魔王討伐に貢献したオークの英雄、数百年後の世界で人間の女戦士を嫁にする   作:京谷ぜんきまる

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第91話 バルカ&メトーリア

 ギルベーダとの決闘で勝利したバルカは昨夜、後宮の寝室での夜を思い出していた。

 あの時……。

 ラケーシが部屋を出て行った後、バルカは重い扉を閉めた。

 香炉から立ち上る甘い香りを嗅ぎながら、バルカの胸に微かなざわめきが残っていた。

 ラケーシの提案した「儀式スキル」――チェンバー・アーツ。

 今の世のオークの伝統として決闘前夜に女を侍らせ、その温もりを感じながら匂いと同時に精気を吸い込む……。

(相手の精気を取り込んで霊力を回復する? 分からん理屈ではないが……)

 バルカは霊力を他者に与える〈霊力移出〉のスキルは体得している。

 その逆のようなものかと考えながらベッドの横にあった椅子に腰を下ろし、ため息をついた。

 

「メトーリア……風呂に入らないか? 」

「……風呂?」

「部屋の奥に風呂があるようだ。モーベイは温泉が湧くからな」

 

 メトーリアが奥の部屋を確認する。

 

「たしかに、あるな……」

 

 寝室に併設された浴室には、石をくり抜いた巨大な浴槽が中央にあり、温かい湯気が立ち上っている。

 地底界の温泉水を引いたもので、結晶灯の光が湯面を淡く照らしていた。

 嬉しいことに洗濯された肌着や下着も用意されている。

 女物の下着……胸布や股布もある。

 サイズがオーク用のものだが、身長百八十センチのメトーリアはオークの女物の肌着下着も何とか着用できそうだった。

 

「そうだな……長旅の汗を流したい……お前が先に入れ。私は後でいい」

「いや、でも、お前が先に入った方が――」

「いいから」

「……わかったよ。じゃあ少し待っててくれ」

 

 バルカは苦笑し、浴室へ入った。

 

「……」

 

 浴室から届くバルカの体を洗う湯音を聞きながら、椅子に腰掛けて待つメトーリアはふと思い出す。

 

(あ、香炉のこと言いそびれてしまった……)

 

 香炉に仕込まれたがどんな練り香かはたまた香木を使っているのか……嗅いだことのないものだったのでそこまでは分からないが、間違いなく催淫性の香だということがメトーリアには分かっていた。

 体温がやや上昇し、微かに興奮状態である事をメトーリアは自覚する。

 バルカほどで無くてもメトーリアにもこういった毒や媚薬に対しての耐性はある。

 ニーナだったらどうなっていただろうか……などと考えながら香炉の火を消そうとしたが……

 バルカが簡素な浴衣のような布を巻いた姿で戻ってきた。

 

「はやいな」

「そうか?」 

「じ、じゃあ、次は私だな」

 

 香炉の蓋を開けていたメトーリアはしばし考えてから、蓋を戻し香炉をそのままにして浴室へ入った。

 

「……」

 

 浴室から届くメトーリアの体を洗う湯音を聞きながら、寝台の縁に腰掛けたバルカは、敷き詰められた毛皮の山に頭を預けて横になったが、すぐに上体を起こした。

 落ち着かない。

 今までも天幕の中で、一緒に寝ていたのに、このベッドで一緒に寝ることにバルカはかなり緊張している自分に気づく。

 この部屋はおそらく、いや間違いなく歴代オーク君主が使っていた寝室だ。

 后妃や側室、妾、そして当時はいた……性奴隷達とするべきことをしていた空間にいるのである。

 メトーリアと一緒に。

 

(俺、それで興奮してるのか? いやいやいやっ)

 

 ……ごしごしごし、という音が聞こえてきた。

 バルカの鋭い聴覚が、湯音だけでは無く、メトーリアが垢擦りで体を擦っている音を捉えたのだ。

 

「ゴホン!」

 

 気を紛らわそうと、焚かれている香炉の蓋を見る。

 香炉の蓋は鎌首をもたげる角を生やした蛇のような生き物の像だった。

 

「……これ、ベルクドレーキか?」

 

 火竜信仰のあるオーク族らしいな……と、バルカは思った。

 

「……でもあいつ、こんな蛇みたいに細長い体じゃねえぞ」

「そうなのか?」 

「ああ――え、うおっ!?」

 

 すぐ後ろからメトーリアの声がしてバルカはビクンと肩をはね上げて驚いた。

 

(いつの間に風呂から出たんだ!?)

 

 驚きながら振り向いて、さらにバルカは驚いた。

 メトーリアはゼフラ達が身につけていたものと同じ、衣一枚しか身につけていなかったのだ。

 前で合わせて帯で締めるスタイルのものなのだが、布地が薄いので、メトーリアの完全な球体をした乳房の輪郭がうっすら透けて見えた。

 あえて極端に布地が節約された代物なので胸の谷間は丸見えだ。

 スカート状になった丈の部分も短いので、しなやかな足も太腿までが剥き出しだった。

 

「え、お前、何で下着を着けてないんだ?」

「それよりも、今お前――」

「いや、それよりもって、重要な事だろ?」

「今、お前、私が声をかけるまで背後に立った私に気がつかなかったのか?」

「あ、………………うむ」

「普段のお前なら、私が気配を消して忍び寄っても気づくはずだろ」

「……たしかに、な」

 メトーリアの蒼い瞳が揺れた。

「バルカ……今のお前は、かなり消耗しているんじゃないのか?」

「いや、それほどではない。大丈夫だ」

 メトーリアは僅かに眉間にしわを寄せた。 

「バルカ、本当のことを言ってくれ。私とお前には霊体の繋がりができている。私はお前の気配を遠くにいても強く感じることができるようになった。それなのにお前は気づかなかったんだぞ」

「す、すまん」

「謝って欲しいんじゃない。憑依したクロキアの霊に霊力を吸われ続けていることで、気配の感知力や耐性力に悪影響が出ているんじゃないのか?」

「……」

 

 バルカは言葉を詰まらせた。

 

(メトーリアは正しい)

 

 確かに、霊力を奪い続けるクロキアの影響で、自分の感覚は鈍っている。

 意識を集中して感覚を研ぎ澄ませているときはまだいい。しかし、今みたいに気を抜いているときは、気配の察知、危険の予知など……高いレベルに達して得た戦士としての感知力が、働いていないのを感じていた。

 だが、それを認めることは、自身の弱さを晒け出すことにも等しかった。

 明日にはギルベーダとの決闘を控えている。

 それなのに、メトーリアを心配させるようなことは……。

 

 その時、バルカの脳裏に、レバームスに言われた言葉がよみがえってきた。

 

“さらけ出せっつってんの。自分の気持ちを! 想いってのは言葉にしないと伝わらないんだよっ”

 

 バルカはきつく目を閉じたあと、メトーリアを見つめた。

 

「お前の言う通りだ、メトーリア。クロキアの霊に吸われ続けているせいで、感覚が鈍ってる。気配の察知も、普段の半分くらいしか働いてないかもな」

「……そうか」 

 

 バルカは寝台の縁に腰掛けた。メトーリアも隣に座る。

 

 「体力や霊力に問題はない。多分精神の問題だ。なんていうか……ずっとクロキア達の霊を憑依させ彼等を背負い続けていることが、息苦しいんだ。こんな状態だけど明日、ギルベーダに勝つ自信はある。嘘じゃない」

「いつものように無傷で圧勝か」

「……」

「バルカ?」

「い、いや。かすり傷くらいはするかもしれんだろ」

「……明日のギルベーダは今日よりも確実に心身を仕上げ、力を増しているはずだ。かすり傷では済まないかもしれない」

 

 バルカは少し驚いた。

 

「なんでそう言い切れる?」

「ラケーシが言っていただろう。重要な戦いに望むオークは前夜にチェンバー・アーツで霊気を煉って心身を高める――と。奴が連れていったテッサとかいう名のオークの女を見たか? かなりレベルの高い戦士だった」

 

 バルカは、ギルベーダに腕を掴まれて中庭から連れて行かれたテッサの筋肉質な肢体を思い出した。

 

「あ、ああ。そうだったな」

「奴は今宵、あのテッサと共に、チェンバー・アーツを行うはずだ。あのテッサの精気を吸い込みながら、自分の霊力を高めて決闘に備えるはず」

「そうか…………えっと、お前は、チェンバー・アーツのことを、よく知っているんだな」

「知っているというより……習った。アルパイス様に」

「習った!?」

 

 バルカの声が思わず上擦った。

 メトーリアは優れた隠密(ステルス)スキルや、阻害(デバフ)スキルを持っている。

 相手の不意を突くような攻撃に長けていることなどからも、戦士ではあるが暗殺術にも長けていることはバルカは分かっていた。

 

(そ、そういえばアクアルの砦ではメトーリアは俺によ、夜這いを仕掛けてきたんだったな)

 

「アルパイス様は……戦士としての訓練や領主貴族としての立ち振る舞いだけではなく、様々なことを私に仕込んだ。私に男と対峙する場合の心構え、色仕掛けの手管とか、な」

 

 バルカは目を丸くした。

 

「そんなことまで……?」

「ああ。『敵に捕らえられた場合、生き延びるために必要な術を身につけろ』と……あ、前にも言ったが今まで実際に使ったことはないぞ?」

「そ、そうか」

 

 バルカはメトーリアよりも背が高い。丸く張ったふくらみの谷間を思わずちらりと見てしまう。

 メトーリアは、バルカの視線に気づいているようだった。

 

「……バルカ」

「な、なんだ?」

「私は、お前に助けられてばかりだ。霊体の損傷も治してくれた。だから、その借りを返したい。チェンバー・アーツで」

「お、俺はやり方を知らない」

 

 慌てて言ってから、バルカはすごく恥ずかしい気分になった。

 

「私が教える。他者に霊力を分け与える〈霊力移出〉よりもずっと簡単だ。怨霊の影響で乱れたお前の心身を整えることができるはずだ」

「本気か?」

「……いやならやめる。私の気を吸いたくないのなら」

「そんなわけないだろうッ」

「では……横になれ。仰向けで」

 

 結局メトーリアは香炉の煙に媚薬効果があることを言わなかった。

 言えばこの男はまた「媚薬のせいでおかしな気分になってそんなことを言っている――」だの何だの言って、断るに違いなかった。

 

(私に対する気づかいで……でもそれだけじゃ無いような気がする)

 

 いざ仰向けになったバルカに寄り添おうとすると気後れする

 

「目を閉じてくれ」

 

 無言でバルカは従う。

 バルカの隣に座り、メトーリアは自らの薄衣を脱ぎ捨てる。

 

「ッ……!?」

 

 バルカは目を閉じたままだが、布擦れの音で、メトーリアが全裸になったことを察知したようだった。

 メトーリアの肌の温もりが、鼓動が、バルカに伝わる。

 お互いの鼓動は早鐘のように激しかった。

 メトーリアはバルカの肩に腕を回し、半ば身体の上に乗るようにして、身を横たえた。

 バルカは硬直する。

 

「……大きく息をして。リ、リラックスして」

「こ、こういうのは……慣れてねえ」

「わ、私だって慣れていない。でも、ギルベーダとの決闘に、お前の力を高めておきたい。クロキアの霊だけじゃないだろう。私との霊体の繋がりも影響している」

「そ、そんなことはねえよ」

「嘘つき。私が気づかないとでも思ったのか。霊体の損傷が癒えてから、私は強くなったがお前はその分力を無くしているはずだ……その分を少しでも今から返したい」

「……」

「今は、リラックスして、ゆっくり呼吸してくれ。いいか、チェンバー・アーツは私の霊力を、闘気などに変換せずに純粋な生命エネルギー……〈精気〉として体外に発し、お前の体に送り込む術だ。そのために必要なのは……まず、お互いの呼吸を合わせること」 

 

 メトーリアの吐息が、バルカの首筋にかかる。

 ゆっくりとバルカの肩を撫で、胸や腹の筋肉を揉みほぐすように、指圧していく。

 バルカは息をのむ。

 

 しばらくするとメトーリアの体が温かくなり、微かな汗が肌に滲む。

 その肌の柔らかさはまるで熱をもった練絹だ。

 メトーリアは自分の呼吸をバルカの呼吸に合わせる。

 お互いの息の間隔がぴったりと合致した時、メトーリアは自分の霊力を、〈精気〉として体外に発し始めた。

「ふっ……はぁ……」

 メトーリアの吐息。汗ばんだ肌から発する体香は次第に甘く、艶かしくなっていく。

 

 バルカの胸に触れてたわんでいた信じられないくらい柔らかい胸のふくらみが、温かい熱を帯び、柔らかく揺れる。

 

(ぐうっ……この匂いは……!)

 

 アクアルの砦の寝室でしなだれかかってきたときとはまるで違うことにバルカは気づいた。

 共寝しているときに健やかな寝息をたてるメトーリアから発する匂いとも違う。

 

 バルカは目を閉じたままだが、上顎の牙を剥き出しにして唇を噛み締めていた。

 メトーリアの〈精気〉は、バルカの肉体と霊体に、じんわりと浸透していく。

 

「“精を気とする”……い、言ってる意味が分かるか?」

 

 メトーリアの声は震えていた。

 緊張している。いや、それだけではない。

 彼女も興奮しているのだ。

 

「精とは、肉体の根源的なもの……気は霊体から発するエネルギー。す、すなわち……精気とは精と気の中間的なモノ」

 

 バルカは息を詰まらせながら答えた

 

「落ち着いて。リラックスして息を吸って。その時に私の精気がお前の中に入れば、チェンバー・アーツ。スキル〈収精化気〉は……おおむね成功だ」

「そう、言われても」

「お前はクロキアの霊に備えて、大量の食糧を酒で流し込んでいただろう。飲食物も精だ。それを大量に摂取して、意図的に霊力に変換するなど、その方が遙かに難しい。出来ないはずがない」

 

 言葉を重ねるにつれて、メトーリアは声が昂ぶっていく。

 事務的に、まるで教本を読み上げるように説明しているつもりなのだろうが、声の端々が震え、息が乱れている。

 彼女の指先はバルカの胸板をなぞりながらも、時折力が入りすぎて爪が軽く食い込む。

 平静を装っているつもりでいても、心臓の鼓動で完全にバレていることに、メトーリアは説明することに頭がいっぱいで気づいていない。

 

(恥ずかしい!!! こんなに近くで、こんな格好で、こんなことを……)

 

 事ここにいたって、そんなことを思うほどに、メトーリアの内心は嵐だった。

 これはただの「術」なのだとして心に言い聞かせても、バルカの体温、逞しい身体、息づかい、すべてが彼女の理性を揺さぶる。

 香炉の媚薬効果も手伝って、体が熱く、疼く。

 胸の先が硬くなり、バルカの肌に擦れるたび、甘い痺れが走る。

 

「ふ……はぁ……」

 

 メトーリアは必死に呼吸を整えようとするが、吐息が熱を帯びていく。

 彼女はバルカの肩に顔を寄せ、声を抑えて続ける。

 

「今……私の精気を、もっと深く受け入れて。息を合わせて……吸い込んで」

 

 バルカは目を閉じたまま、大きく息を吸った。

 メトーリアの〈精気〉が、温かな波となってバルカの霊体に流れ込む。

 バルカはこの時だけ、憑依しているクロキアの怨霊の事を忘れた。

 霊達はまるで怯えるように縮こまっているように感じた。

 バルカの体が、じんわりと軽くなる。

 

 大きく息を吸って、吐く。

 ただそれを繰り返し、バルカはメトーリアの素晴らしい体香を嗅ぎながら、その匂いと共に精気を吸い込む。

 

「メトーリア……こうか……」

 

 バルカがかすれた声で言った。

 

「すごく……温かい」

 

 メトーリアの指が、バルカの胸をゆっくりと撫で下ろす。

 腹筋の輪郭をなぞり、脇腹を優しく押す。

 今や彼女の体はバルカの身体にぴったりと密着していた。

 肌は汗ばみ、滑らかで、甘く官能的な匂いを放っている。

 

「そう……これでいい。私の精気を、好きなだけ、すべて受け取って」

 

 メトーリアは囁くように言った。

 彼女の〈精気〉はもはや、ただのエネルギーではない。

 

 チェンバー・アーツの初歩の域を超え彼女の感情、気持ちが凝縮された熱だった。

 メトーリアの鼓動が、バルカの鼓動と同期していく。

 二人の身体が強化魔法を受けた時のようなオーラに包まれた。

 バルカのオーラは陽光のような輝きを放ち、メトーリアの青白い流麗なオーラがバルカのと融け合っていく。

 

 バルカは目を開けた。

 メトーリアはバルカの視線を避けて俯いて彼の胸に顔を埋めた。

 香炉の甘い匂いが、二人の吐息に混ざり、部屋を濃密に満たす。

 

「後は、このまま朝まで眠るだけ、か?」

「……うん」

「明日の決闘はすぐに終わらせる。今まで通り、無傷で勝つよ」

「うん」

「そのあとでな、お前に言いたいことがある」

 

 バルカは己の胸に顔を埋めたメトーリアに囁いた。

 

「……はい」

 

 バルカは彼女の艶やかな黒髪に触れ、その匂いを嗅ぎながら眠りについた。

 

    ×   ×   ×

 

 コロッセオの歓声が、バルカの耳には遠く響く。

 決闘は終わり、ギルベーダは白目を剥いて倒れ、観客はバルカの名を叫んでいる。

 アリーナから退場しながら、バルカは血走った目を擦り、メトーリアの方に顔を向けた。

 

「な? すぐに終わった。圧勝だったろ?」

 

 彼女は頰を赤らめ、自分の頬に人差し指をスッと引いてみせる。

 

「無傷ではなかったな」

 

 バルカは苦笑してギルベーダの貫手がかすめた頬をさすった。血はもう止まっている

 

「これくらいは許してくれよ」

 

 そう言ってメトーリアの側に行こうとしたバルカにラケーシ・ルサイドが拍手しながら声をかける。

 

「バルカ。素晴らしい勝利だったよ」

「あ、ああ。ありがとう」

 

 彼女の瞳は、喜びに輝いていた。

 

「あとは地底界のバサルデ・レルムのハイオーク達にギルベーダが負けたことを知らせないとね」

 

「そうだな」

「さて」

 

 ラケーシはバルカの手を両手で包むように握った。

 

「ギルベーダに代わる地底界のオークの統治者も決めねばならない。協力してくれるんだろう?」 

「ああ、もちろんだ」

「明日、祝宴の後に改めて相談したい。今夜は……」

 ラケーシの視線が、バルカのそばに立つメトーリアに向けられる。

「夜が更けるまで共に祝いたいものよ。もちろんメトーリア殿とレバームス殿も一緒に」

「……ええ」

「地底界にはまだ仲間が残ってる。俺は彼等を呼んでこよう」とレバームス。

 

 メトーリアはいかにも親しげにバルカの手を握るラケーシに、強い不快感を感じていることに自分でも驚いていた。

 バルカはというと、ラケーシの手をすぐに振りほどくわけにもいかず、ちょっと困っている。

 

「ああ、ごめんよ。つい興奮してしまって。つがいであるあんたの前で、無礼なことを」

 

 そう言ってラケーシはバルカから手を離した。

 

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