魔王討伐に貢献したオークの英雄、数百年後の世界で人間の女戦士を嫁にする   作:京谷ぜんきまる

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バルカのキャラクターシート風イメージ画像

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メトーリアのキャラクターシート風イメージ画像

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第98話 バルカ&メトーリア3

 どのくらいの間、抱き合っていたのかバルカには分からなかった。

 ただ、顔を寄せ合ったときにどちらの方向に頭を傾ければいいのか迷って、随分とぎこちない接吻(キス)をしたことだけは覚えている。

 

 それから、バルカは自分の腕の中でもぞもぞと動くメトーリアを見下ろした。

 隠密服は上下一体型のつなぎのようにしかバルカには見えなかった。

 隙間もなければボタンもない。

 カットされている部分も一切ないように思えるこの服を、いつもどうやって脱いでいるのかとバルカは常々不思議に思っていたのだが——。

 メトーリアは、襟口の首の後ろにあたりに指を差し込んで引っかけるような動作をした。

 

 すると、シュッと小さな音がして、首回りと裾、肩から袖口にかけての生地がわずかに緩んだ。

 そこで初めて、メトーリアの身体に密着するこの装束が、上下に分かれているのが分かった。

 隠密服の上着の裾をめくろうとしたメトーリアが手を止めて、少し心配そうな顔でこちらを見上げてきたので、バルカは慌てて自分の装備を外し始めた。

 バルカが革のシャツを脱ぐとメトーリアは頰を赤らめ、視線を逸らしてから上着の裾を両手で外側に折り返すようにして、胸のあたりまでたくし上げた。

 

 

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 体にぴったりと密着する隠密服のみを身につけたメトーリアの姿を、バルカは以前にも見たことはある。

 そのため彼女が着痩せするタイプである事も承知していた。

 わずかに緩んだとはいえ、まるで第二の皮膚のようにメトーリアの肌に張り付いていた隠密服が驚くほどに伸長してめくり上げられていく光景に目を奪われ、バルカの手が止まった。

 

 隠密服の下には、何も身につけていなかった。

 メトーリアは着痩せする。

 だが――。

 隠密服は彼女の身体全体をさらに適度に圧迫し、引き締めていたようだ。

 最初にくびれた腰とうっすらと筋の浮かぶ腹筋が見え、続いて大きく、形の良い胸のふくらみが窮屈な布地から解放され、弾みながらその形を露わにした。

 綺麗な肩と鎖骨は滲んだ汗でうっすらと光っていた。

 

 ルサイド宮殿の寝室でチェンバー・アーツを行った時は薄暗かったし、バルカは劣情が高ぶらぬようにしよう……可能な限り礼儀正しくしよう……と、メトーリアの裸体を凝視しないようにしていた。

 目を瞑っていることも多かった。

 しかし、今は地底界のまばゆい星光りと天然のジオルミ結晶の白色光があり、目を閉じる必要も無い。

 光の元で露わになっていくメトーリアの肌身は、隠密服から解放されてもなお一切の弛みがなかった。

 丸く張りつめた乳房の頂きにあるピンク色の乳輪、すでに少し硬く尖り始めた乳首を凝視していたバルカは自分が息をするのさえ忘れていたことに気づき、慌てて脚甲(レッグガード)を外し、ブーツも脱ぐ。

 

「……ッ」

 

 バルカは自分が身につけている物を全て脱ぎ去ったとき、メトーリアが息を吞んだ。

 隠密服の下半分を脱ごうとしていた手が止まっている。

 その指先は、微かに震えていた。

 

「メトーリア」

 

 呼びかけに応えて、メトーリアが真っ直ぐに見つめてくる。

 その視線から、もう目を背けたりはしない

 バルカは今までどうしても言えなかった言葉を、ようやく口にした。

 

    ×   ×   ×

 

 戦闘時の身体操作において脱力は重要だ。

 しなやかさを失った身体は速さを失うし、無駄な力みは攻撃力も減じる。

 体力も消耗も早くなる。

 メトーリアを抱き寄せた時、彼女の全身の筋肉が、先程木の幹に背を預けて目を閉じていたとき以上に張りつめているのがバルカには分かった。

 だが、バルカはそれ以上に緊張していた。

 メトーリアは寝たふりをしていた……そして、ただ目を開いて見つめた。

 それが呼び水となって、こうなった。

 バルカが身を委ねる形となったのだ。そのことに惑乱したからかもしれない。

 とにもかくにも、ふたりとも無我夢中だった。

 

    ×   ×   ×

 

 言葉が絶え、どれほどの時が過ぎたのか……。

 今はバルカが木の根の上に仰向けになり、メトーリアはバルカの巨躯の上に倒れ込むようにして寝そべっていた。

 

「もうすぐ暗くなる」

 

 分厚い胸板の上に頭を預けていたメトーリアがピクリと動いた。

 

「どうする? その、腹減ってないか? 何か食うか?」

 

 メトーリアの閉じた唇が開く音がした。

 それを聞いただけで、たちまちバルカはまたしたくなったが、我慢する。

 

「これで……」

「ん?」

「これで、本当の()()()になった」

「ああ」

「これから、オークのことをもっと教えてくれ……お前のことも」

「俺の?」

「お前の、家族や、氏族の事とか……」

「わかった」

「それから、魔王討伐戦の頃の話も……とにかくバルカ、お前のことが知りたいんだ――待って、なに、まだするの?」

「じゃあそっちも俺に教えてくれよ。お前のことや、アクアルのことや……今の世の中のこと。ギルド同盟のこととか」

「わかった、わかったから――」

「“メリア”って呼ばれてたよな?」

「え」

「ほら、霊脈回廊の幻の親父さんが、お前のことをメリアって」

「父上だけだ」

 

 そう答えてから、メトーリアは完全に身をあずけた。

 

「これまで他に、私をそう呼んだ人はいない。も、もう一回言ってみて」

「メリア」

 

    ×   ×   ×

 

 星明かりとジオルミ結晶の光度が下がる星輝没が始まり、地底界に夜が訪れる中、バルカが眩しそうに見つめながら、顔を寄せてきたのでメトーリアは目を閉じた。

 分厚い唇と舌に、己のそれを合わせる。

 上顎の牙の根元に舌先を這わせてみた。

 その愛撫に応えるように、バルカは雄々しく振る舞い始めた。

 オークの英雄の体力と精気は尽きることを知らなかった。

 メトーリアは草の上で横向きで抱かれたり、片脚を持ち上げられたり、胸に顔をうずめられたり、裏返されて後ろから抱かれたり……。

 人間の汗や脂の匂いとは違う、香木を焚いたようなバルカの体香が一層濃くなった。

 煙のニュアンスが強くなった気がする。

 ふたりは、木の幹や根をうまく利用した。

 背中を寄りかからせたり、木の幹に手をついて屈んだり……。

 

 

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 木が揺れて葉が落ちてくる。

 だが、ふたりが共にすごす間、虫のようなものが降ってきたり地面から這って現れたりすることはなかった。

 林の中だ。羽虫や何かの動物の気配や音はする。

 だが、バルカとメトーリアを邪魔するものは何もなかった。

 

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