FAIRY TAIL転生記~炎の魔王の冒険譚~   作:えんとつそうじ

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どうも、えんとつそうじです。


今回はあの御方との会話。


いろいろ設定はいじくってありますが、話の展開的には前作とあまり変わっていませんが、それでもよろしければ、暇つぶしにでもお読みください。


第十話 少年の復活

「―――悪魔だと?」

 

 

 俺は、その青年、サーゼクスの言葉に思わず身構える。

 

 

 『悪魔』。

 

 

 村長の言葉によって、この世界に本当に悪魔が存在することは知っていた。村の英雄である悪魔は、人間を助けてくれたが、悪魔とは本来、その殆どが人間を害するものだということも。

 

 

 だからこそ、サーゼクスの突然の言葉に、戸惑い、その真実を疑いながらも、俺は思わず警戒したのだが、そんな俺の様子を見て、サーゼクスは、特に不快な感情を見せることはせず、苦笑する。

 

 

『ふふ、まあ悪魔といわれて警戒するなという方が無理か。―――でも、まあ安心していい。私は君に危害を加えることはない。いや、したくてもできないというほうが正しいか』

「?どういうことだ?」

『今の私は実体を持っていないのだよ。今は君の肉体の中に寄生させてもらっているようなものだからね」

「………は?」

 

 

 青年のその言葉に、俺は思わず間抜けな声を出してしまう。

 

 

 そりゃあ、そうだろう。まさか、突然現れた悪魔を名乗る青年に、自分の肉体に寄生しているといわれれば、こんな反応になっても、仕方がないと思う。

 

 

 そんな俺の反応がおもしろかったのか、紅の青年、サーゼクス・ルシファーは、くすりと一つ笑ってから語りだす。

 

 

『まあ、混乱するのも無理はない。この状況は私も予測していなかったからね』

 

 

 そういって、サーゼクスは自分の事を話してくれた。

 

 

『まず、初めに謝っておこう。先ほど私は自分のことを「ただの悪魔」といったが、性格にはただの(・・・)悪魔ではない。人々は私のことを『ゼレフ書の悪魔』と呼ぶ』

「ゼレフ書の悪魔?ゼレフって確か、あの神官どもが崇拝してた……」

 

 

 俺のその言葉に、サーゼクスは神妙な顔で頷く。

 

 

『ああ。最凶最悪の黒魔導師ゼレフ。その男が創り上げた、怪物。いわば「生きた魔法」と呼ぶに相応しい存在。それこそが、通称ゼレフ書の悪魔。私はその一体なのだよ』

「……マジか」

 

 

 なんだ、そのRPGの中ボスみたいなポジションの存在は。

 ていうか、なんでそんな存在が、俺みたいにごく普通(笑)の子供の中に宿ってんだよ、おかしいだろ。

 

 

 そんな、俺の考えが透けて見えていたのか、サーゼクスはその口元に笑みを浮かべながら、話を続ける。

 

 

『さて、ではなぜ私が君の肉体に寄生させてもらっているのかというと、その原因は君がこの世界に始めて来た時に現れたあの場所にある』

「あの場所?」

 

 

 サーゼクスのその言葉に、俺は村長の言葉を思い出す。彼が俺を見つけた場所。かつて、ローズマリー村を救ったといわれた英雄と呼ばれた悪魔の墓のことを。

 

 

 ……まさか、

 

 

「かつてローズマリー村を魔獣の群れから救った悪魔っていうのは、あんたのことか?」

『まあね』

 

 

 照れくさそうに、頬を掻きながらも、サーゼクスは話を続ける。

 

 

『君も知っているとおり、悪魔というのは本来人と敵対する存在。そして、闇から生まれた存在である我らゼレフ書の悪魔は、さらにその特徴が顕著になる。―――だが、私はどうやら欠陥品だったようでね。他の悪魔と同じように行動しながらも、前々から自分たち悪魔の行動に疑問を持っていた。ここまで、人間を敵視する必要が本当にあるのかとね』

 

 

 サーゼクスがいうには、そんなことを思うのは自分一人だったらしいので、何かおかしいと思いながらも、悪魔の本分と、多くの人間たちをその手で葬ってきたらしいのだが、そんなある日、彼は一人の少女に出会ったのだという。

 

 

『―――大丈夫ですか?』

 

 

 とある強力な魔導師との戦闘により、重症を負っていたサーゼクスは、その時とある森で体を休ませていたのだが、その時ある少女に助けられたんだそうだ。

 

 

 光り輝く銀色の髪を持つその少女の名は、『グレイフィア・ローズマリー』。当時のローズマリー村の村長、その一人娘。

 彼女は村近くの森で、薬草を摘みに来たらしいのだが、そこでサーゼクスの姿を見つけた彼女は、彼を村に連れ帰り、治療を施したらしいのだが、サーゼクスは村で彼女と過ごす内に、彼女にある感情を抱くようになった。

 

 

 

 

 ―――そう、サーゼクスはグレイフィアに「恋」をしたのだ。

 

 

 初めは気づかなかったが、気づいた時には彼女の姿を目で追っており、彼女の姿、行動に一喜一憂する自分の状態をおかしく感じたサーゼクスが、彼女の親である村長に相談してみたところ、彼はその感情が恋だと知ったのだ。

 

 

 それからの彼の日々は、彼曰く、生涯で最も幸福な日々だったらしい。

 

 

 どうやら、彼女の方も、サーゼクスの気持ちに満更でもなかったらしく、村の人たちは、いつサーゼクスが彼女に告白するのか、賭けていたほどだそうだ。

 

 

 だが、そんな時に、村に不幸が襲う。彼が少し出かけている間に、彼を探しに来た、彼の同胞、ゼレフ書の悪魔たちが村を壊滅に追い込んだらしいのだ。

 

 

 サーゼクスはいう。その表情を、憎しみの感情で僅かに歪めて。

 

 

『私が村に戻ってきた時には、既に村は壊滅し、彼女は帰らぬ人になっていた。―――初めてだったよ、あそこまで涙を流したのは』

 

 

 彼は、村を襲撃していた悪魔を始末し、村人を弔った後、自分が所属していた悪魔の勢力から離脱し、二度とこのような悲劇を繰り返さないためにも、悪魔から人間を守るために旅に出たのだとか。それは自らが護れなかった今は亡き恋人への、せめてもの償いでもあったらしい。

 

 

 だが、そんな彼の旅は想像以上に難儀なものだった。

 

 

 強力な悪魔から命がけで人間を護っても、所詮彼も悪魔。感謝の言葉どころか、罵倒を投げかけられ、時には意思を投げつけられることもあったのだとか。

 

 

 それでも彼は、亡き恋人のためと、とある魔導師の仲間になり、自らの信念の元、行動を続けていたらしいのだが、そんなある日、事件が起こった。

 

 

 彼が元々所属していた悪魔の集団が、彼が一人になった時に襲い掛かってきたのだ。

 

 

 だが、彼もその事態を予測していなかったわけではなく、その悪魔たちに対抗する魔法を編み出し、死力を尽くしその半数を減らすことに成功したのだが、しかしやはり多勢に無勢、最終的に彼は、その集団の頂点である悪魔に敗北し、致命傷を負うことになってしまったんだそうだ。

 

 

『私も命を賭けた甲斐があり、その悪魔に深手を負わせることはできたが、その悪魔は私より書く上の存在として創られた悪魔であり、また、私がその悪魔に対抗するために編み出した魔法もその時は未だ不完全。そのまま私は無様に敗北してしまったのだ』

 

 

 サーゼクスは、一瞬の隙をつき、その悪魔たちの攻勢から逃げ出すことに成功したのだが、その悪魔の攻撃により致命傷を負った彼の肉体は滅びを迎えかけており、それを自覚していた彼は、最後の力を振り絞り、せめて最後に、かつて愛した恋人の故郷であるローズマリー村。その姿を一目見ようと、その村へと行き、そこで魔獣の群れに遭遇した彼は、残りの力の全てを振り絞り、それを撃退したというのが、あの村の村長が代々伝えてきた、ローズマリー村の英雄の真実だという。

 

 

「そんなことがあったのか……」

『私は肉体が崩壊する前に、奴らがこの村を襲撃しないよう、私の死骸は人目につかないところに葬ってくれと最後に頼んだのだが、そこで私にも予想できなかったことが起きた。―――私の魂はこの世に残り続けたのだ』

 

 

 それは、強大な悪魔として生まれたサーゼクス故に起こった現象だった。

 

 

 彼の宿っていた強力な魔力が、彼の強靭な精神と相まって亡霊として、この世界に彼を留まらせたのだ。……尤も、やはり亡霊らしく、普通の人間には見えないらしいので、誰も気がつかなかったらしいのだが。

 

 

 そのことに気づいた彼は、初めはそのことに驚いたが、やがて落ち着くと、愛する恋人の元へ逝けないことを残念に思いながらも、せっかくだからと、自分の墓として作られたあの場所から、ローズマリー村に住む人々を見守っていたのだとか。

 

 

 

 

 ―――そんな、ある日。彼の住む墓の前に一人の少年が突如出現した。

 

 

『それが君だよ、ユーリ君』

「俺?」

『ああ、あの時は驚いたよ。突然、空間に亀裂が入ったかと思えば、その中から、だぼだぼの服を着た少年が出てきたのだから』

 

 

 それは、長い時を生きてきたサーゼクスでも経験したことがない現象。そのために、サーゼクスはその少年に興味を持ち、観察していたのだが、その時にあることに気がついたのだとか。

 

 

『その少年は酷く衰弱していたのだよ。まるで、何年も無理に肉体を酷使したみたいに』

「……あー、なるほど」

 

 

 サーゼクスの言葉に心当たりがある俺は、思わず納得の声を上げる。この世界で目覚める直前の俺が、過労でぶっ倒れ、ちょうどそのような状態だったはずだからだ。

 

 

『その少年はこのまま放っておくと、死んでしまうほどに弱っていた。私が住んでいた墓には定期的に村長が様子を見に来てくれるが、あの時はそんな時間はなく、決して助かることはない。―――本来なら、あのまま何もしなくても、よかったのだが、どうせ、私はいつ消えるかわからぬ亡霊の身。このまま未練がましく現世にしがみついているよりはと、とある手段を使い、その少年を助けることにした』

「ある手段?」

『魂の融合だ』

「!?魂の融合だと?」

『ああ』

 

 

 元々ゼレフ書の悪魔には、死んだ人間を自らの依り代にする力があるらしいのだが、彼はそれを利用し、自らの魂を俺の魂と融合させ、俺の魂を融合させ、生命力の補強を図ったらしい。

 

 

「……あれ?っていうことは俺の命の恩人?」

 

 

 思わずといった感じで出てきた俺の言葉に、サーゼクスは苦笑する。

 

 

『別に気にしなくていい。ただの気紛れだし、どうせ、もうすぐ消える魂だったのだし』

「?どうゆうことだ?」

『流石に、魂だけで百年以上いては、魂の力も無くなっていくようでね。おそらく後百年ほどしたら、私の魂は完全に消滅していただろう』

 

 

 だから、そうなるくらいなら自らの恋人と同じ、人間の子供を救うために使おうと、自らの力を俺に分け与えてくれたのだという。

 

 

「……話しはわかった。あんたが俺を助けてくれたのはありがとうといっておこう。―――だが、なぜ今俺の前に現れた。俺はもう死んでいる。あの世に行く前に先輩として、挨拶にでも来てくれたのか?」

 

 

 俺のその言葉に、しかしサーゼクスは首を横に振って答える。

 

 

『いいや。私が君の前に現れたのは、君にこれを渡すためだ』

 

 

 そういうと、サーゼクスが片手を差し出してきたので、その手元に視線を向けると、そこにはどこから取り出したのか、一度村長の村で見たことがある、魔水晶(ラクリマ)のような、球体が握られていた。

 

 

「それは?」

『これは私の悪魔としての力の全てを込めた物。身体能力、魔力、魔法、そして私の悪魔としての固有の特殊能力。文字通り全てを込めた。これを君に与えれば、君の肉体を復活させることができるだろう』

「なんだとッ!?」

 

 

 サーゼクスの言葉に、俺は思わず驚愕の声を漏らす。

 

 

 よくよく話を聞いてみると、実はこの世界に来てから俺の身体能力が格段に上がっているのは、実は彼の悪魔としての力が漏れ出し、俺に影響していたためであるらしく、このサーゼクスの力の塊である球体を俺の肉体に取り込めば、俺の肉体への影響が強くなり、俺の肉体を復活させることができるのだとか。

 

 

「それはありがたいが、あんたはどうなるんだ?これはあんたの力の全てなんだろう?」

『先ほどもいったが、それは気にしなくていい。どうせ、君の肉体が死ねば私の魂もこのまま一緒に消滅するのだからね。それに、力を渡しても私は死ぬわけじゃない。君の魂の奥底で眠らせてもらうだけだしね。―――ただ、一つだけ、君が気をつけなければならないことがある」

 

 

 そういうと、サーゼクスは先ほどまでの穏やかな顔から一転、別人かとおもうほどの真剣な顔になりながら、話を続ける。

 

 

『私は自分でいうのもなんだが、この世界でも最上級クラスの悪魔。その私の力の影響は、君の肉体を悪魔のものと同じように作り変える。―――そう、これを体に取り込んだら、君は悪魔にならなくてはいけないのさ』

「俺が…悪魔に……?」

『ああ。尤も初めのうちは、急激な肉体の悪魔化も、私の特殊能力も使いこなせないだろうが、歳が経つにつれ、そして私の能力を使い続けるうちに、君の肉体は完全な悪魔となるだろう』

「……なるほど」

 

 

 つまり、サーゼクスはこういいたいのだ。『生き返りたいのなら、人間を辞めろ』と。

 

 

 

『………』

「………」

 

 

 俺とサーゼクスは、そのまましばらく睨みあっていたが、やがて俺は一つ笑みを浮かべると、サーゼクスの手の中にある、サーゼクスの力の塊を手に取った。

 

 

 そんな俺の様子を見て、サーゼクスもいつものように穏やかな笑みを浮かべる。

 

 

『いいんだね?』

「ああ。確かに悪魔になるのに、思うところがないわけじゃないが、このまま死んだままじゃ、なにもできないし、俺はもっと人生を楽しみたい。なにより……」

 

 

 俺はそのまま、サーゼクスの力の塊を胸元から取り込み、彼に宣言する。―――俺の心の底からの決意を。

 

 

 

 

「―――仲間を放っておくわけにはいかない。俺はあいつらを助けにいかなくちゃならないんだ!!」

 

 

 ―――その時だった。

 

 

「!?これは!!」

『安心していい。それはただ単に、君の意識がこの深層世界から戻ろうとしているだけだから』

 

 

 急に俺の周囲に紅の光が出現し、俺の体を包み込んだ。

 そのことに驚いた俺は、一瞬パニックになりかけたが、サーゼクスの次の言葉で平静を取り戻す。

 

 

「(なるほど、これが生き返るという感覚なのか……)」

 

 

 俺は、自らを包み込む、浮遊するような、何かに引っ張られるような感覚に、俺は心の中でそんな感想を漏らす。

 

 

 そんな俺の様子を確認しながらも、サーゼクスは口を開く。

 

 

『それでは、気をつけていくといい。どうやらあの塔には、何か邪悪な意思が迫っているようだからな』

「邪悪な意思?」

 

 

 なんだろ、それ。神官たちのことではないようだが……。

 

 

 だが、どうやらそれを聞く時間はないようで、俺の意識はどんどん擦れてゆく。

 

 

 『それじゃあ渡すものも渡したしそろそろ私も休ませてもらおうかな』

 

 

 そういうと、サーゼクスは踵を返し、どこかに行こうとするが、途中で何かを思い出したのか、一旦その足を止めてこちらを振り返る。

 

 

『―――ああそうそう、最後に一つだけ』

 

 

 そしてサーゼクスは顔だけこちらに振り返る。その瞳は今までで一番真剣な光を宿していた。

 

 

『君に与えた能力は強力だ。それこそ使いこなせばそこいらの魔法使い程度ならば一蹴できるほどに。だからこそ仲間を大切にしたまえ。すぎた能力ちからはその持ち主を孤独にする。そう―――

 

                                       ―――私のようにね』

 

 

 そう話すサーゼクスの顔は、どこか悲しんでいるような、それでいて何かを堪えているかのように思えた。

 

 

 

 

 ―――そして俺の意識はそこで闇に飲まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

『―――行ったか』

 

 

 やれやれ。まさか、こんなにも早く、彼が私の力を必要とすることになるとは思わなかったな。

 

 

『それだけ彼が背負う運命は重いということか』

 

 

 彼がこれからどういう道を歩むかはわからないが、願わくば自らの仲間と末永く仲良くやって欲しいものだ。私と違って、仲間を裏切る理由など彼にはないだろうし。

 

 

『……ただ心配なのは奴等が彼に会った時の反応だな』

 

 

 ただ私に似ているだけだと思ってくれればいいが、私と同じ能力を持っていることを奴等に知られれば問答無用で捕らえられるかもしれない。

 

 

 奴らに対抗するための魔法も、知識として一応は伝えてあるので、身の安全は大丈夫だとは思うが、それでも、自らの蒔いた種で、彼に迷惑をかけてしまうかもしれないことについ憂鬱になってしまい、思わずため息を吐いてしまう。

 

 

 そして私は思い出す。かつて復讐の念を持て余しながらも、恋人と同じ人間たちに拒絶され続け精神をすり減らしていたところを、私を仲間として受け入れてくれ、共に戦ってくれた一人の妖精(・・・)の姿を。

 

 

『どうか、私に力を貸してくれた彼女のように、彼の仲間も彼と共に戦ってほしいものだ。なあ―――』

 

 

 

 

 

 

                                           ―――メイビス?




どうでしたでしょうか。


ちなみに、私の文章力が不足しているせいでわからなかったかもしれませんので、一応ここに記しておきますが、主人公がサーゼクスから貰ったのは、サーゼクスの固有能力と、彼が編み出した魔法、そしてそれを扱うための知識です。サーゼクスが戦っていた悪魔の集団やら、彼が共に戦っていた魔導師の情報なんかは貰っていません。一般常識や魔法の知識なんかは貰っていますが。


……本当は後書きに補足みたいに書かずに、話の中で説明させないとだめなんですけどねえ。すみません。


それではいつものように、感想や誤字脱字の報告などありましたら、よろしくお願いします。
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