【Limbus_Company】自囚人と創作キャラの創作物まとめ   作:彩花@clover

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戦闘書くの大嫌いです。


XX章【抱える不幸と見える幸福】中編

 

進んでいくと、周りの風景が変わる。ヴロンスキーは何が起こったのかわからない様子ではあるが、騒いでも無駄であると悟ったのか言葉を発しなかった。

そこは屋敷なのか、わからないほどに、背景はぼやけている。ただ、外は寒そうに雪が降っていることは理解できる。

外が真っ白であることだけは分かるのだから。おそらく雪が降っているのかもしれないと。

真っ白な外の景色をみていると誰かの声がする。

だが、それはアニーの声ではない。音は聞き取れない。

恐らくここはアニーの自我心道のはずだ。アニーの心情が聞こえるのだとどこかで思っていた。

だが、それはないように思えた。ここがアニーの居た場所なのかと、私は思ったがそれならば何故、こんなにもはっきりとしないのか。

グレゴールがいう。眼鏡を取った後の世界のようだと。炳吾もそれには納得をしていた。

ほんの少しだけ見えるようになってきた。シルエットの場所的にあれは髪だ。

長い黒髪の人物が見える。おそらく、女性だろうと良秀は言った。そしてホンルがあれはそれなりに質のいい部屋着だという。

女性は、自分の手の中にいる…子供、だろうか。それをあやしているようにも見える。

正しくは何をしているのかわからないが。

 

『■■■■■■■■■■』

『■■■■■■■■■■』

 

女性の声と、おそらくその子どもの声だろうものだと思われるのだが、内容もほとんど声も聞き取れない。

一体、何故なのだろうか。

ファウストはこのときの現象を前にもみたことあるはずだと言った。

 

<…リチョウのときのかい?>

「はい、おそらくはアニーさんに欠落があるからこのように見えなくなっているのでしょう。」

 

そして、いつも自我心道で聞こえているはずの声が聞こえない。また違うものだと理解できる。

リチョウのときはリチョウの声と敦の声が両方とも聞こえていた。今回は何もかもが違う。

そう、いつもは心象を語る存在…アニーがいるはずなのだが、それが居ないのだ。アニー本人は何も語らないのかと。

アニー自身に何か欠落があるのかもしれないと。

…確かに、ふと思うときはある。アニーはどこか崩れてしまいそうなところがあると。

欠落があるせいでなのかはわからないが、今にも壊れてしまいそうに思う時がある。

たまに見せる、変わる一人称。アレのときのアニーはどこか違う人のようにも思える。

ロージャがなにか気になった様子で言った。

 

「自我心道が安定しないってアニー自身に問題があるってこと?」

「でしょうね。アニーさん自身に何かが起こっているのか、そもそも彼女自身の記憶じゃないかのどちらかでしょう。」

「アニーさんの記憶じゃなければって…。」

「二重人格とか、ですか?」

「なるほど、片方がしていたことを片方が理解できない。だからと?」

<まぁ可能性はたくさんあるさ。……アニーのことを私達はちゃんと知っているわけではないのだろうね。>

 

ファウストが答えて、イシュメールとシンクレアが何かをいう。二重人格という言葉にリチョウが少しだけ反応する。

彼の場合は二重人格とは少しだけ違う気がするが。

グレゴールが納得をしたようにちらっとリチョウを見るが、その件に関してはまだ敦と深層心理で相談し合っているのだろう。

私達が見える自我心道がなぜ、そうなってしまっているのか、誰にもわからない。

ただ、女性の顔も子供の顔をしっかりと見えない。

それでも、自我心道は進んでいく。勝手に進む映画のようだとヴロンスキーはいう。

そのとおりだと私も、そして囚人たちも思った様子で少しだけ頷いていた。

 

自我心道の物語が進む。女性は、眼の前に誰だか知らない人間がそこにいる。

おそらく男性であるとムルソーが告げる。女性の旦那であろうと推測した。

…旦那であるだろう男性は女性にしたいして妻に対してそっけないというか興味がないようにも見える。

女性の周りには糸が見える。何故かその糸ははっきりと見えた。

人形はその人のためにしか動けない。その人が動かさないと動けない。

だからこそ、操り人形はどこかさみしいものである。女性は悲しそうな音をあげているように思えた。

キィ…っと操り人形の関節部分を無理矢理動かしたようなおとがしたような気がした。

 

「!」

「全員戦闘準備!管理人様、後ろに!」

 

その悲しい音とともに、それに呼応するかのように幻想体が現れた。

幻想体は操り人形だった。一体の人形がそこに現れていた。

操り人形は美しい薄水色のドレスを着ており、黒髪で顔はとても綺麗だが、足は営利な刃物である。

あの女性の顔はこんな感じなのだろうかと思ったが、おそらく違うのだろう。

なぜだかわからないが違う気がしたのだ。

 

その人形はまず、手近に居たドンキホーテを狙う。手には急に生えてきた仕込みナイフのようなものがある。

ナイフで突き刺してこようとするが、人格をすぐに入れ替えてセンク協会のドンキホーテにした。

センク協会のドンキホーテはそのマントを翻してその、ナイフの攻撃を回避をした。

 

「不意打ちとは決闘にあるまじき行為である!」

「…しっかりと、相手をみて…刺す!」

 

更にセンク協会のシンクレアを呼び出して戦闘に突入する。

後ろにはサポートをしてもらう名目で選んでいるセンク協会のウーティスもいた。

 

「人形など、清掃しても面白くない。」

「いとなみなればやるべし…」

「…き・マ。(教育するよりはマシか)」

 

W社のイサンと、W社の良秀を呼んだ。他にもW社のファウスト、ムルソー、ホンルも呼び出しておいた。

副船長のグレゴールは私の近くで待機している、同じくディエーチ協会のロージャも近くで待機してくれている。

人形は標的をあまり動いていないイシュメールへと変えた。そのイシュメールの手には大きな光る棍棒のようなものがある。

イシュメールはR社のイシュメールを呼び出していた。

その棍棒とも言えるようなもので殴る。ドゴッ!っと大きな音を立てるが、あまり人形にダメージははいっていない。

イシュメールの方へ行ったのを確認して背後からR社のヒースクリフが弾丸を撃ち込む。

全部ではない。とりあえず様子見の弾丸だ。

だが、こちらもあまり相性の良い攻撃ではないように思える。傷がついていない。

 

「あぁ!?かってぇな!」

「隙間を攻撃するのは?」

「それであれば、行きますぞ!シンクレアくん!」

「…はい!」

 

一点集中。二人は自身のレイピアを人形の関節部分に突き刺す。

シンクレアとドンキホーテは突き刺した後にそのレイピアを同時に引き抜いた。

だが、人形はまだ動いている。だが、関節部分に攻撃したのを怒ったのか、

カランカランと二度跳ね上がったように見える。その足には先ほどから見える足の鋭利な刃物が上に上がったのが見えた。

私達よりも高いところにあるのが見える。

 

<大きな攻撃が来る!炳吾!>

「…任せな!」

 

山賊の炳吾はその刀を地面に突き刺す。山賊の炳吾は水色の羽織と青い括袴(くくりはかま)と脛巾(はばき)。

その服装がすぐに変わっていく。神父のような真っ黒なカソック。その腕は祈りを矯正されたように黄色のもので縛られている。

普段髪を縛っている紐は取れて長い髪が揺れる。その両手を天に掲げて

 

「この視線はお前への侮蔑の視線だ。耐えられるか試してやるよ!」

 

目が、見える。人形の裏に大きな瞳が見える。鋭い瞳だ。

その目で捉えて更に人形の下から大きな手が生える。その手は人形を鷲掴んで、グシャリと握りつぶす。

どうやら人形の大きな攻撃は避けられた様子だ。WAWクラスのE.G.O『軽蔑の螺旋』だ。

だが、炳吾の精神がごっそりと持っていかれたらしい。

 

「…っ。」

<炳吾…!>

「へ、この俺がそう簡単に負けるわけがないだろう。」

 

だが、人形へのダメージはほとんど無い。おかしい。

先程のそれも加えて他にもダメージを与えていたはずだ。

それが一切攻撃のダメージが入っていないというのには違和感がある。

これでは消耗戦に持ち込まれて、負けてしまってもおかしくはない。

すると、シ協会の敦がなにかに気がついた様子で私に話しかけてきた。

 

「…おい、あれの注意を逸らせ。」

<え…?>

「早くしろ。」

<……わかった。>

 

イサンと良秀に関節部分を攻撃しながら、人形の意識が敦の方へ向くように仕向けさせる。

それに追撃と言わんばかりにイシュメールも攻撃を開始する。遠距離から攻撃をして当たらないように私からも声をかける。

足の刃物がイサンに当たりそうになるが、それを自身の持つナイフで防いでそのまま右へいなす。

いなした後に良秀がその首を狙って落とそうとするも異常に硬い首が落とせないった。

落とせないと気がついて、すぐに蹴りを入れて距離をおく。

完全に人形の意識はそちらへと向かう。敦は何をするつもりなのだろうか。

理解が出来ない。だけども何かをするつもりなのだろう。

 

ふと、キンッと音がなった。その瞬間に人形は事切れたかのように崩れ落ちた。

急すぎる出来事だった。何が起こったのか理解できない。

 

「…終わりだ。」

<敦…何を…?>

「…糸だ。糸を切り落とした。」

 

敦の言う通りに見るとそこには糸があった。人形はいつの間にか卵になっていた。

人格を解除すると、びっくりしたと言わんばかりにみんながみんなホッとする。

かなり急に襲われたからどうしたものかと思ったものだ。

 

「本当に、ここには化け物がいるのだな…。」

「その化け物たちがエンケファリンを生み出していた。らしいけどな。」

「…ここまで良くぞ、ここから出てこないですんでいたな…。」

 

後ろの方に隠れていたヴロンスキーは腕を震わせて出てくる。確かに都市の巣に住んでいるとこういうのには合わないというのは聞いたことがある。

というかK社で雄牛が暴れていたとき確かにかなりの大騒ぎになっていた。

グレゴールがコイツラが都市を支えていたクリーンなエネルギーであったエンケファリンを生み出してという話をするとヴロンスキーは険しい顔をして

幻想体が良くも脱走せずにすんでいたなと思っている様子でそう告げた。

そもそもここは埋没されていたのだから出てこれないようになっていただけに過ぎない。今更であろう。

幻想体に関しては何故そんなものを出すことができるのか、何故そんなふうになっているのか。

どうやって発見したのかも私達にはわからないのだから。

幻想体が生まれる方法はマリアが一度見せてくれた。彼女は井戸の深淵にもある程度耐えられると前に誰かが言っていた。

……そして何故、黄金の枝が生まれたのかは知らない。今は何もわからないなりに進むしか無い。

 

また自我心道が映りだす。

外へと向かう女性らしき影が一人、先ほどよりは小さな屋敷の前におそらくこちらも女性。

その周りには小さな動く影が見える。おそらく子どもたちがいる。何か会話しているのか、わからないが、どうやら楽しそうに見える。

外に出た女性は自身の子供だろうか?その手を引いて電車だと思われるものに乗る。

その近くの物陰に男性が居た。女性を眺めている様子だった。

女性はそれに気がついているのか居ないのか、わからないが、電車に乗り込んでいた。

また場面が変わる。

先ほどもみた大きな邸宅の中だと思われる場所。

男性だと思われる姿と女性とだと思われる姿。何かを話しているようにも思える。

 

『■■■■■■■■』

『■■■■■■■■』

 

内容は全然聞き取れない。だが、女性だと思われる存在のほうが顔をそむけているようにも見える。

何故、こんなにも何も見えないのか。これが自我心道として正しいのかもわからない。

アニーは全て本当に忘れてしまっているのか。誰も答えが出なかった。

確かに彼女は何故自分が囚人と呼ばれているのか知らないと言った。

どういう意味合いで忘れているのか、何を知らないのか。私達には理解が出来なかった。

 

次に現れたのは豪華な屋敷の中だった。

どうやら、光り輝く社交界である様子だ。シンクレアが気がついて教えてくれた。

やっとそこのドレスくらいならば、見える。真っ赤なドレスである。

社交界のドレスはイブニングドレスであると決められているらしい。

首から肩にかけて布が無い腕も完全に露出している様子で首元にはきれいな宝石がある。

腰元で大きなリボンで括られており、花のようにも見える。所々にスパンコールが散りばめられている。

スーツを着ている男性と一緒に踊っている。

ヴロンスキーは見覚えがあるような顔をする。少し近づこうとしたところを何があるかわからないとイサンが止めた。

何故近づこうとしたのかと聞くとヴロンスキーは悲愴感のある顔で答える。

 

「…私と、アンナが共に踊った。あの真っ赤なドレスだったのを覚えている。…あれはアンナではないのか?」

「は?……既婚者と、社交界で踊るって大丈夫なの…?」

「え…っと僕は良くは…。」

「えぇ、そうですね~旦那さんの知っている方がいればまぁ」

 

良くない噂は流れるでしょうとホンルは言った。ヴロンスキーはそのへんは理解している様子だ。

複雑そうな顔をしていた。シンクレアもなにか言おうとしたが、何かを言えなかったのは気を使ったのだろう。

ホンルは気を使わなかったが。この前は色々と気を使えたと思ったが、おそらくロージャの質問に答えたつもりなのだろう。

まぁ、しかし気になることが増えた。だとしたら何故、アンナの姿がここにでてくるのか。

アニーとなんの関係があるのか。血縁者だとしてもアニーが一切出てこないなどおかしい。

この自我心道は明らかに異常であると、思えていた。私だけではない、他の囚人たちも思った様子だ。

 

更に奥に進む。私は、嫌な感覚に襲われた。

ぞわりとした、PDAを開いていすぐに人格牌をつけられるように準備をする。

眼の前には子供がいた。身長的には子供だ。頭巾を被った子供。

子供は背を向けている。その子供はぐるりとこちらを向いた。その首は180回転してそのまま後ろを向いていた。

顔はどう見ても人ではない。真っ黒な顔の形をしたものだった。

目も、口も、耳も無い。ただそこにあるのは顔の形だけだ。

 

『愛してるよママ』

 

その幻想体はそう言った。口があるようにも見えないのにそう聞こえたのだ。

まるで頭に直接言われた。言葉を話せる幻想体かと思ったが、違う。

何度も何度も同じ音を繰り返すだけだ。

それが相手になってくれると信じて。

 

子供が地べたにぺたりと座っている。その周りには大きなトゲが7本。

剣契ムルソーと剣契シンクレアが子供の方へ走っていく。

周りが二人を攻撃しないように、剣契ドンキホーテと剣契ウーティスが刀で弾いていく。

剣契イサンと剣契ファウストがこちらの前でいつでも対処できるようにそこに居た。

リウのグレゴールとホンルと良秀と炳吾が私の前に残ってくれている。

数が多いので攻撃の担当と防御の担当を分けようと言うことでこの分け方になった。

中距離部分でリウのロージャとイシュメールが構えている。どんな行動をしても動けるようにしている。

剣契の敦はすでに背後に向かっているのか姿が把握できない。

シ協会のヒースクリフは敦とは逆側で何かを仕掛けに言ったのは見える。

 

「っ!」

「…。はいっていない。」

「頭目…!」

「一旦離れるぞ。」

 

どうやら他にギミックがある様子でシンクレアとムルソーの攻撃ははいっていない様子だ。

だが、答えはすぐに分かった。こちらに攻撃を加えようとしていたトゲを攻撃していたウーティスが気がついた。

 

「トゲが…!」

「このトゲを攻撃すればいいのでしょうね。」

「なるほど!これを切り落とせばいいのでありますな!」

 

攻撃対象をトゲに変える。ただ、このトゲ急に自身の周りにほかのトゲを生み出して体を突き刺してくることもある様子だ。

一本縦に長いトゲのその周りにトゲが横に生える。そのトゲに刺さってダメージが大きい。

だが、ムルソーはそれを逆手に取れる。

そう、ムルソーはその攻撃を受けた後に、強い反撃をうつ。仲間を守りつつそのまま攻撃に転じる。

目で終えないほどのスピードでトゲを切り落としていく。こちらに向かってきて居た。

だけども、

 

「手をださせるわけが、ありません!」

「よ・さ(弱くは無いだろうが、さっさといね)」

「そうそう、わたしたちがここにいるからね!」

 

燃える拳が、トゲを燃やし尽くす。ぱらぱらと灰が舞う。いっそそれも美しいのかもしれない。

イシュメールの拳がしっかりとはいって、根本の方に良秀の拳がはいって、最後にロージャの拳が入る。

それを食らって居たらトゲは灰になるのは当たり前だったのだろう。

子供の背後の方にあったトゲは剣契の敦とシ協会のヒースクリフが壊していた様子だ。

あそこの二人は一人で戦っている方が性に合うんだろうか。

トゲの撃破に成功していいて最後は…。

 

<シンクレア行けるぞ!>

「…!」

 

最後にズパンっ!っと入れた。上からキレイにたたっ斬った。

パカンと割れてキレイに左右に倒れていく。そしてトゲは消えた。

子供が卵になったのを確認してこれで問題ないと先に進む。

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