ゴースト・ワイバーン》が爆発を引き起こす。

その爆発の中から現れたのは体と手にしている大剣から炎を放つ将軍であり、その姿は《ギルフォード・ザ・レジェンド》と似ているようにヒイロには見えた。

 

劫火の魔将ゴースト・ジェネラル レベル7 攻撃2400

 

「シンクロ素材となりし《ゴースト・プリースト》の効果。このカードをシンクロ素材として守備力が0のシンクロモンスターのシンクロ召喚に成功した時、そのシンクロモンスターの攻撃力を1000アップさせる」

チューニングリングと化したはずの《劫火の破戒僧ゴースト・プリースト》が上空に現れると念仏を唱え、《劫火の魔将ゴースト・ジェネラル》の肉体が紫のオーラに包まれていく。

そして、持て余した力を発散したいといわんばかりに手にしている大剣を振り回した。

 

劫火の魔将ゴースト・ジェネラル レベル7 攻撃2400→3400

 

「《ゾンビバスター》の攻撃力を上回ったか‥」

「バトル。《ゴースト・ジェネラル》よ、《ゾンビバスター》を切り裂くがいい」

《劫火の魔将ゴースト・ジェネラル》が手にしている大剣を手放すと両拳に炎を宿して《C:Hゾンビバスター》に突撃する。

予想だにしない動きに一瞬反応が遅れた《C:Hゾンビバスター》にとりつき、地面に押し倒すとそのまま彼の顔面に向けて炎の宿った拳を何度も何度もたたきつけた。

そして、最後に頭突きをすると限界を超えた《C:Hゾンビバスター》が爆発し、その衝撃波がヒイロを襲う。

「くっ…!」

遊星やジャックの時とは比べ物にならないほどの衝撃を感じたヒイロだが、Dホイールは体勢を崩すことなく入り続ける。

フィールというものはわからないままだが、これまでのデュエルで何度も実体ダメージというものを味わってきた分、それまでと比べるとマシに思えた。

 

ヒイロ

LP4000→3200

 

「破壊された《ゾンビバスター》の効果。通常のシンクロ召喚もしくは自らの効果で特殊召喚された《ゾンブバスター》が相手によって破壊されたとき、次の俺のスタンバイフェイズ時に復活する。そして、墓地の《アンノウン》の効果。俺のC:Hシンクロモンスターが相手によって破壊されたとき、墓地から特殊召喚できる」

爆発の中に残る《劫火の魔将ゴースト・ジェネラル》の額に衝撃が走り、突然の攻撃に彼はやむなく骸骨騎士の元へ戻る。

煙が晴れるとそこには装備を失った状態の《C:Hアンノウン》の姿があり、額を右手でぬぐっていた。

 

C:Hアンノウン レベル4 守備1000

 

「やるな…だが、《ゴースト・ジェネラル》の効果。このカードが相手モンスターを戦闘で破壊した場合、デッキから守備力0のアンデッド族モンスター1体を墓地へ送ることで、続けてもう1度だけ攻撃できる。その時攻撃力はダメージステップ終了時まで、墓地へ送ったモンスターのレベル1つにつき100アップする。我は《劫火の眠り姫ゴースト・スリーパー》を墓地へ送る」

これまでの骸骨騎士が召喚してきたモンスターたちと同じように、炎を身にまとい、薄紫のドレスを身に着けた姫君の亡骸といえるモンスターの幻影が《劫火の魔将ゴースト・ジェネラル》に宿り、さらに力を増したそのモンスターは地面に転がっている大剣を手にすると、かろうじて生き延びていた《C:Hアンノウン》に向けてそれを投げつけた。

胴体を貫かれ、大穴を開けたそのモンスターは消滅するも、かろうじてダメージは避けられた。

 

劫火の魔将ゴースト・ジェネラル レベル7 攻撃3400→3700(ダメージステップ終了時まで)

 

「我はカードを2枚伏せ、ターンエンド。それと同時に、《ゴースト・プリースト》の効果は終了する」

 

ヒイロ

手札0

LP3200

場 リボルブオン(永続魔法)

  伏せカード2

 

骸骨騎士

手札6→3(うち1枚《幽合-ゴースト・フュージョン-》)

LP4000

場 劫火の魔将ゴースト・ジェネラル レベル7 攻撃3400→2400

  伏せカード2

 

「俺のターン」

 

ヒイロ

手札0→1

 

「スタンバイフェイズ時に《ゾンビバスター》の効果発動。墓地から特殊召喚する」

コース上にいきなり小規模な地割れが発生し、その中から左手の鉤爪が這い出てくる。

それが地面に突き刺さり、這いあがってきたのはボロボロな《C:Hゾンビバスター》だった。

 

C:Hゾンビバスター レベル7 攻撃2600

 

「そして、《リボルブオン》の効果。《ゾンビバスター》の効果を入れ替える。そして、入れ替わった《ゾンビバスター》のもう1つの効果を発動。1ターンに1度、相手フィールドのモンスター1体の効果を無効にし、攻撃力を半分にする」

鉤爪に猛毒を宿し、先ほど破壊された痛みを思い知らせるといわんばかりに左腕を振るう《C:Hゾンビバスター》。

飛んでくる猛毒の宿った剣閃を大剣で受け止める《劫火の魔将ゴースト・ジェネラル》だが、毒は大剣の刃を溶かしていき、力を奪うには十分だった。

 

劫火の魔将ゴースト・ジェネラル レベル7 攻撃2400→1200

 

「バトル。《ゾンビバスター》で《ゴースト・ジェネラル》を攻撃」

得物を失った《劫火の魔将ゴースト・ジェネラル》を横一線に毒の宿ったチェーンソーが切り裂く。

爆発とともに飛び散る毒素がコースや骸骨騎士を襲い、甲冑やマントに当たった部位がわずかに溶ける。

「毒はともかく、この程度のフィールか…」

 

骸骨騎士

LP4000→2600

 

「俺はこれで、ターンエンド」

 

 

ヒイロ

手札1

LP3200

場 C:Hゾンビバスター レベル7 攻撃2600

  リボルブオン(永続魔法)

  伏せカード2

 

骸骨騎士

手札3(うち1枚《幽合-ゴースト・フュージョン-》)

LP2600

場 伏せカード2

 

「弱弱しいフィール…なるほど、汝は我の知らぬ場所から…いや、世界から来たというわけか…」

「そうだ、帰る手段もどうして来たのかも分からない。納得したか?」

ジャックにも遊星にも言われたフィールの弱さ。

だが、デュエルに勝利するのであれば現状でも十分であり、フィールを操る理由もなかった。

「認めよう、貴様の決闘者としての力、そして度胸は…。だが、この程度のフィールでは何も成し遂げることはできん!我のターン」

 

骸骨騎士

手札3→4

 

「我は手札より《劫火の舟守ゴースト・カロン》を召喚」

炎を宿した舟守がボロボロなボートを漕いでフィールドに現れる。

その背後にはシンクロ素材となったはずの《劫火の翼竜ゴースト・ワイバーン》の姿もあった。

 

劫火の舟守ゴースト・カロン レベル2 攻撃500(チューナー)

 

「我は手札より《幽合-ゴースト・フュージョン-》を発動。このカードは我のフィールドのアンデッド族モンスターを素材として融合召喚を行う」

「だが、お前のフィールドに存在するアンデッド族モンスターは《ゴースト・カロン》のみだ」

「我のライフが貴様よりも低い場合、更に手札・デッキ・墓地のアンデッド族モンスターを1体、除外して融合素材とすることができる。我は墓地の《ゴースト・ワイバーン》を除外する」

上空に紫の炎でできた渦が生まれ、その中に2体のモンスターが飛び込んでいく。

「二体の亡者の魂が冥界の主を呼びさます!!冥界の扉を破り現れよ!!幽合召喚!!《冥界龍ドラゴネクロ》!!」

渦の中から飛び出してくる骸骨と死肉で作られた腕と翼をもつ蛇竜。

炎を身にまとっているにもかかわらず、そのドラゴンの瞳は氷のように冷たく感じられた。

 

冥界龍ドラゴネクロ レベル8 攻撃3000

 

「ヒイロ・リオニス。貴様に見せてやろう…我が闇のフィールの力を。《ドラゴネクロ》で《ゾンビバスター》を攻撃。ソウル・クランチ!」

加速を始める馬の動きと連携するかのように、《冥界龍ドラゴネクロ》が大きく口を広げて《C:Hゾンビバスター》に迫る。

巨大な口はそのモンスターの肉体に噛みつき、あまりの痛みから悲鳴を上げ始める。

「く…」

 

ヒイロ

LP3200→2800

 

「《ドラゴネクロ》の効果。このカードが相手モンスターと戦闘を行うモンスターに死ぬことは許されぬ。そして、このカードと戦闘を行った相手モンスターの魂を奪い、闇へ落す!」

ようやく口を開き、骸骨騎士のフィールドに戻る《冥界龍ドラゴネクロ》だが、彼の隣に真っ黒な炎でできた《C:Hゾンビバスター》の分身が出現する。

そして、胴体に深々と噛まれた痕の残った《C:Hゾンビバスター》は力を失い、その場でうつぶせに倒れる。

 

C:Hゾンビバスター レベル7 攻撃2600→0

ダークソウルトークン レベル7 攻撃2600

 

「さあ、闇に落ちし魂よ…汝の肉体に別れを告げよ!!」

闇に落ちた《C:Hゾンビバスター》の魂が振るう毒のこもったチェーンソーが抜け殻を両断する。

抵抗する力のないそれの肉体は毒の液体そのものとなり、爆発する。

爆発の衝撃波と毒がヒイロとストライクチェイサーを容赦なく襲う。

「が、あ、あああああ!!」

 

ヒイロ

LP2800→200

 

全身を駆け巡る臓器も骨も肉も切り裂かれ、焼かれるような感覚。

ストライクチェイサーにもダメージがあり、モニターの映像がゆがむ。

「うぐ…ひどい、破壊力だ…」

「ほお、意識を保つか…」

「はあ、はあ…死ぬほど、痛いがな…」

ほんの少しでも気を緩めると、すぐに気絶してしまう。

ストライクチェイサーもダメージは受けているが、それでもかつてはスタッグを装着することを前提としてトライチェイサーを改修したもの。

向上した耐久性がデュエルと走行を続行させることを可能とした。

「自らの効果で特殊召喚された《ゾンビバスター》はフィールドを離れたとき、除外される…。そして、《ゾンビバスター》が破壊されたことで、墓地の《アンノウン》は特殊召喚できる…。更に俺は罠カード《ブラッド・シンクロン》を発動。俺が戦闘ダメージを受けたとき、デッキからチューナーモンスターとチューナー以外のモンスターを1体ずつ、攻撃力の合計が受けたダメージの数値以下になるように、特殊召喚する…。俺が特殊召喚するのは…《C:Hネオン》と《C:Aサウンドキャット》」

 

C:Hネオン レベル3 攻撃1000

C:Aサウンドキャット レベル3 攻撃400(チューナー)

C:Hアンノウン レベル4 守備1000

 

「そして、この効果で特殊召喚されたモンスターのみを素材として、シンクロ召喚を行う…。レベル3の《ネオン》にレベル3の《サウンドキャット》をチューニング。熱情を奏でし奏者よ、未来を焦がせ。シンクロ召喚。現れろ、《C:Hブレイブロッカー》」

 

C:Hブレイブロッカー レベル6 攻撃1600

 

「致命的なダメージを負ってもなお、シンクロ召喚を行うは見事。だが…そのシンクロモンスターも攻撃力1600ではな!我は罠カード《ソウル・クランチ》を発動。我がフィールドに《ドラゴネクロ》が存在し、相手がモンスターの特殊召喚に成功した時、その相手モンスターの攻撃力を0とする。そして、そのモンスターの魂を闇へ落す」

「何!?」

シンクロ召喚されたばかりの《C:Hブレイブロッカー》の体から抜かれた魂が《ダークソウルトークン》と化し、魂を抜かれた肉体が地面を転がる。

 

C:Hブレイブロッカー レベル6 攻撃1600→0

ダークソウルトークン レベル6 攻撃1600

 

「さあ、もう1つの闇に落ちし魂よ、とどめを刺すがいい」

《C:Hブレイブロッカー》と同じ姿をした《ダークソウルトークン》が手にしているギターを斧のように振るい、抜け殻の己に向けてふるう。

「俺は速攻魔法《緊急装着》を発動。俺のフィールドのC:H1体にデッキからC:A1枚を装備させることができる。俺が選択するのは《C:Aシノビラクーン》。このカードを《ブレイブロッカー》に装備する」

緑色の衣姿としたタヌキがフィールドに現れ、衣を脱ぐとともに姿を消す。

そして、その衣をかぶった《C:Hブレイブロッカー》はギターを受ける直前に姿を消す。

「《シノビラクーン》を装備した《ブレイブロッカー》は1ターンに1度、戦闘と効果では破壊されない。そして、俺が受ける戦闘ダメージも0になる」

「防いだか…我はこれで、ターンエンド」

「ターン終了と同時に、《緊急装着》の効果を発動。この効果で装備カードとなったカードをターン終了と同時に除外する」

煙のように消える衣だが、ヒイロと《C:Hブレイブロッカー》を守るという役割を十分に果たしたといえた。

 

ヒイロ

手札1

LP200

場 C:Hアンノウン レベル4 守備1000

  C:Hブレイブロッカー(《冥界龍ドラゴネクロ》の影響下) レベル6 攻撃0

  リボルブオン(永続魔法)

 

骸骨騎士

手札4→2

LP2600

場 冥界龍ドラゴネクロ レベル8 攻撃3000

  ダークソウルトークン レベル7 攻撃2600

  ダークソウルトークン レベル6 攻撃1600

  伏せカード1

 

「俺のターン!」

 

ヒイロ

手札1→2

 

「《C:Hシェイド》を召喚」

ラストターンといえる状況で召喚される両目を黒い眼帯で隠したダークスーツ姿の男。

両耳も包帯で隠れており、この状態で戦えるとはとても思えない姿をしていた。

 

C:Hシェイド レベル2 攻撃900

 

「《シェイド》の効果。1ターンに1度、除外されているC:Aを装備カード扱いとしてこのカードに装備できる。俺は《C:Aシノビラクーン》を装備させる」

ダークスーツの上着を脱ぎ捨て、《C:Aシノビラクーン》の衣を身にまとう。

そして、聴覚も視覚もなしに、己の脚だけでヒイロと並走する。

「《シノビラクーン》の効果。装備カードとなっているこのカードと装備モンスターでシンクロ召喚を行うことができる。俺はレベル2の《シェイド》に《シノビラクーン》をチューニング。耐え忍ぶ苦しみを知る忍びの力を戦場に示せ、シンクロ召喚。現れろ、《C:Hウィンドファントム》」

走る《C:Hシェイド》の体をみどりの風が駆け抜けていき、全身が緑の忍び装束へと変化するとともに、眼帯と包帯が外れる。

両目はいずれも機械でできた義眼となっており、両耳には円盤型の装置が装着されている状態だ。

そして、腰にさしてある2本の苦無を抜き、逆手に握った。

 

C:Hウィンドファントム レベル7 攻撃2400

 

「新たなシンクロモンスターか…だが、攻撃力2400では、《ダークソウルトークン》を倒すのみの役割しか果たせん」

「まだだ。俺は《ブレイブロッカー》の効果を発動。サイボーグ装備カードの効果以外の方法で特殊召喚されているこのカードは1ターンに1度、シンクロ召喚に成功したサイボーグに墓地にC:A1枚を装備カード扱いとして装備させることができる。俺は《アンデッドブレイカー》を《ウィンドファントム》に装備する」

抜け殻状態といるはずの《C:Hブレイブロッカー》が重い体をどうにか起こし、ギターを奏でると《C:Aアンデッドブレイカー》が上空に出現し、チェーンソーが《C:Hウィンドファントム》に託される。

 

C:Hウィンドファントム レベル7 攻撃2400→3400

 

「そして、《ウィンドファントム》の効果。1ターンに1度、このカードと同じ能力値を持つ《C:Hウィンドファントムトークン》1体を特殊召喚できる」

苦無を口に加えた《C:Hウィンドファントム》が印を切ると、影分身を発動し、全く同じ姿をしたトークンを生み出した。

 

C:Hウィンドファントムトークン レベル7 攻撃3400

 

「更に、《リボルブオン》の効果発動。《ブレイブロッカー》の効果を入れ替える。これにより発動する《ブレイブロッカー》の効果により、俺のフィールドのサイボーグの攻撃力は800アップする」

 

C:Hウィンドファントム レベル7 攻撃3400→4200

C:Hウィンドファントムトークン レベル7 攻撃3400→4200

C:Hブレイブロッカー レベル6 攻撃0→800

C:Hアンノウン レベル4 攻撃1500→2300

 

「攻撃力4200のモンスターが2体、だと…?」

攻撃力0と1500のモンスターのみとなっていた状況から一気にこのまま逆転勝利できる状況へもっていかれたことにさすがの骸骨騎士も仰天する。

このまま少なくとも攻撃力4200の《C:Hウィンドファントム》かトークンの攻撃が攻撃力1600の《ダークソウルトークン》に決まった場合、勝敗が決まることになる。

「バトル。《ウィンドファントム》で《ブレイブロッカー》の《ダークソウルトークン》を攻撃。風魔一閃」

口にしていた苦無を手にもどした《C:Hウィンドファントム》が更にスピードを上げて走っていき、闇に落ちた仲間の魂に向けてとびかかった。

「むう…!我は罠カード《ファントム・エフェクト》を発動!《ドラゴネクロ》が存在する状態で我が相手によって戦闘・効果ダメージを受ける時、発生する我へのダメージを0とする!」

《ダークソウルトークン》を真っ二つに切り裂き、そして襲ってくる苦無を突然現れた炎の人魂が受け止める形で難を逃れる。

「そして、発生するはずだったダメージと同じ数値の攻撃力を持つ《ファントムトークン》を特殊召喚できる」

 

ファントムトークン レベル1 攻撃2600

 

「《ファントムトークン》は実態を持たぬトークン、故に相手プレイヤーに直接攻撃できる」

「だが、《ウィンドファントム》の効果により、俺のフィールドに《ウィンドファントムトークン》が存在する限り、相手は《ウィンドファントムトークン》以外を攻撃対象とすることはできない。そして、まだ攻撃は残っている。《ウィンドファントムトークン》でもう1体の《ダークソウルトークン》を攻撃」

分身の《C:Hウィンドファントム》が苦無を合体させると、それは大型の手裏剣へと変化し、それを《ダークソウルトークン》に向けて投げつける。

手裏剣はチェーンソーで受け止めらたものの、真正面の懐に飛び込んだ《C:Hウィンドファントムトークン》の拳が腹部に叩き込まれる。

拳を受けた魂は炎の壁に激突すると炎上して消滅した。

 

骸骨騎士

LP2600→1000

 

「これで…汝の攻撃可能なモンスターは存在しない。あとは…」

「いや、もうお前のターンは来ない。ここで終わりだ。メインフェイズ2に俺は手札から装備魔法《インスタント・リボルブ》を《ウィンドファントム》に装備。このカードはサイボーグシンクロモンスターにのみ装備でき、装備モンスターの効果を入れ替える。《ウィンドファントム》のサイボーグ装備カードの効果以外による召喚で得る効果は、1ターンに1度、俺のフィールド上に存在する装備カード1枚につき、800のダメージを与える。今、俺のフィールドの装備カードの数は2枚。よって、1600のダメージを与える」

「…」

《C:Hウィンドファントム》が煙玉を骸骨騎士の周囲に向けて投げ込み、発生する煙幕が彼の視界を封じる。

それに対して、骸骨騎士はあえて馬を全力疾走させて煙幕の中から脱出して見せた。

だが、背後には《C:Hウィンドファントム》の姿があり、苦無を彼の首に突き立てていた。

「見事…」

 

骸骨騎士

LP1000→0

 

 

 

劫火の破戒僧ゴースト・プリースト

レベル3 攻撃1200 守備0 チューナー 闇属性 アンデッド族

このカード名の(1)の方法による特殊召喚は1ターンに1度しか行えず、(3)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分フィールドに守備力が0のアンデッド族モンスターが存在する場合、このカードは手札から特殊召喚できる。

(2):このカードをS素材として守備力が0のSモンスターをS召喚したときに発動する。そのモンスターの攻撃力をターン終了時まで1000アップする。

(3):自分フィールドの「幽合-ゴースト・フュージョン-」の効果によって融合召喚されたモンスターが相手の効果によって破壊されるときに発動できる。代わりに墓地に存在するこのカードを除外する。

 

劫火の魔将ゴースト・ジェネラル

レベル7 攻撃2400 守備0 シンクロ 闇属性 アンデッド族

守備力0のチューナーモンスター+チューナー以外のモンスター1体以上

(1):このカードが戦闘で相手モンスターを破壊した時、デッキから守備力0のアンデッド族モンスター1体を墓地へ送ることで発動できる。このカードは続けてもう1度だけ攻撃できる。その時、ダメージステップ終了時までその効果で墓地へ送ったカードのレベル×100攻撃力がアップする。

(2):自分フィールドにモンスターが存在せず、相手フィールドにモンスターが存在するとき、墓地に存在するこのカードと「幽合-ゴースト・フュージョン-」1枚を除外することで発動できる。自分フィールドに「ゴーストトークン」2体を攻撃表示で特殊召喚する。この効果はこのカードが墓地へ送られたターン、発動できない。

 

ゴーストトークン

レベル1 攻撃0 守備0 トークン 闇属性 アンデッド族

(1):「劫火の魔将ゴースト・ジェネラル」の効果により特殊召喚される。

 

ブラッド・シンクロン

通常罠カード

このカード名のカードは1ターンに1度しか発動できない。

(1):自分が相手によって戦闘・効果ダメージを受けたときに発動できる。自分はデッキからチューナーとチューナー以外のモンスター1体を攻撃力の合計が受けたダメージの数値以下になるように選択し、特殊召喚する。この効果で特殊召喚されたモンスターの効果は無効化される。そして、この効果で特殊召喚されたモンスター2対のみを素材としてS召喚を行う。

 

ソウル・クランチ

通常罠カード

このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか発動できない。

(1):自分フィールドに「冥界龍ドラゴネクロ」が存在し、相手がモンスターの特殊召喚に成功したときに発動できる。そのモンスターの攻撃力を0にする。その後、この効果を受けたモンスターの元々のレベル・攻撃力と同じレベル・攻撃力を持つ「ダークソウルトークン」1体を特殊召喚する。

(2):自分スタンバイフェイズ時にこのカードが墓地に存在する場合、自分の墓地に存在する守備力0のアンデッド族モンスター1体を除外することで発動できる。墓地に存在するこのカードを手札に加える。この効果は自分フィールドに「ダークソウルトークン」が存在する場合、発動できない。

 

緊急装着

速攻魔法カード

(1):自分フィールドに存在する装備カードを装備していない「C:H」1体を対象に発動できる。デッキから「C:A」1体を装備カード扱いとしてそのモンスターに装備させる。この効果で装備カードとなったカードはターン終了時に除外される。この効果で装備カードとなったカードと同名のカードはこのターン、召喚・反転召喚・特殊召喚できない。

 

C:Aシノビラクーン

レベル5 攻撃0 守備0 チューナー 風属性 獣族

(1):自分メインフェイズ時、自分フィールドに存在する「C:H」1体を対象に発動できる。手札・フィールド上に存在するこのカードを装備カード扱いとしてそのモンスターに装備する。装備モンスターは1ターンに1度、戦闘・効果では破壊されない。また装備モンスターと相手モンスターとの戦闘で発生する自分へのダメージは0となる。

(2):このカードが自分の「C:H」モンスターに装備されている場合に発動できる。このカードと装備モンスターを素材として「C:H」SモンスターのS召喚を行う。

(3):「サイボーグ」カードの効果によってこのカードが装備されている場合に発動できる。装備されているこのカードを特殊召喚する。この効果で特殊召喚されたこのカードの効果はターン終了時まで無効化される。

 

C:Hシェイド

レベル2 攻撃900 守備1200 効果 風属性 戦士族

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか発動できない。

(1):このカードに装備カードが装備されていない自分メインフェイズ時に発動できる。ゲームから除外されている「C:H」以外の「サイボーグ」モンスター1体を装備カード扱いとしてこのカードに装備する。

(2):このカードが墓地に存在する状態で、自分フィールドに存在する「C:H」Sモンスターが相手によって破壊されたときに発動できる。墓地に存在するこのカードを手札に戻す。その後、自分はデッキ・墓地から「ブーストタイム」1枚を手札に加える。

 

C:Hウィンドファントム

レベル7 攻撃2400 守備2000 シンクロ 風属性 戦士族

「C:A」チューナー+チューナー以外の「サイボーグ」モンスター1体以上

(1):このカードがS召喚またはS召喚以外の方法で特殊召喚に成功した時、その内容によって以下の効果を適用する。

●「サイボーグ」装備カードの効果によるS召喚:自分フィールドに「C:Hウィンドファントムトークン」が存在しない場合に発動できる。自分フィールドに「C:Hウィンドファントムトークン」1体を特殊召喚する。このカード名のこの効果は1ターンに1度しか発動できない。

●通常のS召喚もしくは「サイボーグ」装備カード以外のカード効果による特殊召喚:1ターンに1度、このカードが「C:A」装備カードを装備している場合に発動できる。自分フィールドに存在する装備カードの数×800のダメージを相手に与える。このカード名のこの効果は1ターンに1度しか発動できない。

 

C:Hウィンドファントムトークン

レベル? 攻撃? 守備? トークン 風属性 獣族

「C:Hウィンドファントム」の効果により特殊召喚される。

(1):このカードのレベル・攻撃力・守備力は自分フィールドに存在する「C:Hウィンドファントム」の元々のレベル・攻撃力・守備力の数値と同じになる。

(2):このカードがフィールドに存在する限り、相手は「C:Hウィンドファントムトークン」以外のモンスターを攻撃対象とすることができない。

 

インスタント・リボルブ

装備魔法カード

「C:H」Sモンスターにのみ装備可能。

このカード名の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分メインフェイズ時に発動できる。装備モンスターのS召喚またはS召喚以外の方法での特殊召喚の方法によって以下の効果を適用する。

●「サイボーグ」装備カードの効果によるS召喚:そのモンスターを通常のS召喚もしくは「サイボーグ」装備カード以外のカード効果による特殊召喚されたものとして扱う。

●通常のS召喚もしくは「サイボーグ」装備カード以外のカード効果による特殊召喚:そのモンスターを「サイボーグ」装備カードの効果によるS召喚されたものとして扱う。

(2):装備モンスターが戦闘・効果で破壊されるときに発動できる。代わりに装備されているこのカードを墓地へ送る。

 

ファントム・エフェクト

通常罠カード

(1):自分フィールドに「冥界龍ドラゴネクロ」、または「冥界龍ドラゴネクロ」をS素材としたSモンスターが存在し、相手によって自分が戦闘・効果ダメージを受ける時に発動できる。自分が受けるダメージを0にする。その後、自分フィールドに「ファントムトークン」1体を特殊召喚する。

 

ファントムトークン

レベル1 攻撃? 守備0 トークン 闇属性 アンデッド族

「ファントム・エフェクト」の効果により特殊召喚される。

(1):このカードの攻撃力は「ファントム・エフェクト」の効果で0となったダメージの数値と同じとなる。

(2):このカードは相手プレイヤーに直接攻撃できる。

(3):このカードが相手プレイヤーに直接攻撃を行ったターンのバトルフェイズ終了時に発動する。このカードは破壊される。この効果は無効化されない。

 

デュエルが終了するとともに炎のコースが消え、馬とストライクチェイサーが足を止める。

デュエルを終えると同時に激しい痛みがヒイロを襲い、フラリと倒れこむ。

「見事だ…ヒイロ・リオニス。我を下すとは…」

「ふざけるな…加減、しただろう…?」

「何…?」

「まだ、手札が残っている…。やろうと思えば、返り討ちできた、はずだろう…」

骸骨騎士がデッキに戻した残り2枚の手札。

それが完全な死に札とは、ヒイロにはとても思えなかった。

それに対して回答をしない骸骨騎士は馬を降りて、ヒイロのそばへ向かう。

「勝者は汝だ。故に、ささやかな力添えをしよう」

骸骨騎士がカードを懐から出し、倒れているヒイロの手に握らせる。

カードを見たヒイロの目が大きく開き、骸骨騎士に鋭い視線を向ける。

「この、カードは…」

「また会おう、戦士よ。行くぞ、我がDホースよ」

骸骨騎士がDホースの背にまたがり、立ち去っていく。

先ほどのダメージのせいで動けないヒイロはカードを握ったまま目を閉じた。

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