【Limbus_Company】自囚人と創作キャラの創作物まとめ   作:彩花@clover

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長いです。終わりです。
引用元は変わりませんがとある部分はとあるアニメ作品のそれを参考にしてます。



XX章【堕ちる道を堕ちきること】後編

「坂口安吾という作家…炳吾さんが何を思ってこの話を書いたか。ダンテさん。それの答えはあなたが見つけてみてはいかがですか?」

 

マリアが私の方を向く。その姿は白衣のままでいつも通りなのに、どこか桜に連れて行かれてしまいそうなほど美しいと思えた。

なぜ、坂口安吾はこの本を書いたのか。そうだ。炳吾はなぜこの本を書いたのか。

そんなことを思っていると少しだけ見えてくる。過去の光景だ。

どこかバーの様子で男三人とバーテンダーがいるだけだ。

 

「遅いって、オダサク!」

「すまんすまん、少し色々あってなぁ。っていうか、津島くんも炳吾も出来上がっとるやないかい。」

「へぇーん!お前は来ない間に飲んでた!」

 

3人でお気に入りのバーに言って文学の話をする。

そう、俺たちは昔の文学を否定する気はないが、既成文学全般への批判をしつつ、俺たちの新しい文学を切り開いている。

人は俺らを"無頼派"と呼んだ。無法者の集まりと言われれば俺はどこかいい気持ちになっていた。

偉大な落伍者への一歩を踏めたみたいでどこかいい気分になっていた。

 

「そうだそうだ!俺、またいい話思いついたんだわ!」

「教えてくれよ!炳吾!」

「じゃあ、きかせてもらか?」

 

津島も織田作もノリノリで聞いてくれる。俺の作る話を。

もちろん俺も二人の作る話が大好きだ。俺が一番のファンと言ってもいいくらいだ。

いやまぁ津島には俺よりも大ファンがいるけどそれと同等だ。

 

俺は話し出す。山賊の話を。なんでも手に入れることのできる無敵の男だ。

何も知らないで生きてきたこの男。だからこそ強く要られた。

だけどその男は桜を最も怖がった。俺は桜を孤独の象徴にした。大昔は桜は怖がられていたのもあるし丁度良かった。

男に取ってはなぜそれが恐怖に思えるのかわからないままでなぜ恐怖思うのかわからない。だけど怖いのだ。

そんなふうに自堕落に生きていると、とある女に出会って恋をして女房にする。

女はわがままで、性格に色々と難があった。女との生活に嫌気が指してくる。だとすると、どうなる?

 

「そりゃ、離婚だろ?俺はミチコとの生活は嫌じゃないけど。」

「まぁ、わしもアコとの生活はじゃないけどなぁ。」

「くそ…幸せ自慢かよ…まぁいい。だけどそいつは一人で山に帰って知るんだよ。本当の孤独を。」

 

くそ、こいつら幸せになれよ!!と思いつつも話をする。

 

「今まで強かった男が大分弱なったな。」

「恋っていうのはそういう魔法だ。男は孤独になって耐えられなくなって、消えてしまう。」

「二人だったのが一人になるのは、寂しいよなぁ…。」

「そりゃ、津島くんは一緒に自殺してくれる女の子がいなくなったら寂しいもんなぁ。」

「本当にな。」

「茶化すなよ~~!!!」

 

ゲラゲラと笑い合う。そんな日々が続けばいいと思った。

俺は、すぐにこの本を書き上げた。俺の解釈を、俺の前に見た女の姿を。

あの女は桜そのものを体現した女だ、しっかり美しくしないとな。

 

炳吾はよく自分は孤独だと言っているがこんなにも良い友人がいたのか。

だけど彼らは、どこへ言ってしまったのだろうか。おいて消えてしまったのだろうか。亡くなってしまったのだろうか。

なんだろうか、彼を置いていくような人には見えない。それに炳吾も彼らを置いていくようにも思えない。

ふと桜から音がする。まるで声がするようにゆさゆさと揺れる。おかしい。

風はないのに、花は揺れる、木が揺れる。桜という花の木はなぜ揺れているのだろうか。

どうして、風も無いのに花びらはひらひらと舞って散るのだろうか。どうして、風もないのに枝が風があるように揺れるのだろうか。

 

「おい、きたぞ。」

 

敦の声で意識が桜からこちらに戻される。

 

「なんで悪党みたいなことさせられてるんだろうな…。」

「羅生門ですか?何を今更。」

 

壇が少し嫌そうな声を出しつつ、マリアが何をいまさらとサラリと言った。

確かに否定はしがたい。

この状態は物語とは逸脱しているけれど問題は無いのかと思ったが、進まないよりはましというマリアの発言にさっきの首で疲れているのかと思った。

 

『お前さんたちは、炳吾のお友達?』

 

そう、女は言った。

敦はすぐにその女を雑に落として武器を取る。全員構えた。

 

 

そう、女は言った。

敦はすぐにその女を雑に落として武器を取る。全員構えた。

私とマリアは後ろに控えて。その前に囚人たちと壇がそれぞれ武器を構える。

おかしい。創作物のはずだ。なぜ、別のことが言える。

用意された以外のセリフを喋るなんて、…作者の名前を呼ぶ、なんて。どうなっているのか。

また、見える。

 

この幻想体は素晴らしいものだ。なんでも突っ込んだ本の世界を再現するらしい。

なんと、なんと素晴らしいものだ!!!

私が望んだ世界が見れるのか。だが、こんな小さなところであの美しい桜を再現できるわけがない。

ならば…外に行くしか無い。

どうすればいい。唐突に警報音がなる。どうやらここが埋め立てられる準備が行われている様子だ。

そんなことに付き合うつもりなんて無い。

私は、私は、あの美しい桜で気を狂わせて死んでやるのだから!

私は急いで走って入り口まで走って逃げた。しっかりと閉まる前に逃げられた。

あぁ、もちろん、その機械を持っていた。

普段は真面目じゃないからか目立たなかったから、私は逃げられた。

幻想体が外にでても暴れなければいいのだ。

これはツール型。暴れることなんて無いのさ。

あるのは、これはそう、美しいものを移すだけの射影機だ。

隣の少し広い場所にその幻想体を置く。そして私は【桜の森の満開の下】を入れる。

少し時間がたった後に。

 

「う、つくしい…。」

 

息を飲んだ、あまりの美しく桜が咲き誇ったのだ。

この手に収まらない、その美しさを私は堪能したい。

私はその中に入った。一生出られなくていい。そのままで構わない。

 

―――――そして、私は桜になったのだ。

 

あぁ、なんと素晴らしいことか。私は、桜になった。美しいものになれた。あぁ、あぁ!!

私は私が桜になれたことが最も誇らしい。私は彼にとっても美しいものの象徴になれた気がした。

私ほど坂口安吾という文豪を愛している男はいないだろう!

炳吾、と呼ばれた。あの男は何故か最もこの山賊が似合う気がした。幻想体が彼を主人公にした。

 

「……何が、愛してるだ…。」

「壇さん。今はそれどころじゃないです。」

「わかってる…!」

 

壇は今にも噴火しそうだった。何も知らないくせにと言わんばかりだった。

出したとき偶然にもこれに黄金の枝があったのだとマリアは言った。だからこそこんなふうになっているのだと。

この世界を終わらせる方法は物語をしっかりとした手順で終わらせること。

イサンのときとは少し違うが似ている。そして役割を与えられた人間がその役割をしっかりとこなさないといけない。

 

この世界が現れたとき、誰がこんなことをと俺は思った。

だが、俺は一人で解決しようとしたが、津島が、織田作が、壇がついていくと言ってきた。

俺はこの桜の森の満開の下に入った。みんなで。俺は山賊のそれにあてがわれた。

他の奴らはそれを見守っていたらしい。俺は物語どおりに進めた。

俺は、孤独になるためにここにきたのか?

だけど、首を狩るのも疲れた。嫌になった。周りにある首がどこからきたのかさえもわからない。

あぁ、頼む。ここから、開放してくれ。俺は女を桜の樹の下まで連れて行った。

 

物語はここでほとんど終わりだ。鬼になった女を俺が、絞め殺す。簡単な話だった。

だってそうだ、桜に気を狂わされた二人が、そうなんたんだから。

あの女は桜の気狂いそのものだったのだから。

『孤独は、嫌だろう?』

そう、女は言った。俺の手はピタリと止まってしまった。

 

『ふふ、炳吾が私を殺すなんてできないわ。』

「そうでしょうか。」

『だって、あの人は孤独が嫌いだから。怖いから。』

「……くだらない。自分の創作物に負けて何が作家だ。」

『あの人はがらんどう。あの人は…寂しがり屋…。』

 

女が言ったそれは確かにその通りなのかもしれない。だけどそれは…。

そんな言葉を私も言いそうになったときに山賊が走ってきた。桜の元に。

私達のほうが山なりの下の方にいる。桜の女が上の桜の根本にいる。山賊は刀を持ってこちらに向けてきた。

敦が受け止める。

 

「っち!!」

「敦さん!絶対に殺してはダメです!」

「わかっている!こいつが、物語の主人公なのだからだろう!」

 

そのまま戦闘が始まる。

といっても後方支援でマリアがすでにE.G.Oを展開しており、ファウストと、壇と、敦だ。

何度も一度しっかりと目を覚まさせてしっかりと役割を果たしてもらうための戦闘だ。

 

きぃんきぃんと刀の音がする。敦と山賊が刀で切り合っている音だ。

敦の刀がしっかりと鍔迫り合いで勝っている。だけど敦も少し疲れている。

もとより敦は暗殺がメインだ。眼の前で切り合うのは正直あまりといった様子だろうか。

すぐに壇がサポートに入る。その大剣で防御する。

 

 

「炳吾!」

「…!」

 

その大剣でしっかりと受け止めて弾き飛ばす。

弾き飛ばされたときにグラッとしたようすで動きが止まる。

攻撃をしすぎると殺してしまう可能性があるかもしれない。

かなりやりにくそうだ。私は、どうするべきなのだろうか。

 

「っ…ぁ…!」

「炳吾!やれ、この物語をお前の手で終わらせるんだ!」

「…わかって、わかってるんだよ…!」

 

俺の心を見透かしたような女の言葉は俺にかなり刺さった。

そう、だ。これは俺が書いた物語だ。それくらいわかってる。理解してる。終わらせないといけない。

だけど、俺はこの孤独感が怖い。桜を前に足がすくむ。物語の山賊になりきれてないからこそ、俺はわかってる。

そう、本当の孤独を知ることが、理解してしまうことが怖い。

 

ざくり。

 

俺は両肩と両足に何かが刺さった感覚に陥った。女からの攻撃ではない、桜からの攻撃だった。

俺は立っていられなくてそのまま倒れた。

 

「あ…?」

「炳吾!」

「おい、炳吾、しっかりせぇ!」

 

アイツラの声がする。壇が俺を抱えて後ろに運ぶ。その前に津島と織田作が立ちはだかる。

 

「おい!お前、作者をこんな目に合わせやがって!作ってもらった親にどうとも思わねぇのかよ!」

『思わない、だってそいつは私を鬼という狂気の存在にするために産んだ!私は華やかにそして幸せに生きたかった!』

『そいつ自身は孤独が最も嫌いなくせに!』

 

創作物に心が宿ると誰かが言ってた気がしたが、本気なんだな。

あいつは心を得た存在になったのか。

あいつの言い分はわかる気がする。だけど俺が、終わらせないといけない。だけど、体が動かねぇ。

今回はだめだ。俺がダメだった。

 

『だから、私が孤独を教えてやるのよ!』

 

桜が動く。俺の前に立ってる織田作と津島が桜に絡め取られた。

 

「津島!織田作!」

「ぐ…ぬ、ぬけねぇ…!」

「が…はぁ…!あ、あかんなぁ…これ…!」

「ふたりとも!」

 

俺のそばを離れてすぐに桜のもとに向かう。桜を切ろうとするが、桜自体が邪魔をする。

俺も手を伸ばしてせめてその手を握って助けようとしたいが届かない。あまりにも距離が遠すぎる。

体が悲鳴をあげている。それでも伸ばした。アイツラは連れて行ってはいけないんだ。ダメなんだ。

俺が、孤独を知ってしまう。いやだ。連れて行かないでくれ。

俺を連れて行けよ…!頼むから。

 

『あははは!!二人はこの桜に閉じ込めてあげるわ!』

「や、めろぉ!」

『ね、炳吾、お前はここから逃してあげるよ。でもここは消えない。だって物語は終わらないから!』

「ふざけんじゃねぇ…!今すぐ二人を!」

 

壇も言う。だが、俺を守るだけで手一杯だ。

俺が両肩両足を動けないように潰されてしまったから。

俺が、もっと早くあいつを始末できなかったから。

俺が、孤独に怯えてしまったから。

 

「へいご、今すぐにげぇ…!」

「お、織田作!?」

「そう、だ。壇も炳吾をつれて、にげてくれ…っ!」

「な…!」

 

織田作と津島はとんでもないことを言った。

だけど、それが今は正しいことを理解している。だけどだけど。ダメなんだ。

俺はアイツラを置いてなんていきたくねぇ。

 

「この話をおわらせるのは、へいごはひつよう…なんやろ?だったら、しっかりと案をかんがえてきーや…!」

「頼むよ…壇!」

「………わかった。」

 

壇は俺の方にきた。ダメだこっちにきちゃダメだ。おい壇!

 

「おい、壇!ふざけんな!アイツラはここに残していい奴らじゃねぇ!お前が一番!」

 

壇は無言で俺を運ぶ。桜からどんどん遠ざかっていく。ダメだ。でも壇の判断は正しい。今の俺じゃどうにもならないって。

俺だってわかってる、でも俺は納得できない。

 

「津島!織田作!!」

 

手を伸ばしてきたけど、届きやしない。最後に見たのは二人の笑顔だった。なんで、俺なんかに笑うんだよ。

ダメだろ、俺はお前らを今見捨ててるんだ。笑っちゃダメだろうがよ…!

その笑顔が、俺の中に残り続けた。

何もできやしない。俺は、何もしてやることすらできない。

俺は弱くてどうにもならない。なぁ、俺はしっかりと出きれてばよかった。

だけどできなかった。壇は、俺を責めなかった。

だけど、アイツラの家族には責め立てられた。

 

「あなたがあんなものを書いたからあの人は!」

 

そのとおりだと、俺は思った。

あの二人には家族がいるのに、一緒にきてくれなんて頼んでしまった。

大馬鹿野郎だ。俺が一人で行くべきだった。

二人の家族を壊して、アイツラを殺したのは俺だ。俺の作品だ。

俺が、少しでもあの女に同情をしたからだ。

俺はそんなことをしてはいけなかった。そのせいでこんなふうになった。アイツラを置いてきてしまって。

すまねぇ。津島。織田作。俺が、ダメだったから。お前らを、見殺しにしてしまったんだ。

 

今のは黄金の枝が見せたものだった。

ずっと彼は後悔をしていた。家族を壊したことを。後悔していた。自分の創作物に同情をしてしまった。

彼は優しすぎた。そのせいで今もまだ震えている。

また、誰かを同じ目に合わせてしまうのではないか、と。

彼はずっと怯えていたんだ。山賊は刀を構える。

 

『そう!そうだよあんた!そいつらをやっつけて!』

「あぁ…。」

「っち!」

「炳吾!お前は本当に孤独に負けちまったのか!?…違うだろ!お前は偉大な落伍者になる男だろ!!」

 

壇の言葉に何も答えない。耳を塞いでいるのだろうか。

ダメだ、ダメなんだよ炳吾、それはダメなんだ。

 

<炳吾!>

 

私は、声をあげた。しっかりと届くように声を出した。

周りには時計の音にしか聞こえなくても。それでもと言い続けた。

 

<君は彼らをあの桜の中から助けたいんだろう!…せめて、その遺体だけでもしっかりと救いたいんだろう!?>

「…ぁ…。」

<あなたなら、できるはずなんだ。炳吾。だって、ここに入る勇気があなたにはあったんだから。>

 

言葉をしっかりとかける。私は、炳吾に諦めないでほしかった。

負けてしまわないでほしかった。後悔だけで終わってしまってほしくなかった。

だから言う。言った。

 

『そこのこのいうとおりやなぁ。』

「!?」

『だな!おい、炳吾、しっかりしろよ!』

 

少し前にいるマリアの声のはずだった。だけど何かが違う声がする。

知らない声が同時に聞こえている。マリアの立ち姿もどこか違う。

男性の立ち方になっているような気がする。

 

『まぁ、わしらも、わしらもやけどなぁ。炳吾、わしらの知ってるあんたは孤独に負けるような男やなかった。はずやけど。』

「お、だ…さく…つ、しま…。」

 

自我を取り戻して名前を言う。マリアはどうやら二人に体を貸している様子だ。

まさか、魂がそこにいたのかと思った。マリアが体を貸すことも驚きだけど。

マリアと声が重なって聞こえる。二人と男の声。

 

『『しっかりしろ!坂口安吾!』』

 

二人の声がしっかりと聞こえた。マリアの声はなぜか聞こえなかった。

その声に背中を押されたように炳吾は立ち上がって女の方を向いた。

壇は少し泣きそうになったような顔をしている。

 

『あんた…!』

「わぁってらぁ…俺が作った話だ。俺が決着をつけなきゃな。」

 

いつもの囚人服になってクナイをもってそのクナイを女に投げて刺さる。

女は悲鳴をあげる。

女はやめろといった感じのそれが見えるが炳吾はハンドガンを手に取って女の顔に標準を合わせてその引き金を引く。

女はまた悲鳴をあげて桜になって消えていく。

 

<炳吾…。>

「…なぁ、ダンテ、この話の最後はな。山賊は桜の花になって消えちまうんだ。」

<え…?>

「サヨナラに、なっちまうかな。」

 

どこか晴れやかな笑顔でこちらを向いていた。

終わらせることができたことに安堵感を覚えている様子にも見えた。

 

「炳吾…。」

「壇、悪かったなぁ。今まで何もしてやれなくて。」

「…そんなことはない。お前は何も悪くないさ。……よくやってくれた。」

 

炳吾はにかっと笑う。そうすると桜の花になって消えてしまった。

そしてその世界が消えてゆく。炳吾がこの世界にいなくなったかのように何も残らない。

いやだ、なくならないでくれという声がする。

多分あの男の声だろう。だけどそれを知らないと言わんばかりに世界が終わっていく。

桜の花が沢山舞って手の平に桜の花びらがそこにあった。だけどすぐに無くなる。

 

<え…?>

 

そこにはまっさらな地面と少し大きな地面と少し大きな機械があった。

四角て丸い部分のある機械だ。これは映写機だろう。

そしてこれが幻想体の正体だろう。よく見ればその近くに黄金の枝があった。私はそれを回収した。

卵にならない幻想体がそこにいた。どうやらツール型幻想体はそういう事にならないらしい。

そういえばあの工場も確かに卵にならなかったことを思い出す。

 

そして近くには死体がいくつかあった。囚人たちもそこにいた。囚人たちは普通に何もなかった様子だ。

そして死体の中に津島とよばれた青年と織田作と呼ばれた青年がそこにいた。壇は駆け寄る。

 

「あぁ、やっと…!やっと…出してやれた。悪かった。津島…織田作…!」

 

壇は涙を流しながら喜んだ。だけど、炳吾はなんでいないのか理解はできなかった。

ファウストは説明をしてくれる。物語の最後で桜になって消えたのが本当になってしまったのだ。

そう、おそらく創作物が心をもっていたのが理解できたのか、時間をかけて力をつけてしまったのだろうか。

炳吾の存在を体もそのすべてを消してしまったのだ。

そんな、だとするなら、炳吾は、もうここにはいないのか。

 

「……そうならないように私がきたんです。」

 

そこには血の入った試験管があった。

その血は、誰の血だ。わからない…いや、一人しかいない。この場合にだすのなんて一人だけだ。

 

「これはここにくる少し前によってもらったときにもらったのですから。」

 

そういえば少し前に採血をしていたことを思い出す。それを今出す。

しっかりと保存されておりそれはU社の技術を使っている。

これは炳吾の血液の様子だ。マリアはそのU社の保存容器から出す。

その血を外に出す。その血を媒体にして時計を回した。

 

「あ…?」

「炳吾…!…あぁ、あぁ!よか…良かった…!」

「……俺、生きてるのか?」

「そうだよ。…全く全部なげだして置いていくな…。」

 

壇に悪いと告げていた。そして周りを見渡す。

そこにはかつての旧友のきれいな遺体がそこにあった。

しゃがんでその顔を撫でた。

 

「…悪かったなぁ。津島、織田作。あんなところに置き去りにして。」

 

これで、ようやく終わった。枝はしっかりと回収して。

壇とは別れた。炳吾はリンバスカンパニーの資産としてまだ働くのだ。

囚人たちが少しずつ起き出す。なんか終わってると疑問の顔をしているが、そのとおりである。

マリアはロージャが無事であることを確認してそのまま倒れてしまう。

しっかりとロージャは受け止めて全員バスに乗り込んだ。

このあとのこの死体の処理に関してはしっかりとLCCAがするという。

 

そういえばなんでマリアが倒れたのかというと、

津島と織田作に体を貸していたからだろうと敦は言った。

あの場所でしっかりとしており、体を貸してくれるのはあの人物だけだった。

というのが敦の見解である。それをつげてリチョウに戻った。

 

「……あぁ、しっかりと書かないとな。」

 

炳吾はすぐに休みに入ると部屋にこもって何かを書いた。

そしてマリアの研究所につくと、炳吾はとあるものを渡した。

 

「これを、壇に渡してくれ。あいつならこれをどうすればいいのかわかってくれるはずだからな。」

「わかりました。」

 

『不良少年とキリスト』『反逆-織田作之助の死-』

そう、書かれているのが見えた。

これは何かと聞いたら。

 

「追悼文ってやつさ。俺等、作家が親しい人を亡くしたときに出してやる文さ。」

「これで、アイツラがしっかりと送られるといいんだけどな。」

 

そういった炳吾の顔はどこかスッキリとした顔だった。

 




参考資料
桜の森の満開の下
大阪の反逆――織田作之助の死――
不良少年とキリスト


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