慎重術師 作:コケ
やっと原作過去編!!
私と聖哉が高専を卒業して2ヶ月が経った。とは言っても4年生になってからは任務の数が増えて授業の回数もそれほど多くなかったし、あったとしても後輩と外で実技の授業。たまに硝子に会いに高専に行くし。聖哉には2週間に1回の頻度で会うからそこまで変わらない。
そして、今私は冥さんと任務のためある屋敷を訪れていた。
「どこまで続くのよ。この廊下」
しかし、廊下をひたすら歩いても同じ景色ばかりであった。
「ざっと30分。15kmくらい移動したかな」
「途中つけた印も見当たりませんね」
「となると屋敷に巣食う呪霊の結界はループ構造ではなく、私達の移動にあわせてツギバギしてるのかもね」
冥さんは呪霊がどのようにしているのか推理する。
「それか果てしなくデカイ結界かですかね」
「かもね。でもその可能性は低いかな。壁も壊せない」
冥さんは壁をグニィと押しながら言う。
「二手に別れましょう」
私は冥さんに提案する。
「!」
「ツギバギ説が1番有力ですよね。二手に別れてできるだけ速く大きく不規則に動く。呪霊の結界の構成が間に合わなければ外に出られるハズ。私達どちらかが脱出できれば後は外から叩くなり応援を呼ぶなりできますよね」
「いいね。試してみよう」
冥さんは私の提案に賛成するが、その瞬間、屋敷が大きく崩れる。ある人物が私に声をかけてきた。
「助けにきたよ〜歌姫、泣いてる?」
五条が私を見るなりイライラされる顔と態度で煽ってくる。てか、盛大に壊しすぎ!
「泣いてねぇよ!! 敬語!!」
クソ・・・・! バカにしやがって・・・・!
「泣いたら慰めてくれるかな?是非お願いしたいね」
そんな五条に冥さんが問う。
「冥さんは泣かないでしょ。強いもん」
くっ・・・・!
「五条!! 私はね、助けなんてーー」
私がそう言った瞬間、背後から気配がーー
「飲み込むなよ。後で取り込む」
そう言ったのは夏油。私の背後に呪霊がいたみたいだ。
「悟、帳をちゃんと下ろさないとダメだよ」
「は? 傑がやったんだからいいだろ?てか、そもそも帳って必要?」
「何を言ってるんだい?帳は非術師になるべく影響を与えないために必須なものだよ」
「別に
「駄目に決まってるだろ。呪霊の発生を抑制するのは何より人々の心の平穏だ。そのためにも目に見えない脅威は"絶対に"秘匿しなければならないのさ。それだけじゃない」
「分かった、分かった。弱い奴等らに気を遣うのは疲れるよホント」
「"
「それ正論? 俺正論嫌いなんだよね」
「何?」
「呪術にーー」
五条と夏油が言い争いを始めた。なんか最近あの2人に会うとよく言い争いをしてるのをよく見かける。ていうか、夏油が最近どこか聖哉に似てきたような・・・・夏油が聖哉に会うと毎回目をキラキラさせてるし。あんな慎重なのは1人で十分だ、勘弁してくれ。このまま聖哉に毒される人が増えないことを祈る。
「歌姫センパ〜イ、無事ですか〜?」
「硝子!!」
「心配したんですよ、2日も連絡なかったから」
そう言って手をヒラヒラさせながら硝子は言ってきた。
「硝子!! アンタは五条みたいになっちゃ駄目よ!!」
私は思わず、硝子に抱きつく。
「あはは。なりませんよあんなクズ」
っていうか・・・・
「・・・2日?」
「あーやっぱ呪霊の結界で時間ズレてた系?珍しいけどたまにあるよね。冥さんがいるのにおかしいと思ったんだ」
「そのようだね。それより五条君、帳はちゃんと下ろそうね。今回は夏油君が下ろしてくれたからよかったけど」
はぁ、これだから五条は。少し、いやほんのちょびっとだけ聖哉を見習ってほしい。
▽▽▽▽▽
五条、夏油、家入の3人は教室で夜蛾の説明を聞いている。
「正直荷が重いと思うが、五条と夏油の2人に天元様のご指名がきている」
夜蛾は五条と夏油に伝える。
「センセ〜イ、私はどうするんですか〜?」
家入は手を挙げ、夜蛾に聞く。
「硝子は高専で待機だ」
「先生、それは本当に天元様からの指名なんですか?直接聞いたんですか? 偽物の可能性があるかもしれません。私に直接確認させてください。それでなければ安心できません。それにもし本物だとしても荷が重いんですよね? ならばそれ相応の準備期間を設けさせてください。まさか、1週間以内の任務とかではないですよね? もしそうだった場合、本当に馬鹿げた話だと思います。荷が重い任務ならもっと事前に言ってほしいです。まあ、まだ詳細を聞いてないので何とも言えませんが」
夏油は夜蛾に対して早口で質問を投げかける。
「おい、そう焦るな傑。取り敢えず話を聞いてくれ。質問はその後だ」
はぁ、とため息を吐き、夜蛾は益々アイツに似てきたな。とこぼす。
「依頼は2つ。"星漿体"天元様との適合者。その少女の護衛と抹消だ」
夜蛾が五条と夏油の2人に言う。
「
五条は夜蛾が何を言ってるのかさっぱり分からなかったため、声をあげる。
「そうだ」
「ついにボケたか」
と、五条。
「春だしね。次期学長ってんで浮かれてるのさ。だから、最近慎重さが足りてないんだ。しっかりしてほしいものだよ」
と、夏油。
「今、慎重さ関係ないだろ」
と、家入。
夜蛾が肯定したのに対し、3人はヒソヒソと会話をする。
「冗談はさておき。天元様の術式の初期化ですか?」
夏油が会話を切り上げ、夜蛾に聞く。
「冗談で済ますかは俺が決めることだからな」
「? 何ソレ」
五条は夏油の言ったことが分からないので聞く。
「・・・」
「・・・」
「・・・」
しかし、五条は術師の家系、それも御三家の人間であるため知ってるハズ。それにも関わらず知らない五条に3人は思わず呆れてしまう。
「天元様は"不死"の術式を持っているが、"不老"ではない。ただ老いる分には問題ないが一定以上の老化を終えると術式が肉体を創り変えようとする」
「ふむ?」
「"進化"人でなくなり、より高次の存在となる」
「じゃあ、それでいいじゃん」
五条がそう言うが夏油が否定する。
「天元様曰く、その段階の存在には"意志"というものがないらしい。天元様が天元様でなくなってしまう。
高専各校呪術界の拠点となる結界、多くの補助監督の結界術。それら全てが天元様によって強度を底上げしている。
あの方の力添えがないと任務の
そこで1回夏油は区切り、それが本当なのか疑わしいが、と言い続ける。
「最悪の場合天元様が人類の敵となる可能性もある。
だから500年に一度"星漿体"天元様と適合する人間と同化し、肉体の情報を書き換える。肉体が一新されれば、術式効果も振り出しに戻る。"進化"は起こらない。それが本当なのかをこの目で確かめてないから絶対とは言い切れないが」
と、夏油は説明を終える。
「成程。メタルグレイモンになる分にはいいけどスカルグレイモンになると困る。だからコロモンからやり直すって話ね」
五条が分かった風に言う。
「えぇ・・・まぁいいやそれで」
「その"星漿体"の所在が漏れてしまった。今少女の命を狙ってる輩は大きく分けて2つ!!」
夜蛾は一呼吸置き、大きな声で喝を入れる。
「天元様の暴走による呪術界の転覆を目論む、呪詛師集団『Q』!!
天元様を信仰崇拝する宗教団体、盤星教『時の器の会』!!
天元様と星漿体の同化は2日後の満月!!
それまで少女を護衛し天元様の下まで送り届けるのだ!!
失敗すればその影響は一般社会にも及ぶ。心してかかれ!!」
そうして、少女の護衛任務が始まる。
「ところで不安なので天元様と直接お話できませんか? それに2日後? ありえない・・・・・・1週間後でも早いと思う程なのに2日後ですか。天元様は何を考えてるのかさっぱり分かりませんね。大変な任務にも関わらず、準備期間を与えてくれないなんておかしいと思いませんか? 私達と違って何年も生きているお年寄りとはやっぱり考え方が違うのかもしれませんね、夜蛾先生?」
「聖哉・・・・・・これはお前の責任だぞ・・・・・・!」
竜宮院はとんでもない化け物を生み出してしまったのかもしれない。
この慎重夏油は非術師よりも自分や家族の安全を第一に考えてます。そのためなら嬉々として呪霊玉を口に運びます。不味いのには変わりないけど。