ポップコーン☆バトル   作:小町四季

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8話【寒気】

 私は馬鹿だったのかもしれない。

 何の力もなしに、兄に会いたいと、優しい兄を探そうと、こんなゲームに参加して、無様に終わる。

 この、喉に刺さった1つのナイフがそれを証明している。

 悲しいとか、怖いとか、そんな感情もわからない。

 ただ1つ言えることは、死が近づく寒気。

 それだけで。

 

            ※

 

「ひかるぅ!!!!!てめぇ…!何しやがったぁ!!!」

 

 冷徹な空気に熱を与えたのは他でもない光のバディ。華児である。響く、轟く雄叫びが光へと刺さる。

「はぁん?w動けなくしてやったんだよ…w見りゃ分かんだろ?」

「そんなこと!見れば分かる!何故そんな事をしたと言ってんだ!」

「あぁ〜のぉ〜なぁ〜…?このゲームは殺し合いでも殴り合いでも何でもありの、賢いやつが勝つゲームなの!たまたま今回は殺しがだめってだけ…。分かるかぁ?この戦い方が普通なんだよっ!」

 

 そう。幻実ゲイムとは一般的な法律とは解離した享楽のゲーム。至高であり、且つ最低のゲーム。

 

 そこは間違いない。

 

「だがっ!今回は殺しは禁止のはずだぞ!?光!!!」

「うるせぇ~なぁ!お前と違って!俺はハジメテじゃねの!!!…心配するなよぉ…死なしゃし…」

「そういうことを言ってんじゃねえ!!!」

 光の声をかき消して、このバックルームに響く叫び。

 

「はぁ…いいから…静かに待って…ッ!?」

 しつこい華児に迫る奇襲。

 視界の端にふと見える黄色の粒。

 ポップコーンだ。

 その奥に見えるのは………。

 

「………爆ぜろぉぉぉ!!!」

 

 ポォン!!!!!

 

 ………うざったらしい白飛のニヤケ顔だ。

 力強い爆発が、文字通り俺の目前で引き起こされる。

 当然、防御など間に合わない。

 吹き飛ばされる体。

 廃れたコンビニの壁をぶち破り、そのまま信号に背中を叩かれる。…まぁ…いい。

 生憎こちらも力に目覚めてんだ…。

 こんくらいの骨折は…すぐ治る。

 体を立ち上がらせれば…再び目前にあるトウモロコシ。

 不意じゃなければ…問題はねぇ!!!

 やってやろうじゃねぇか…!

「『コックローチ』ぃぃぃ!!!」

 

             ※

 

「良いんですかぁ〜?」

 随分と気だるそうにメズキは僕に問うてきた。

「良いと思うかい?」

「はぁ………。いかないと駄目っすか?」

「給料がほしいならね♪」

 僕と返答を聞くまでもなく彼女は入口付近に立て掛けられていた刀を手に取り、ドアを開く。

「いってきや〜〜〜す…」

「あら!頑張ってきてね!メズキ♡」

「うげ…夢に出そう…」

「…殺すわよ♡」

 「はいは〜い」と言いながら部屋を後にしたメズキ。いつもの光景だ。仲がいいというか…。悪いというか…。

 ま…。それはそうとして…。

「君は行かなくて良いのかい?ゴズキ?給料…無くなるよ?」

「え…ソレ…わたしもなの?」

「もちろん♪」

 僕がも…と言いかけたあたりで、刀と同じく入口付近に立てかけられた鉄根をもって駆け出した。

 「行ってくるから!給料減らしたら…めっ♡よ?」と僕に言葉を投げつけて。

 …正直、寒気がした。

 

           

 

 

 

 

 

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