TS少女は平安時代に失恋していた 作:トートロジー
オリ主は強いですが五条悟には絶対に勝てません
なんならパパ黒にも負けるかも
時系列は星漿体護衛の前です
「やぁやぁやぁ五条悟、少しばかり話をしようじゃないか」
呪術高専に存在する空き教室、そこで漫画を読んでいた五条悟の前に現れたのは、真紅の髪の少女だった。
見ただけで傲慢だろうとわかる佇まい、感じた事のない呪力、そして何より六眼によって見透かされた少女の真実の一端。
オマエは誰だ、どうしてここに、呪詛師なのか、そんな些細な疑問よりも先に五条悟の口からその言葉は言い放たれた。
「オマエ、人間じゃねぇだろ」
「……何言ってんだ、どっからどう見ても赤毛の美少女だろ俺は。正真正銘ただの人間、術師さ」
ピクリと少女の眉が動き、動揺が表情に現れた。
だが彼の眼は誤魔化せない、六眼は確かに少女が人間でないという事実を見抜いていた。
「巧妙に隠してんだろうけど、俺の眼の前じゃ意味ないんだよね。残念」
「マジかよ、一目で見抜かれたのなんて千年振りだぜ」
煽るように言葉を発する五条悟に悔しがりながら、少女は隣の椅子に腰掛ける。
五条悟は少女がヒトではないと気づいた、だが辿り着いたのはそこまで、少女の正体までは掴めなかった。
呪霊、術師、非術師、式神、今まで五条悟が出会った者達とは何もかもが違う。
しかしそんな未知を前にしても五条悟は普段通り、無下限の術式と六眼を持つ故の余裕。
「つーかオマエ誰だよ。自称千年生きてる厨二病か?」
俺という一人称、千年振りだという発言、馴れ馴れしさ、その辺りから彼は少女を思春期特有の病にかかっているのだと推測した。
若干憐れに思いつつも、同時にもう一つ
五条家にいた頃世話役に教えられた、歴史の生き証人とも言われる術師の存在。
その術師は真紅の髪の少女の姿をしていると、歴史書に記されている。
術師の世界ではありえないなどといった先入観は禁物、ここ60年の間高専に姿を現していない平安の魔物が目の前にいる可能性すら完全に否定してはならない。
それを五条悟は理解していた。
「あぁ、自己紹介がまだだったな。俺はフィル、多分アンタが考えている通りの存在だ」
「最優の術師が人外だとか、総監部のジジイ共が聞いたら失神するんじゃねぇの?」
最優の術師、フィル。
その術師は平安時代から現代に至るまで生きているとされ、多くの人間を救ってきた術師の模範とも言われる人間である、五条悟はそう教えられていた。
平安後期に彼女が説いた『呪術逃亡精神論』は多くの術師に好まれており、天元と協力し浄界を構築したとも言われている。
実際総監部の術師には、若い頃フィルに救われた者も少なくはない。
生ける伝説、不死身の少女、最優の術師、彼女を称するあだ名は多い。
余談だが、五条悟は世話役からこのことを聞いた時『なんで平安の人間がそんな名前なんだよ』と突っ込んだらしい。
「かもな、ということで内緒で頼む。飴ちゃんあげるから」
「要るかよそんなん。別に俺はわざわざ告げ口しねぇから安心しとけ」
「そりゃよかった」
包み紙に包まれた飴を渡してくるフィル手を振り払いながら。五条悟は悩んでいた。
あまりにフランク過ぎるだろこの術師は、という悩みである。
仮にも千年生きているのならもう少し風格は身につかないのか、そもそも平安時代の威厳あふれるエピソードはなんだったのか、世話係から散々フィル伝説を聞いていた彼は意気消沈していた。
サンタさんの正体を知った時以来の感情である。
「で、結局俺に何の用?」
「用?そうだなぁ、噂の六眼使いを見てみたかったのもあるし……まぁ、とりあえず試すか」
うーんと唸る少女、何処からどう見ても千年を生きる術師には思えない。
だがどうしても『目の前の少女がフィルを語る偽物』とは思えなかった。
多すぎる少女の呪力量、騙す意味が見当たらない事、そして最後に彼の勘。
これらの事実が少女が最優の術師であるフィルでだと示していた、彼の勘はよく当たるらしい。
「……60年も姿を消してたオマエがなんで今頃俺の前に────」
彼の言葉が最後まで告げられることはなかった。
「領域展開」
フィルの領域の必中効果は、ありとあらゆる付与対象の生命体に害を及ぼさないため、押し合いに強く展開も早い。
そして、五条悟の脳内に領域のルールが開示される。
「不死身束縛彼岸舞踊」
字数少なめ
糸はフランス語でフィルと呼ばれるらしいです
生まれ変わったオリ主が自分に糸の名をつけた理由はまたいつか