【Limbus_Company】自囚人と創作キャラの創作物まとめ   作:彩花@clover

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XX章番外【忠義はその盾と共に。】後編

 

次の部屋に向かう。そこもやはり鏡があって、だけど映し出されたのはセピア色だった。

あれ?先ほどと同じじゃないのかと思ったが、おそらくマリアが映っていた事が多いから先にガラハドの記憶を見せようとしているのだろうか。

マリアも眺めている。ガラハドはしっかりと眺めている。

 

いつもの研究所の一室が映し出されている。そこには先ほどまでの子供が三名楽しそうにしている。

他にも子供がいるのだろうか。その部屋がガラハドにとっての世界だったのだろうか。

三人は少し包帯とかを巻かれている。ここで研究をされているからだろう。

怪我を負ったというよりも、何かをされてしまったからといった様相だ。

セピア色で、物悲しい雰囲気があった。

だが、そこに一つの光が見えた。正確には光というか真っ白なものが見えた。

一つだけ色が消えた。…いいや違う、逆だ。彼の色が白、なのだろう。

真っ白な少年が出てきた。あまりにも美しいと思える子供だった。

白い髪で長髪。腰くらいまである様子だ。それに、

ガラハドはその人に少し怯えている様子だったが、ペルスヴァルは興味津々だった。

ゴーヴァンはあまり気にしていない様子だった。

 

「やぁ、君たち。」

「…?えっと、君は?」

「……僕は、アーサー。…いつか、この世界を救う王になる予定の、存在かな。」

「おう、さま…?」

 

そうだよとアーサーと名乗った少年が言った。

その言葉にペルスヴァルは嬉しそうにしていた。だけど、少年のガラハドはどこか怯えた表情でその少年を見ていた。

だが私はあれをどうにも怯えられるそれに捉えることはできなかった。

ここにいるガラハドもどこか怯えている。

マリアはただ、眺めている。囚人たちの顔を見ると何人かは信用ならないという顔をしている。

ドンキホーテは王とは素晴らしいな!といった様子だ。

シンクレアはガラハドと同じで怯えている様子だった。

ファウストはどこか目をそらしているようにも見えた。

 

「わぁ…本当に王様が僕たちの前に来たんだ!」

「……名前だけだろう。」

「ひどい!」

「あはは、元気だね。…そっちの子はどうかしたのかな?」

「…な、何でもない。少し、疲れてるだけだから。」

 

楽しそうだ。だけど少年のガラハドは怯えきっている。

それを疲れていると表現したのはおそらく、ごまかすためだ。子供の必死の考えの巡らせだったのだろう。

 

「そうなのかい?それは大変だ。ここの研究者たちは君たちのことも考えないから…。」

「?アーサーは研究者側の人なの?」

「…違うけど、意見をすることは大事だからね。」

「そうかも!」

 

ペルスヴァルはすでに心酔しているようにみえた。

ゴーヴァンはペルスヴァルをなにかあったら止めようと思っている様子にも見えた。

アーサーはガラハド近づいて耳打ちをした。

 

「…ね、ガラハド。」

「な、なに…?」

「………そんなに僕は怖いかい?」

「!」

「……あぁ、大丈夫、君もきっと変わるから、気にしなくていいよ。」

「アーサー…ねね!王様って呼んでいい?」

「あぁ、構わないよ。」

 

何を、とは少年のガラハドは聞く気力はなかった。

あまりにも怖かったからだろう。なぜ、気がついたのかわからない。

呼吸が早くなっている。その後ペルヴァルの大きな声でかき消されているが、少年のガラハドの顔は真っ青である。

何が変わるんだ、とそのことに恐怖を抱いている様子だった。

 

「…お、れは。」

「ガラハドさん。」

「…あいつが、何故か、こわいんです。今も震えが止まらないんです。」

 

その場に座り込んでしまった。知るのが最も怖い。

そんな雰囲気だ。ガラハドは記憶を知らないと前に言っていた。

それを言っていたのが、マリアだ。ガラハドは記憶がないのは理解しているが、自分から言ったりはしなかった。

 

「…いく。…ゴーヴァンが来てほしくなかったって言ったけど、俺は多分、知らなきゃいけないんだ。」

「…わかりました。」

 

奥に進む。鏡はガラハドを映っている。だけども、歪まない。

まるで、そこのそれを見せるために歪まないようにしているのかもしれない。

私達が映っても変わらない。これから何が映るのだろうか。

 

真っ暗な世界だった。少年のガラハドが目を覚ましたように世界が見える。

先程までセピアの色だったのが打って変わって、きれいな色彩を映している。

そこには少年のガラハドにいた。茶色の髪でその耳にはそのピアスは特になかった。

元々なかったが見えにくかったので確証がなかったのだ。その左目は隠れている。

 

「…?なに…。」

 

どうやらふと目を覚ましたらしく、周りには誰もいない。

歩いていく。ガラハドが怖がりながら進んでいく。

とある場所からかすかに光が見える。そこを覗き見た。研究員にバレないように。

そこにみえたものは、色々な機械に繋がれて緑の液体のようなものに突っ込まれてしまった。

しかもそこにいたのは、ペルスヴァルとゴーヴァンだった。

 

「…え…?」

「だれか、そこにいるのかい?」

 

緑の液体が光っているように見える。その人が誰かわからなかったが。

よく見ればついさっきあったばかりだ。アーサーだった。

 

「ど、して…。」

「あぁ…ガラハドか。これは、彼らが基準値を超えたからだよ。」

「き、じゅんち…?」

「あぁ、そう、彼らは新しい人の姿になるんだよ。きっとうまくいくさ。…君も見るといい。お友達だろう?」

 

少年のガラハドはそれを見てしまっていた。

おそらく従わないと行けないと思ったのだろう。そこから見ている。自分の手を握っている。

その装置が動き始める。ふたりとも苦しそうだった。

だけど少年のガラハドは助けられない。隣にやっている人がいる。

それに、今動いて彼らを助けられるのか、怪しいところだ。

彼らは少しずつ姿が変わっていった。だけど、変わりきらない。

ゴーヴァンは姿が変わらなかった。ペルスヴァルは鏡になった。

 

「あぁ、失敗か。」

「え…。」

「…ね、ガラハド、どうして二人がこうしてこんなことになっていると思う?」

 

わからない。わかるわけがないと言った様子で首をふる。

顔は真っ青である。どうして、と、聞きたいのに声が出ない。

あまりの恐怖だった。

 

「まぁ、ペルスヴァルは自分から志願してきたのもあるけどね。でも、ゴーヴァンは君のかわりにって言ったんだよ。」

「え…?」

「だって、二人よりも君のほうが良さそうだったのに、どうしてもっていうからね。」

「ゴーヴァン…が?」

 

状況を理解できないのだろう。何がどうなっているのかわからない。

だけどわかるのは一つある。自分のかわりにゴーヴァンがこんな目にあっているのだと。

少年のガラハドはその場にぺたんと座り込んでしまう。

 

「ね、ガラハド、君も受けてみないかい?人を超えた力が手に入るよ。」

「……や、やだ…い、らない…!」

「…?どうしてだい?君たち人間は死ぬことが怖いのだから死なない体を手に入れるのは素晴らしいことだろう?」

「………そ、れは。」

「だから、ガラハド、ね?君は、きっとうまくいくよ。だから」

 

それを言いながらガラハドの手を握ろうとした瞬間に少年のガラハドは連れて行かれた。

ゴーヴァンが手を引いて逃したのだ。少年のガラハドはもつれながらも走った。

ゴーヴァンもぎりぎりといった感じではあるが、それでも走れている。

 

「ご、ゴーヴァン…!」

「いいか、ガラハド、お前はここでの出来事を全部忘れていきろ。」

「で、でも…!」

「ダメだ、お前は思い出しちゃ行けない。ここをでてお前は生きるんだ。」

 

必死で話しながら走っている。追いかけては来ない。

入り口の方まで必死で走る。入り口から少年のガラハドを出す。扉を閉める。

扉をガンガンと開けようとするガラハド。

 

「ゴーヴァン…!…!やだ、わすれちゃうの、やだよぉ!!!」

「ガラハド、いいか、お前の記憶は俺が消す。お前にとっても都合の悪いのは消えるようにした。」

「あ…。やだ!……あ、あぁ?」

「…ガラハド、お前と一緒にいた時間は良かった。だから、お前がここから逃げて、生き延びて、誰か大切な人を守って欲しい。……お前なら、できるさ。」

 

少年のガラハドは逃げなきゃと思ったのかその場から立ち去ってしまう。

ゴーヴァンは少しずつ体が変異して行っていた。どこか動物の姿になって行っていた。

足が丸みを帯びている。この動物はなんだろうか。

扉越しで見えなかったのかもしれないが、そうなっていた。

そこにアーサーが来る。

 

「あぁ、にがしちゃったのか。」

「……あいつをお前の思い通りにさせない。」

「…まぁ、すでにあの子には施術がほとんどおわっているんだ。今日のは仕上げのつもりだったんだけど。まぁいいさ。」

 

どうせ、いつかあうだろうし。

そう、アーサーは言った。ゴーヴァンは、逃げてくれと言った。逃げてほしいと願っている。

そうだ、先程も言っていた。「ここに戻ってきてほしくなかった。」と、そう言っていた。

ずっと、彼は忘れていてほしかったのだ。ここに来てほしくなかったのだ。

だけど仕事で来る羽目になってしまった。

 

「……あ…あぁ。」

 

ガラハドは近くの扉を開ける。その震えた手で、開けた。

そこは最後の部屋だった様子で、鏡が周りにあった。だがそこは開けているようにも見えた。

 

「あ!ガラハド!来てくれたんだ。待ってたよ!」

「ペルス、ヴァル…。」

「ゴーヴァンったら、悲しいことをするよね!だって僕たちのことも含めて記憶を全部消したんだから!」

 

その鏡には子供のままのペルスヴァルが映っていた。ゴーヴァンが近くで倒れていた。それは肉体がそのままで朽ちていない。

そのことがおかしいと思えたくらいだ。

だってここから出たガラハドはすでに青年になっている。だけど、ゴーヴァンもペルスヴァルも同じ子供のままだ。

私は直感でわかった。これは幻想体に最も近い存在になっているせいだ。と。

マリアもそれには気がついた様子だ。ガラハドはそれどころではない。

へたり込んで動けない様子だ。

 

「おれが、おまえらを、こんなふうに…。」

「?どうしてガラハド、僕たちは王様が選んでくれたんだ!いつか必要になったら来てくれるんだって言ってたから!」

 

言葉が出ない。ガラハドはわかっていたのだろう。王と呼ばれたアーサーはここには来ないであろうこと。

失敗だと言っていたのだから。

それでも待っていると言っていた。来ないとわかってないのだろうか。

それとも、わかったときに狂ったのだろうか。

 

「あぁ、でも、いらないのが何人かいるね。いらないのはきえちゃえ。」

「総員!戦争準備!」

「管理人さん、ガラハドさんを下げるのを手伝ってください。」

 

マリアが言う。いつの間にか戦闘準備が出来上がっている。

後方支援をしてくれるようすだ。私はマリアのE.G.Oと協力してガラハドを後ろに下げた。

かなり虚ろな目をしている。それは、そうだ。

ガラハドの友人たちはすべてどうにもならない存在に成り果てて、それをした相手に恐怖を抱いている。

真実は残酷だ。ここはすでに破棄されていて、ペルスヴァルが言うことは絶対にない。

しかもゴーヴァンは自らの身代わりになったというではないか。

どうにもならないことをまざまざと見せつけられて、どうすればいいのか。

ガラハドは何も知らなかったからこそ、正気でいられた。この真実は知ってはいけなかったのかもしれないと。思えてしまうくらいだ。

 

鏡からとってもファンシーなものが出てくる。

どうやらペルスヴァルの攻撃方法があれらしい。

ファンシーな絵柄ではあるが、出てきているものは結構残酷である。

ギロチンの刃とか、モーニングスターとか出てきて縦横無尽に動き回っている。

 

「もーなんなの!」

「おぁ…!」

「あははあ!楽しいね!」

「なーにが楽しいもんかよ!てめぇのお遊びに付き合ってやる気はねぇんだよ!」

「え、じゃあガラハドをここにおいて行ってくれるって言うならいいよ?」

 

いま、なんと言った。

こいつは見逃すと言ったのか。いや、それは理解ができる。

だけど、どうしてガラハドに執着しているのか。それがわからない。

友達だから?いいや、どこか違う気がする。

 

「なんで、ガラハドさんが、ほしいんですか!」

「そうである!同じにはなっていないはずであるのだぞ!」

 

シンクレアとドンキホーテが言う。そのとおりだ。

まだガラハドは人としても正気をある程度保っている。彼らのようにはなっていない。

するとなんで?と言わんばかりに答えた。

 

「だって、ガラハドも王様の家来だもん!理由は知らないけど出ていったけど、それは修行をシてただけでしょ?だから、戻ってきたんでしょ?」

「……いいえ、違います。」

「…お前に聞いてない。」

「聞かれてなくても答えます。ガラハドさんはあなた方のことを忘れた。なのにそんなことをできるわけがありません。」

「それは!魂が覚えてたんだよ!だから!」

「そんなことはありえません。それならもっと早く帰れたはずです。でもしなかった。」

 

マリアはその言葉は間違っていると言わんばかりにそう答えた。

ペルスヴァルは違うと言い続けている。マリアは変わらない表情でそういった。

怒っている、とはどこか違う。苛ついているのは本当かもしれないが、マリアのことを今理解できるだろうロージャは戦闘中だ。

```

「あぁあぁああぁぁぁぁ!!うるさい!ウルサイ!お前なんてこうしてやる!あ…!」

「!…っぅ…ぐぅ…!」

「マリア!」

「ま…りあ、さん?」

 

ガラハドの近くに刃が偶然振り下ろされてしまった。それを背中でかばったのがマリアだった。

背中に強撃を受けて出血をしていた。ガラハドはその姿を固まってみてしまっていた。

肩から、腰にかけて酷い刃の傷が出来上がっている。

まずい、マリアはこのままでは…!

 

「……だい、じょうぶで、す。」

「まりあ、さん、おれは…!」

「…ガラハドさん、あなたが、どうするべきかを、決めなければいけません。私はそれを、拘束するけんりはない。」

「……おれは…。」

「…ですけど、わたしは、あなたにいきてほしいと、思っています。」

 

その言葉をマリアは言った。すぐに自身のE.G.Oで回復を試みる。

少しづつではあるが、傷が塞がっていく。

ガラハドは、無言で立ち上がった。近くにおいてある盾を取った。

 

「ガラハド…?」

「俺は、あの日に誓ったんだ!マリアさんを助けるんだって!何もなくなって一人だった俺を救ってくれたあの人を盾になるって決めたんだよ!」

 

鏡にうつる。それは、ガラハドの見た景色だろうか。

そこは裏路地の雨の降っている日だ。

 

「…!また…。ぐ…やめろ、やめてくれよ…!」

 

ガラハドはそこで震えていた。また、自分が何かをするのではないかと、震えていた。

体も大きくなった。ピアスはまだしていない。だが、顔に傷を負っていた。

苦しそうだった。そこに偶然一人の女性が通りかかった。

顔はうっすらと見えた。どうやらマリアだ。

今も変わらない白衣と、黒のシャツとロングパンツ。ハイヒール。

ガラハドは何故かそのマリアを見て、逃げてくれと言わないで、

 

「…たす、けて。」

 

そう、言った。

ダメだとわかっているのに。だけどマリアは手を差し伸べた。

 

「………コギトじゃない、だけど近しいものを使っている。おそらくこれで一時的に病状は収まるはずです。」

「…?」

「……この中和剤。ここであなたのために差し上げます。なりそうだと思ったらこれを。」

「マリアさん。」

「わかっています。リンバスカンパニーの職員さん。今向かいますよ。」

 

その後、獣にならなかった。ガラハドは夢じゃなかったんだと安心した。

 

「……あの人の助けになりたい。……俺なんかが助けになれる…?そっか、俺が盾になってあの人を守れればいいんだ!」

 

そうガラハドは決意した。色々と彼は学んだ。

家事もそうだが、他にも戦闘を学んだ。大きな盾を使う戦闘方法をとある人が教えてくれた様子だ。

そして、リンバスカンパニーの門をたたく。

なんとか入社して、マリアの研究室に配属になった。

 

「はじめまして、えっと、確かガラハド、さんでしたよね?」

「はい!ここの雑用とあなたの警護を任されました。ガラハドです。よろしくお願いします。」

「はい。よろしくお願いします。あぁ、こっちの子はジョリオ。私の…養子です。」

「えっと、ガラハド兄ちゃん、よろしく…。」

「おう、よろしくな。」

 

こんなふうに三人での生活が始まった。なれないことでたくさんやらかしたこともあったが、それでも

穏やかな時間で何かあればガラハドは盾を全うしていた。

ふと、気になることがあった。目が、合わないのだ。

定期的になってしまう獣のときは目があっている気がするのに。

 

「なぁ、ガラハド知ってるか?」

「はぁ?何がだよ。」

「マリア女史って人の顔が認識できないらしいぞ。」

「……は。」

 

はじめてだった。顔が認識できないと言われた。LCCAの人だろうか。

誰かまではわからない。

だけど、ガラハドが言われたのは衝撃的なことだった。

そうか、だから、目が合わないのだ。じゃあ、目があっているときは、俺が化け物だからなのだろうか。

あぁ、そっか。

 

「そっか。」

「おん?いいのかよ。」

「当たり前だろ。俺はどんなことであろうとマリアさんのことをお守りすると決めてるんだよ。」

「はは、大変なやつ。」

 

ほっとけと言ってそのままその映像は途切れた。

 

「俺は、顔を認識されないことを何処か安心していた。その時は俺が人でいる証だから…!目が合うときは化け物だって認識できるから。」

<ガラハド…。>

「やだよ!ガラハド、僕たちと一緒に王様を待とうよ!」

「いいや、あいつはもうここには来ない。あいつは絶対に来ることはない。だってあいつはお前らを見て失敗だって言ったんだ。」

「!」

「だから、こそ、お前らを俺が終わらせる!どんな事になっても!」

 

盾をしっかりと構える。そして周りの鏡を割った。するとペルスヴァルは痛そうにした。

鏡の破片は自分に刺さらないように工夫していた。

その盾の中腹で壊すと盾の下に自分の体をしまい込めるから鏡の破片はガラハドには刺さらない。

一枚一枚丁寧に割っていく。

 

「やめて、やめてよ!ガラハド!」

「いいや、もう、終わりにしようペルスヴァル。お前だってわかってるんだろ。」

「!」

「アーサーはここを破棄した。もう、ここには帰ってこない。…お前は、死ねなくなってゴーヴァンもギリギリ死んでない…いいや、死ねないんだ。」

 

今言われたことに少し驚いたが、それならば納得が行くような気もするが。

中身が変わってしまったというのであれば確かにその通りかもしれない。

近くでマリアがサラッと言った。ほとんど幻想体と変わらない状態である。と。

だから肉体が朽ちることはなく。だけども卵になるわけでもなく。

ただただ死ねないだけ。成長することもない。

 

「がら、はど。」

「ゴーヴァン。悪かった。俺は、帰ってきた。お前の願いに背いた。」

「……いいんだ。俺等を、お前が殺してくれるって思っているからな。」

「…できない。だって…!が…ぁ?」

「ちがう、お前は、できるんだ。……俺らだけじゃない。奴らを殺す力をお前が持っているはずなんだ。」

 

そう、ゴーヴァンが言った。

どういうことだと思った。ガラハドが盾から手を離した。

胸に手を当てて苦しそうだ。ペルスヴァルは先程やられた仕返しと言わんばかりに攻撃しようとする。

だけどその瞬間光る。鏡に一瞬だけガラハドが映る。その姿が獣だった。

まばゆい光が溢れてガラハドがいたところに最も美しいと思えるほどの獣がいた。

そう、前に見た真っ黒でおぞましい獣ではない。白銀で美しい獣だった。狼と呼ばれるようなものだった。

瞳はきれいなオレンジの色。ガラハドそのものだった。

 

「あ…。」

「……頼んだ、ガラハド。」

 

ペルスヴァルは見とれているようにも見える。そしてゴーヴァンは嬉しそうにしていた。

ガラハドの獣の爪はしっかりと最後の鏡を、ゴーヴァンを引き裂いた。

 

「…おわったんだ。」

「あぁ、やっと終われる。」

「……ガラハド、ありがとう。終わらせてくれて。」

「…悪かった。お前を無理に一人にしてしまった。……お前にこんなことを押し付けてしまった。」

「ね、マリア。」

「はい。」

「……ガラハドのこと、愛さないであげてね。」

「……はい。」

 

即答はしなかった。鏡は朽ち果てて、ゴーヴァンの遺体も灰になった。

そこにガラハドは倒れた。

依頼はこれで達成であると言って全員でバスに戻る。

 

結局な話だ。なんでガラハドはあれを殺せたのか。マリアに聞いた。

理由としてはおそらく、もとより施術を受けていたものが自身の中和剤を化学反応を起こした結果。

ではないかと言った。それか、元々終わらせることに特化した力が発現するはずだったのかもしれない。

だけどこの力はガラハドさんの意思では発動できないでしょうと言う。

 

「え?なんで?」

「おそらく、この力は幻想体も殺せます。」

「!」

「世界のそれを崩しかねないものが、一人の人の力だけで殺せるんです。……ですけど、反動がでかすぎます。」

 

それなりに鍛えているガラハドがバスが動き出してそれなりに時間が経っているが起きる気配がない。

 

「おそらくですが、今は発現したばかりというのもあるかもしれませんが、自分の中の何かが高ぶっているときに限りその力が表に出てくると行った様子でしょう。」

 

つまり自由には使えない。だけど、必要だとガラハドが感じたときに表に出てきて殺すのだろう。

それと、気持ちが高ぶっているときだけというのも追加だそうだ。

かなり使いにくそうではあるが。

 

「…よっぽどのことがないない限り使わせませんよ。」

 

マリアは優しい微笑みをして少し疲れたと休み始めた。

ガラハドをベッドまで運んで私達はその場から退散した。

 

数日後。

 

「…すみません。ご迷惑おかけして。」

「いいえ。」

「マリアさん、どうか俺をずっと愛さないでください。」

「………難しいことを言いますね。でも、それがあなたの望みなら。」

 

目を合わせないで、マリアさんは言った。

このことに俺は安堵した。おれの獣のそれはある程度制御できるようになっている。

おそらく俺の中で覚悟が足りなかったのだ。

全く情けないことだが、二人にもうカッコ悪いところは見せられない。

俺は、ちゃんとマリアさんを守るために盾になるために今後もしっかりとやるよ。

ペルスヴァル。ゴーヴァン。

 

 

「満足、ですか。」

「えぇ、満足です。」

「そうですか。……なぜあそこにガラハドさんを行かせるように言ったのですか。」

「えぇ、だってそうじゃないと彼らは一生終われないからに決まってるじゃないですか。」

「……はぁ、マーリンさん。これきりにしてくださいね。」

「はは、わかっていますよ。美しいマリアさん。」

 

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