慎重術師   作:コケ

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外伝でもなんでもいいから平安時代の話が見たい


護衛任務・後編

 

「あーあ、防がれちゃったよ」

 

 現れたのは右手に拳銃を持つ謎の女。

 

 五条、夏油は女が声を出すまでその存在に気づかないほど、天内が同化しなくて済んだことに喜んでいた。

 しかし、常に敵からの襲撃を気にしている竜宮院はいち早く気づいて攻撃を防いだ。

 

「誰だテメェ!」

 

 五条は突如現れた乱入者に声を荒げる。

 

「当ててごらん。竜宮院君なら分かるんじゃない?」

 

 女は竜宮院に聞く。

 

「師匠?」

 

 夏油は竜宮院の方に顔を向ける。

 

「お前は確か一度一緒に任務に行った・・・・」

 

「そう! 両面宿儺の指があったやつ! あの時は助けられたよホントに。あんなの想定外だったよ。ねぇ、名前は?名前は覚えてないの?」

 

「脇役女だろう?」

 

 竜宮院は女の名前の特徴を少し覚えていた。

 

「酷いなぁ・・・・まあ、数年も前だし。模部だよ、思い出した?」

 

「確かそんな名前だったな」

 

「なんで助けられたオマエがそんなことしてんだよ!」

 

 五条は2人の会話に入り込み、声をあげる。聞かれた模部は満面の笑みを浮かべ、口を開く。

 

「そんなの決まってるじゃん。楽しいからだよ。人が苦しむ姿を見るのが楽しいし、気持ちがいい!! あれは2年生の時の頃。同級生と一緒に任務に行ったんだ。その時、思った以上に呪霊が強くてね。なんとかその呪霊は倒したんだけどね。相方の腕が呪霊の攻撃を受けて千切れちゃったんだ。それで苦しむ相方の姿を見たらゾクゾクしたんだぁ。そいつを蹴り飛ばして、切断面をグリグリと踏みつけると涙をボロボロと流してね。流れ出るトマト色の真っ赤な血に流れ落ちる涙がマッチしてとっても綺麗! まさに芸術の粋。極め付けがバックサウンド! 泣き叫ぶ声が重なって本当に! 本当に! 凄かった!! ぐへへ、ぐへへへへへたまんねぇや!!」

 

 話している模部の口元を緩ませ、よだれが垂れる。

 

「な、なんかヤバいぞアイツ・・・・・・!」

 

 五条は目の前の女が気持ち悪すぎて、語彙力が低下する。

 

「よかった・・・こんな人に殺されたら恥だ・・・!」

 

 天内は目の前の狂人に自分の命を奪われなくてよかったと安堵する。

 

「時々任務で一緒になる人を陥れたりするんだ。たまに術式を使ったりするよ。残穢は残っちゃうけど、呪霊の戦闘で巻き込んでしまったって言えばなんとかなるし」

 

「それはあまりにもリスクが高すぎる。話を聞いている限り、計画性が無いと感じる。師匠ならもっと入念に計画を練って実行する。私ならまずはーー」

 

 夏油は的外れな指摘をするが、そんな夏油を無視して模部は続ける。

 

「でもね、バレちゃったんだよ。竜宮院君と一緒に行った任務で。竜宮院君が傷を負ったって言ったから、ラッキーと思ったんだ。それで傷を見てみたらすっごく小さな傷だったじゃん? 凄いガッカリしたよ。

 まあ、自分の術式を使えばいいんだけどね。私の術式はね、毒だよ。だから、術式を付与した絆創膏を貼ろうとしたけど竜宮院君にバレちゃってさ。あの時はビックリしたよ。

 その後も、宿儺の指を頂こうと思って隙を見て殺そうとしたけど、全く近寄らせてくらないんだもん。明らかに私が危害を加えようとしてたのがバレてたみたいだから、捕まる前に高専を辞めたんだよね。

 どうして気づいたの? そんなに怪しい素振りは見せてないつもりだったんだけど」

 

 模部はあの任務からずっと疑問であったことを竜宮院に聞く。その問いに竜宮院はいつもと変わらない表情で口を開く。

 

「俺は可能性を探ることしかできん。

 モブが術式により人の姿に化けている呪霊かもしれない。呪術師や非術師に危害を加える呪詛師なのかもしれない。もしかしたら、呪詛師に弱みを握られ呪術師を始末しようとしているかもしれない。大金を積まれて殺そうとしてるのかもしれない。モブは加虐趣味を持っているのかもしれない。そして、宿儺の指を再利用して他の人の苦しむ姿を見たいのかもしれない。

 つまり、モブは俺の敵かもしれない」

 

「げぇ・・・・始まったよ」

 

 五条はいつもの竜宮院の慎重さに気持ち悪くなる。

 

「流石です、師匠・・・・・・!」

 

 夏油は竜宮院の慎重さに感動し、体を震わせ涙を流す。

 

「えぇ・・・・」

 

 天内は竜宮院の慎重さ、それに涙を流す夏油を見て思わず引いてしまう。

 

「・・・・前の任務の時にも思ったけど、病気ね。慎重というより臆病者の方がしっくりくる」

 

「臆病者と言ったな? 殺す」

 

 夏油は模部の竜宮院が臆病者であるという発言にブチギレ、3体の呪霊を出す。

 

「流石に分が悪いわ。ここは引かせてもらゔぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛」

 

 突如模部の体は燃え盛る。

 

「あ゛づ い゛!あ゛づ い゛!」

 

「ど、どういうことだ!?」

 

「悟! 上だ! 上を見ろ!」

 

 上を見ると上空に炎を纏った鳥がパタパタと飛び回り、模部に向かって火を放っている。

 

 竜宮院は、はぁ、とため息を吐き、口を開く。

 

「モブ、前に教えてやっただろう。俺の術式は炎を操ることができる。そして、それは術式によって創り出したもの。『オートマティック・フェニックス(鳳凰自動追撃)』半径10メートル以内の呪霊を感知し、自動的に炎で攻撃をするものだと。全く慎重さの欠片もないな」

 

 竜宮院は確実に仕留めるためちゃっかりと術式の開示をして強度を上げる。

 

「ひ゛ぎ ょ゛う゛も゛の゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛・・・・・・・!」

 

 模部は必死に声を出す。

 

「戦わずして勝つ、それが最上の策だ」

 

「師匠を卑怯者呼ばわりしたな!?」

 

 夏油は竜宮院を貶されてブチギレる。

 

「所詮、鬼畜ババアの戯言だ。気にするな」

 

「センパイ、コイツもう死んだ」

 

 五条は竜宮院が話し終える前に灰と骨のみになってしまった模部を指しながら言う。

 

「結局、何しに来たんだよ。オッエー」

 

「まだ生きてるかもしれないし、死んだとしても生き返るかもしれん。呪力を使ってトドメを刺しても呪霊になるかもしれん。そのために俺はこいつの後処理をする。お前らはやるべきことをやって来い」

 

「ハ〜イ」

 

「師匠、ありがとうございました」

 

「ありがとうございました」

 

 3人は偽装用の天内人形を持ってその場から去った。

 

 残った竜宮院は箒で、灰と骨のみになった模部をかき集めて3重にしたビニール袋に入れた。そのビニール袋を高専に持っていき、安全な場所で術式を用いて、灰を完全に消し去り、骨を竜宮院が掘った10メートル程の深さの3つの穴にバラバラになるように埋めた。穴から出てきてしまったら困るため、大きな漬物石で出れないように塞いだ。

 

 

 そして天内は天元と同化ぜず、死亡という形で収まった。竜宮院は天元の術式の暴走に備え、薨星宮本殿にテントを立てて2週間そこで泊まっていた。途中から寝袋を持った五条や夏油が参加してキャンプを楽しんだ、薨星宮本殿で。

 

 結局、特に何も起こらずに済んだ。

 




五条覚醒に関しては、パパ黒にやられなくてもいずれ覚醒はするでしょ。だって五条悟だし

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