ポップコーン☆バトル   作:小町四季

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7話【不安の種】

「能力の決まり方だよな」

「はいっ!私もどうせ取るんだったら…可愛い力とかがいいなぁ…なんて…♪」

「あ〜…。悪いけど…決められたりする訳じゃ…ないんだよ」

 えぇっ!?と驚きの表情でこちらを見る彼女に苦笑いを返し、僕は続けた。

 

「まず…覚醒薬はね…2つの力を使った人、飲んだ人に渡してくれるんだ。1つは誰が飲んでも普遍的に付くものなんだ。それがこの…ほら、僕の傷、もう治ってるだろ?これは覚醒薬の影響で得た回復力のお陰なんだ…」

 ふんふん!と頷きながら聞く流水さん。

 前のめりになり、一切の情報を逃さないようにしてることが分かる。

「回復力…じゃあ!多少…危ないことしても死ななくなるってことですか!?凄いじゃないですかっ!!!」

「まぁ…そう…思うよな?」

「え…?」

「確かに、上手く使えばとても有用で、助かる力だが、当然それに奢っていると痛い目を見る。死ななくなった…と言うよりも死ねなくなったと捉えておいたほうが自分の為だぞ?」

 そう。死ねない。

 簡単には死なせてくれないんだ。

 例えば普通ならば、首をナイフでかっきれば、出血多量により、数分程度で命が燃え尽きるだろう。

 しかし、この回復力を持った者はそうは行かない。

 短くても30分は死と生の間を彷徨うだろう。

 感覚もそのままで、ゆったりとゆったりと迫る死に絶望しながら。動くことのできぬ体の中で叫びながら死ぬ。

 …酷いものだ。

 考えたくもない。

 

「そして、もう一つが覚醒能力(アビリティ)。一般的に能力と言われるとこっちだな。僕で言う所の『ポップコーン』がこれに当たる」

「知ってます!知ってます!ほんとに凄いと思いますよ!どういう理屈でトウモロコシの種を生み出したり、爆発させたりできるんですか?めっちゃ!気になるんですけど…!」

「うぅ〜んと…感覚…と言うのが1番近い気がする。出ろっ!と思えばそこにトウモロコシの種が出て、爆発しろ!と思ったら爆発する。僕の能力はそういうものだ。まぁ…ここまで使えるようにするのも中々に苦労したんだが…」

「えっ!?初めからポンポン吹き飛ばせたわけじゃないんですか?」

「…それも残念ながらw」

 余程、意外だったのだろう。口をあんぐりと開け、固まってしまった。

何というか…凄く間抜け顔だ。

 

「僕の能力は…最初はトウモロコシの種を出すのもやっとだったよ。大体トウモロコシの種を出した所でどうしろって話なんだけども。分かるかい?迫りくる脅威に黄色く、小さく、軽い粒を投げつけるしかできない恐怖と言ったらもう…ふw…ふふふw」

 誇張など無い一切の事実。

 初めはこんな能力!とどれほど絶望したことか。

 思い出すだけで…どうしようもなくて笑えてくる。

「最初の能力の熟練度も色々と個人差があるみたいだけどな…」

「なんか…思ったよりもって感じですね」

「そりゃ甘い話なんてないよ。チート無双なんて夢のまた夢だよ、ほんと…」

「なら!いっそう!早く手に入れなきゃですね!覚醒薬!そして早く体に力を慣らさせないとっ!うぉ〜!がんばりますぅ!」

 つくづく驚かされる。

 強い人だ。

 とても真っ直ぐでキレイで懐かしい。

 

 ………。

 

 昔の記憶に浸っている暇はないな…。

 行くか。

「光の柱の位置的にはこの扉の先の部屋だよな?」

「それっぽいです!」

「良し…行くか」

 二人で吹き飛ばされた扉があった位置を越える。

 

 …迂闊だった。

 光の柱が立っているんだ…。

 例え、前例とは異なり殺し合いはないとしても、留意するべきだった。いつ攻撃されるかはわからないことを。

 僕の腹の右に深く刺さるそれ。

 傾く体。近づく地面。

 僕の右腹には3本のナイフが刺さっている。

 …扉の先に人がいるとは思わなかった。

 先に入って待ち構えていたのか?殺し合いが禁じられたこの予選で?考えにくい。だとしたら…たまたまかち合った?

 いや、そんなことはどうでもよくてっ!

 流水さんを遠ざけなくては!

 地面に叩きつけられた体を強引に捻り、流水さんを見れば、そこには存在してはならない光景が広がっていた。

 

             ※

 

 遠くから近づいてくる男と女の話し声。

 間違いない参加者だ。

 ん?男の方は聞き覚えがあるな。

 あぁ…ポップコーンの奴だ。

 アイツは中々に勘が鋭いんだよなぁ。しかも、能力も中々に厄介だ。逃げるか?

 いや…今回は新人という足手まといがいる。それをつかえば倒せるかもしれない。

 本戦でやりやすくする為だ…ここは、実行するべきだ。

 ポップコーン野郎を潰す。決めた。

「来たぞぉ、準備はいぃな?」

「本当にやるつもりか?」

 どうやら生意気にも、不満があるようだ。

 俺とお前どっちのほうが

「あ〜たりまえだ。勝ちたくないのか〜?」

「こんな卑怯な真似をするなら…負けた方が…ましだ!」

「おい…!うるせぇよ!人が来てんだ…!黙りやがれ…!」

「あぁ…?」

 ったくぅ…。話しの通じねぇ奴だ。

 なんでこんな奴のおもりをしなくちゃならねぇんだよ!

 ふざけるのも大概にしやがれ!くそ!

 

 ふぅ…。ふぅ…!!!ふぅ…!!ふぅ!!ふぅ…。ふぅ!

 

 バァン!

 

 扉が跳ね飛ばされた!?

 なんだ?気付かれたのか?

 煩くしすぎたか!?

 いや…まだ…まだだ…息を殺せ…。

 ………。

 …………?

 近づく気配が…ない?

 いや…それどころか…。

 話している?

 真剣な話ではない…。

 雑談のテンションだ。

 …気付かれてはいない…か?

 

「分かった…お前は何もしなくていい…その薬でも飲んどけ…それでいいだろ?なぁ?お前は力を得られればそれでいいだろ?」

 俺は手短に、静かに憎き相方を捨てた。

 

 こんな奴に助けを頼まずとも俺一人でどうにかなる…。今までそうしてきたんだ…。ふっ…むしろ楽だ。

 

 沈黙。

 

 静寂。

 

 息を殺す。

 

 呑気に覚醒薬について話してるらしい…。

 

 おっ…。そろそろか。

 

 近づく足音。

 

 確かに感じる2つの音。

 

 手前と奥の二人の人物。

 

 扉の位置からでは一瞥できない裏の出入り口付近まで移動しておく。男の顔が見える。

 迅速な、最も早い動きで懐のナイフホルダーから数本のナイフを取り出す。指と指の間に挟み、一度腕を引く。

 

 まだだ…。まだ打たない。

 もう一人。

 女が居るはずだ。

 そいつの姿も…見えたぁ!!!

 

 ナイフの刃が相手に向くように放つ。

 男と目が合う。

 然し、もう遅い。

 手から放たれた4本のナイフは3本が男の右腹に刺さる。

 そして、残りの1本が刺さったのが…。

 

 …くっw俺ってやつはぁ…wつくづく持ってんなぁ!!!

 

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