NTR系エロゲ世界を乙女ゲー世界に変えたTS転生者 作:ダイコンハム・レンコーン
目標は、朝霧無移……ムイちゃん先生だ。加速能力に追いつけるポテンシャルがあり、俺もマトモに知らないシロ君の人となりも知っている。制圧か説得か、どちらも選ぶ事が出来るのは大きいはず。なんて目標を絞らないといけない理由は──
『……でもこの世界は僕の世界のそれとは違う。停滞の解除には制限が生まれるだろうね。だから、最大でも3人かな』
──これだ。
コトちゃんの異能力で生まれた可能性のクロ君、区別をつける為にパラレルクロ君──パラクロ君と呼ぶ事にするが、彼もこの空間を完全に克服しているという訳でもないらしい。と言うことを教えてくれた。実際に試して気付いたらしい。
そう言えば、彼の話には引っかかる所が色々とあったな。俺の様子が違うのはさて置いて、俺一人でクロ君をどうにかしたってのは、一体どんな手品を使ったんだ。素手じゃまず無理だろう。ムイちゃん先生をメタれる姉ならば可能性は大いにありそうだが。
まあ、これは後で考えれば良い事。今は別の事をしないとな。眠り姫がお目覚めだ。
「──アンタ、確か徒花班日って……と言うか、ここは」
今、俺の前で困惑に揺れる紫紺の瞳。
急いでパーカーのポケットに手をしまう
「たはは、混乱するのも無理ないよね〜。ま、ここは停滞した世界。夢でも幻でもファンタジーでもない不思議空間ってトコかなぁ?」
「……また、ふざけた事してんの? それに遠巻きに見てるあの男、アタシの異能力で呼び出した奴でしょ」
「それはごめんね。パンピー達も非常事態だったから、頼るしかなかったんだ」
ここからは俺の家から出ての行動になる。いくら何でもコトっちを持って移動するのは担当の負担が大きい上、またクロ君に狙われる可能性もある。かと言ってここに放置も不安要素がある。だから時間停止を解除させてもらった。因みにマドっちとパラクロ君には少し離れて頂いている。急に目の前に知らない人が現れたらびっくりするだろう。まあ俺も殆ど他人みたいなものなんだが。
「後、なんか身体がくすぐったいんだけど」
「時間停止中に起きた事は、解除の後に反映されるみたいなんだよねぇ」
と、手をワキワキさせてみるとコトちゃんは顔を赤らめて「へ、変態!」と叫ぶ。ダウナーな雰囲気の彼女がここまで表情を変えるのは
「ふふふ、変態じゃないよ〜、仮にそうだったとしても、変態と言う名の淑女だよ」
「訳わかんない、何、何なのアンタは」
でも、どの道受け入れてもらわないと話が進まない。もはや一方通行、帰る道無し、地獄まで付き合ってもらおうか。
「さぁ、パンピーとお友達になってよ。そして組もうよ貧乳同盟を!」
「アンタ喧嘩売りに来たの?」
無い乳を張って高らかにかました宣言はすげなくスルー。やだ放置プレイ? テクニシャンね。なんてニヨニヨしてたらコトちゃんの目が人殺しの目になりかけてたからここは素直にサレンダー。
真面目に行こうって? ここ最近はずっと真面目だ。ふざけてたら今生きてないでしょ。軽く9回は死んでるわ。猫ちゃんでも残機0になっちまう。
「……周りの人は、知らないんだけど」
「まあ、全部正直に話すと長くなっちゃう。だから今の状況だけ説明するよ? いい?」
「分かった分かった分かりました。どうせ話聞かないと進まないんでしょ?」
そう、何が何でも『はい』を押さないと進ませないNPCの様に。
「流石のゲーマー思考! プロゲーマー『Xx_koto-K・O_xX』は伊達じゃない、かな?」
「……ぶっ!? 何でそれを!」
「あ、そのリアクション前も見たやつだ〜!」
フレーバーテキスト程度なんだが、彼女にはプロゲーマー・配信者としての顔もある。チャンネルを
「パンピーと遊んでくれてありがとね⭐︎」
「……まさかアンタ、リスナー?」
肯首の代わりにウインク一つ。くるっと回って笑顔で俺は言う。可愛くあざとく。俺プロデュース、徒花班日ちゃんを宜しく、なんてね。
「ちゃちゃっと終わらせてさ、また遊ぼうよ、コトちゃん!」
偶然見つけてちょくちょくスナイプ歓迎配信やってるからお邪魔してるよ。もれなくコトちゃんが発狂するけど……俺って反射神経だけで戦ってるけど、戦略で上回ってくるのが堪らなく楽しいんだ。俺って前世はゲーマーだろ? 最期だってゲームしながらだったし。
「アンタ、本当に訳わかんない!」
「何も分からなかったんだけど。アナタは?」
「私も正直なところ分かってないです。ははは……」
「あ、そう言えば名前──」
「
「アタシの名前、ってアイツの仕業か」
原作では見ない組み合わせに少し感動を覚えつつ。俺達は作戦会議を行った。その最後に俺はパラクロ君に目配せをする。「2人の事は任せた」ってな風に。
「うん、必ず、君たちは守るよ」
「よろしくね、パラクロ君」
そんなやり取りの後、パラクロ君はくすりと笑う。
「なんだか、野球したくなる名前だね、それ」
「お〜分かっちゃう?」
「君がよくゲームで遊んでたからね」
「ふっ、どんなパンピーでも、パンピーな事に代わりはないからね!」
「……そうみたいだね」
──俺達は作戦のため、動き出した。
「って、
「勿論、パンピーと一緒に来てもらうよ。もう1人の
新たに1人を加えて。
時は少し遡る。作戦立案での事。
俺の作戦はこう。今は平日の夜、学校にはまだムイちゃん先生がいる筈、春先って忙しい季節だしね。で、俺も直接行って労いの言葉を掛けたかったけど、俺がそこに同行する事を選んだら、折角のパラクロ君の加速を活かせなくなる。俺がムイちゃん先生のテレポートの対象外になってしまう様に、幾ら自分だけに加速を掛けたとしても、加速させた身体で俺を動かすとなると俺の異能力の無効化対象になってしまう。
だからここはパラクロ君、マドっち、コトちゃんの三人に行ってもらう。勿論アッシーはパラクロ君だ。タクシー券はないが、快く了承してくれた彼には感謝しないとな。
で、ここに残る俺がする事。
それは一つ。囮役だ。クロ君が俺達の真意に気付かない様、足止めをする。そう言った時は
「……今さっきボロボロになったばかりなんですよ?」
「僕は賛同したくないよ。その作戦は」
「もう驚き疲れたけど、まさかアンタだけでこんな事起こしてる黒幕とやり合うつもり?」
こう言われたけど、時間的にはこっちの方が早い。クロ君とパラクロ君が戦っても勝つ保証はどこにも無いし、高速移動出来る異能力者同士の戦いに割り込める様な力は残りには無い。自分が狙われた時に限り、俺なら戦力になり得るか、くらいだ。
「勿論、パンピー1人の力じゃどうにもならないね。パンピーがもう1人居ればって思うけど」
「なら……いえまさか!?」
「──コトちゃん。パンピーの影に触れて欲しいんだ」
目を向けた先のコトちゃんは、冷めた目をしていた。そう、これはコトちゃんの地雷だ。ムイちゃんやシロ君の所属する組織、異能力犯罪対策課の課長の娘であるコトちゃんは、簡単に犯罪者すら呼び出し得るこの力を軽々しく使いたくはないという意識がある。だからパーカーのポケットに手を隠している。なら手袋を付ければ良い、と最初は俺も思っていたが、
……つまり、コトちゃんに異能力の話は厳禁である。しかし1つの作戦としてある以上提案するしかない。
「パンピーの影に触れられて誰かが現れるって事は、それは無能力者のパンピーか、その他の異能力を持ったパンピーだって事。そして今は時間が停滞した世界。時間停止に対応出来ない異能力なら呼び出した瞬間に動きが止まる。拘束も簡単だし、それなら送り返すのも簡単だよ。それに今ここには実質3人しか居なかった様に、時間停止に対抗出来る異能力を持つパンピーが現れる確率は相当に低い、でしょ?」
最も、大事な部分は繰り返し引き直す事を前提としたギャンブルでしかないのは認めざるを得ない。
「アンタも良い顔でアタシを利用する気?」
「やっぱり、嫌だった?」
「嫌に決まってるでしょ!」
そうか。これは何かトラウマでもあるのかも知れない。……仕方ない、使いたくはない手段だったが。
「じゃ、やめよっか⭐︎」
「は?」
辞めるしかないよな、うん。だって嫌がってんだもの。
「ごめん、パラクロ君。パンピーと一緒にクロ君と戦えるかな?」
「君の為なら、僕も頑張るよ」
「ありがとう、なら2人はムイちゃん先生を探して、こっちに持って来て貰えるかな」
「……は?」
「まだ、戦う気なんですか?」
これも1つの作戦でしかない、さっきは余裕が無かったけど、今は別の選択肢もある。無理にさせる事はない。無理矢理より、個人的には和姦派だ。
「やる気は十分だよ。どこまで着いていけるか、まだ分からないけど。何とかなるよ、きっと」
身体は少し痛むが、異能力者は大抵頑丈に出来ている。じゃなきゃ作中のハードプレイに耐えられないからな。全く都合の良い話だ。
「アンタ、ほんとっ、何なの!」
「言ったよ〜? 仲良くなろう、友達になろうって」
苛立ちを露わにしたコトちゃんは、俺を睨む。いきなりこんな状況に放り込まれてマトモな方が不思議なんだ。怒る事に納得はすれど理不尽は覚えない。
「──パンピーはさ。最近よく常識を疑われるんだぁ。でも、『
「アンタは……ああもう!」
彼女のパーカーのポケットがモゾモゾと動いている。まるで、出してはイケナイものを出そうとしているかの様な──。
「また変な事考えたでしょアンタ」
「はは、バレちゃった?」
「はぁ……今回だけ」
「え?」
「今回だけだから」
──俺の目の前には、抜き身で半開きの右手が差し出されていた。非常に不本意そうな顔を添えて。
「
「……うん。約束だから、守るね」
俺とコトちゃんは今、文字通り手を結ぶ。
「あ、あれは前に見た、所謂『手ッ◯ス』と言う物では……?! う、うぅ、徒花さんが、また」
「いやあ、君も難儀な性格だね。惚れた弱みかな」
崩れ落ちるマドっちと、なんか父性に満ちた表情でその肩を叩くパラクロ君については一旦視界の外に置いておくとして。さあ、急がないとクロ君が待ちくたびれちまうよな。
「でも、パンツ見た事は忘れてないから」
「うっ」
そして、作戦は決行された。
そうしてガチャを経て呼び出されたのが、もう1人の俺。
「ったく、いきなり呼び出して戦えって、どう言う訳だ?」
「どうもこうもないよ、世界の危機なんだって!」
今、俺達2人は目立つ様に広めの通りを歩いている。3人には遠回りで学校へ。作戦の要であるクロ君は、まだ見えない。
「いや、どんなルート踏んだらこんな事になるんだよ? ムクロキザムなんて設定資料集にもなかったぞ?」
「さぁ? パンピーはやりたい様にやったからね!」
どうやら、可能性の俺も転生者だったらしい。だが黒髪な辺り、最初からまるで違う始まり方をしたみたいだ。
「お前……まあ、吹っ切れたらそうもなるか。徒花家で異能力者って時点で修羅の道だからな」
整った顔立ちとショートヘアで、男装の麗人感もあるパンピーちゃんⅡ(ツヴァイ)、略してパンツちゃんは、どんなルートを辿ったのだろうか。気になる所ではあるが、聞くのはちょっと怖い。
「聞きたいのか、俺の話? 別につまらないぞ? 普通に徒花家に生まれて、姉と一緒に出奔しただけだ」
「へー、お姉様と一緒に」
「で、結婚した」
そう言ってパンツちゃんは、左手の指輪を見せてくる。キラキラと輝くダイヤモンド、石言葉は確か、純潔とか、純愛、だったか。
「ぇぇぇぇぇ……???」
最近驚いてばっかりだな俺は。
──いやいやいや驚くだろう。何だその思い切りの良さは、お前誰なんだよ?! どの面下げてさっき『どんなルート踏んだら〜』なんて言ったんだよ!?
「どこが?! どこがつまらないの?!」
「いやあ、2人は幸せなキスをして終了、なんて良くある話だろ?」
「あまり無いから物語になってるんでしょ!」
こ、これは何か聞けたとしても全く参考にならない気がするぞ。俺達に協力的なのは良いんだが、何でこんな自由人になってしまったのか。
気にはなるが、これ以上はどうやら無理らしい。
足をふと止めたパンツちゃんが、上を見上げる。その先には銭湯と長い煙突。
「で……さっきからこっちを覗き見てる悪い子はどうすんだ?」
通りを見下ろす銭湯の煙突の上に人影が1つ。見覚えのあるシルエットは、間違いなく彼のもの。
「勿論、戦うよ。でも、死なない様にね」
拳を構え、
「言われなくても、寧ろそっちの方がヤバいぞ」
刀を抜き放ち、
「また邪魔するんだ。君も、知らない奴も、皆死んじゃえば良いんだ!」
そして
これが最後であれば良い、俺はそう祈っている。
勢いで能力を盛ると整合性と描写に苦しむ事に気付きました(致命傷)
追記1
アンケートで思った以上にパンピーちゃん人気があって驚いてます。流行りの曇らせ要素などはあまり表面に出していないつもりですが、もしかしてパンピーちゃんからしか得られない栄養でもあるのでしょうか。
……後、コメントやここすきを頂けるとモチベーションが上がります(自己顕示欲モンスター)
追記2
活動報告でパンピーちゃんのここすきポイント募集してます。よければ書いていって貰えると嬉しいです。