Precure by Yuzuki   作:YZK

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【今回のPrecure by Yuzuki】
 世界で初めて運用された国営匿名保育施設"ゆりかご"に預けられた一人目の少女は、難関校"ミライト学園"
の一般入試を首位で勝ち抜いた。そんな彼女がある日突然空から降ってきた宙に浮く小さな生物と出会い、プリキュアと呼ばれる超人的な力を持った姿に変身する。


第1話

 【プリキュア】-ぷりきゅあ- <名> 東映アニメーションが制作している女児向けアニメーションシリーズ。少女が異界から持ち込まれた特殊な力を持った装置で変身し、強大な敵と戦う。作中でプリキュアは伝説の戦士として定義されることが多い。

 

 

 「あと5分で定時か〜任された仕事は終わったし、ショート動画でも見て時間潰すかな。」心の中で私はそうつぶやいた後、ポケットからスマートフォンを取り出し、ショート動画を見始めた。一本目を見終えたとき、突然、数ヶ月前から付き合い始めた彼女から電話がかかってきたので、その電話に出るとすぐさま彼女は言った「ねぇ、聞いて。私妊娠したの!」私はとても困惑した。そんなつもりはないし、避妊もしていたはずなのにこのようなことが起こってしまったことに。少し間を開けて私はこう返した「下ろせ。病院なら調べればいくらでも出てくるだろう。それと、今日この時をもって俺たちの関係は終わりだ。」これを言い終えた後、彼女の返事を聞くこともなく、私はすぐさま電話を切った。

 あれから約四十週間が経った頃、部屋の中で何の制約もなく、思うがままにゲームをして会社休みを満喫していた私の元に、見覚えのある人物からの電話がかかってきた。あのときの彼女だった。内容を察した私は昨夜ニュースで見た国営匿名育児施設"ゆりかご"のことを言えばもう電話もかかってくることも、彼女と会うことも無くなるだろうと思ったので、すぐに電話に出た。

 「貴方久しぶり。電話に出るのがこんなに早いのはずいぶんと珍しいじゃない。今回電話したのは、大事な話があるからなの。覚悟して聞いて。」

 私は一刻も早くこのことを話して彼女との関係を終わらせたかったので、少し食い気味で返事をした「その話って?」

 「ごめんなさい!わたし、あの子をどうしても下ろせなくって!」

 「やっぱりそういう事だったのか。まぁ、この時期にお前から電話が来る理由と言えば、それしかないもんな。結局、俺の忠告に従わずに、その子を産みだしてしまったのだろう。自分一人で育てられるとでも思ったのか?俺はあのときその子の未来を思って、生まれる前に終わらせるように忠告したのにな。だが、昨夜良いニュースを見た。それは、完全に自動化された育児・保育システムや、教育、家事などのあらゆる事を可能とした複数の人工知能によって構成された"イライザ"によって実現した匿名で子供を預けることができる"ゆりかご"という施設が、明日の0時から運用が開始されるというものだ。ここに預けるのはどうだ?その決断は、その子にとって最高の未来を与えることになるだろう。君が一人でお金に困りながら裕福ではない環境でその子を育てるよりも、遙かに良い未来をこの子に与えることができる。これで最後の忠告だ。この忠告を仮に無視して、子育てが困難であることに気がついたとしても、二度通れに電話を掛けてくるなよ。俺は忠告したし、最善の策を提案した。そして、昔にお前とはすでに別れている。本来はもうすでに俺らの関係は終わっているんだ。」渡しはすぐさま電話を切った。

 彼女はベッドの上で産みだした子に関する決断を迫らた。自分だけでこの子を育て上げるのか、それとも、今年から開設した国が運営する匿名育児施設"ゆりかご"に預けるか。ゆりかごに預ければ、イライザシステムよる育児・教育により、そこで育つ子は人間に育てられた子よりも理論上高い収入を稼ぎ、豊かな人生を送ることができる人材が育つ確率が10倍以上であると言う。しかし、自分が産み出したからには自分でこの子を育て、この子を自分色に染め上げたいという欲も彼女にはあった。しかし彼女にはそれに必要なお金と時間の余裕がなかった。 

 看護師は悩む彼女に決断をせかすように「"ゆりかご"は、出産から24時間以内で、命名がされていない常態であれば無条件で預けることが出来ますよ。たった1枚の同意書にサインをするだけで、簡単に預けることができるので、お決まりでしたらお呼びください。」こう言って彼女の元を去ろうとした。

 私は部屋から出ようとする看護師を呼び止めて質問をした「あの、もしもこの子を"ゆりかご"に預けた場合、私とこの子の関係は完全になかったことに出来ますか?」

 その質問を聞いた看護師は、ドアの前で足を止めて振り返ると、不安な顔を浮かべる彼女に対して笑顔でその質問に答えた「はい。完全になかったことになりますよ。その子を産みだした親のデータは収集されることはなく、預けられた子が生まれた産婦人科の病院と、その子が紐付けられることもなく、完全に匿名で利用可能です。また、費用はすべて税金から補填されるため、預けた後に親に費用がが請求されることもないのでご安心ください。貴方はいつも通りの生活に復帰することが出来ます。もしも産みだした子のことが気になってどうしようもない場合は、非常に高額なうえに、保険適応外で、さらには最近確立されたばかりの技術なので長期的な安全が保証できないものですが、記憶の除去治療を施術することが可能です。」

 彼女は悩みに悩んだ末、自分の欲よりも我が子の未来を優先し、今年から開設した国営匿名保育施設"ゆりかご"に預けることにした。

 

 「あの、この子を、"ゆりかご"に預ける手続きをしたいです。」

 

 「おや、意思が固まったようですね。それでは、誓約書をお持ちしますのでこのままお待ちください。」

 しばらくすると、さっきの下案五指とは別の看護師が部屋に入ってきた。「お待たせしました。国営匿名保育施設"ゆりかご"の利用者誓約書です。」といって、その看護師は私にクリップボードに止められた1枚の誓約書と、昔ながらのボールペンを手渡した。

 看護師から渡された誓約書は、とてもシンプルな説明書と、下にはサインをする欄があるだけだった。

 

ー誓約書ー

・私はテクノロジが人間のさらなる可能性を引き出し、人生のレベルを飛躍させることを信じます

 

・私は子供のよりよい未来のためにテクノロジに命を託します

 

・私は完全に匿名で、自身の戸籍に属さない形でその子を預け、その子がテクノロジの子であり、自分の子ではない事を認めます

 

ー以上の項目を誓約する場合、以下の欄に直筆でサインしてくださいー

 

 私は看護師から渡されたペンを手に取り、そこにサインをし、看護師にそれを渡すと、看護師は「おめでとうございます。この子は"ゆりかご"の1人目の利用予約者です。この子は世界で初めて、完全無人化された最先端の環境で育つ子になります。それだけでこの子は唯一無二のステータスを手にしたといえるでしょう。貴方は素晴らしい判断をしました。この決断に誇りを持ってください!」といって、私が産んだ子と共に私の元を去って行った。

 

 あれから12年。世界を激震させる大きなニュースが流れた。それは、世界初の完全無人の家庭環境"ゆりかご"で育った米多メタ・ファースト・一恵カズエが、同施設が設置された地域である"ミライト市"にある日本屈指の難関中高一貫校"ミライト学園"の一般入試を首位で勝ち抜き、入学が決定したというものだ。

これにより、イライザシステムによる教育の成果が初めて世に証明され、世界を驚かせた。

 あの当時はほとんど誰も申し込まなかった国営匿名保育施設"ゆりかご"の申込件数も急激に増加、また、イライザシステムの一部テクノロジーを有償で外部に解放したことで、税金のみならず、イライザシステムによる収益も運営予算に加わり、施設の拡充なども行われた。

 最先端で、最高の環境で子供が育つことを望む人は世界中に山ほど居るので、それを目的に日本に移住する夫婦も増加した。また、日本国外でもイライザシステムに対抗する様々なシステムが開発されていき、完全自動育児システムの競争は世界中で激化していった。しかし、世界で初めてその成果を証明したイライザシステムは、多くの居住者を獲得し、それ相応に収集されるデータサンプルも多いので、他の追随を許さないほどのクオリティを維持し続けていて、世界一の座を譲ることはない。

 ある日、日本国防衛軍(旧自衛隊。憲法や条約を改正し自衛隊を軍であると明記し、軍備を大幅に拡充した際に改名した。)はお天気カメラが未確認の飛翔体の出現を観測したという報告が入り、創立以来最大となる出番がやってきた。国防軍は軍独自で判断し行動することはなく、国防省の指示に従って動く。現在国防軍に与えられている指示は主に二つ。一つ目は着弾予想地点と着弾予想時間の算出。二つ目は算出した地点の発表と、全国各地の小隊に迎撃態勢による待機と、算出完了時にはその地点の最寄りに基地を構える小隊よる迎撃を開始する事である。

 一恵がいつも通りに眠りから目を覚まし、学校へ向かう支度をしていると、毎朝聴いているネットラジオのニュース番組でとても不可解な物が報じられた。「速報です。先ほど、日本の領空域にて、急速に降下する正体不明の飛翔体が確認されました。詳しい着弾予想地域などの情報は、現在算出中で後ほど発表されますので、最新の情報を常に確認してください。発表された着弾予想地域にお住まい・お勤めの皆さんは、速やかに避難してください。」

 私は手元の端末で学校のポータルサイトを表示させ、今日の授業が休みになっていないかを確認した。今のところはポータルサイトのお知らせ欄に特に変化はなかったので、私は遅刻しないように何時もよりも少し少し時間に余裕を持って家を出た。といっても、私は今まで一度も遅刻したことがない。

 家を出てしばらくすると突然手元の端末が大きく振動したので、私は学校からの緊急連絡だと思い、掌が顔に向くように手首をひねり、腕を少し上げ、手首から腕に沿って出現する縦長の仮想ディスプレイに目を通した。そこにはこう書かれていた。"【速報】現在日本上空を急速に降下している未確認飛翔体について、韓国軍の報告によると、現在北朝鮮が開発中であると公言している新型兵器ではありません。着弾予想地域は現在算出中、続報をお待ちください。"着信ではなく朝ニュースで報じられていた未確認飛翔体の続報だった。北朝鮮による攻撃でないことを知り、ほんの少しだけ安心した私は、止めていた足を再び動かし、学校へと向かった。

 一方その頃、国防軍では指示を受けた計算課が動き始めようとしていた。子育てや家事などのことが自動化されるほどに高度に発展した人工知能と、ロボティクス技術がある時代なのだが、着弾予想値点の算出は、計算課と呼ばれる部課の人間によって、コンピュータを使って算出していた。ここはなぜか自動化されていないのである。どうやら、雇用を守ると共に、不確実性への対策として、様々なシーンに柔軟に対応できるようにするためだという。

 計算課の課長からの強い口調の命令と共に、部下達は円卓に集まって現象と、観測された数値を確認、その後、計算すべき数式とその計算をコンピュータに指示するコードの記載をを複数の人間で分担する会議を始めた。この流れは訓練通りで、非常にスムーズだった。 国防軍に指示が入ってから計算が終わるまでの間はわずか三分程度だった。

 算出された着弾予想時刻は算出完了から約15分で、予想値点はミライト市の東中央区である。これを課長が国防軍のトップに報告すると、すぐさまミライト市内に基地を持つ国防軍ミライト基地に迎撃開始の指示が出た。

 一恵が歩き始めてからしばらく経過したときに手元の端末が今度は振動だけでなく、巨大な警報音を出してきた。私は慌てて仮想ディスプレイに目を通した。"未確認飛翔体の着弾予想値点の算出が完了。着弾予想地点はミライト市中央区。このメッセージが端末に届いている方は速やかに避難し、命を守る行動をしてください。現在、国防軍の小隊が未確認飛翔体の迎撃を開始しています。"私はどうして良いか分からなかった。避難するべきであることは分かっていたが、私が今居る位置から一番近い避難先は私が今まさに向かっている学校なのだ。避難先にたどり着くことが出来れば、安全が保証されるであろう。しかし、その道中に危険が迫っている。ここ以外の避難先はとても距離があり、到着までに時間がかかる。遠いが道中のリスクが少ない別の避難先に避難するか、道中のリスクがあるがもうすぐ到着する学校へ避難すべくか。彼女は再び立ち止まって考えた末に、学校へ避難することを決めて再び走り出した。彼女の足は速い。イライザに教わった走り方と、恵まれた身体のおかげだ。小学時代には四年生の時に百メートル走女子校内最速記録を樹立したこともある。多分あの記録は未だに超されていないだろう。

 一方、指示を受け取った国防軍ミライト基地の小隊メンバーはまだ一度もやったことのない迎撃に緊張と不安が隠せなかった。最近入ったばかりの新米隊員のミカサは私語厳禁であるにもかかわらず弱音をはかずには居られなかった。「こんな前例のないことをいきなり任されても…失敗して着弾した場合ここの責任にされるんだろうな…」

 「おい!成功させる気で望まないと、成功するものも成功しなくなるぞ!弱音をはくな!」小隊長のエイジは彼女を慰めるように強くこう言った。

 そして来たるときは来た。迎撃ミサイルの発射ボタンを、指示されたとおりの時刻に押し、迎撃ミサイルを目標へ向かわせた。隊員一同は成功を祈りながら、空をただひたすらに見つめていた。

 しばらくすると、急降下していた飛翔体と迎撃ミサイルが衝突し、まばゆい光が空を包んだ。光が収まると、隊員の目には降下し続ける飛翔体の姿が映った。一時的に空はまばゆい光に包まれたので、確かに迎撃ミサイルは命中したのだろう。しかし、飛翔体は進路を変えることなく地上へ向かって降下し続けているのだ。

 

 「これは…失敗したのでしょうか…」彼女はうなだれてこう言った後、先ほどの発言を謝罪した。

 

 しかし、小隊のメンバー達は彼女を責め立てることはなく、次の指示を待っていた。その頃、隊長は迎撃ミサイルは命中したものの、飛翔体は軌道を変えることなく降下していることを本部に報告した。

 本部は緊張に包まれていた。しかし、計算課はこの報告に安心した。なぜなら迎撃ミサイルは命中したからである。国防軍本部長は国防省にこの報告を入れると、こんなこともあろうかとすでにプランを考えていたのか、その報告の電話を切ることなくそのまま次の指示が返された。"先ほど迎撃を担当した小隊を、着弾予想地点へ向かわせ、着弾予想地点から再度迎撃せよ"

 本部から国防軍ミライト基地の元にこの指示を伝える通話が着信した。小隊長エイジは受話器を手に取り、その指示を聞くと、本部に対してこう返した。「この指示はあまりにも危険が大きすぎます。一度迎撃ミサイルを受け付けなかった飛翔体ですよ。着弾予想地点からミサイルを撃ち込んでも効くはずがないです!我々に無駄死にしろとでも言うのですか?」

 「うるさいぞエイジ小隊長!国防省の決定だ。」

 「私はその決定に対して反対しているんです!あまりにも成功する可能性が低すぎます。それだけではありません、失敗する可能性が高い上に、リスクが高い過ぎるんです!成功がほとんどの確率で約束されるのであれば隊員全員を失うリスクを冒すことが出来るかもしれませんが、これは成功する可能性の方が遙かに低いんですよ!そのために隊員全員の命をかけろと言うんですか?無駄死にを命令するのですか?私には到底その判断が理解できません!」エイジ小隊長は返事を待たずにこの通話を一方的に切断した。

 隊員達が心配そうに彼を見つめると、しばらく沈黙が走った。新米隊員のミカサが勇気を振り絞ってその沈黙を破り、隊長に質問した「あの、それで、次の指示はなんですか?」隊長はしばらく黙り込んだ後、口を開いた「待機だ。」

 一恵は学校へ向かって走り続けていた。すると突然、一人の少年が悲鳴を上げて最寄りの避難先であるはずの学校とは逆向きの方向に必死に走っていった。まるで何かにおびえて逃げるかのように…その数秒後、大勢の人がその少年と同じ向きに悲鳴を上げながら押し寄せてきた。私は人並みに飲まれ、通学どころではなかった。しかし、私は最寄りの避難先に避難することが最も確実に安全であると考え、何とか踏ん張り、人並みに逆らって避難先である学校へと向かって走り出した。

 ミライト基地に再び本部からの電話が鳴り響いた。小隊長はそれをしばらく無視していたが、新米隊員のミカサが受話器を取り上げ電話に出た。

 

 「こちらミライト基地小隊隊員のミカサです。要件をどうぞ。」

 

 「こちら本部長タクミ。まず一つ、なぜ二回目の迎撃の結果と、隊員の生存について連絡しなかったかを問いたい。それからもう一つ、着弾地点付近に巨大怪物体の出現が確認された。生存している隊員は直ちに基地に戻り、武装してこの巨大怪物体を討伐することを命じる。」

 

 ミカサはあの命令が待機命令でないことを知り、困惑した。電話を保留にした後、隊長に問を投げかけた。「なぜあのとき、本部からの命令に逆らったのですか?貴方は私たちに待機を命じましたが、実際に本部から入った命令はは待機命令ではなく、着弾予想値天からの再迎撃だったそうじゃないですか!貴方のせいでこの小隊の信用は地の底に落ちたかもしれません。少なくともこの一連のことが終わった後、貴方は解雇されると思います。この電話は今保留になっています。貴方が受話器を取り、直々に本部に必要な報告をしてください。」

 

 エイジ小隊長は少し早口で「君たちは私のこの判断に感謝するべきだ。もしも私がこの命令に素直に従っていたのなら、迎撃に当たった隊員はもれなく死ぬ可能性が限りなく高かったのだからな。」と、自分の犯した命令放棄の正当性を隊員達に訴えた後、受話器を手に取り保留されていた電話を再開した。

 「こちらミライト基地小隊長エイジ。私はあなたたちの判断は正当な判断ではないものとし、あの命令を放棄しました。よって今我々は全員基地で待機しております。そのため、隊員は全員無事です。次の命令をどうぞ。」

 本部長はあきれた様子で次の命令を下した。「この命令は絶対に放棄してはならない。君たちには着弾地点に出現が確認された巨大怪物体の討伐を命じる。直ちに武装し、今から端末に送信する目標値点へ向かいたまえ。」

 エイジは驚きのあまりに何時ものハキハキとした威勢のある物言いではなく、おぼつかない口調で疑問をぶつけた。「き…巨大怪物体?何ですかそれは?」

 本部長はその問に「読んで字の如く、巨大な怪物だ。」と冷静に答えた。そして、それに続けてこの命令を放棄しないようにイスコ指圧を加えた「あの命令を放棄したことにより、君たちは命を失うこともなければ、再び基地に戻って武装する必要も無く巨大怪物体の討伐へ向かうことが出来る。そう考えれば君の判断は正しかったのかもしれないな。ただし、次同じような罪を犯したらどうなるか、わかってるのかな?」

 小隊長はいつも通りの威勢の良い声でハッキリと答えた「はい、分かっております。それでは、我々は巨大怪物体の討伐へ向かいます。」そして受話器を置き、小隊長は隊員達に命じた「これから

着弾地点に出現した道の巨大怪物体の討伐へ向かう。直ちに武装し、武装が完了し次第端末へ送られた目標値点へ出撃せよ。」

 人波を抜けると、私の瞳は見たことのないほどの巨大郵便ポストに手足が生えた謎の生物を映した。

 私はその巨大な生物を前に恐怖のあまりからだが動かなくなり、何もすることができなかった。

 しばらくすると空から小さな生物がものすごい勢いで降下し、彼女の頭にぶつかった。彼女はその衝撃で尻餅をつき、驚きの声を上げた。

 空から降ってきた小さな生物は彼女に疑問を投げかけた「なぜ君は逃げないんだい?」彼女はすぐに答えた「えっ、私はただ避難先へ向かう途中だった。でも、日本上空を急速に降下している飛翔体はこの地域に着弾する可能性が高いから避難しろとアラートが届いたけど、避難先は私が今まさに向かっている学校なの。私は冷静に考えた結果、人々と一緒に学校の反対側へ逃げるよりも、最寄りの避難先である学校に向かうことが最善の策だと考えて、人並みに逆らったらこうなっていたって訳なの。」その生物はその言葉を聞くと、目を見開きながら嬉しそうにこういった。

 「君だ!君でいいんだ!よかった〜見つかった!君にいいことを教えてあげよう。この怪物による被害を終わらせる方法だ。とりあえず今は安全な所へ避難しよう。奴の目に入らないところへ。話はそれからだ!」

 彼女は彼が何者何か聞きたかったが、それを一旦我慢して、自分の命を優先し、彼の言うとおりに人波が逃げて行った方向へ走った。そして、二つ目の角を曲がると、そこにある公園の小さな山に彫られているトンネルへ身を隠し、手首を返して掌が顔に向くような向きへ変えると、その手首からは腕を添うように縦長の半透明の仮想画面が現れ、彼女はその仮想画面に指を触れるように操作した。そして届いているニュース通知をに目を通した。彼女の隣で浮いている小さな生物は彼女がそれを終えたことを確認すると、彼女に話した「さぁ、話を戻そう。この道を使えるようにし、被害を終わらせる方法をを教える。今から僕は君に魔法の力を授ける。君たちの科学を超越した君たちの想像の世界のような力を与えよう。君はその力を使ってあの巨大怪物体を倒すことができる。大丈夫、あれだけの人波に逆らう意思決定力があるんだ。今から与えるこの力を使ってあの怪物を倒すことなんて、君には造作もないだろう。今から君には、この地域では有名な『プリキュア』ってやつになってほしい。いいかな?まぁ、質問するまでもないな。もう後戻りはできない、この状況で君ができることは、ただそれだけだからだ。さぁ、これを耳につけて!」その生物は彼女の手に耳掛け式の片耳ヘッドセットのようなデバイスを押しつけた。

 

 彼女はそれを握り「もう、後戻りはできないのね、やるしかないんでしょ?私、死なないわよね…命の保証ができるなら、私はやるわ。まぁ、そうじゃなくてもやるしかないんだろうけど。」と言ってそれを耳に装着した。装着したのを確認すると彼は彼女に指示を出した「話が分かる人でよかった。安心して欲しい。君の生命は保証する。戦闘によって君の命が失われることはない。デバイスをつけたら、まずは『インポートプリキュア』と宣言し、プリキュアシステムをインポートすることを宣言する。するとそのデバイスから『セレクトプリキュア』という声が聞こえると思うから、そしたらそれに対して『キュア/(スラッシュ)』といって、起動するプリキュアにキュア/を指定する。最後に、拳を天に突き上げて『プリキュア、セットアップ!』と声を上げるんだ。すると、そのデバイスにインストールされているさっき指定したプリキュアが起動する。」

 「わかった。」彼女はすぐに返事をしたのち、ヘッドセットをタップし、説明され得た手順を踏み、拳を突き上げて声を上げた「プリキュア、セットアップ!」そう叫ぶと天から一筋の桃色の光が彼女の天に突き上げた拳に当たり、その光が彼女の全身を包み込んだ。そのまばゆい閃光が止むと、彼女の体は、ボリュームのある大きなスカートがついたまるでドレスのような桃色の光の衣装に包まれ、足下の靴は、少し高めの光のヒール靴に変化していた。彼女のショートボブスタイルの黒髪は白に近い灰色に変色し、毛先は真っ黒に染まっていた。その色と同じ色の細い髪の束が後頭部の左右に1本づつ中に浮かび、まるでツインテールのようになった。目も髪の毛と同色に瞳が変色。桃色の光の衣装がみるみる消えると、ヒールもスカートもない動きやすそうな長袖のランニングウェアとランニング用ボトムスが一体となったような恰好へ変わり、それらは白と黒と灰の三色で彩られたシンプルで洗練されたような見た目のものだった。両肩と両足の付け根に一つずつ透明な平行四辺形の板が現れた。

 それを見た彼は彼女に伝えた「君の名はこの姿の間はキュア/(スラッシュ)だ!決して本名を出すなよ。君の本名は僕も知らないし、何しろ、キュア/が君であることを知られたら、それこそ君の命が危ないし、社会的にも立たされる可能性がある。僕は君の身元をばらさないように、君の個人情報は僕自身からは追跡しないから安心して。とにかく、キュア/が君であることが誰にも知られないように。いいね!君は今、君の世界の科学を超越した力を持っている。一応少しだけ君の世界について予習したから知っているけど、君たちの世界では君たちの化学を超越し、君たちの化学で証明できない力を魔法と呼ぶみたいだね。今の君はまさに、その力の使い手だ。この星のどんな科学も今君が持つ力にはかなわない。そのことを忘れないように。わかったな、キュア/!君は子の力を手にした今から、追われるに身なるだろう。」キュア/はそれに威勢良く返事をした。「了解。とりあえず今はあの敵を倒せば良いのね、そして事が済んだらこのことがなかったかのように振る舞えば良いのね。分かったわ、走りなら任せといて!私、早いから!」そして少し足に力を込めて、地面を蹴り出した。

 すると両肩と両足の付け根についた透明な薄いガラス板のような平行四辺形の板と衣装の灰色に彩られた部分は桃色に変色し、桃色の平行四辺形の板からは後ろ向きに膨大なエネルギーが放出され、彼女はその反作用で人類が未だかつて見たこともないような圧倒的な加速を披露した。彼女の周りに存在する地面に固定されていない物体はほとんど、走り出した彼女の周囲に生じた衝撃波で吹き飛んだ。彼女は自分の移動速度の速さに驚くあまり、足を止めてしまった。すると今度は平行四辺形が少し前方に移動し、彼女の前方に力を放出したことで、これだけのスピードで移動しておきながら、彼女は何事もなかったかのように一瞬で止まった。制動距離はなかった。その平行四辺形がパワーの出力をやめると、桃色に染まっていた部分はもれなく元の色に戻り、力を出していた平行四辺形の板は透明に、衣装の桃色に染まった部分は灰色に色を変えた。

 そう、この平行四辺形の板は彼女の意志に合わせて、彼女の行動をサポートするかのように賢く動くので、特に使い方や役割の説明を受けなくても、全然扱うことができたのだ。彼女はもはやこの平行四辺形の板の存在を意識しなくていいのである。

 もう一度加速し、移動したのち、巨大怪物体の前に立ち止まった彼女は焦りながら早口で彼に問いを投げかけた「武器はどこ?やつを倒すにはどうしたらいい?」彼はすぐに返事をした「その後頭部の左右に浮いている長い髪の毛のようなものが武器だ。手前にそれを持っていくと、武器に変形する。右は/(スラッシュ)ヘアソードという剣に、左は/(スラッシュ)ヘアライフルという銃になる!これら二つをまとめて"ヘアウェポン"と呼んでいる。状況によって使い分けてくれ。やつを一刀両断に切断するか、やつの耐久度を超えるダメージを与えれば、奴は光の粒子となって周囲に砕け散り消滅する。」「わかった!」彼女はそう言うと、後頭部右側の浮いている長いピンクの髪をつかみ、手前に持って行った。するとすぐさまその髪は硬直し、剣へと姿を変えた。「すごい…ほんとだ…一体どうなってるの?」そういった後、彼女はその剣を巨大怪物体に向けて振りかざした。すると彼女は特に力を入れたつもりはないが、その巨大怪物体の腕はスパッと切れた。「何よの切れ味…これは本当に何?あの巨大で超太い腕を、特に力も入れずに切り落とすなんて…」彼女はその力を不思議に思いながら、大きく飛び上がり、巨大怪物体の顔のついた四角い体に近づくと、その剣を首に振りかざし、巨大怪物体を縦に切断した。するとその巨体は細かな光の粒子の集合体となり、最終的には周囲に散って姿を消した。彼女は人目のつかないところへ走って移動した後に変身を解除すると、すぐに耳からデバイスを外し、彼にそれを返そうとした。

 しかし彼は「その力は君のものだ。君が一度装着し、プリキュアを起動した時点で、君の生体データをもとに、適切なパワー出力やスーツがセットアップされた。それは君が持っていてくれ。今回はありがとう!また巨大怪物体が現れたら知らせるよ。その時は、またよろしく!」そう言って私の返事を待つことなくその場を去っていった。事を終えた彼女は再び学校へと向かった。

 

 学校に着いた彼女は校門に普段貼られていない張り紙を見つけたので、それに目を通した。

 

 "未確認飛翔体着弾予想地域緊急避難先"

 

 私は学校が災害時の避難先であることを改めて確認した後、学校の中へと入った。校庭には巨大怪物体の出現前に避難したであろう市民が避難していて、授業どころではなさそうだった。当然、今日は臨時休校である。

 一方その頃、巨大怪物体の出現報告があった地点に日本国防衛軍ミライト基地小隊が到着した。

 隊員の一人が隊長に問をぶつけた「隊長、出現報告地点はここで合っているのでしょうか?」「確かにここであっているみたいだ。衛星による位置情報に誤りが無ければな。」彼らが困惑しているうちに、本部から電話がかかってきた。

 エイジはすぐさまそれに出た。「はい、こちら国防軍ミライト基地小隊長エイジです。」その後一瞬の間を置くことなくすぐに「出現報告地点の現状について報告をお願いします。」と本部の人は少し強い口調で彼に現状の報告を迫った。彼はありのままに答えた。「巨大怪物体の姿は…確認できません!町の被害の様子もです!住民は皆、避難しているので、人の姿はありません。町には一切の被害もなく、壊れた建物も、巨大怪物体の姿もありません。」電話で話していた本部の人間はそれを聞くとすぐ受話器を机に置き、大声で言った。「現場からの報告によると、巨大怪物体の出現報告地点では、巨大怪物体の姿が確認できなかったようだ。それだけでない。どうやら、町には何の被害もなかったらしい。」本部の人たちが慌ただしく動く音が電話越しに聞こえてきた。どうやら本部は相当混乱しているようだ。先ほど電話をしていた本部の人が電話の席に戻り、私に「報告ありがとう。今、付近の監視カメラの映像の提供を防犯カメラを設置したセキュリティ会社に依頼した。こちらは原因の究明に努める。」と言って電話を切った。

 数分後、本部の役員の一人が自席に座ったまま大声で「本部長!セキュリティ会社に問い合わせたところ、映像の提供が許可されました!」とセキュリティ会社への問い合わせの結果を話した。

 「うむ。それでは映像が届くのを今はおとなしく待とう。一同、待機!」本部長がそう言うと、慌ただしかった本部が静まりかえり、皆自席について手元の端末でニュースを見るなりしてそれぞれの時間を過ごした。本部は緊張に包まれていた。

 「遅い!遅い!映像はいつになったら来るんだ!」本部長がそうつぶやきながら貧乏揺すりをしていた直後、本部長のデスクトップ画面にセキュリティ会社からの添付ファイル付きのメールの通知が来た。彼はすぐに通知をクリックし、添付ファイルを開いた。防犯カメラは飛翔体の着弾直後、着弾地点に設置されていたポストから手足が生え、巨大化する様子を映していた。「どうゆう事だ…」彼はこの映像が映し出している現象を受け入れるまでに少し時間を要した。「こんな事ありえない…」そう言った後、メタデータを確認した。しかしメタデータには編集の履歴などはなく撮影されたカメラの情報、日時、撮影地点だけが記されていた。「無編集だと…」と小声でつぶやいて尺を進めた。しかし、驚くのはまだ早かった。巨大化した手足が生えたポストの足下にヒト型の生物が画面外から突如として出現したのだ。長く伸びた細い髪の束から女性であると推測された。その少し後には浮遊する小さな生物が画面外から現れた。「彼女らは誰だ…」そのまま映像を見進めると、巨大怪物体が光の粒子になって消え、ヒト型の生物が地面に勢いよく着地する姿が確認できた。その後、破壊された建造物などはすべて光に包まれ、その光が消えた時には元の姿に戻っていた。驚きと沈黙に包まれた本部の中で本部長の独り言がひときわ目立った。「彼女らは一体…」




【次回のPrecure by Yuzuki】

 日本国防衛軍は彼女にキュアαというコードネームをつけ、本格的に正体の究明を始めることを公言。また、日本以外の国も彼女の正体の究明や、彼女の力を再現する技術の研究開発を国に上げて力を入れていくと公言し、かつてのロシアとアメリカの月面着陸レースのような激しい研究開発競争が幕を開ける。
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