忘れもしませぬ、あれは拙僧が「ゆーちゅーばー」なる職業をやっていた頃……   作:匿名

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やっちまった〜、見切り発車のよくないところが出ちゃった〜。
多分この時代、ユーチューブ一本でやってくのはまだ無理です!
だからちょっと設定を変えました。一話もちょっとだけ書き換えました。

まあ現状はユーチューバー兼胡散臭い霊媒師だとでも思っておけば大丈夫だと思います。


忘れもしませぬ、あれは拙僧が……あ! おやめなされ!

 

(ええ……何あの人……)

 

 会場にいた全員が思う。

 ド派手な色の和服を着た、2mのムキムキマッチョ陰陽師が入ってきたからだ。

 

(やっぱり入れたのは間違いだったか?)

 

 斎藤も思う。

 ド派手な色の和服を着た、2mのムキムキマッチョ陰陽師を入れてしまったからだ。

 

(曲が終わったタイミングだったのは良かったけど……なんとか持ち直さないと)

 

 アイも思う。

 最強無敵のアイドルとはいえ、これにはビックリ仰天、狂瀾怒濤・悪霊左府*1……はしていないがテンポは若干崩れていた。

 

 しかしそこは流石のアイ。即座にパフォーマンスへの集中を取り戻す。

 

「よくはわかりませぬが、若干()()()()()()が崩れていたご様子……しかしすぐに調子を取り戻すとは。やはり流石のアイ殿、と言った所でしょうか」

「どう見てもおまえのせいだろ。あとやはりってなんだ、やはりって。お前初見だろ」

「おや。()()()の顔を覚えておいでとは……拙僧、感服致しました」

「お前みたいなの忘れる方が難しいわ」

 

 そんなやり取りをする大男──蘆屋道満と斎藤壱護。

 斎藤は、道満が何かとんでもない事を仕出かさないか見張っているようだった。然もありなん。

 

()()()で見ると、目を見張るものがありますな……やはりここで失うには惜しいお方。拙僧が守って差し上げましょう。……ん? 道満の()()()崩壊……ま、そこはほら。拙僧、きれいなリンボで御座いますからな)

 

 そのためにも、まず何とかして近づかなくてはとライブを見ながら考える道満であった。

 

 

 

 

「ここで雇って欲しいだぁ?」

「ええ、ええ。やはりこれからは()()()()()()()の時代。拙僧の様に、YouTubeで活躍している者も抱えておくべきかと」

「つってもよぉ……ちょっと調べてみたけど、このプラットフォーム全然認知されてねぇじゃねぇか」

 

 中々強情ですねぇ……では方向性を変えるとしましょう。

 

「では事務員としてもどうでしょう? 拙僧、こう見えて机仕事の調進(ちょうじん)なども、あれこれ学んでおります故。タレント兼事務員として働けますぞ」

「調進て……いやてかな? そもそもあんたがめちゃくちゃ怪しいから嫌なのであって、能力値を疑ってお祈りしてるワケじゃねぇの」

「おや。信頼があれば良いと、そう申すワケですね」

「まあそこは最低限必──」

 

 ならば話は簡単。この登録者を見よ!

 

「──な、何っ! と、登録者5万人だと!*2 東京ドームのキャパと、ほとんど変わんねえじゃねぇか!」

「ええ、ええ。少なくともこれだけの人間が、拙僧の事を信用してくれているという事」

 

 それに──。

 

「それにこれだけの人数がいれば、それなりの宣伝効果も期待出来るのでは?」

「確かにな……わかった。事務員などの雑用もすると言うのであれば、ウチのタレントとして雇おう」*3

 

 フフフフ……拙僧にかかればこの程度の丸め込み──もとい説得など簡単な事。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よし、これで契約書も大丈夫だな」

「ええ、これからの苺ぷろの雑事は全て! この道満にお任せあれ!」

「全く……ん? そういやお前、さっき信用されてるって言ったよな? 信頼は大丈夫なんだよな?」

「ンフフフフフ……」

「大丈夫なんだよな!? 信頼するからな!? 本当に大丈夫なんだよな!?」

 

 万事、拙僧にお任せあれ!

 

 

 

 

 あの後、なんやかんやで()()()()()()兼、事務員兼、タレントとして雇われる事になった拙僧。

 本日は初顔合わせということで、苺プロにやってきておりますぞ。

 

「道満が参りましたぞ!!」

 

 やはり大きな声で挨拶をするのは大切ですからな。

 おや? あの方は。

 

「あ! あなたは、この前のライブに来ていた変な人!」

「変な人扱いとは……拙僧、悲しい」

 

 ……まあ良いでしょう。

 

「それにしてもファンの顔を覚えているとは感心、感心」

「あなたみたいな人、一回見たら忘れないよふつうー」

 

 そんなやり取りをしていると、練習スタジオに入ってくるお方が。

 どうやら斎藤社長の様で御座います。

 

「おい、今日は紹介しときたい奴が……ってもう来てんのか」

「あ、佐藤社長だ」

「斎藤だ」

 

 このやり取りも様式美ですな。

 

「まあいい。今日からコイツを雑用係として雇う事になった。まあお前も知ってるとは思うが、コイツはアイ。ウチの主力だ」

 

 そう言って、アイ殿を指差す斎藤殿。

 

「B小町のアイです。よろしくね」

「よろしくお願い致します」

「よし。じゃあ道満、お前も挨拶しろ」

 

 おや。今度は拙僧の番ですな。

 

「ただいま御紹介に預かりました……拙僧、蘆屋道満と申すもの。気軽に道満とでもお呼びください。以後お見知りおきを」

「どーまん……すごい変わった名前だね」

「ええ、ええ。大変覚えやすく、良い名でしょう?」

「確かにインパクトはすごい……」

 

 人の名前を覚えるのが苦手なアイ殿とはいえ、きっとこれならば問題ないでしょう!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん? この子たちは……社長夫妻の子供、なるほどなるほど……」

 

 その後二人の双子を連れて入ってきたミヤコ殿。

 どうやら拙僧に対しては、まず隠す事にした様で御座いますな。

 

「それは確かに隠しておいた方が、良いかもしれませぬなぁ」

「いや本当に俺たちの子供だからな! なんも怪しいトコはねぇぞ!?」

「おや? 拙僧はどこかの社長の子供、というだけで誘拐されてしまう恐れを考慮したまでの事……何をそんなに焦っているので?」

「はっ! い、いやそれはだな……」

 

 これは少々、意地悪でしたかな? 

 

 ……ま、しばらくはその話に乗っておいて差し上げましょう。

 

「まあそういう事にしておきましょう。安心召されよ。拙僧、こう見えて口は堅い方ですからな」

「……信用するからな」

「ンフフフフフ……」

「だからその胡散臭い笑い方をやめろぉ!」

 

 拙僧にお任せ……あ! ルビー殿! おやめなされ! 拙僧の髪を引っ張るのはおやめなされ!!

*1
蘆屋道満の宝具(必殺技みたいなもん)。使うとなんやかんやで都市が滅ぶ。

*2
ちなみに2012年のヒカ○ンさんの登録者数が10万人らしい。作中だとおそらくこの時2009年とか。

*3
多分それだまされてますよ




何で信用しちゃったんだよ
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