【Limbus_Company】自囚人と創作キャラの創作物まとめ 作:彩花@clover
ジョリオ君とは
XX章 普通の人であるならばで助けた少年の事である。
前に大暴れをしたらしい時から気分が悪い。まるでそうだ。
前に感じていたあの人を殺したかもしれないあの時と同じ感覚。
あの時は誰も死んでなかったと聞いただけど、何故かそんな感覚に陥っている。
まるで手に、その血があるんじゃないかと思えてしまった。
そんなある日、いつも通りに朝がきて食事を作って、珍しくベッドで眠っているマリアさんを起こしにきた。
マリアさんの部屋は三階で、マリアさん自身の社員証か別のマスターキーか、
マリアさんの予備の社員証でないと開かないようになっていた。
俺らは基本的にマリアさんの予備の社員証でそのカギを開けている。
ベッドに眠っている。少し穏やかな顔をしており、よく眠っている。
…そういえばマリアさんが悪夢にうなされているとかはあまり見ない気がする。
元々、精神の強い人だし、E.G.Oもまずは自分で試す人だし、悪夢は見ないんだなと思い込んでいる。
俺はいつも通りに声をかける。その手は決して触れないで。
「マリアさん、朝ですよ。」
「…。」
「…おい、ガキンチョ、マリアさんを起こしてやってくれよ。」
「ガラハド兄ちゃんがやればいいのに…?」
「…俺は、レディの体に気軽に触れる訳にはいかねぇだろ。ほら、早く。」
文句も言いつつもジョリオはやってくれる。
これが、いつもの日常だ。俺はマリアさんに触れることはない。
ずっと、ジョリオが起こしている。俺は、出来ない。
この手で、マリアさんに触れると考えただけでも震えが止まらない。
今も少し震えてしまう。
その震えをおさえて起きたのを確認して今日の朝御飯を告げて下に降りる。
この居住区は上にマリアさんの部屋と倉庫と他職員の居住区という名の仮部屋がある。
仮部屋はほとんど広くなくて結構物はおけないが、何処か安心する。
二階は居住区の部分しかない。バス部署の奴らはここの階の開いてる部屋に泊まる事もある。
俺やジョリオは二階に住んでる。
何かあった時すぐに動けるように階段の近くの部屋だ。
一階はマリアさんの研究室と一時隔離室と検査室とキッチンや掃除用具入れとかもある。
ロビーと談話室が繋がっている。
バス部署の奴らが宴とか飲み会とか言って大騒ぎするのはここだ。
マリアさんの研究室には地下へのエレベーターがあってその下には幻想体がたくさんいる。
その世話をしている。そしてそこからエンケファリンボックス…だっけかそれを入手している。
それを使ってなんか色々出来るみたいけど俺はあんまり難しい事は分からない。
「ふぁぁ…。」
「おはようございます。マリアさん。お食事の用意できてますよ。」
「今日はおいしいサンドイッチだよ!」
「あら、それはいいですね。」
「ツナとハムとレタスで挟んでます。食後のヨーグルトもありますよ。」
「ありがとうございます。」
談話室の少し丸い感じの椅子に座って目の前のテーブルから皿の上に乗っているサンドイッチを取ってその口に含む。
あまり表情は変わらないが、今日のはそれなりにいいのか少しだけ驚いたように見えた。
すぐにいつもの顔に戻って
「今日もとてもおいしいですね。いい塩梅ですね。」
「うん、今日もおいしい!」
「それは良かったです。味見はしたんですけどお口に合うか不安だったので。」
「いつもちゃんとおいしいですよ。」
「ガラハド兄ちゃんも一緒に食べればいいのに!」
「俺は先に食ってるんだよ。」
このテーブルを一緒にしないのはわざとだ。
このテーブルは俺のような何をするかもわからない奴が入っていい訳じゃない。
俺は、マリアさんに顔を認識されたくない。
だってこのテーブルはまるで家族じゃないか。
マリアさんはジョリオを自身の子供の様に可愛がっている。
……もしここにロジオンが居たら。俺は、どんな思いで見ているんだろうか。
「…。ガラハドさん?」
「!…あ、ど、どうかしましたか?」
「…昨日から様子がおかしいなと思いまして。」
「え、そんな事ありませんよ!俺は元気ですよ。」
「……ジョリオ。ガラハドさんの手を。」
「あいあいさー!」
急にジョリオが俺の手を握ってくる。テーブルから逃げられなくなった。
まだ椅子には座ってないが、逃げられない。
今こいつを弾いたら多分後ろに倒れる。怪我なんてさせたら俺は…。
何も出来ない事を察してマリアさんが俺のそばに寄る。
相変わらず目は合わない。輪郭はある程度理解している様子ではあるが、目線は違う場所にある。
やはり顔は認識できないんだと思う。
「まりあ、さん。」
「私はあなたの事を汚いなんて思った事ありませんよ。」
「…ぁ…。」
「だから、普通に起こしてくれてもいいんですよ。」
バレている。
この人はずっとずっと知っていたけど、何も言わなかった。
逃げられないのにこの人は触れようとしてくる。
だめだ、逃げさせてほしい。だけど逃げられない。
「ね、ガラハドさん。私だって人を殺したことがあるんですよ。」
「え…?」
「って言ってもできませんでしたけど。」
「…。」
殺したといった。
でも、出来なかったといった。どういう事だろうか。
「…私だって、血で少しは汚れてるので、そんな風には思わないでください。」
「ま、りあ‥さん。俺は、マリアさんが綺麗で。」
「ね、ガラハドさん。…私は神様でも、天使でもないです。」
マリアさんは言った。
それは、そうだ。俺はマリアさんを神様か何かだと思っていたのかもしれない。
でも、それでもおれは。
「俺は、マリアさんに、触れられないです。」
「…。」
「俺は、何も思い出せない。のに、殺してるかも自覚してないのに。俺は触れられない。」
「…そうですか。…ガラハドさんの好きにして貰っていいですよ。無理にしろと言いたいわけではありませんし。」
マリアさんはすぐに離れて研究室に入った。
いつもの何も変わらない顔だった。
これ、でいいんだ。でも、何処か俺は寂しさを感じていた。
やつはマリアさんのことをどこか神聖視しててマリアさんが汚いわけない思い込んでた所があるんですね。
当たり前に人なのに。
今回のでどこか変わるかって言われるとそうでも無いんですよね。
ただ、マリアさんは人なんだよって再認識はしたと思います。
それでも触れないし、救世主って考え方はあるままなので。
ガラハドにとってマリアさんは守るべき人兼触れるべきではない人ってなりますね。