FAIRY TAIL転生記~炎の魔王の冒険譚~   作:えんとつそうじ

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どうも、えんとつそうじです。


今回は楽園の塔のクライマックス。VSジェラール編です。


あ、後この小説のタイトルでは「炎の魔王」といっていますが、この段階では主人公は炎の魔法は使えず、使用しているのは前作と同じ呪法の方なので、期待してくださっていた方は申し訳ない。


それでは、暇つぶしにでもどうぞ。


第十二話 VSジェラール。悪魔の力!!

 自身の中に宿る悪魔、サーゼクス・ルシファーの力を受け継ぎ、蘇ったユーリは、気づいた時にいた、ゴミ処理場から脱出し、エルザたち仲間の姿を見つけるために走り出したのだが、現在は、第八セクター深部にある、懲罰房がある場所までやって来ていた。

 

 

 仲間の姿を探していたはずの彼が、なぜこんなところまで来ているのかというと、実は現在楽園の塔では、奴隷たちによる、大規模な反乱が起こっており、そのせいで、場が混雑し、仲間たちを見つけられなかったのだ。

 

 

 幸い、偶然顔見知りの奴隷に会うことができたので、その彼に仲間の居場所を聞いてみると、なんでも、エルザを俺と共に助けに行ったジェラールは、あの後神官たちに捕まってしまったらしく、そのジェラールを助けるために、エルザが剣を両手に携えて、第八セクターの懲罰房に行ったというので、その彼女を追って、彼もここまでやってきたのだ。

 

 

 そういう経緯から、この第八セクター深部まで単独でやって来たユーリだったのだが、そんな彼の目の前には今、信じられない光景が広がっていた。

 

 

「「……なんだこれは?」

 

 

 彼の眼前に広がるのはあたり一面に倒れ付す神官たちの死体。

 

 

 尤も死体があるのは決して不思議ではない。現在進行形で、反乱が起こっている今となっては、彼らの死体はこの楽園の塔のそこら中に転がっているからだ。

 

 

 ならかれは何に驚いているのか。それは神官たちの死体の『状態』についてだ。

 

 

「(なんだこれは。なんでこいつらここまで「ぐちゃぐちゃ」になっているんだ?)」

 

 

 そう、いたる所にある神官たちの死体が、まるで獣かなにかに襲われたみたいに、目も当てられない状態になっていたのだ。

 

 

 それは例えば頭が潰されていたり、腹部に大きな穴が開いていたり。仮にこれが人間の仕業だとしたら正気の沙汰ではない。

 

 

 はじめはエルザがやったのかと思ったのだが、彼女の性格を考えてそれはありえないと考え直す。

 

 

「(いくら大きな恨みがあるといってもあいつにこんなことができるわけがない。―――だがそれじゃあいったい誰が?)」

 

 

 疑問に思いながらもユーリは歩みを進める。不安に駆られながらも仲間が無事であることを信じて。

 

 

 

 

 

 

 ―――だが彼の思いは思わぬ形で裏切られる。

 

 

「エルザ!!?」

 

 

 ジェラールが捕らわれているはずの懲罰房。

 

 

 その奥で彼が見たのは謎の黒い靄のようなもので、首を絞められているエルザと、それを歪んだ笑みで見下ろすジェラールの姿だった。

 

 

「(あれは魔力の塊……。ひょっとして、ジェラールの魔法か!?)」

 

 

 仲間の一人が仲間を害すという光景にユーリは困惑したが、今はエルザを助けるのが先決と、右手にサーゼクスより受け継いだ呪法により、紅色のオーラを纏わせて、エルザの首元を締め上げている手を手刀で断ち切った。

 

 

 ユーリは空中に放り出されたエルザをそのまま抱きかかえたそのまま着地する。

 

 

「ほお……」

 

 

 そんなユーリの様子にジェラールが感心の声を上げるが、ユーリはそれには構わず、エルザの容態を確認しようと彼女の体を必死で揺さぶった。

 

 

「エルザ、エルザ!」

 

 

 しかし何回揺すっても起きない彼女に、不安を感じたユーリがとっさに彼女の口元を確認すると、そこから静かな寝息が発せられていることに気づいた。

 どうやらただ気絶していただけのようだ。

 

 

 ユーリはそんな彼女の様子に安堵のため息をつくが、すぐに表情を引き締めるとおもしろそうにこちらを見下ろしていたジェラールへと視線を向ける

 その表情は憤怒の感情に彩られていた。

 

 

「どういうことだジェラール!お前、今エルザに魔法を使ったろう!!」

 

 

 彼のその怒りの声に、しかしジェラールは悪びれようとせず、ふてぶてしく答える。

 

 

「ああ、オレの計画に邪魔になりそうだったんで名。少し眠ってもらった」

「―――計画だと?」

 

 

 ユーリのその言葉にジェラールは自らの計画の内容を語りだす。ゼレフを復活させ世界を手に入れるための計画を。

 

 

 自身の計画を嬉々として語る彼の瞳には、まるで悪魔に魅入られたような、なにかに陶酔するような感情が目に見えた。

 

 

「どうだい、ユーリ?お前も一緒に来ないか?俺たちと一緒に楽園を創ろうじゃないか」

「ジェラール……」

 

 

 壮絶な笑みでそう語りかけてくる親友の様子に、ユーリは思わず息を飲む。あまりにも普段の彼からかけ離れた姿だったからだ。

 

 

 だがすぐにユーリはそれを振り払うかのように、首を何度も横に振りながら気を持ち直すと、ジェラールを睨みつける。

 

 

「ばかなことをいうんじゃねえ、くだらない!」

「くだらない……だと?」

「ああ、死んだ人間を生き返らせて楽園を作る?はっ!くだらないに決まってんだろうが!!」

 

 

 そしてユーリはつかつかとジェラールに詰め寄ると、その胸倉を掴みあげる。

 

 

「俺たちは自由を手に入れる!それを邪魔するならお前だって容赦はしねえぞ!!」

 

 

 それは未来を願い、そして仲間のことを思うからこそのユーリの叫び。

 だがジェラールはそんなユーリの言葉を鼻で笑うと、ユーリの腕を振り払う。

 

 

「そうか、残念だよユーリ。親友のお前にならわかってもらえると思ったんだがね。―――だが、こうなったら仕方がない。お前にもこの塔から出て行ってもらうことにしよう」

「なに?」

 

 

 ジェラールの言葉に訝しげに首を傾げるユーリ。そんなユーリの様子にジェラールは不適に笑い指をぱちんと鳴らす。

 

 

 すると、ユーリの体が突然吹き飛んだ。

 

 

「がはっ!?」

 

 

 吹き飛ばされたユーリはそのまま壁に叩きつけられ、苦悶の声を吐き出す。

 そんな彼の様子にジェラールはニヤリと笑う彼の両脇には、先ほどエルザの首を締め上げていた靄のような魔力で構成された、巨大な腕が出現していた。

 どうやら先ほどはこれでユーリのことをを殴り飛ばしたらしい。

 

 

 ふらふらになりながらも立ち上がるユーリの姿に、ジェラールは感心したような声を上げる。

 

 

「ほう、さすがに頑丈だな。今ので気絶しないとは」

 

 

 だがユーリはそんなジェラールの言葉は聞いていないようで、その視線はジェラールの両脇にある魔法の手に注がれていた。

 

 

「……ジェラール。お前いつ魔法を習得したんだ?」

「ん?ああ、神官どもに懲罰房に押し込まれていた時にゼレフと出会ったときにな」

 

 

 ジェラールはユーリの疑問になんとなしにそう答えたが、ユーリはそんな彼の言葉に出てきたある人物の名にぴくりと反応する。

 

 

 それは、おそらくこの世界で、尤も悪い意味で有名な魔導師の名前だったからだ。

 

 

「ゼレフだと?」

「―――ああ、そういえばいってなかったな。俺はあったんだよ、ゼレフその人に」

「なんだと!?」

 

 

 ジェラールの言葉に驚愕の表情を示すユーリ。そんな彼の反応に気をよくしたのか、ジェラールは得意げな顔でその時のことを語った。

 

 

 エルザの救出に失敗したジェラールは連れて行かれた懲罰房で神官たちに拷問のかぎりを尽くされ、この世界の全てに絶望し、そして憎んだんだそうだ。

 

 

 そしてそんな彼の憎しみに答えたのが、最凶最悪の黒魔導師ゼレフ。その亡霊だったのだ。

 

 

「そして俺はゼレフからこの力を貰ったのだ。―――彼を復活させ、ゼレフの世界を作るために!!」

 

 

 高らかにそう宣言するジェラール。その頬は自分がゼレフとやらに選ばれたという興奮からかほのかに赤く染まっていたが、そんな彼をよそにユーリは別のことを考えていた。

 ジェラールが接触したというゼレフと名乗る亡霊のことについてだ。

 

 

「(なるほど、つまりジェラールがおかしくなったのはそのゼレフとかいうやつのせいかッ!!)」

 

 

 本当にジェラールのいうようにそいつがゼレフの亡霊なのかどうかはユーリには関係がない。

 ようは、その人物がジェラールをこのようにしたのかが問題なのだ。

 

 

 内心怒りに燃えるユーリだったが、ジェラールが新たな攻撃態勢に入っているのに気づき、そこで思考をやめ、ジェラールに慌てて向き直る。

 

 

「(今は考えている暇はねえ。ジェラールをこんなにしちまったやつは後で後悔させるとして、今はこいつをどうにかするほうが先だ。一発ぶん殴って目を覚まさせてやらねえと)」

 

 

 そういうとユーリはジェラールに向かって駆け出す。

 

 

「―――ジェラールうううううう!!」

 

 

 ユーリの突貫。しかしジェラールはそれをただやけになっただけなのだとでも思ったのか、軽くあざ笑うと、魔法でできた弾をいくつかユーリに向かって打ち出す。

 

 

 しかし、

 

 

「無駄だ!」

「なに!?」

 

 

 その魔力弾はユーリの拳に宿った紅のオーラに消し飛ばされる。

 

 

 そう、これこそが呪法、「消滅」。

 

 

 紅の悪魔から譲り受けた悪魔の能力。彼はその能力を発動したのだ!!

 

 

 予想外の事態に一瞬硬直したジェラール。そしてユーリはその彼の隙を見逃さなかった。

 

 

「歯あああ食いしばれええええええええええ!!」

「がはッ!?」

 

 

 ユーリの拳を受けたジェラールは、そのまま吹き飛ぶと、二転三転しながら地面を転がっていく。

 

 

 ユーリはそのまま追撃をかけようとするが、ジェラールもさるもの。咄嗟に立ち上がり牽制の魔力弾を放つが、それは先ほどと同じようにユーリの紅の手により消滅する。

 

 

 先ほどはその光景に驚愕の表情を浮かべていたジェラールだったが、さすがに二回目となると予想できていたのか、咄嗟に体勢を立て直そうとするが、先ほどの一撃が聞いていたのがジェラールの膝ががくりと落ちる。

 

 

「ぐッ!?」

 

 

 ジェラールはなんとか体に力をいれようとするが、その前にユーリの蹴りがジェラールの顎へと突き刺さる。

 

 

「ぐはッ!!」

 

 

 人体の急所の一つである顎を打ち抜かれたジェラールの意識が遠のく。

 

 

「(まずい!?意識を保たないと……)」

 

 

 焦るジェラール。そんな彼の意識を完全に断とうとユーリは右こぶしを全力で振り上げる。

 

 

「(これで目を覚ましやがれ!!)」

 

 

 そしてユーリは願いを込めて拳を振りおろす。この世界で初めてできた親友が、元に戻ることを信じて。

 

 

 

 

 ―――だがその拳がジェラールに届くことはなかった。

 

 

「なッ!?」

 

 

 突如彼の足元が砂に変わり、それに躓いてしまったのだ。

 

 

 まるで、その地面の時を急速に加速させ(・・・)、砂にしたかのような、そのようなありえるはずのない事態に、混乱するユーリ。

 

 

 だが、サーゼクスの能力を受け継ぎ、魔力を感知する術も会得していたユーリは、そこで気づく。辺りに漂う、俺ともジェラールのものとも違う、第三者の魔力(・・・)の存在に。

 

 

「(なんだ、この魔力……?俺やジェラールとは違い、かなり洗練された魔力だ。―――まさか、これがジェラールがいっていた、ゼレフの亡霊というやつか!?)」

 

 

 だが、そこで、彼はその考えを、頭の中から振り払う。

 

 

「(いや、亡霊なんているわけがない!となると、この魔力の正体は………ジェラール以外の魔導師がこの場にいるということか!?)」

 

 

  ユーリはここに来て新たな敵が出現したことに戦慄し、咄嗟にその気配を探ろうと辺り一面へ意識を避ける。

 

 

 

 

 

 

 ―――それがユーリの最大のミスだった。

 

 

「がッ!?」

「よそ見とは余裕だな、ユーリ」

 

 

 いつの間にか復活したジェラールが不敵な笑みを浮かべながら、エルザにやったように魔力の靄で、俺の首元を締め上げてきたのだ。

 

 

「(しま…ッ!?魔力に気をとられすぎた!!)」

 

 

 自らの迂闊さにユーリは舌打ちをすると、消滅のオーラでその拘束を外そうとするが、突然の事態に対する混乱と、神経を圧迫される痛み。そして酸素不足による苦しみから上手く集中できず、オーラを練ることができない。

 

 

 本来の消滅の力の持ち主であるサーゼクスならば、全身からオーラを出して纏わりついている魔力を消滅させるという手もあるのだが、未だ力の使い方が未熟であるユーリでは、そのような真似はできない。

 

 

 なんとか力づくで拘束を外そうともがくが、もがけばもがくほど拘束はきつくなっていく。

 

 

 ジェラールはそんなユーリの努力を嘲笑うかのように一笑しながらも口を開く。

 

 

「―――残念だよ、ユーリ。親友のお前には是非ともこの偉業を手伝ってほしかったんだが」

「あ…あいつ……らを……どうする…気だ……」

「安心しろ、エルザにはいったが悪いようにはしないさ。ちゃんと食事も与えるし、休息も与える。それに俺に逆らわなければある程度の自由も与えるつもりだよ。―――尤も気持ちよく働いてもらうために、多少思考のは誘導させてもらうがなあ!!」

「!?き…さ……ま……ッ!!」

 

 

 そして口元を三日月形に歪めながらさらに拘束を強めていく。

 

 

「ぐうッ!?」

 

 

 どんどん意識が薄れていくユーリ。だがそれに気付いているのかいないのか、ジェラールは顔を醜い笑みで歪めながらも言葉を続ける。

 

 

「利口なお前ならわかっていると思うが、外の人間にはこのことを伝えるなよ。あいつらがどうなってもいいなら別だがなあ?」

 

 

 

 

 ―――そういうジェラールの顔は、もはやユーリが知っている親友とはまったく別人といってもいいほどの狂気に彩られていた。

 

 

「それじゃあ俺も忙しいんで、そろそろお別れだ。あばよ親友。

 

 

 

 

 

 

 ―――ハハハハハハハハハハハ!!」

「(……ちく……しょう……)」

 

 

 

 

 

 

 

 ―――そしてユーリ・クレナイの意識はそこで途絶えた。




どうでしたでしょうか?少しいじりましたが、話の展開自体は変えていないので少し不安ですが、楽しんでいただければ幸いです。


楽園の塔編は後は閑話を残してこれで終了になります。次の更新はまたある程度書き溜めてからになりますので時間がかかりますが、どうぞ、お見捨てなきようお願いします。
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