【Limbus_Company】自囚人と創作キャラの創作物まとめ 作:彩花@clover
堕ちたもの同士。(リチョウさんというか敦君)
「よっ。」
「あ…炳吾さん。」
「あぁ、あんたには色々聞いてみたくてな。」
「私に、ですか?」
「あぁ。」
リチョウは食事の席で食べられるものをちまちまと食べていた。
元より、そこまで大口ではないので食べている様子だ。
そこにチャラい男、もとい、炳吾(ヘイゴ)が現れた。隣に失礼と座り込む。
リチョウはあまり表情に出さないようにしたが、おそらく嫌と言う顔が出てしまっているだろうなと思っている。
彼に対してどこか苦手意識があるのだ。
「いやまぁ、あんたの二重人格がどことなく羨ましくてさ。」
「え…?」
「だって、大切な弟がその身を挺してあんたを助けてくれたんだろ?」
「そう、ですね。」
その事をさらっと真剣な顔で伝えてくる。
羨ましいといった表情にも思える。ただ色眼鏡であまり詳しくはわからないが。
だが、少し寂しそうだ。
「…寂しいんですか?」
「……さぁなぁ?でも、あんたも、『あんた』も寂しいんだろ?会えないしな。」
「……。」
「なぁ、どうなんだ?敦。」
リチョウの雰囲気が変わる。かなり鋭い気配。
炳吾は気が付く。あぁ、来てくれたんだなって。
「もっと普通の呼び方をしろ。」
「はは、悪いな。…こうした方が呼び出しやすいだろ?」
「…はぁ。」
「で、実際どうなんだ?」
寂しいかどうかを聞いた。敦は知らないふりをしようと思ったが、おそらく答えないとこの席から退きはしないだろう。
敦はこのタイプの人間のしつこさはなんとなく知っていた。
「…寂しいとは、おそらく違うだろう。奴には自覚はないが、俺たちは会っているしな。」
「ほう…それは…いいな。孤独じゃなくて。」
やはり羨ましいといった表情だ。
「お前の理想を押し付けるな。」
「あぁ、悪かったな!はは…湿っぽくするつもりはなかったんだ。」
「……お前の言う堕落とは、なんだ。」
「あぁ?」
「ふと気になっていた。」
炳吾は少しも悩まないでこう答えた。
「堕ちる道を堕ちきることにより、自分自身を発見し救わなければならない。ってな。」
「つまり、すくわれている、と?」
「…まぁ、そう言うこったな!」
にかっとしてごまかしている。
これは嘘ではないが、全部ではないなと敦は理解した。
だが、これ以上は言わないだろうとわかっていた。
「奴の食事は終わっているからそろそろ出るぞ。」
「あぁ、俺も参考になったからありがとな。」
すっと席から退ける。そのまま敦はいなくなる。
「…あぁ、やっぱり。羨ましいな。」
何処か一人寂しい顔をする。
坂口安吾【堕落論】より引用
正しい事(マリアさん)
※ミーティング=打ち合わせや連絡のための会合。会議とさほど変わらん。
LCCAの居住区兼研究所へ向かっていた。今度はヴェルギリウスが用事があるという事で向かったのだった。
珍しいなとバスの面々は思いつつもバスはその場所へと向かう。
ヴェルギリウスの検査と軽いミーティングが終わるとそれなりの時間になっていたのでガラハドが食事をふるまう事に。
その食事に舌鼓をうっている。彼の作る料理はかなりおいしい物だったから。
皆が寝静まった後、炳吾は眠れないと思った。
仕方ないなと思ってキッチンへと向かう。
そこにはなぜか飲酒者がほとんどいないはずのここにウィスキーがあった。
「お、いいのあるなぁ…名前とかかいてねぇよな…。よし。後、つまみは…。」
「何してるんですか?」
「おわ!?」
炳吾は後ろから声が下からそちらを見る。一瞬目線が高くて誰もいねぇと思ったが、違う。下の方だ。
大体20cmほど下を見たら目が合ったように思えたがおそらくあっていないだろう女性がそこにいた。
ここの管理人で責任者であるマリアだ。
最も見つかってはいけない人に見つかったと思ったのだったが、
マリアはその手に持っている物を見て溜息を吐いて一言いう。
「それは、とあるの人が適当に買ってきて飲めないといったもので困っていたものですからどうぞ。」
「え!?マジで?」
「えぇ、あ、おつまみが欲しいならあの辺ならガラハドさんは怒らないと思いますよ。」
意外と乗り気である。だが、マリアは酒を飲まないタイプの人間のはずだ。
マリアも冷蔵庫を開けて欲しかったものを取り出す。
その手にはガラハドが事前に作ったのであろうマリアさん用のと書かれたものを手に取っていた。
その中身はヨーグルトであった。
ただ、その中には乾燥されたフルーツが入っていた。それに手を出す気はなかったので怒られないだろうおつまみを取る。
談話室の方までもっていくよりもこのキッチンルームに一緒にあるテーブルで飲んだり食べたりした方が楽だとという事でマリアも一緒ではあるがご一緒した。
マリアは必要な分だけ取り分けて後は冷蔵庫にしまってティーカップの紅茶を飲んでいた。
先程まで研究室にいたはずでどうやって気取られないようにここに来たのか気になった。ので聞くことにした。
「なぁ、マリア。」
「はい。」
「どうやってここに?」
「…?不思議な事を聞きますね。あそこに扉があるじゃないですか。」
「え?でもあそこ倉庫だろ?」
「別の扉の方が私の研究室に繋がっているんです。」
「なーるほどなぁ!よーく出来てるなぁ。」
妙に納得できた様子である。
それならあの大きな扉よりも簡単に静かに開けることの出来る扉だ。
キッチンから談話室に行くための扉はそれなりに大きい物である。
あけてしめてもそれなりの大きな音がする。
静かに閉めても音はなる。だが、こっちの扉は静かに開け閉めできるタイプの物であるがゆえにマリアがほとんど無音で入ってきたのにも納得がいく。
「いやぁ、しかしここに酒が置いてあるとはなぁ。」
「料理のためのなら基本有りますよ。」
「んあ…あぁ、酒を使う時もあるか。」
「えぇ。」
マリアはたべて紅茶を飲んでそう告げてきた。炳吾もつまみながら話をする。
マリアは進んで喋る方ではないが、この静かな空間がどこか安心感が持てるのだった。
炳吾はマリアに聞けたらと思っていた事を聞こうと思った。
「なぁ、マリア。」
「はい。」
「…アンタは、俺の事をそれなりに知ってるんだよな。」
「まぁ、それなりには。」
「…なら、俺は…今、ここにいることは正解なのか?」
何処か苦しそうな声で言う。マリアはそれに対してどうこたえるか悩んでいた。
答えられない部分もあるが、それでもこれはマリア個人の考えになる。
だからこそ、答えてもいいだろうとマリアは答える。
「…おそらく、間違っていませんよ。」
「…そうか。」
「理由はいりませんか?」
「あぁ、その一言だけで十分だ。……俺は、あの二人をあそこから解放してぇだけだからな。」
「…出来ると、いいですね。」
「あぁ。」
二人は食事をしつつ軽く会話をしていたという。
あそこから解放とは、どういう意味だろうか。
きっとそれは今この二人しか知らない何かなのだろう。
独白
「なぁ、俺のあの作品どうだったよ!炳吾!」
「あぁ?あのあんたの自伝みてぇな奴か?面白かったよ。」
行きつけのバーで飲み明かしている。
これはいつもの事だ。あいつは電気ブランを飲んで、俺はゴールデン・フィズを飲んで。
「どう面白かったか聞きてぇんだけど!」
「あぁ?そりゃぁあんた、あの作品読んであんたの事を知ってればあんたを思い浮かべるだろうなって事だよ。」
「書き方がうまいちゅーことやろ?素直に言えばええんに。」
「へっ、素直にほめたらちょーしにのるだろ?」
「まぁ、否定せんわな…。」
最期の一人がやってきた。
この三人でよく飲んでいた。俺らは何度も二人の書き出すものに感想とかを伝えていた。
俺も書いていた。だけど、それが本当になる日が来るとは思わなかった。
この時間が何か月も何年も、何十年も続けばよかった。
だけど、それは出来ない。それがこの都市という所だった。
「■■■■!!!■■■■!!!」
「お、へいご、か?」
「はは、はぁ、あかんなぁ…。」
「おい!お前ら、早くそこから…!」
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
俺は、彼らのそれを見ているしか出来なかった。
その目の前には大きな桜の木と、周りには桜の森があった。
周りには誰も、居ない。そう、これが孤独だと、思い知らされた気分だった。
うっすらと声がする。
「■■■■■■■■■■だからよ…?あんたが、■■■■■■■■■をしてくれないから。」
「うるせぇ!誰が、お前の言う事なんか!」
「あぁ、かわいそうな炳吾…■■■■■■■■■■■■の孤独から逃げることは出来ない。」
あれを■■■■しないと、だけど出来ない。
呼吸が苦しい。まるで俺が一人である事をあざ笑うかのようなその桜が憎らしい。
だけど、そうだ。
俺は、逃げた。その場から。いつか、いつか、俺はこの桜を■■■■■■■
ジムペディ(マリアさん)
LCCAの居住区兼研究所にてまた二人はそこにいた。マリアが休憩と言って紅茶を飲んでいる。
その隣にで大分精神を疲弊しているのか、眼鏡を外して目頭を押さえている。
ソファーに完全に寄りかかっている炳吾がそこにいた。
だるんと体を預けているせいで足は机の脚に当たっている。先ほどまでは上に乗せていたのでマリアが丁寧に落としたところだ。
「今日はどうなさったんですか。」
「……くそみてぇな夢を見た。」
「成程。それで嫌な気分になっていると。」
夢の内容を聞く。少しいいにくそうだったが、言った方が少しは解決できるかもしれないと一応相談に乗ってくれる様子だった。
どちらにしろ、このマリアはある程度自分の事情に詳しいと把握はしているのだから、言うべきかと思って口に出す。
「あいつらが、居ないんだ。」
「…あいつら、ですか。」
「あぁ、あいつらが、居なくて、俺だけ天才だってもてはやされて。違うって言っても誰も聞いちゃくれねぇ。」
「……なるほど。」
「ちがうんだ、俺は天才なんかじゃない、俺は、がらんどうで、孤独を嫌っている偽物なんだ…。」
「…。」
「なぁ、マリア…俺は……。」
そこまで聞いて、あいつらが何なのか理解出来たマリアは、そう言えばあったなと思って本棚に向かう。
本棚に向かうマリアに対して炳吾は何してるんだと思っていた。
二冊の本を持ってきた様子で机の上に置いた。
「夫婦善哉」と「グッド・バイ」と書かれた本だった。
その作者の名前には可能性の文学には織田作之助とグッド・バイには太宰治と書かれていた。
「これ、は…。」
「…これは私のではありません。ここに来た人が興味深かった、面白かったとおいて行った本です。」
「!…そぉか…。」
「…あなたの見たものはしょせん夢でしかありません。彼らの証はきちんとここにあります。」
その二冊に優しく触れる。夢じゃないと現実にあるんだと思い知らせるようにしっかりと触れる。
綺麗な装丁をしっかりと理解するように触れる。
二人が残した本をしっかりと触れてそこにあるのだと理解する。
ぽろぽろと涙を流している。本当にこんな形で残っているモノがあるとは思わなかったから。
「あぁ…?」
「…。」
「おれ、なんで、なみだ、ながして…いや、あいつらがここにあるんだから、安心したのか?はは…かなり弱ってるのな、おれ。」
「元々そうだと思っていましたよ。」
「…なぁ、マリア。もう一ついいか?」
「はい?」
「ピアノ、弾いてくれねぇか?」
「…あまり、うまくはないですからね?」
「それでも、頼むよ。」
そこに置いてあるピアノを開ける。偶にマリアが気分転換に触れるのと、シンクレアが触れている。
少し拭いて指で一音鳴らす。問題がない事を確認して、椅子に座って弾き始める。
何処かで聞いた事のあるような楽曲だった。
暖かい音でそれでいて寂しさに寄り添うような音。
「あぁ…いい音だな。」
マリアは弾いているからそちらに集中している。
その音を聞いていて、そして、近くにある二冊の本を触っていたら少しずつ眠たくなってきた様子だ。
ソファーで横になった。弾き終わったマリアが近くの物入れに毛布があったとそれをかける。
「おやすみなさい。炳吾さん。よい夢を。」
そう言ってマリアは自身の紅茶を飲み干して研究室に戻るのだった。
ジムペディは精神が落ち込んでいる時に聞くと良いらしいよ。